オペラ座 血の喝采

2017年10月16日 21:58

【原題名】TERROR AT THE OPERA
      OPERA
【製作】フェルディナンド・カプート、ダリオ・アルジェント
【監督】ダリオ・アルジェント
【脚本】ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ
【撮影】ロニー・テイラー
【音楽】ブライアン・イーノ、クラウディオ・シモネッティ
【出演】クリスティナ・マルシラック、ウルバノ・バルベリーニ、イアン・チャールソン、ダリア・ニコロディ、アントネッラ・ヴィターレ、ウィリアム・マクナマラ、コラリーナ・カタルディ・タッソーニ、バーバラ・クピスティ
1988年/イタリア映画/95分(完全版:107分)


【STORY】
舞台マクベスの主演女優が交通事故に遭い、急きょ若手のベティが抜擢される。ベティは大役を無事務め上げ、舞台は成功するが、その公演中に照明係が殺される事件が起きる。その後も、衣装係のジュリア、ベティの恋人のステファノも殺され、犯人に狙われていると感じたベティは警察に相談に行く。ベティの身を案じたアラン警部は、彼女の自宅に部下を警備に向かわせるが、犯人はそこにも現れ、ベティのエージェントのミラも殺されてしまう。行き場を失った彼女は途方に暮れ、劇場に辿りつく。ベティから事情を聴いた舞台監督のマークは犯人が公演を見に来ると推測し、ある計画を立てるが―。


【REVIEW】
フェノミナ』のあと、『デモンズ』シリーズをプロデュースしていたアルジェントが次に演出を手掛けたのがこの『オペラ座 血の喝采』。内容的には、超自然的なファクターもオカルト的なテイストもない、純粋なジャーロ映画になっている。勿論、アルジェントの王道路線である、殺しの美学や流麗なカメラワークは健在。主演のクリスティナ・マルシラックへの仕打ちも過去作品に比べてもよりエスカレートしている。なにせ、犯人はわざわざ殺人場面を見せるためにベティを縛り上げ、瞬きせずに目撃できるように、目を閉じると突き刺さるように目の下に針を張り付ける手の込みよう。それを2回もやってのけ、素性がばれた後も、もう1回椅子に縛り付けるしつこさ。この粘着的な演出には、美少女残酷ホラー作家アルジェントの名に恥じないものを感じる次第で流石です。

殺しのバリエーションも、大型ナイフでいろいろな突き刺し方をしていて、血の量もなかなかのもの。唯一例外が、ダリア・ニコロディ演じるミラが殺される場面で、鍵穴から外を覗いていると、そこから拳銃で撃たれて頭部を弾丸が貫通するところ。その頃は仲は冷えてしまっていたというが、かつての恋人をそんなふうに殺す役でキャスティングするアルジェントも普通なのかどうなのか、ちょっと考えてしまう気もしますが。

警察が捜査するものの全く役に立たず、犯人探しのサスペンスは二の次で、関係者が次々に殺されていくのを独特の美的センスでまとめ上げているのは、いつものアルジェント節全開で見応えはあります。『フェノミナ』からの流れでロック音楽を大音量で入れているのもそれほど違和感なく、荘厳なオペラ音楽と交互になっていても馴染んでいるのは不思議な感じだがこれはこれでアリでしょう。ラストでいきなり真昼間のアルプスの風景にジャンプするのにはびっくりしましたが(それまでは、都会の夜のシーンばっかりだったのに)、マークが蠅を使ったカメラ作業をしていたり、ベティがトカゲに話しかけてうっとりしていたりと、前作『フェノミナ』をイメージさせる場面にファンとしてはなんだか嬉しくなったのでした。



10月15日は、リン・ローリー生誕祭

2017年10月15日 11:59

リン・ローリー01

本日、10月15日は、リン・ローリーの誕生日(1947年生まれというから、今年で69歳・・・!)。
一般の映画ファンには馴染みの薄い方かと思いますが、ロメロの『ザ・クレイジーズ』やクローネンバーグの『シーバース』など、数々のホラー映画に出演していて、このジャンルからは熱い支持を受けてきた女優さん。

近々、デビュー作の『処刑軍団ザップ』のリリースも控えているようで、いまだに怪しい魅力を振りまき続けています。
しかし、往年の女優が年を取って年相応になっているのに対して、彼女は昔のイメージを保ち続けているのは素晴らしい!

リン・ローリー03

リン・ローリー04

彼女のオフィシャルサイトもあったりします。
→ Lynn Lowry.com


謎の映画

2017年10月14日 14:14

謎の映画01

出版社:洋泉社
ページ数:217頁
発行日:2017年2月24日
編:山崎圭司+別冊映画秘宝編集部
定価:1,500円(本体)


・「サスぺリア」謎の39条

第一部 謎の映画人
 
第二部 謎の映画群

第三部 答えの出ない謎



“謎の映画”・・・、書名からして謎なんですが、それはストーリーであったり、登場人物であったり、製作スタッフであったり、そもそもその存在自体が謎であったりと、映画に関する不可解な事象を綴っていった感じの1冊。理解できない、劇中で説明がなされていない、経緯が全く分からない、というものは多々存在しますが、それを無視して映画自体を楽しむのもいいが、その謎にこだわって「これはどういう意味なのか!?」と考えて見直してみると新たな発見があって面白い。そういう、小ネタを収集してまとめあげた感じだが、その映画自体を知らなくても、興味をそそられるので、未見の映画に触れる楽しみもあります。

紹介されているジャンルは、やっぱりホラーを中心とした作品群で、まっとうな映画評論がされてこなかった謎の映画宝庫であることから、この辺は納得。しかし、巻頭がアルジェントの『サスぺリア』で、カラーでしかも15ページも使っているのはびっくり!(しかも、表紙もジェシカ・ハーパーだしね)昨年、パーフェクトコレクションのブルーレイが発売されたとはいえ、もう40年も前の作品が巻頭で特集されるなんて嬉しい限りで、さらにその次が『インフェルノ』って・・・。個人的には、ここだけでも読む価値ありかなと思った次第です。『インフェルノ』は、謎が多いというよりは、ほぼ謎だけで構成されたかのような映画、この本にはふさわしい!

しかし、ネットが網羅された現代では、調べれば大抵の事柄は出てくる時代、逆に分からないことの方が少ないのかもしれません。分からないから知りたい、理解できないから再度見て理解しようとする、起承転結がはっきりしていて映画の中ですべてが説明される映画より、さっぱり分からない謎が満載の映画の方が、後々記憶に残るのも事実。“謎”ってそれだけである意味魅力的な要素なのかも。




アイリーン・ミラクル in 『インフェルノ』

2017年10月13日 14:40

I・ミラクル04


インフェルノ』特典映像でのI・ミラクルの変貌ぶりに時の流れを感じてしまった・・・。
でも、撮影当時のエピソードや、イベント会場でのキース・エマーソンとの楽しそうなやり取りが見れて、それはそれで楽しめました。彼女の話によれば、大病を隠して撮影に臨んでいるとアルジェントが勘違いして、ローズの出演シーンがカットされてしまったとか(カザニアンの死体を見つける役もローズだったとか―)。もし、ローズの出演場面が伸びていたら、『インフェルノ』の印象も変わったものになっていた気がします。
綺麗どころの女優さんが多い本作ですが、やっぱり彼女あっての『インフェルノ』だと思います。

I・ミラクル01

I・ミラクル02

I・ミラクル03

URAMI~怨み~

2017年09月29日 18:21

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【原題名】BRUISER
【製作】ベン・バレンホルツ、ピーター・グルンウォルド
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【脚本】ジョージ・A・ロメロ
【撮影】アダム・スウィカ
【音楽】ドナルド・ルビンスタイン
【出演】ジェイソン・フレミング、ピーター・ストーメア、レスリー・ホープ、ニーナ・ガービラス
2000年/アメリカ映画/100分


【STORY】
真面目な会社員のヘンリーは、念願のマイホームを郊外の住宅地に購入するが、資金不足で未完成、収入の少なさを妻のジャニーンに馬鹿にされつつもあくせく働いている。職場の雑誌編集長のミロのワンマンで横柄な態度、浪費家のジャニーンの馬鹿にした振る舞い、学生時代からの友人で投資コンサルタントのジミーは信頼していたが、投資資金を横領していた。自分を蔑ろにする周りの環境に心を蝕まれていくヘンリーは、ミロとジャニーンの浮気現場を目撃して、その怒りは遂に頂点に達する。自らを“顔のない男”と認識したヘンリーはその怨みを晴らすべく、復讐を開始する。

【REVIEW】
ロメロも“ゾンビ映画”と“それ以外のテーマの映画”といった分け方をされてしまうところがありますが(―それだけ、ロメロの創造したゾンビ映画の影響がスゴかったということでもあります)、本作『URAMI』は後者に属するもの。いい人だが周囲に無下に扱われてアイデンティティーを失っていく主人公。関係する人々が自分を蔑ろにすることに絶望した彼は自分の顔に真っ白な仮面を着け復讐を開始、妻、友人、上司を次々に殺していくうちに自我を取り戻していく。ストーリーは分かりやすく、復讐劇も悪くはないんだが、これがロメロの作品だというと、少々物足りないのも事実。ゾンビ映画で見せてくれた世界観からすると、個の復讐劇はどうしてもスケールが小っちゃくなってしまっているのと、復讐に手を下すシーンも意外とあっさりしているのが残念。ファンは過剰な期待をしてしまうが上に、作品への評価は辛口になってしまうのが巨匠の辛いところですね。ただ、思うように映画が撮れず、前作から8年ものブランクを強いられたロメロの怨み映画だとすれば、なんだか気持ちも分かる気がする、小粒なカルト作です。

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