2018年05月26日 19:55

【原題名】PERFECT BLUE
【監督】今敏
【脚本】村井さだゆき
【原作】竹内義和
【音楽】磯見雅博
【声の出演】岩男潤子、松本梨香、辻親八
1998年/日本映画/81分
【STORY】
アイドルグループ「チャム」の未麻はイベントでグループの脱退を表明する。女優として売り出したい事務所の意向に従って、ドラマの端役から仕事を始める。ストリッパーで凌辱される役や過激な写真集の仕事もこなしてゆくが、かつてのアイドル時代と照らし合わせて今の自分が何者なのか見失いつつある未麻。ネットでの中傷、ストーキングなどもあって、彼女の精神は次第に追い詰められてゆく。そんな中、仕事の関係者が相次いで殺される。犯人は、彼女の熱烈なファンなのか!?
【REVIEW】
主人公を追い詰めていく姿の見えない犯人に、「ストーカー」や「インターネット」など要素をを絡めたサイコ・サスペンスアニメ。今見ると、時代感が古臭く感じるが、当時はそれらのキーワードは新鮮であったと思われるし、あまり売れていないアイドルの側面は、今や大量に存在する地下アイドルとダブっても見え、リアルな感じがする。特に、中盤から、主人公の未麻が、現実なのか夢なのか次第に曖昧になり、今の自分は本当の自分なのか劇中の人物なのか分からなくなっていくあたりからのスピード感は面白い。最初は実写での映像化が検討されていたらしいが、日本の低予算映画ではその辺がチープで見るに堪えないものが出来上がった可能性もあるので、アニメを選択したのは成功であったと思います。
欲を言えば、主人公があまりアイドルっぽく見えないところや、犯人がその動機を吐露するあたりに異常性をもっと感じさせてほしかったあたりが残念。どこで精神が歪んでしまったのか?またそれが垣間見えるシチュエーションがどこかにあれば、サイコパスらしさがもっと際立ったのでは。ただ、主人公が仕事とはいえ、正直やりたくない仕事やできれば引き受けたくないオファーでも、生き残っていくためにはやらざるを得なくなって、追い詰められていくあたりはリアルで良かった。ちなみに劇中、どこかで見たことあるなあと思ったら、『レクイエム・フォー・ドリーム』。監督のダーレン・アロノフスキーは、本作の実写化権を買おうとまでしたらしく(実際はできなかったらしいが)、一部のシーンは本作へのオマージュとのこと。


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