チャイルドコール 呼声

2020年05月20日 12:18

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【原題名】BABY CALL
【製作】カール・バウムガルトナー、アンナ・クローネマン、チューリッド・ウーヴェシュヴェーン
【監督】ポール・シュレットアウネ
【脚本】ポール・シュレットアウネ
【撮影】ジョン・アンドレス・アンダーソン
【音楽】フェルナンド・ベラスケス
【出演】ノオミ・ラパス、クリストファー・ヨーネル、ヴェトレ・オーヴェンニル・ヴァリング、スティーグ・R・アンダム、マリア・ボック
2011年 ノルウェー/ドイツ/スウェーデン映画 96分


【STORY】
夫の暴力から逃れるため、アナと息子のアンデシュは保護監視プログラムの下で郊外のアパートで暮らし始める。過敏なアナは子供部屋で眠るアンデシュの様子が気になるため、チャイルドコールという音声によるモニタリングができる装置を買い、セッティングする。ある日、子供の叫び声のようなものが聞こえ、様子を見にいくがアンデシュは普通に眠っているだけだった。チャイルドコールを買った電気屋の店員に聞くと、他の居室の電波と混線したのではないかと教えられる。同じアパートのどこかで子供が虐待されているのではないかとアナは考え、居室を特定し住人の後をつけていくと近所の森の奥へ。そこで彼女は、アンデシュと同じくらいの男の子が湖で溺死させられる様を目撃する。さらに、アンデシュから学校に夫が訪ねてきたことを告白され精神的に追い詰められていくアナは、学校の教師や保護観察員たちに子供を養育する資格はないのではないかと言われる。誰にもアンデシュを渡さないと誓うアナが最後に取った行動は―。

【REVIEW】
『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパス主演の北欧サイコ・サスペンス。夫のDVから逃れて二人で生活を始める母子。もともと過敏な母親アナは息子との生活を一番に考えて行動するが、保護観察員や学校の教師らと衝突し次第に溝は深まっていく。それに加えて、アパート住人の児童虐待の謎も加わり、アナの精神は追い詰められていく。唯一、正常な人間で登場する店員が真実を知るが、それはあまりにも悲しい結末。現実と妄想の区別が無くなるほど追い詰められていったアナの感情は、当事者にしか分からないだろうし、周囲も理解するのは難しいだろう。自分もそういう立場に追い込まれたら、まともに生きられずに夢の世界に逃げてしまいたいと思うかもしれない。人間、極限まで疲れたり、精神的に追い詰められると冷静さなんて保てなくなっても仕方がないでしょ。そんな演技を自然に見せてくれる、ノオミ・ラパスが良いし、アメリカとは違う北欧の独特の空気感も心地いい。


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ニューヨーク1997

2017年05月15日 23:28

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【原題名】ESCAPE FROM NEW YORK
【製作】デブラ・ヒル、ラリー・フランコ
【監督】ジョン・カーペンター
【脚本】ジョン・カーペンター、ニック・キャッスル
【撮影】ディーン・カンディ
【音楽】ジョン・カーペンター
【出演】カート・ラッセル、リー・ヴァン・クリーフ、アイザック・ヘイズ、ドナルド・プレザンス、ハリー・ディーン・スタントン、エイドリアン・バーボー、アーネスト・ボーグナイン
1981年/アメリカ映画/99分


【STORY】
近未来のニューヨーク。島まるごとを封鎖し、巨大な刑務所となったマンハッタン内部は無法地帯となっていた。そこにハイジャックされたエアフォースワンが不時着、乗っていた大統領は無事だったが、囚人たちに拉致されてしまう。囚人たちは大統領の生命と引き換えに全員の解放を要求してくる。うかつに手を出せない状況の中、警察部長のホークは、元軍人で今は終身刑の身になっているスネーク・プリスキンを大統領救出の任に着かせることを提案。恩赦を条件にスネークは引き受けるが、逃走防止の劇薬を打たれて24時間以内に戻ってこないと自分の身も危ない・・・。タイムリミットが迫る中、スネークは単身マンハッタンへ潜入する。


【REVIEW】
ホラー映画ではないが、前から見なければと思いながらもずーっと未見で来ていた『ニューヨーク1997』をやっと鑑賞。製作年度が1981年だから、今からもう36年前の映画・・・。それでも古さを感じさせない、B級エンタテイメント映画のお手本のような映画だった!

もちろん、万人が全て拍手喝采!受けする内容ではないが、この手の映画が好きな人には多分堪らないだろうという魅力があふれているのも事実。今からすると低予算で製作されたのはバレバレだが、それを補うために夜のシーンを多くして作られた街並みは独特の雰囲気が醸成されていてグッド。そもそも、マンハッタン全体が刑務所というのも奇想天外なアイデアで、それだけでなんだかワクワクしてくるものがあるし、そこにスネークが立っているだけで絵になるというもの。カート・ラッセル演じるスネークは、無敵ではないが、やはり腕っぷしの強さと度胸の良さ、ヒーローには欠かせない強運、そしてキザな振る舞い。男子なら憧れるちょっと悪いヒーロー像がうまく体現されていると思います。

その他にも共演陣が豪華で、カーペンター常連組のドナルド・プレザンスにエイドリアン・バーボーなどが脇を固め、陽気なタクシードライバー役にアーネスト・ボーグナインも出演。敵ボスのアイザック・ヘイズはどこがどう凄かったのか良くわからなかったが、乗っていた車にシャンデリアが付いていたりして無駄に派手だったのが印象的(あんな奴いませんわ)。大統領役のプレザンスが意外にも、嫌味な役だったのも珍しかったです。

一応、SFアクション映画なんだろうけど、意外なほどアクションは地味で、肝心のカート・ラッセルもあんまりアクションしていないのも笑えるんだけれども、なぜだか許せてしまう不思議な映画。現在のアクション映画と比較すると驚くほど“緩い”のだが、それも独自の魅力なんだと思います。その緩さを許せたら、最後まで楽しめる1本。

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アマゾンのレビューを見ると、左のジェネオン・ユニバーサル版の字幕構成が酷く、右の東北新社版(旧版)の方が見やすいとのこと。私は、ジェネオン版で見ましたが、確かに字幕のフォントも訳も固い感じがしました(見れないことはないけれども―)。まだ、東北新社版も中古なら手に入るようなので、気になる方はそちらをどうぞ。

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

2015年08月28日 00:43

【原題名】MISSION: IMPOSSIBLE ROGUE NATION
【製作】トム・クルーズ、J・J・エイブラムス 、ブライアン・バーク、デヴィッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ、ドン・グレンジャー
【監督】クリストファー・マッカリー
【脚本】クリストファー・マッカリー
【撮影】ロバート・エルスウィット
【音楽】ジョー・クレイマー
【出演】トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス
2015年/アメリカ映画/131分


先週の土曜日に観てきました『ミッション・インポッシブル』最新作。「なんか、前作(~ゴーストプロトコル)観たばっかしのような気がする・・・」と思ってたんですが、前公開されたのって2012年で3年前だったんですね。意外に時間がたっている気がします。鑑賞したのは週末土曜の夜6時台だったものの、館内はけっこう空きが目立ってました。こんなものなのか、人気が今一つなのか。その辺は微妙。このシリーズももはや5作目で、1作目からしたらもう20年近くたっているわけで、最初からリアルタイムで見ているファン層も年を取ったなあ・・・という気がします。

本作は前作『~ゴーストプロトコル』の続編的な扱いで、懐かしいクレムリン爆発事件が取り上げられたりしています(そういえば、そんなことも起こっていたわー、てな感じです)。で、出てくるメンバーも、前作から登場のジェレミー・レナーに、3作目から登場のサイモン・ペッグ、そんで1作目から出続けているヴィング・レイムスと見慣れた面々が勢ぞろい。特に、今回はサイモン・ペッグ演じるベンジーとイーサン・ハントとの絡みが多くて、何だか男の友情映画のような感じが・・・。ルーサーも「俺は、イーサンの友だちだからな!」とか強調して出てくるし、ブラントもCIAを裏切ってもイーサンとの友情を優先するし、ポイントはやっぱり男同士の友情。チームの連携も良くていいのですが、次に製作されるなら、このうちの誰かが殺されちゃったりして、その復讐に燃えるイーサン・ハント・・・みたいなストーリーだったりして・・・と、想像してしまったりします。

さて見どころですが、言ってしまえば、全編が見どころのような131分という時間を感じさせないのは、よくできたところ。冒頭の飛行機にトムが飛びついていくシーンから、オペラでの暗殺シーン、バイクでのカーチェイスに、発電所の水中金庫へのダイブ等々、息つく暇もない様様な見せ場の連続に拍手喝采。素直に誰もが楽しめるアクション映画だと思います(ですよね!?)。帰ってから、家に眠っている1作目のLDを見直したんですが、正直1作目と最新作ではほとんどもう別物。一応、スパイものなんだけれど、リアリティさはどんどん薄れて、舞台は現代なんだけれども架空のお話になってきた感があります。

でも、それは承知の上で、製作側もやっているはずで、いかにおもしろくいかにトムをカッコよく見せるかを追及していったのが4作目であって、この5作目になったわけで、この流れは間違っていないと思います。個人的には最新作が公開されれば見続けていきたいと思っているシリーズなので、次回も期待しております。




96時間/レクイエム

2015年05月20日 00:41

【原題名】TAKEN 3
【製作】リュック・ベッソン
【監督】オリヴィエ・メガトン
【脚本】リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
【撮影】エリック・クレス
【音楽】ナサニエル・メカリー
【出演】リーアム・ニーソン、フォレスト・ウィテカー、ファムケ・ヤンセン、マギー・グレイス
2014年/フランス映画/109分


リーアム・ニーソン演じる元特殊工作員のブライアンが別れた妻と娘を守るため、あらゆる手を使って暴走する様を痛快に描いたシリーズの3作目。一応、完結篇と銘打たれています。1作目では、娘のキムがフランス旅行中に人身売買組織に拉致られ、少ない手がかりを元に自分の持つ工作員のスキルを使ってキムを救い出し、2作目ではトルコで家族3人で休暇中、前作でブライアンに息子を殺された親父が組織を率いて復讐に現れるものの、結局ブライアンに返り討ちに遭い全滅、どちらも家族を守るためならどんな手を使ってでも~敵対する者は殺しまくっちゃっても~やり通す、その潔さがある意味痛快なシリーズでした。

で、この3作目では、いきなり元妻のレノーアがブライアンの部屋で殺されていて、自分はその殺人容疑で追われる羽目に。警察に追われながらも、真犯人を探すブライアンだが、娘のキムにも魔の手が伸びる。彼は最愛の娘を守り切れるのか―。大まかにはこんな感じですが、正直、出来は前2作に比べるとパワーダウンは否めない。舞台が海外ではなく、地元アメリカだからか、どことなくのんびりした(リラックスした!?)感があって、緊迫感に欠けるのがあるのと、ブライアンの特殊スキルの見せ場(例えば、少ない物証からでも、犯人を捜し出す方法や、爆発音から居場所を特定する方法など)が減ってしまっているのが残念。ロシアマフィアのアジトへの突入場面もただのドンパチになってしまっていて、もう少し工夫もほしかった気もします。まあ、この辺、3本目になってきてやっぱりマンネリ感が出てしまったんかもしれません。

それでも、家族を守るためなら何でもやってしまう(法律なんてクソくらえ!)、ある意味潔さとも取れるブライアンの暴走ぶりが微笑ましくも楽しかったので、シリーズ終了かと思うと残念。主要キャラのレノーアも死んじゃったんだけど、最後は孫が生まれるかも・・・という感じで終わったので、個人的には相変わらず「家族も増えて、これから増々守るためなら何でもやるぜー!」というスタンスで作り続けてほしいなあ・・・と思う次第です。

96時間

96時間 リベンジ



機動警察パトレイバー THE NEXT GENERATION  首都決戦

2015年05月13日 03:22

毎年G・Wなんて文字通り“アッ”という間に過ぎてしまい、大したこともせずに終わっていくのがほとんどなのですが、今年は珍しく映画を見に行ってきました。で、何を見てきたかというと『パトレイバー』の実写版、『~THE NEXT GENERATION  首都決戦』。

もともと、この日は別の用事で友達と出かけていたのが、時間に余裕ができてしまい、「じゃあ、映画でも見ていくか」ということになり、「じゃあ、今何やってるの」で、調べていってタイトルを挙げていくと「じゃあ、パトレイバーでも見ていくか」ということになり、鑑賞してきた始末。

全く、見る予定に入っていなかったので、予備知識も無かったのでどんな内容かも知らずに見に行ったんですが(実際、劇場に着いたのも始まる5分前くらいで、こんなにギリギリに入ったのも久しぶりでした)、見終わった結果は、まあなんとも懐かしかったという感じ。

実写版が映画化されるのはCMで知っていたけれども、その前に同じキャストでシリーズ化されていたことは知らなかったし、予備知識なしで見たので~悪いけど、それほど期待していなかったというのが本音です~、日本で実写化したら、こんな感じなんだろうな~というか、むしろ頑張ってたほうかな~というのが率直な感想。ストーリーはホント何十年か前に見たアニメ版の劇場版2作目の焼き直しのようだったし、キャラクターも名前やらキャラ設定は多少もじってはあるものの、旧作と同じようなメンバーだし、物語に素直に入りこめたのは良かったが、逆に考えれば、アニメ版を楽しんでいた世代には受け入れられるけれども、それを見ていない世代には「さっぱり分からん」のでは!?と心配になったのも事実。これを見たのはG・Wの5日の19時台だったが、劇場内はガラガラで(自分たちを入れても10人足らず)、正直製作費をペイするのは無理だろーなーと要らぬ心配すらしてしまいました。やっぱり、ターゲットは往年の懐かしいと感じる世代向けの作品なんでしょうなあ・・・。

戦闘ヘリの描写は悪くないなあ、と感じたが、肝心のイングラムの稼働シーンはやっぱり物足りなさが残ったのが本音です。「機体の老朽化で、3分しか駆動できない」という説明がなされるものの、どう考えても「製作費の関係上、最後の3分しか見せれません」と言ってるようにしか聞こえず、この辺スケールでは圧倒的にこじんまりとしてしまう日本映画の限界を感じざるを得ませんでした。じゃあ、それ以外のところで楽しませてくれればよかったんですが、特車二課の突撃シーンが一番目立ったものの、それ以外はやっぱりイマイチ。同じ内容でもアニメ版ではあれだけ楽しめたのに、実写化してしまうと、なんともこじんまりしたスケールの小さい内容になってしまうのは何故なんでしょう。「首都東京を人質にとった」と言われても、ごく一部の地域でしか起こっていない事件に見えてしまうのも、やっぱり迫力不足なんでしょうねえ。

まあ、そんな日本映画の弱点や課題ばかりあげても、可哀想なもんで、リアルタイムで見ていた我々世代にとっては、劇場で鑑賞できたというのが良かったわけで、内容云々よりも、同窓会的な気分で楽しめました、というのがこの映画版の一つの見方なのかも知れません。それにしても、続編もまだあるのかな!?




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