サスぺリア(2018)

2019年07月16日 22:47

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【原題名】SUSPIRIA
【製作】マルコ・モラビート、ブラッドリー・J・フィッシャー、ルカ・グァダニーノ、デヴィッド・カイガニック、シルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ、フランチェスコ・メルツィ・デリル、ウィリアム・シェラック、ガブリエーレ・モラッティ
【監督】ルカ・グァダニーノ
【脚本】デビッド・カイガニック
【撮影】サヨムプー・ムックディプローム
【音楽】トム・ヨーク
【出演】ダコタ・ジョンソン、ティルダ・スウィントン、ミア・ゴス、ジェシカ・ハーパー、クロエ・グレース・モレッツ
2018年/イタリア=アメリカ映画/152分


【STORY】
1977年のベルリン。世界的に有名なマルコス舞踏団に入団するためアメリカからやって来たスージーは、オーディションでカリスマ振付師のマダム・ブランの目に止まり、入団を許可される。レッスンを受けるうちに才能を見出されたスージーは重要な演目のセンターに抜擢されるが、その頃舞踏団ではダンサーが行方不明になる事件が発生する。心理療法士のクレンペラーは患者であった舞踏団のダンサー・パトリシアが失踪した原因を探っていた。クレンペラーは警察に舞踏団の内部捜索を依頼するが何もつかめず、スージーの友人サラと接触し、パトリシアが舞踏団は魔女の集団ではないかと疑っていたことを打ち明ける。

やがてマルコス舞踏団の新作の公演日になり、クレンペラーも観劇にやってくる。舞台では何かに憑りつかれたように踊り続けるスージーたち。舞踏団の闇を探るサラは建物内の隠し部屋の存在に気付き、奥へ進んでいくと変わり果てた姿のパトリシアを発見する。そのとき何か異様な存在を感じ取ったサラは部屋を逃げ出すが、床の歪に足を取られ魔女たちに捕まってしまう。鬼気迫る舞踏はサラの悲鳴で幕を閉じるが、マダム・ブランはある決断を迫られていた。それは、マルコスへの新たなダンサーの生贄。全てを察したかのようなスージーは魔女たちが集う地下室へ自ら赴く。

【REVIEW】
ルカ・グァダニーノによるリメイク版『サスぺリア』。設定と登場人物名は受け継がれているが、それ以外は全く別物の作品と言っていいくらい様変わりしたリメイク作品。スージーがアメリカからやってくる冒頭は同じだが、オリジナル版ではバレエ学校が舞台であったのに対して、リメイク版ではコンテンポラリーダンスを主とした舞踏団に変更。1977年のベルリンのリアルな雰囲気が描かれたリメイク版はダークな色調が多く、赤や緑の極彩色が乱舞したオリジナル版とは180℃対極にあるような色使いになっている。また、オリジナル版ではあまりにも有名になってしまったゴブリンのスコアだが(もう、全編流れっぱなしで一度見たら耳から離れなくなる・・・!)、リメイク版のトム・ヨークの音楽はこれまた全く異質の路線だが、静かだが不気味に奏でられる旋律がこれまた耳に残る。

ざっくり行ってしまえば、ド派手な映像と音楽の洪水で何が起きているのかさえよく吟味させずに一気に最後まで突っ走って行ったオリジナル版に比べて、逆に全てが迎え気味に淡々と進んでいき152分と長い尺なのに一度見ただけでは理解できない(させない!?)ような難解で摩訶不思議なリメイク版と言った感じか。とりあえず、オリジナルのアルジェント版が大好きな方には到底認められない&受け入れがたいリメイク版であるだろうし、かといって、これがサスぺリアの名を冠しない別の作品として製作されていたら、こんな仕上がりにはならなかったのも事実。サスぺリアという名前だけれども全く違う作品で、評価も個人個人によってまちまちかと思うが、個人的にはこれは“有り”なホラー映画だと思う。ショッキングな描写もそれほど多くはないものの、なぜか何回もリピートしてみたくなる中毒性のある作品に感じます。

スージー役のダコタ・ジョンソンは、可憐な少女のイメージの強かったジェシカ・ハーパーと比べると体育会系の力強い印象になっていて、クライマックスでマダム・マルコスを圧倒する変貌ぶりも納得の演技。そして、ジェシカ・ハーパーもクレンペラーの生き別れた妻役で出演している。リメイク版で重要な役割を担っているのは舞踏団の表の顔マダム・ブランで、演じるティルダ・スウィントンは劇中で別の二役も演じていたそうだが、誰を演じていたかを知らされるまでは多分絶対に分からない役。取りあえず、重要な3人を演じきったスウィントンが影の主役だったといっても過言ではないと思います。

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ザ・リング リバース

2019年07月14日 12:10

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【原題名】RINGS
【製作】ウォルター・F・パークス、ローリー・マクドナルド
【監督】F・ハビエル・グティエレス
【脚本】デヴィッド・ルーカ、アキヴァ・ゴールズマン
【原作】鈴木光司
【撮影】スティーヴ・ミルコヴィッチ
【音楽】マシュー・マージェソン
【出演】マチルダ・ルッツ、アレックス・ロー、ジョニー・ガレッキ、ヴィンセント・ドノフリオ
2017年/アメリカ映画/102分


【STORY】
恋人のホルトとの連絡が急に途絶えたことで不安にかられたジュリアは彼の在籍している大学を訪ねるが、皆よそよそしくホルトの行方を語りたがらない。唯一話を聞いてくれたスカイという学生の家に付いて行ったジュリアはしきりにビデオを見てくれと言われるが、偶然連絡の取れたホルトから「ビデオは絶対見るな」と言われる。ビデオを見るのを拒絶したジュリアはスカイと言い争いになり、別室に逃げ込むがその間にスカイはテレビ画面から出てきた何者かに呪い殺されていた。ホルトと合流したジュリアは、ホルトとスカイが大学の研究室で呪いのビデオを見る被験者になっていたことを知り、ホルトの呪いを解くために、自身もビデオのコピーを見てしまう。ビデオを見てから7日後に必ず死ぬという呪いの謎を解くために、二人はビデオに映っていた女性の出身地へ向かう。

【REVIEW】
ハリウッド版リメイク「リング」シリーズの第3作目。『ザ・リング』『ザ・リング2』とは出演者は入れ替わり、話も直接的な繋がりは無くなっている。偶然、呪いのビデオを見てしまったカップルが呪いを解くべく、そのルーツを探っていくという展開は、オリジナルの『リング』に近いものがあり、ハリウッド版貞子にあたるサマラの亡骸を探し当てるという流れも同じだ。ただ、最初はビデオのVHSテープだったものがコピーされパソコンやスマホで再生されるようになり、サマラは薄型の液晶テレビから身を乗り出してきて時代の流れは感じられる。映像のコピーもワンクリックで作成できてしまうし超簡単だ。しかし、目新しいのはそのくらいで、肝心の怖さをどうかと言われると、悲しいかな全然怖くないのだ。

もう貞子もサマラもどうやって登場してくるかは(これだけ「リング」シリーズが有名になってしまえば)、皆知っているだろうから隠してもしょうがないんだけども、本作では最初にスカイが死ぬ場面で出てきてそれ以降はサマラは登場しないのはいただけない。日本版オリジナルの『リング』があれだけ恐ろしかったのは、幽霊のようであった貞子がテレビ画面から乗り出てきて実体化し、その見開いた眼のドアップを見た真田広之が悶絶死する場面が最後にあったから・・・!助かったと思わせておいて、最後に一番恐ろしい場面を持ってきた『リング』を超える作品を作るのは並大抵の努力では難しいだろうけれども、折角作るんだったら、何か目新しい恐怖場面を創造してほしかったのが正直な感想。タイムリミットの7日以内に必ず死ぬ!という設定も後半は全く生かされていなかったしなあ。比較するのも野暮な話だが、やはり日本版オリジナル1作目の方が断然怖い。もう20年前の作品になるが、怖さは今見ても色褪せていない気がする。

キャッチコピーの「ハリウッドで作られたリングシリーズ史上、もっとも原作に忠実で、もっとも怖い。驚いた」という原作者鈴木光司の言葉もむなしく感じる。多分、あまりにも平凡すぎて、驚いたんじゃあないだろうか。キャストも印象の薄い俳優陣で寂しいが、ヒロイン役のマチルダ・ルッツが唯一そこそこ可愛いのが救いだろうか。


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シーバース

2019年04月16日 14:55

【原題名】SHIVERS
【製作】アイヴァン・ライトマン
【監督】デヴィッド・クローネンバーグ
【脚本】デヴィッド・クローネンバーグ
【撮影】パトリック・ドッド
【出演】ポール・ハンプトン、ジョン・シルバー、リン・ローリー、アレン・マジコフスキー、バーバラ・スティール
1975年/カナダ映画/90分


【STORY】
会社員のチューダーは腹部に違和感を覚え吐血が続き調子が悪い。なかなか病院に行こうとしない夫の身を案じた妻は、高層マンション内にある診療所に往診を依頼する。その頃、同じマンションの一室で教授が教え子の腹部を切り裂いたのち自分の喉元を切って自殺する事件が起こる。事件の発見者であった診療所の医者ロジャーは教授が人体の欠損した臓器を寄生虫で補う研究をしていたことを知る。さらに教授は教え子に寄生虫を投与し人体実験を行っていた。その教え子と関係のあったチューダーは口から寄生虫を次々に吐き出して、その寄生虫はマンションの住人へ寄生していく。寄生された住人は理性を失うと暴力的になり、誰彼となくセックスに興じていく。事件の全貌にロジャーが気付いたころには時すでに遅く、混乱はマンション全体に広がっていた。

【REVIEW】
クローネンバーグの長編商業映画デビュー作。都会の高層マンションを舞台に謎の寄生虫によるパニックを描いているが、医療行為を発端とした肉体の変異が生み出す悲劇を血と暴力を絡めていく展開はこの時点ですでに確立されていて、演出やストーリーも粗削りだが、クローネンバーグの独特の表現方法がねっとりとした恐怖感を生み出していて味わい深い1本。寄生虫が巨大な芋虫みたいでそれ自体には怖さは感じられないが、取りつかれた人間が豹変し全く別人になってしまうところや、狂人が多数派になり、正常な人間がマイノリティーとなって追い詰められていくあたりは怖い。ゾンビ映画でもそうだが、逃げても逃げてもどうしようもなく、自分一人しか残っていないのなら、もはや正常でいることの意義さえ失われ、多数派に飲み込まれてしまった方が楽にさえ思えてくるあたりが人間性とは何か!?という問いかけのようで背筋の寒い何かを感じる。

低予算で製作されていたであろうが、マンションの住人役でバーバラ・スティールが、診療所の看護婦役でリン・ローリーが何気に出演しているのが嬉しいところ。最終的に2人とも寄生されてあっち側の人間になってしまうが、2人に襲われたら黙って仲間になった方が楽しいかも・・・。







ゾーン・オブ・ザ・デッド

2018年12月30日 21:53

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【原題名】ZONE OF THE DEAD
【製作】ロリス・クルチ
【監督】ミラン・コニェヴィッチ、ミラン・トドロヴィッチ
【脚本】ミラン・コニェヴィッチ
【撮影】スティーヴ・ブルック・スミス
【出演】ケン・フォリー、クリスティーナ・クレべ、エミリオ・ロッソ、アリアドナ・シャブロル
2009年/イタリア=スペイン=セルビア映画/101分


【STORY】
セルビアで軍事演習が行われている最中、パンチェボ工業地域に停車していた軍事列車が事故に遭い毒ガスが流出、それを吸った住民たちは血を吐いて死ぬが、ゾンビ化して生者を襲い始める。その頃、インターポールの捜査官レイエスは囚人の護送警護の依頼を受け、護送車とともにベオグラードに向かっていた。丁度、パンチェボに入ったところで、ゾンビの集団に襲われて他の警護していた警官らは噛まれて死亡する。レイエスは生き残ったメンバーとともに地元の警察署に逃げ込むが、そこにもゾンビの群れが押し寄せてくるのだった。

【REVIEW】
本作の“ウリ”は勿論、主演があのケン・フォリーであること。ロメロの『ゾンビ』でSWAT隊員ピーターを演じた彼が再びゾンビ映画に出演しているというだけでも、ファンは見る価値があるというものだが、セルビアを舞台にしたいかにもユーロ圏っぽい雰囲気もこの映画の魅力の一つとなっている。

軍の保管していたガスからゾンビが大量発生するのは、もはやお決まりのパターンではあるが、ゾンビの造形や襲い掛かってくる場面もなかなか迫力があり緊迫感は感じられる。その反面、拳銃の残弾が「もう残っていない」と言った後もバンバン撃ちまくったり、護送任務の新人女性警官が「射撃は苦手で・・・」という発言を最初にしていたのに、後半では達人のように上達していたりと、矛盾しているところもちらほら。護送されている囚人が何故かゾンビに詳しく(本家のケン・フォリーよりも!)、かつ頭もよく回り、さらに銃の腕前にも長けていてラストでは日本刀でゾンビたちをバッサバッサと切りまくる大活躍で、ほぼほぼ主役級の活躍。しかし、最後まで何者だったのかは分からず仕舞い。また、教会から出てきた武装したハゲの男も途中で合流してゾンビたちをバンバン撃ちまくるが、彼も何者だったのかは分からず仕舞い。登場人物の説明を完全に放棄した潔さは、逆に清々しく、面白かったらいいんじゃないという開き直り感すらあり、その辺がアメリカ映画らとはまた一味違った魅力のような気がします。

ちょっと太った感のあるケン・フォリーは、戦闘力では囚人の男に一歩譲るものの、見ているだけで存在感は抜群。ショッピングモールに逃げ込んではどうかという提案に「立て籠もってもゾンビが集まってくる」とダメ出ししたり、地獄がオーバフローしていると言わせたりと、ファンにはニヤニヤさせられる場面が出てくるのが嬉しい。映画全体の出来栄えは平均点だが、彼が主演しているという要素を加味してゾンビファンならやはり必見の作品でしょう。

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ゾンビリミット

2018年10月29日 19:58

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【原題名】THE RETURNED
【製作】フリオ・フェルナンデス
【監督】マヌエル・カルバージョ
【脚本】アテム・クライチェ
【出演】エミリー・ハンプシャー、クリステン・ホールデン=リード
2013年/スペイン=カナダ映画/98分
【STORY】
ゾンビウィルスに感染した者の封じ込めに成功した世界。感染したものの発症しなかった患者はリターンドと呼ばれ、ワクチンを定期的に接種することで普通の生活を送れていた。しかし、再びゾンビ化することを恐れてリターンドを保護する政策に反対する人々も多く、過激なグループは度々暴動を起こしていた。リターンド患者の治療に当たる病院に勤務するケイトのパートナーのアレックスもリターンドであったが、周囲には秘密にして生活していた。ある日、病院に過激派グループが押し入り、リターンド患者を銃殺する事件が発生、ショックを受けたケイトは長期休暇を願い出る。実は、今あるワクチンは限りがあり、いつかは入手できなくなる日も近くなっていた。ケイトとアレックスは密かに蓄えていたワクチンを持って逃亡することを決意する。

【REVIEW】
ゾンビウィルスの発症を抑制するワクチンをめぐるヒューマンドラマの色濃い作品。何か所か、ゾンビに襲われて流血する場面があるものの時間にするとほんの僅かで、ゾンビが襲ってくる恐怖よりも、薬が無くなり人間として生きることが出来なくなるかもしれないという圧迫感や閉塞感が重苦しい展開。通常は助け合って生きていた仲間も、いざワクチンが残り少なくなっていることが分かると容赦なく裏切っていく―。追い詰められていけば、自分たちが生きていくだけで精一杯、他人を思いやる余裕なんかない・・・。醜いエゴのぶつかり合いに、結局恐ろしいのはやっぱり同じ人間同士かと、ロメロのリビングデッドシリーズでも何度も描かれてきたテーマが本作でも主流となっている。

何とか確保できたワクチンも奪い合いの末失ってしまったケイトは自宅に帰る。ワクチンが切れ、容体が悪化していくアレックスは自分を銃で撃ち殺すように懇願する。涙ながらに銃を撃ち、放心状態で自宅を出てきたケイトに訪ねてきた院長が「新しいワクチン開発が間に合った。人類は救われる」と喜びながら伝える。“もう少し、早くそれが分かっていたなら、アレックスを撃つ必要はなかったのに―”と何とも後味の悪い終わり方。『ミスト』ほどではないが、この嬉しくないラスト。だが、全体的にシリアスな展開なので、あまりにも都合よく助かってしまうよりも、この終わり方の方がいい余韻に浸れる気がした、なかなか見応えのある作品。

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