2020年09月02日 08:26

【監督】中田秀夫
【脚本】ブラジリィー・アン・山田
【撮影】花村也寸志
【音楽】fox capture plan
【出演】亀梨和也、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、木下ほうか、MEGUMI、真魚、高田純次
【製作年度】2020年
【製作国】日本
【上映時間】111分
【STORY】
売れない芸人山野ヤマメは、元相方で作家見習の中井からの誘いで、事故物件の部屋に住み心霊現象を体験するという番組の企画に参加する。不動産屋から紹介された曰くつきの物件に住み始めるヤマメは、白い何かを撮影してそれが番組で紹介され話題となる。それからもネタを求めて住み続けるが、ある日ヤマメと中井は同時刻に離れた場所で赤い服の女を目撃した後ひき逃げ事故に遭う。1か月後、回復したヤマメは番組プロデューサーに懇願され、次の事故物件に引っ越しするが、そこには畳に血痕、洗面所には髪の毛が詰まっていた。そこは無職の息子に凄まじいい暴力を受けて絶命した老婆が住んでいた部屋だった。さらにヤマメは、2人が首つり自殺したロフト付き物件、カップルが心中した千葉の物件など、次々に事故物件に移り住んでいく。
【REVIEW】
実際の事故物件住みます芸人松原タニシの原作を、中田秀夫が映画化したホラー。事故や事件により不幸にも命を落とした人が住んでいた住居を事故物件としているが、そういったところで恐ろしい目に遭うことを以前は幽霊屋敷と呼んでいた。これがアップデートされた名称で事故物件となり、古臭さを打ち消しているのが不思議なものだが、売れるために仕方なくそこに住み続ける芸人がオソロシイ目に遭うというこれまた定番のストーリーが展開されている。最初、カメラを設置してそれから怪異現象を追っていく『パラノーマル・アクティビティ』スタイルかなと思っていたら、車に轢かれたり、首吊りしそうになったり、中井の両親が不幸な目に遭ったりと現実に恐怖体験が連続し、これだけ怖い目に遭ったら逃げ出してもおかしくなさそうだがヤマメは芸能界で生き残るため頑固に住み続け、最後の物件で突き抜けた恐怖体験をすることになる。
映画では、計4件の事故物件に住み続ける様子が映像化されているが、事故物件になった経緯と「あれっ?おかしいな?」という現象を追っていく前半はいい雰囲気で進んでいく。ただ、観客に分かりやすくするために、霊感のある女性を出して彼女の視点から恐怖の場面を追体験させているのが少々鼻についたのと、最後の千葉の物件でのクライマックスシーンはどうかなと感じた。心中カップル以外にも地縛霊が多数出演(冷蔵庫から出てくる女幽霊は失笑してしまった)、揃いもそろって亀梨くんに迫るが胡散臭い宮司(うさん臭さ満載の高田純次が好演)にもらったお守りで退散させる。ここまではまだいい、そのあとに対決する羽目になる真っ黒な死神みたいなやつ。劇中では、明確な説明はされないが、おそらく死の象徴なんだろうが、こいつがなんだか安っぽくて、こいつのおかげで、なんだか全てが安っぽく感じてしまい、残念な気持ちになってしまった。同じ事故物件を辿っていく系譜の映画では、同じ松竹製作の『残穢 -住んではいけない部屋-』が2016年に公開されているが、最後まで淡々と怖さを感じさせるこちらの方が個人的には好み。
大阪の芸能界が舞台ということで、実際の芸人らが多数出演しているのはリアリティーがあるし、木下ほうかが演じる胡散臭いプロデューサーもいい感じ。また、ヤマメを慕って恐怖現場で恐ろしい目に遭い続ける奈緒と、ヤマメに事故物件を嬉しそうに紹介し続ける不動産屋役の江口のりこも好演。カッコいい亀梨くんが恐れ慄くばかりで、ラストも結局自分では何も解決していない(最後に傘は差したけど)のもダメ男っぷりが出ていて、少し笑えました。
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