ショック!残酷!切株映画の逆襲

2018年02月02日 17:27

切株逆襲

出版社:洋泉社
ページ数:239頁
編:高橋ヨシキ+DEVIL PRESS MURDER TEAM
発行日:2009年6月2日
定価:1,300円(本体)


“衝撃!神よ!人間はどこまで残酷になれるのか!?
 サイコ画像も裸足で逃げ出す衝撃の人体破壊描写シーン、その極北に迫る!”
・中原昌也と往く地獄めぐり これが切株映画だ!
・世界切株映画ポスター集
・切株派宣言
・映画に潜む切株の魔
・切株派提唱者 中原昌也が語る「切株とは何か」
・スプラッターからアジアン・ホラーまで、残酷表現の変遷を辿る
・日本人の知らないドイツ・ホラー史
・インドネシア・グログロ・ホラーの世界
・モンド映画の切株の価値
・アメリカの映倫MPAAの正体
・恐怖去勢映画
・マスター・オブ・ゴア、トム・サヴィーニの肖像
・フランク・へネンロッター、最新作『バッド・バイオロジー』とサムシング・ウィアードビデオの黎明について語る
・『スリーピー・ホロウ』で切株ゴロゴロ! 本当は怖いティム・バートンのダーク・ファンタジー
・リドリー・スコットの残酷描写
・チャールズ・マンソン事件の映画化にとりつかれたインディー・ホラーの巨人ジム・ヴァンベッバー
・『マーターズ』監督パスカル・ロジェ
・あなたの知らない切株紳士録
・21世紀の残酷王子マイケル・ベイ
・ささくれた心に刺さる切株ノワール・ブックガイド
・ロンドン大殺戮!漫画もアニメも凄いことになっている『HELLSING』に注目
・牧口雄二と70年代東映エログロ路線こそが最高!
・増村保造が描く暑苦しい切り口
・あっ!怪獣が切株に!!大映『ガメラ』路線の残酷バトル
・小水ガイラと佐藤寿保、エロス以上に暴力に興奮する80年代ウルトラ・ポルノ
・こどもが教師の生首でサッカー!地球は壊滅!ヤクザは皆殺し!三池崇史の切株ワールド
・新世紀の日本切株映画を背負って立つ、残酷効果請負人・西村喜廣の世界


映画における人体破壊及び切断シーンを通称“切株”と命名し、古今東西の切株シーンの登場する映画を集めた『切株映画の世界』の続編。取り上げられる映画はやはりホラー映画が圧倒的ですが(人が殺されるのがほぼ当たり前だし)、それ以外のジャンルの映画も合わせれば、まだまだネタは尽きないのか!という感じで、今回もいろんな映画が登場します。人体破壊と言えば、それをクリエイトしているのが特殊効果やメイクアップを仕事としている人だが、本書ではトム・サヴィーニにスポットを当てて紹介。彼の生み出した数々のスプラッターな描写はファンを歓喜させたが、70~80年代にはこのメイクアップ・アーティストたちが一番輝いていた時代で、サヴィーニ以外にも、ディック・スミス、リック・ベイカー、ロブ・ボッティン、スタン・ウィンストンなどなど、多種多様な人物が腕を競っていた時代でもあったわけで、彼らを特集するだけでも本が1冊出来上がってしまうくらいでしょう(できればどこかで出してほしいけれど)。

他にへネンロッターとパスカル・ロジェのインタビューが掲載されているが、これは同時期に新作がちょうど公開されるタイミングであったからかと思われるが(へネンロッターは『バッド・バイオロジー』、ロジェは『マーターズ』)、普段あまり日の当たることの少ない、切株映画監督にスポットを当ててくれるのは嬉しいところです。で、このシリーズ、巻末に『切株映画の帰還』が刊行予定と記載されているが、それ以降出ていないようなので、残念ながら立ち消えになってしまったようです。


ショック! 残酷! 切株映画の世界

2018年02月01日 10:53

切株

出版社:洋泉社
編:高橋ヨシキ+DEVIL PRESS MURDER TEAM
ページ数:262頁
発行日:2008年2月21日
定価:1,300円(本体)


“手が!足が!首が飛ぶ!
 スクリーンに広がる地獄絵巻をあなたは正視できるか!?”
“映画界最大のタブー、スプラッターを超える残酷表現の限界
 人体破壊描写のすべて!”

・鮮血!野蛮!何よりも究極の娯楽!残酷表現に究極の娯楽を求めて
・残酷切株描写から辿る世界映画史
・観ずには死ねない切株映画入門ガイド
・アメリカ映画、残酷と血糊のブルース
・世界で最も有名な殺人鬼ジェイソンと『13日の金曜日』・・・スラッシャー映画の夜明け
・『ホステル』シリーズ監督イーライ・ロスへのインタビュー
・『死霊のしたたり』シリーズの肉体破壊表現
・痛みこそは究極の快楽!『ヘル・レイザー』
・残酷ソープオペラ『アンディ・ウォーホルのBAD』&NYゲイ系切株派
・世界に君臨する残酷描写の王者スティーブン・スピルバーグ
・ジョン・カーペンター、非情の切株アクションに流れるマカロニの血
・80年代最強・最愛の切株映画『悪魔のいけにえ2』
・ジョン・ウォーターズの「バッド・テイスト」切株路線
・SOMETHING WIERD VIDEOの過激な切株描写
・60年代から21世紀まで、未公開切株映画ベスト・チョイス21
・恐怖の切株怪獣洋画劇場!
・殺してよし!殺されてよし!ゾンビ映画は切株描写の宝庫!
・クローネンバーグ『クラッシュ』・・・交通事故の切株世界
・ジャーロ・・・イタリアン・ホラー最強の猟奇血まみれドラマ群
・ダリオ・アルジェント、イタリアン・ホラーの帝王
・アルジェント最新作『マザース・オブ・ティアーズ』
・異常性犯罪にカニバリズム・・・イタリア残酷映画事情をリサーチ
・ルイス・ブニュエルの切株メロドラマ『哀しみのトリスターナ』
・ポール・ナッシーからモンドまで・・・スペイン映画、血の歴史
・『ブラッド・ピーセス』ほかスパニッシュ・ビザール映画のゴア表現
・犬神家の切株!エスカレートする70年代横溝映画の残酷描写
・『私設銀座警察』と日本切暴力団映画
・『子連れ狼』のバイオレンス表現が世界を制圧した日
・本当は残酷なジャパン・アニメーション
・空とぶギロチンと残虐クンフー映画大行進
・00年代、新たなる血まみれ映画の始まり


「趣味は何ですか?」と聞かれて、「映画鑑賞です」と答えると、「じゃあ、好きな映画は何ですか?」と聞かれる。一瞬躊躇するが(その人との親密度にもよるが―そんなに親しい間柄でなければそこまで真剣に答えないだろう)、「ホラー映画をよく観ます」と答えると、大抵疑問的な答えが返ってくることが得てして多い。たとえば、「どこが面白いんですか?」とか「気持ち悪くないですか?」とか「怖くないですか?」とか。真面目に回答するならば、「面白いと感じているから見ているのであるし」「気持ち悪い描写もあるが、そういうのを見たいのであるし」「怖さを求めているのであるし」、普段日常では感じられない体験することができない“刺激”を求めてホラー映画を見ようとしたりしているわけである。その最たるものが人体破壊描写(本書では“切株”と表現)ではないだろうか。現実で、それを見ることはまれであるが(例えば、交通事故とか自殺現場とか―)、映画の中ならいつでもありとあらゆる人体破壊場面を見ることができる。リアルな場面もあれば、ありえないような無茶苦茶な描写があったりもする。でも、それ自体が見世物であって、エンタテイメントの真骨頂ではないかと思ったりする。

無論、これらは作り物であるから楽しめるのであって、実際の人体破壊や死体の映像を見て楽しいなんて思ったことはないわけで、あくまで空想の産物と分かっているから、というのが大前提。「いい年こいて、人が殺される場面見て楽しいですか?」なんて怪訝な表情で質問されるかもしれないが、楽しいものは楽しいんだから仕方がない。現実にはあり得ないような映像を見て「スゲー!!」「怖ぇーッ!!」「面白れーッ!!」と感じるんだから仕方がない。まるで、子供のような受け取り方と思われようが、子供のころのままの感情が今も消えずに残っているから、楽しいものは楽しいのである。とにかく、好きな人には堪らない。好きなものは仕方がない。切株・残酷描写が嫌いな方は見なければいい、ただそれだけの話である。

さて、前置きが長くなりましたが、ホラー映画に限らず、古今東西ありとあらゆる切株描写が出てくる映画を取り上げた本書、人が殺される映画には大抵切株描写は付物で、いろんな殺され方が昔から登場してきたが、それらをカタログ的に見ていくだけでも楽しめる。アクション映画やサスペンス映画、戦争映画などでは人はバッタバッタと死んでゆくし、当然そこでは様々な人体破壊のバリエーションが描かれている。ストーリー上必要なものもあれば、そこにスポットを当てた人体破壊ありきの映画もあるが、それはそれで見ていて楽しい映画なわけで、人によって様様な楽しみ方があると思います。取り上げられている作品数があまりにも多いので、どれが一番素晴らしいなんて決めるのは不可能ですが、印象に残っているのは『オーメン』のガラス板での首チョンパとか『サンゲリア』の目ん玉串刺し、『ブラッド・ピーセス~悪魔のチェーンソー』の切り刻むチェーンソーはやっぱり外せないし、『死霊のはらわた』『ブレインデッド』の切株描写は満載だ。ホラー以外だと有名な『プライベートライアン』の上陸シーンは印象的だったし、本書の後に公開された『ランボー 最後の戦場』なんかも、人体がバンバン破壊されていく。たぶん、これからも、ありとあらゆるジャンルで人体破壊は行われていくし、その描写もエスカレートしていくはずだ。ただ、規制が厳しくなっている中、見る場所は限られてきているのは寂しく感じます。地上波TVなんかでは、ほとんど切株描写を見る機会はなくなってしまい(映画自体が放映されなくなってきてますが)、スマートでおとなしいものしか流れない世の中。この前地上波で放映された『レイダース』も、ナチ残党の顔面崩壊場面はなかったですしね。行き過ぎた規制や自粛は、それはそれでどうかと思うのですが・・・。


南海3 特集/続編大爆発

2018年01月20日 21:01

南海03

発行元:ロウバジェット
ページ数:122頁
編集・デザイン:桜井雄一郎
発行日:2016年4月23日
定価:1,000円(本体)


・続編がはじまるとき、おわるとき
 ~ユニバーサルの「フランケンシュタイン」にみる続編の寿命

・続編という名の恐るべき挑戦

・トーク!現代ハリウッド続編地獄

・続編VHS図鑑

・続編をめぐるはてしない妄想

・そこにはビデオ屋さんがあった
 ~小坂裕司さんによる[閉店作業]


映画雑誌『南海』の3冊目の特集は“続編”。なぜ、映画には続編が存在するのか、続編ならではの醍醐味・楽しみ方は、失敗作と成功作の違いは―。あまり、続編という括りで論じられることの少ないキーワードだが、考えてみると、いろいろと謎や考え方が浮かんできて面白く、意外と深いものがあるんだなと思った次第。作られる理由は、映画がビジネスである以上、ヒット作が生まれれば、それをもう一度味わいたいと思うのは皆一緒のはずで(近年は企画不足が、続編やリメイクを助長しているとも言われているが)、しかしながら、1作目がヒットしても次もヒットするとは誰も分からないのも事実。同じように作ったら飽きられたり、違うテイストを入れたらこんなんじゃないと言われたり、監督や俳優がごっそり変わってしまうものもあれば、世界観まで変わってまるで別物になった続編も数知れず。本当に深い続編の世界。今回は、『フランケンシュタイン』『2010年』『エイリアン2』『エクソシスト2』などを例に挙げて、その周辺を解説。だが、個人的には、続編VHS図鑑で掲載されている、B級C級のホラーやアクション映画の続編シリーズが見ていて楽しかった。「ハロウィン」や「ハウリング」、「デモンズ」のシリーズ末期なんかはビデオならではの怪しさがプンプン匂ってきて、レンタル店に並んでいた当時はそれがまた何とも言えない興味をそそられたりしたもんでしたが。

南海2 特集/家で映画を観ること 名画座としてのビデオレーベル

2018年01月19日 13:50

南海02

出版社:ロウバジェット
ページ数:122頁
発行日:2015年1月22日
編集・デザイン:桜井雄一郎
定価:850円(本体)


・『all cinema SELECTION』
 寝ても覚めても作品のことを 岩本克也
 解禁!ソフトづくりの裏話

・『HIGH-BURN VIDEO』
 こんな、よくわからないものを出すのはおれたちが最後
 HIGH-BURN VIDEOに聞きました

・映画の深い森へ
 洋画篇 SOV ビデオ撮り映画を観てみよう
 邦画篇 ビデオとフィルムとVシネマ史
 
・ビデオケースがなくなる日


映画雑誌『南海』の2冊目は前号の倍のボリュームになって特集も盛りだくさん。メインのall cinemaとHIGH BURNで大方三分の二を占めており、これだけでもかなり読み応えがある。特にall cinema SELECTIONは、発売リストや、ソフト別の解説、ビデオジャケットの紹介なっかもあって、これだけでも見ていて楽しめます。『グリズリー』に『センチネル』、『吐きだめの悪魔』や『溶解人間』など、「これ、欲しい!」と思わせる作品がまだまだゴロゴロしていて、いつになったら購入できるのか分からないが、ワクワクさせる作品には事欠かないレーベルだ(リスト見て、持ってるのを探してみたが、『ゾンビ 新世紀完全版』だけだった・・・)。『エクストロ』とか『猛獣大脱走』なんかも、最近販売終了したってアナウンスされていたし、欲しいソフトは買えるときにかっておかないと、次いつ買えるか分からないもんね。肝に銘じておきます。

HIGH-BURN VIDEOは、この時点ではまだ3作品しかリリースしていないが(その後、『シングス 悪夢のバグズベイビー』がリリースされているよう)、よそがやらないことをウチがやろう!というコンセプトが面白い。ビデオバブルの時代にいろんなメーカーが参入してきて、日本未公開の得体のしれぬ作品がわんさかリリースされていたアングラ感が現代に蘇ったような感覚が新鮮に感じます。作品自体は、ユーザーを選ぶかもしれないが、それもまた魅力の一つなんでしょう。

また、最後の「ビデオケースがなくなる日」では、前号に続いてビデオ博物館の小坂さんが登場。ビデオケースにまつわるお話だけれども、話すことは尽きません。メーカーによって様々なデザイン、大きさがあったビデオケース、当時はバラバラで統一してくれたらもっと見やすいのに・・・なんてレンタル店で思ったりもしましたが、少しでも目立って客の目を向かせよう!と各メーカーが競って作っていたのなら、それはそれで味があっていいのかも。ケース一つとっても、いろいろ楽しめるのがビデオの魅力なんでしょうなあ。




南海1 特集/VHSの現在

2018年01月18日 11:21

南海01

出版社:ロウバジェット
ページ数:58頁
発行日:2014年7月31日
編集・デザイン:桜井雄一郎
定価:500円


・「VHSテープを巻き戻せ」
・ジョシュ・ジョンソン監督への12の質問
・知られざるカバー・アート職人の職人たち
・知っていますか?VHSのアーカイブ ビデオ博物館
・これが定番!お宝ビデオの世界
・ビデオ博物館 小坂裕司さんインタビュー
・ビデオの深~い話 ①VHSは壊れない   ②ケースもいろいろ
・超レアVHS×21選


映画雑誌『南海』の存在は、確かツイッタ―で知ったのかな?その辺は記憶も曖昧で、定かではないんですが、現在3号まで刊行されている、判型はちょうど手帳のバイブルサイズくらいのミニコミ誌。その創刊第1号は、VHSにスポットを当てたもので、映画『VHSテープを巻き戻せ』の監督ジョシュ・ジョンソンへのインタビューと、ビデオ博物館を運営している小坂裕司氏へのインタビューがメインになった作り。映画メディアの主流がVHSからDVDやブルーレイに移行した今現在でも、VHSを収集したり、再評価したりする動きを追っている。

個人的には、後半のビデオ博物館が特に面白く、ビデオデッキが家庭に普及したころ~80年代のビデオバブル~DVDに取って代わられる頃をリアルタイムで体験してきた同年代ならではの共感できるところがツボにはまり、本当に「そうそう、分かる分かる」と相槌を打って読んでしまった。また、小坂氏が脱サラしてから、ビデオを収集しそれをレンタル業としていく過程のエピソードも面白く(本当に、あらゆる都道府県に足を延ばして収集しているんだな、と)、趣味を職業とする楽しさと大変さを味わいつつも両立されているのが分かる。読んでいて思ったのは、自分は映画は好きだが、VHSやDVDといったメディア媒体事態も好きだということ。それを収集するのも楽しいし、その流通過程や、それに関わっている人の話を聞くのも面白い。

VHS自体は、ビデオデッキの生産も終了しているし、いずれは消えゆく媒体であろうが、DVDで再発売されずにビデオでしか見られない作品もまだまだ数多く存在している。それらを探し求めている人々がこの世に存在し続ける限り、VHSビデオは生き続けるだろうし、もしかしたらアナログレコードのように復活したりするかもしれない。貞子だって、媒体を変えて出現しているけれども、一番しっくりくるのはやっぱり“呪いのビデオ”だと思うしね。


※小坂氏の運営している、VHSネットレンタルのHPはこちら→ 『K-PLUS

※『南海』自体は書店取次を通していない直販雑誌なので、下記HPにて販売店のご確認を
 →『映画雑誌「南海」 NANKAI the movie magazine




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