マーターズ(2015)

2017年12月12日 06:00

マーターズ01
【原題名】MARTYRS
【製作】ピーター・サフラン、アニエス・メントレ
【監督】ケヴィン・ゴーツ、マイケル・ゴーツ
【脚本】マーク・L・スミス
【撮影】ショーン・オディー
【音楽】エヴァン・ゴールドマン
【出演】トローヤン・ベリサリオ、ベイリー・ノーブル
2015年/アメリカ映画/83分


【STORY】
何者かによって長期間監禁され、拷問と虐待を受け続けていた少女リュシーは、逃げ出して放浪していたところを保護され施設に収容される。そこで同年代の少女アンナと心を通わせ回復していくが、得体のしれない何かに襲われ続ける悪夢は消えなかった。
数年後、とある一軒家を訪ねたリュシーは、持っていた銃で住人を次々に射殺する。連絡を受けてやってきたアンナは、死体の山を見て驚き、リュシーは自分を監禁していた犯人に復讐を果たしたと告白するが、自傷行為を続ける姿を見て、アンナの疑念は消えない。その後、アンナは一軒家に地下室があることを発見、そこには監禁された少女たちが居り、リュシーの過去の謎が判明する。


【REVIEW】
パスカル・ロジェが監督した『マーターズ』のハリウッドリメイク作品。オリジナルの残虐度と先の読めない展開、そして理不尽で不条理なラストの衝撃はかなりのものがあったが、それをハリウッドがどう料理したのか興味があったが、結果はあえなく撃沈―。オリジナルを初めて見たときのインパクトには到底及ばず、かつ改変されたストーリーも「これで良かったのか!?」と何とも言えん感じで巷の評価が低いのも仕方がない出来栄え(そもそも、オリジナルに勝つのは至難の業であるのは明白であったが、それじゃあ、なんでわざわざリメイクしたの?というところではありますが・・・)。以下、新旧主だった相違点を比較してみますと―、

①オリジナルでは途中でリュシーが自殺してしまい、後半はアンナが主役を引き継ぐが、リメイクの方はリュシーは最後まで生き残り、W主役という感じに。2人の友情を強調したような演出も見られるが、何も関係なかったアンナに強烈な業を背負させるオリジナルの不条理さと比べるといささか爽やかすぎる。

②謎の組織の黒幕の女性がリメイクではバンバン登場、惜しげもなく姿を見せ続ける。オリジナルは出番は少ないものの、それが逆に正体不明の得体のしれない不気味な雰囲気を出していたのにね。

③あの世まで逝って見てこさせるための拷問のはずなのに、リメイクは時間短縮であっさりめ。またリュシーの皮剥ぎ場面も大幅に減少され、「あんなもんでいいの!?」と突っ込みたくなります。

④そして、パッケージの謎の金属器具を付けられた監禁女性ですが、リメイクの方では全く出てこず・・・。このジャケット、あかんでしょ!?

などが気になった点ですが、やっぱり改悪されたという雰囲気しか感じない気がします。ストーリーを変更し、アンナがリュシーや監禁された娘たちを助け出そうとするところ、犯人たちをバッタバッタと撃ち殺していくところなんかは、いかにもアメリカ的な分かりやすい、共感を呼びやすい流れではあり、それが狙いだったのでしょうが、オリジナルの良く分からない理解し難いところから生じる不条理な怖さと対比すると、やはり凡庸な普通のホラー映画に成り下がった感は否めません。結果、「やっぱりオリジナル版の方はスゴかったよな!」ということを再確認させてくれた映画ということですかね。


マーターズ02


マッキラー [HDリマスター版 Blu-ray]

2017年03月07日 03:14

マッキラー03

【原題名】DON'T TORTURE A DUCKLING
【製作総指揮】レナート・ジャボニ
【監督】ルチオ・フルチ
【脚本】ルチオ・フルチ、ロベルト・ジャンヴィッティ、ジャンフランコ・クレリチ
【原案】ルチオ・フルチ、ロベルト・ジャンヴィッティ
【撮影】セルジオ・ドフィッティ
【音楽】リズ・オルトラーニ
【出演】フロリンダ・ボルカン、トーマス・ミリアン、バーバラ・ブーシェ、イレーネ・パパス
1972年/イタリア映画/108分


【STORY】
南イタリアの田舎町で少年の連続殺人事件が発生する。地元警察は当初、身代金を要求してきた知恵おくれの青年を逮捕するが、殺人とは無関係と分かり釈放、次にジプシー女のマッキラーが怪しいとして逮捕する。しかし、彼女もアリバイが証明され釈放するが、納得のいかない被害者の父親らはマッキラーをリンチにかけ、死に追いやる。事件は終わったかに思えたが、またもや少年が殺され町は恐怖におののく。新聞記者のマルテッリと一時容疑者と疑われた金持ちの娘パトリツィアは協力して犯人探しを始める。


【REVIEW】
2015年の1月に当ブログでも紹介している『マッキラー』だが、めでたくブルーレイ化されたので再び鑑賞。DVDをすっ飛ばして、VHS→BDだが、製作年度が1972年とかなり古いため、それほど高画質という感じはしないが、南イタリアという陽気な土地で起こる陰湿な殺人事件の対比は、テレビの画面からも迫力十分に感じられ、やっぱり再発売されて良かったと感動の作品です。

間違った容疑者ばかりを逮捕して全く役に立たない警察や、記者の推理も大雑把で、ミステリーとしては凡庸だが、フルチ作品としては珍しく物語が破たんしておらず、最後までじっくり楽しめる作品。さらに、呪いの言葉を吐き、泡を吹く熱演を見せるフロリンダ・ボルカンの壮絶なリンチ場面や、子供でも容赦なく見せる殺人シーン、そして最後の顔面を岩肌で削られながら落下していく場面と(しかも火花までスパークしながら・・・!)、やっぱりフルチならではの残酷描写も散りばめられていて飽きさせないし、ハイウェイをバカンスを楽しむために家族連れの車が往来する側で、マッキラーが息絶えていくシーンはなんともやりきれない感じがあふれ出していて涙を禁じ得ない名場面で、見どころは多い。

そして、再確認できたのは、バーバラ・ブーシェの美しさ!父親の故郷にやってきたものの地元住民とは馴染めず、殺人事件の容疑者と疑われるヤク中という微妙な設定で、おまけにオールヌードで少年を誘惑したりとかなり大胆な行動に出たりもするが、小悪魔的な魅力全開で、彼女を見るだけでも価値ある映画じゃあないでしょうか(もちろん、それだけではないですが)。とにかく、長らく封印されていた本作が再び流通されるようになったのは嬉しい限りで、フルチファン以外にもおススメしたい1本。

マッキラー02

マッキラー01


ムカデ人間3

2017年02月19日 11:55

ムカデ人間301

【原題名】THE HUMAN CENTIPEDE III (FINAL SEQUENCE)
【製作】イローナ・シックス、トム・シックス
【監督】トム・シックス
【脚本】トム・シックス
【撮影】デヴィッド・メドウズ
【音楽】ミシャ・シーガル
【出演】ディーター・ラーザー、ローレンス・R・ハーヴィー、 エリック・ロバーツ、北村昭博、ブリー・オルソン
2015年/アメリカ・オランダ映画/103分


【STORY】
アメリカのとある刑務所。所長のビル・ボスは、度重なる囚人の暴動とあまりの収支の悪さに州知事から解任を迫られ頭を悩ませていた。問題の多い囚人を再教育と称して拷問を繰り返すが、自身も妄想に囚われ、所長の精神も崩壊寸前。そんな中、所長の部下のドワイトは自分の好きな映画「ムカデ人間」を習って、囚人の口と肛門をつなげてムカデ化してはどうかと提案する。


【REVIEW】
1作目は人間をつなげてみたい欲求に囚われたマッドサイエンティスト、2作目は映画「ムカデ人間」が大好きな孤独な中年男が暴走してしまうお話、で、完結編の3作目の舞台は刑務所。言うことを聞かない囚人たちに、矯正プログラムと称してみんな連結してしまうというとんでもないストーリーだが、出来栄えは・・・残念ながら前2作には及ばない中途半端な作品になってしまった。

人数こそ、3人→12人→500人と一気に増えたものの、肝心のムカデが出てくるのが最後のほうで、大半が所長と部下のやり取りが中心で、ホラーというよりは暴走した刑務所所長のコメディーになってしまった感が強い。1作目の猟奇的な味わいや、2作目のアンモラルな佇まいは、見てはいけないものを見てしまった、気持ち悪いけど忘れられない、といった生理的に訴えかけるものがあったが、この3作目にはそういった趣がなく、これが完結編というのはシリーズを通して見てきた者には一抹の寂しさを覚えます。評価的には、『ムカデ人間2』≫≫≫『ムカデ人間』≫≫≫≫≫≫≫≫≫『ムカデ人間3』かな。特に2作目の陰湿さとローレンス・R・ハーヴィーの怪演は忘れられない。本作は、1作目主役のディーター・ラーザーと2作目主役のローレンス・R・ハーヴィーの2人が好きな方向けでしょうか。


ムカデ人間

ムカデ人間2

ムカデ人間302

ムカデ人間303



マーターズ

2015年11月27日 00:44

マーターズ01

【原題名】MARTYRS
【製作】リシャール・グランピエール、シモン・トロティエ
【監督】パスカル・ロジェ
【脚本】パスカル・ロジェ
【撮影】ステファーヌ・マルタン、ナタリー・モリアフコ=ヴィゾツキー
【音楽】セップク・パラディグム、アレクシス・アンド・ウィルフリード・コルテ
【出演】モルシャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ、カトリーヌ・ベジャン、イザベル・ジャス
2007年/フランス・カナダ映画/100分


【STORY】
1970年代のフランス、ボロボロの姿で彷徨っていた少女リュシーが保護された。彼女は何者かによって、工場の一部屋に長期間監禁され、拷問と虐待を受けていたが、その目的は分からなかった。養護施設に引き取られたリュシーは、同じ年頃の少女アンナの助けもあり、徐々に回復していった。その15年後、森の中に佇む一軒家の玄関にリュシーは立っていた。家の中には朝食を取っていた家族4人が居り、リュシーは猟銃を構え、一人ずつ射殺してゆく。銃弾を浴びて息絶えてい往く住人達。その中の母親らしき死体の顔を見てリュシーは確信する。自分を監禁、虐待していた相手に復讐を果たしたのだと。血まみれの惨状の中、リュシーの背後に何かが忍び寄る。

【REVIEW】
上記ストーリー部分だけで約15分程度だが、ここまでだと監禁、虐待されていた女性の復讐劇かと思いきや、これ以降話は二転三転していく。事件現場に駆け付けたアンナはリュシーの傷の手当てをし、死体の片づけを手伝うが、復讐した相手が正しかったのかを疑う。―すべては、リュシーの妄想ではないのか?―事実、リュシーにしか見えない化け物が襲ってくるのは幻であり、彼女の自傷行為が原因であることが分かってくる。しかし、何が原因で彼女をここまで追い詰めたのか?謎は解明されないまま、リュシーの行動はエスカレートし、ついには喉元を掻き切って自殺してしまう。悲しみに打ちひしがれ、呆然とするアンナ。一夜明け、一軒家の中に地下室があることを知った彼女は中に下りて行き、ついには見てはいけないもの、知ってはいけなかったことを知ってしまう。

その後、物語は急展開していく。リュシーの過去の言っていたことが正しかったことが分かり、監禁と虐待に関与していた組織の人間が現れ、なぜこんなことをしていたのかを説明していく。そして、アンナを待ち受ける凄惨な儀式。先の読めない展開に翻弄されながら、後半延々と続くアンナへの容赦ない拷問の数々を見せられ、おそらく観客の多くが善良な心をベキベキっとへし折られてゆくのではないだろうか。心と体の両面を極限まで痛めつけることで到達できる場所を見せるため、観客にもそれを疑似体験させた後、映画はクライマックスを迎えるが、ラストは崇高で神々しいといえばそうかもしれないが、死の先にあるものは何か知りたいだけの虐待カルト集団の下衆い欲望の末路としか思えないのは、私がただ単にひねくれているからかもしれない。それと、一部の人間の欲望のために犠牲となったリュシーやアンナの人生はなんだったのかを思うと、それもやりきれないと思ってしまう。殉教者ってなんなんでしょうね!?

ただ、今までのホラー映画とは一線を画している別物であるのも事実。ここまでショッキングで、見た後にどよーんと重いものを残す映画も久々。刺激的な映像を見たい方、トラウマ級の拷問映画を見たい方、そしてホラーが三度の飯よりも好きな方は、やっぱり避けては通れない必見の映画だと思います。

マーターズ02

マーターズ03



燃える昆虫軍団

2015年11月18日 11:40

燃える昆虫軍団02

【原題名】BUG
【製作】ウィリアム・キャッスル
【監督】ジャノット・シュウォーク
【脚本】ウィリアム・キャッスル、トーマス・ページ
【撮影】マイケル・ヒューゴー
【音楽】チャールズ・フォックス
【出演】ブラッドフォード・ディルマン、ジョアンナ・マイルズ、リチャード・ギリランド
1975年/アメリカ映画/100分


【STORY】
アメリカ中西部で巨大な地震が発生した。町の郊外の農地では巨大な地割れも発生、住民はそこからゴキブリに似た真っ黒な昆虫が多数這い出てきているのを発見する。昆虫学者のジムは、地割れから出てきた昆虫が火事を引き起こしていると知らされ現地に調べに行く。真っ黒な昆虫は体に発火する仕組みが備わっており、炭素を栄養源として生きているようだった。新発見に興奮を迎えきれないジムは昆虫を持ち帰り、研究を重ねていくが、やがてこの虫の進化していく様に恐怖を覚え始める。


【REVIEW】
70年代は大自然の驚異を描いた映画が多数制作され、動物・昆虫らが人間に襲いかかるものも人気のジャンルだった。その種類も様々だったが、昆虫自体はサイズが小さいので、群れを成して襲ってくるか、突然変異で巨大化するというパターンが多かった。しかし、本作の主役は明言はされていないものの、見た目はどう見ても“巨大ゴキブリ”!!サイズは全長5~10cm程度で、しかも多数ご登場で、その雄姿を拝むだけでもこの映画は見る価値あり!!(ゴキブリが苦手な方は観ない方がいいでしょう・・・)

普通、火が苦手なはずの昆虫が自ら発火して敵を燃やすという発想がなかなかのもので、特に中盤のジムの奥さんのブロンドヘアーに取り付いて発火、奥さんが火だるまになって焼け死ぬ場面はけっこうショッキング。さらに、妻を失って、虫への執着心がエスカレートしたジムはこの虫をゴキブリと交配させ新種を誕生させてしまう。こいつが、最終的には人間の言語を理解し、自我を主張してくるのには、「ちょっと行きすぎじゃない!?」と思ったりもするが、人類が死滅してもゴキブリは生き残ると言われているくらいだから、あながち無いとも言えないかも。

この映画も、小学生時代にTVで観て、気味が悪かった記憶がありますが、特に印象的なのが、女優さんの顔面に巨大Gが張り付いているスチール写真。当時は当然CGなんてなかったので、あまりにもリアルすぎるゴキブリが目のあたりに食らいついている場面がどうしても頭から離れず、これも幼少時代のトラウマ映画の1本です。

燃える昆虫軍団01





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