ヘルナイト

2019年04月14日 11:12

ヘルナイト

【原題名】HELL NIGHT
【製作】アーウィン・ヤブランス、ブルース・コーン・カーティス
【監督】トム・デ・シモーネ
【脚本】ランディ・フェルドマン
【撮影】マック・アールバーグ
【音楽】ダン・ワイマン
【出演】リンダ・ブレア、ヴィンセント・ヴァン・パタン、ピーター・バートン、ケヴィン・ブロディ、ジェニー・ニューマン、スーキー・グッドウィン
1981年/アメリカ映画/102分


【STORY】
大学の学生クラブ「アルファ・シグマ・ロー」の新歓コンパ。盛り上がる彼らは車で移動、夜中に町はずれの豪邸ガース館へやってくる。この屋敷、12年前に当主のレイモンドが障害を抱えた子供たちの行く末を案じて一家心中したという曰くつきのところ。クラブの規則では新人会員はこのガース館で一夜を明かさねばならないという決まりがあった。今年の新人はマーティら4人の男女。会長のピーターはルールを説明した後、門の入り口を施錠し引き上げていく。

やがて女性の悲鳴が聞こえてきたり、老人の幽霊が現れたりするが、これはピーターたち上級生の仕掛けたいたずら。ピーターらはガース館へ戻って来てた後、新人会員を驚かすために様様な仕掛けを準備していた。屋敷の外で新人会員を怖がらせて楽しむピーターたちだったが、背後から何者かが現れ、ピーターたちは次々に殺されてゆく。謎の殺人鬼は屋敷内にも侵入し、マーティらは本物の殺人鬼が居ることを知り、屋敷内を逃げ惑う。

【REVIEW】
80年代前半はスラッシャームービー全盛期で、この『ヘルナイト』が作られた81年も『ローズマリー』や『血のバレンタイン』『バーニング』などスラッシャーの名作が揃い踏みしており、とにかく殺人鬼が大暴れしていた素敵な時代でした。いくら人気のジャンルとはいえ、キャンプ場で若者が殺されていくだけでは所詮二番煎じで埋もれて行ってしまうので、後発作品は差別化を図ろうと、殺される場所を変えたり殺人鬼に特色を出したりとアイデアを出していくが、本作の舞台は一家心中のあった屋敷での肝試し。でもって、モノホンの殺人鬼が現れて若者を殺していくのだが、毎年新歓コンパの日にはこの肝試しが行われていたのに、何故今年だけ殺人鬼が現れたんだろう・・・!?などという野暮ったい詮索は置いといて、この設定を純粋に楽しむのがスラッシャー映画の醍醐味というもの。最後まで結局正体は明かされないが、暗闇から襲い掛かってくる不気味な殺人鬼はなかなか味があって、チェイスシーンも緊迫感があって悪くない出来栄えだ。

スラッシャームービーの見せ場の一つ(というかこれがメインだが)は殺しの場面なわけだが、本作でも女学生の首チョンパ→ベッドのシーツをめくったら生首がゴロリや、素手で首を360℃回転させて殺したり、鋭利な凶器で腹部をぶっ刺したりと、色々趣向を凝らしていて飽きさせない。また、殺人鬼が怪力で、なかなか死なないのも定番の展開で、この辺はこの手の映画を良く分かっている気がします。そして、もう一つの見せ場は、襲われるヒロインが可愛いかどうかもポイントの一つで、ここが弱いと映画の魅力も下がってしまうというもの。その点、『ヘルナイト』は『エクソシスト』の悪魔に取りつかれたリーガンの演技で全世界の度肝を抜いたリンダ・ブレアをヒロインに持ってきていて抜かりはない・・・が、『エクソシスト』の頃から比べるとかなりぽっちゃりしてしまっていて、か細いホラーヒロインを想像しているとちょっと肩透かしを食らうかも。製作陣もその辺を考慮してか、劇中でコスプレしている赤ずきんの衣装を最後まで一切脱がさず、お色気は別の女優でカバーさせている。個人的には、気にするほどのこともないと思うんだけれどもどうなんでしょうかね?惨劇の夜が明け、殺人鬼が串刺しで絶命した横を放心状態で歩いてゆくラストシーンが印象に残るスラッシャーの佳作だと思います。



ヘルナイト解説
映像特典は、「リンダ・ブレア」インタビュー、「トム・デ・シモーネ」インタビュー、俳優陣による対談など、インタビューものが実に豊富で、これら全部見ると2時間はゆうに超えています。その他にも、殺しのシーンの解説やロケ地紹介など充実した内容。


ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ

2018年08月18日 11:38

ファイナルガールズ02

【原題名】THE FINAL GIRLS
【製作】マイケル・ロンドン、ジャニス・ウィリアムズ
【監督】トッド・ストラウス=シュルソン
【脚本】M・A・フォーティン、ジョシュア・ジョン・ミラー
【撮影】エリー・スモルキン
【出演】タイッサ・ファーミガ、マリン・アッカーマン、アダム・ディヴァイン
2015年/アメリカ映画/91分


【STORY】
マックスの母親アマンダは、スラッシャームービー『血まみれのキャンプ場』に出演していた女優だったが交通事故で死亡してしまう。それから3年後、友人に頼まれて『血まみれのキャンプ場』の上映会に渋々参加することになる。当日、マックスは友人らと劇場で鑑賞を始めるが、途中で火災が発生し館内はパニックになる。マックスらはスクリーンを破ってその裏の非常口から脱出しようとするが、そこは『血まみれのキャンプ場』の映画の中だった。

【REVIEW】
母親を亡くした娘が映画の中に入り込んでしまい、その中で出演していた母親と出会うという展開は割とありそうなストーリーだが、その映画が伝説のカルトスラッシャームービーだったというのが面白いところ。湖畔のキャンプ場にやってきた若い指導員たちが仕事そっちのけでいちゃつき始めると現れる殺人鬼。SEXした者は容赦なく殺されていき、最後に残った処女の娘が対決する・・・と、まんま『13日の金曜日』に代表される80年代スラッシャームービーのフォーマットを持ってきていて、さらに殺人鬼が過去に陰湿ないじめを受け大火傷を負って精神に異常をきたしていたというのももう大定番。その辺のくだりを、マックスの友人の兄が熱く語る場面も面白い。『スクリーム』なんかでもそうだけど、ホラー映画マニアな登場人物がマニアックな映画を熱く語る場面に思わず共感してしまったりするのは、普段の日常でもありがちな場面だからかも。まあ、大抵現実では周囲にその熱さが伝わらずに終わってしまうのがほとんどなんだけれども。

で、映画の方は、なんとか現実世界に戻ろうとあれこれ考える友人たちと、再会した母親と離れたくないマックスの話が並行して描かれ、ファイナルガールズが2人居ては殺人鬼は倒せないと分かった母親が自ら犠牲になっていくあたりはちょっと感動してしまうところ。そんでもって、急にパワーアップしたマックスが殺人鬼の首を鉈でスパーンと撥ねるとエンドクレジットが流れ、気が付くとそこは病院のベッドの上だった。で終わりなんだけど、最後のオチの「続編があった!」もニヤリと笑える。肝心の殺しの場面があっさりしていて、ゴア度を期待すると肩透かしを食らってしまうが、“B級ホラー映画のあるある”を見つけながらのんびり楽しむには丁度いい1本。

ファイナルガールズ03

ファイナルガールズ01




プラネット・テラー

2018年07月08日 23:08

プラネット・テラー03

【原題名】PLANET TERROR
【製作】ロバート・ロドリゲス、エリザベス・アヴェラン、クエンティン・タランティーノ
【監督】ロバート・ロドリゲス
【脚本】ロバート・ロドリゲス
【撮影】ロバート・ロドリゲス
【出演】ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、ブルース・ウィリス、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン
2007年/アメリカ映画/105分


【STORY】
テキサス州の米軍基地から細菌兵器が漏れ出したことにより、汚染された付近の住民に異変が起こる。病院では原因不明の症状を訴える患者で溢れかえるが、医師たちも手の施しようがない。ダンサーのチェリーは偶然元彼のレイと再会するが、そこにゾンビの集団が現れ彼らに襲い掛かる。住民たちは、例の細菌兵器でゾンビ化していたのだった。チェリーは片脚を失い病院に運ばれ、レイは警官に事態を説明するが取り合ってもらえない。やがて、警察署にもゾンビの群れが押し寄せてきてパニック状態になる。やっと自体が呑み込めた警察から脱出したレイは、チェリーを助けに病院へ向かう。

【REVIEW】
クエンティン・タランティーノ発案のグラインドハウス方式で、上映されたSFホラーアクション映画。DVD本編には、フェイク予告編『マチェーテ』も収録されていて、劇場気分が味わえるのが面白い。内容は、よくあるゾンビ発生パニックムービーだが、多彩なキャラクターにホラーやアクション、お色気などの要素をごった煮にしてまとめ上げた実に中身の濃い作品に仕上がっているのは、ロバート・ロドリゲスの趣味全開といったところか。ドロドロに溶けかかったグロいゾンビの造形に始まり、吹き飛ばされるゾンビや襲われる犠牲者の血糊の量も半端なく、スプラッター映画としてもなかなかのレベル。まあ、なんというかとにかく派手、派手なら何でもいいんじゃない!?みたいな製作陣の声が聞こえてきそうなノリだ。

もちろん、主役はローズ・マッゴーワン演じるダンサーのチェリーで、失った片脚にマシンガンを装着してゾンビどもをめった撃ちにしていくのは圧巻だが、華麗な注射器さばきで魅せてくれた麻酔科医役のマーリー・シェルトンの方が個人的にはお好みでした。また、往年のホラー映画にオマージュをささげたシーンが出てくるのもファンには嬉しいところで、タランティーノ演じるエロ軍人の片目に木の棒が串刺しになる場面は『サンゲリア』、顔面崩壊した軍人ゾンビが暴れまくるのは『ナイトメアシティ』っぽくもある。マーリー・シェルトンの容姿は『ゾンゲリア』の注射器を目玉にブッ刺す看護師のイメージだろうし、警官役のトム・サビーニが『死霊のえじき』ばりに八つ裂きにされるのも恐怖を通り越してもはや笑いの領域。元ネタが分かっていればニヤニヤが止まらない映画だ。

プラネット・テラー02

プラネット・テラー05




フロム・ビヨンド

2018年05月17日 10:16

フロムビヨンド01

【原題名】FROM BEYOND
【製作】ブライアン・ユズナ
【製作総指揮】チャールズ・バンド
【監督】スチュアート・ゴードン
【脚本】デニス・パオリ
【撮影】マック・アールバーグ
【音楽】リチャード・バンド
【出演】ジェフリー・コムズ、バーバラ・クランプトン、ケン・フォリー
1986年/アメリカ映画/86分


【STORY】
共振器によって脳に刺激を与える実験を行っていたプレトリアス博士が頭をもぎ取られて絶命した。警察は現場にいた助手のクロフォードを逮捕するが、事件の経緯を解明することを女医のマクマイケルズ博士に依頼。彼女は警官のババとクローフォードと3人で事件のあった屋敷で実験を再現することに。実験機械を操作していくの異様な磁場が形成され、死んだはずのプレトリアス博士が異形なる姿で出現、彼は別次元で謎の生命体と融合しこちらの世界に舞い戻ってきたのだった。


【REVIEW】
ZOMBIO/死霊のしたたり』に続いて、スチュアート・ゴードンが再びラヴクラフトの原作をベースに作り上げた作品。といっても、ラヴクラフトの『彼方より』は短編小説で、松果体を刺激する実験機器や博士が死ぬくだりは設定として生かされているが、あとはほとんど映画オリジナル。プレトリアスのグチャグチャして何パターンにも変体していく怪物や、SMテイストなところは別物と言える。

前作に引き続いて、J・コムズ、B・クランプトンが出演。コムズは怪物と化したプレトリアスと対峙する助手役だが、事件の影響で成長し、眉間から飛び出した松果体(グネグネ動いて蛇のよう)に操られて殺人を繰り返すクレイジーな演技を披露。クランプトンは最初真面目な医者役で登場するものの、これまた実験の影響で性欲が暴走、勝手に実験機器を動かしてしまったり、突然SMのボンテージ衣装に着替えて誘惑してきたりとこちらも前作よりも暴走気味。さらに、今回のマッドドクターのプレトリアス博士は趣味が女性をSM部屋でいたぶってビデオ撮りしているというまさに変態なおっさんで、ヌチョヌチョ怪物と化した後もクランプトン嬢をひん剥いて狂喜乱舞する始末。この中では、警官役のケン・フォリーが唯一一番まともな役柄だった(途中で、悲惨な死を迎えてしまうが)。

『ZOMBIO/死霊のしたたり』とほぼ同じ製作・出演で作られた本作は、ややパワーダウンを感じるものの、映画としてはまとまった印象を受ける。しかし、製作費を増やしたおかげでSFXは見応えがあり、プレトリアスの怪物の質感はCGでは出しにくいリアルさが滲み出てていい。そして、何より個性的な出演陣がこの無茶苦茶な設定にも負けず奮闘しているのが素晴らしい。『~死霊のしたたり』が気に入った方は必見の1本。個人的にもお気に入りの傑作。

フロムビヨンド05

フロムビヨンド03



フォービドゥン/呪縛館

2018年04月29日 14:48

フォービドゥン01

【原題名】THE DISAPPOINTMENTS ROOM
【製作】ガイヤー・コジンスキー、ヴィンセント・ニューマン、タッカー・トゥーリー
【監督】D・J・カルーソー
【脚本】ウェントワース・ミラー 、D・J・カルーソー
【撮影】ローヒエ・ストファース
【音楽】ブライアン・タイラー
【出演】ケイト・ベッキンセール、メル・レイド、ダンカン・ジョイナー、ルーカス・ティル
2016年/アメリカ映画/92分


【STORY】
建築家のディナは夫のデヴィッド、幼い息子のルーカスとともに郊外の一軒家に引っ越してきた。長く空き家だった屋敷は所々傷んでおり、ディナはリフォームの計画を立てていく。ある晩、誰もいないはずの窓に明かりが点いていることに気が付いたディナは最上階に図面に載っていない小部屋を発見する。小部屋は外側からしか開閉できず、窓も固定されていて、部屋はまるで牢屋のようだった。その後、謎の黒い犬がルーカスを襲う幻覚や、前の住人の不気味な肖像画が彼女の不安を駆りたてる。デヴィッドは1年前に事故死した長女のことを引きずっているのではないかと心配するが、ディナは情緒不安定なのはこの屋敷のせいではないかと疑う。そして、地元の住民から聞かされた事実。前住人の判事一家の主は、生まれつき障害のあった娘を長年小部屋に閉じ込めていたが、外部に知られないように撲殺していた―。


【REVIEW】
アンダーワールド・シリーズのケイト・ベッキンセール主演のホーンテッド・ハウス・ホラー・・・、のようだが、数々の怪現象が果たして幽霊が引き起こしたものなのかは最後まで明かされないので、幽霊屋敷モノと呼んでいいのかは謎。主人公一家が移り住んだ家には忌まわしき過去があったのは事実だが、その霊を見たのも、怪現象を体験したのもディナ一人。霊が見えていたのが彼女だけなのか、それとも娘の事故死以降心を病んでいた彼女が見た幻覚だったのか、どちらとも取れるラストなので、あとは観客の皆様ご自由に解釈を・・・みたいなところか。

しかし、はっきり幽霊の存在を示さなかったことで、不完全燃焼なのは否めないし、怪現象も地味な演出で心底怖がらせるまでには行っていない。結局、最後はこの奇妙な屋敷を引き払って去っていくが、誰も死んでいなかったことに気付き、犠牲者なしのホラー映画っていうのも健全すぎやしないだろうか?怖がっていたのもディナ一人だったし、ディナ役のベッキンセールを見るのには申し分はないが、彼女のファン以外だとちょっと物足りないと感じる。せめて、屋敷の修理に来た若い修理工の兄ちゃんをフルチの『ビヨンド』みたいに目ん玉握りつぶして殺すとかしてくれたら評価はもうちょっと上がっただろうに・・・。

しかし、『アンダー・ワールド』のセリーン役のイメージが強すぎるのか、金髪がイマイチ似合っていない気がするのは自分だけだろうか?


フォービドゥン03







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