XYZマーダーズ

2021年02月18日 17:29

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【原題名】CRIMEWAVE
【製作】ロバート・タパート
【監督】サム・ライミ
【脚本】サム・ライミ、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
【撮影】ロバート・プライムス
【音楽】アーロン・オーバー
【出演】リード・バーニー、シェリー・J・ウィルソン、ポール・L・スミス、ブライオン・ジェームズ、ルイーズ・ラサー
【製作年】1985年
【製作国】アメリカ
【上映時間】86分


【STORY】
警備会社に勤める気弱な青年ヴィクは無差別殺人の罪で死刑執行されようとしていた。電気椅子を目の前にして彼は自分が無実だと訴え続ける。彼の勤める警備会社のオーナーであるトレンドは、共同経営者のオーデガードが裏切って会社を売ろうとしていることを知る。トレンドは街の殺し屋オーデガードの始末を依頼するが、現場を確認しに行ったときに、殺し屋に間違って殺されてしまう。ファロンとアーサーの殺し屋コンビは、殺人の目撃者も始末しようと警備会社の向かいのアパートへ入っていく。その頃、理想の恋人と信じて疑わない女性ナンシーと知り合ったヴィクは、二人でアパートに向かうが、運悪く殺し屋コンビと遭遇してしまい、ナンシーが連れ去られてしまう。

【REVIEW】
死霊のはらわた』の後に公開されたサム・ライミのスラップスティック・コメディ。前作がスプラッタームービー全盛期に公開され人気を博したことからか、この『XYZマーダーズ』もホラーっぽい雰囲気で宣伝されたが(自分も騙されましたが―)、内容はライミお得意のドタバタ劇が全編に渡って展開する爆笑作でした。特に殺し屋コンビ2人の印象が強烈で、ポール・L・スミス演じる怪力巨漢男ファロンと相棒アーサー演じるブライオン・ジェームズあってのこの映画。一応、職業:殺し屋なんだけれど、行き当たりばったりだし、いい加減だし、無茶苦茶だけれどもとにかくパワフル。壊れないドアを無限に壊していくところ、電気ショックの機械のメモリが「人間」から「ヒーロー」になるところ、車内のタバコのコントなど、小ネタもいっぱいで好きな人には堪らない魅力があります。

その他にも、オーナー夫人やアパートの理容室の客、死刑執行人、キザな男(ブルース・キャンベル!!)など、笑える登場人物が数多く登場、というかまともな人物は登場していない!?製作年が80年代なんで当時を知る者には懐かしい絵面なんだけど、若い人にはそれが古めかしく感じるかもしれません。当時、『クリープショー』の同時上映で見に行った自分には、当時の雰囲気が味わえて、いや本当に懐かしい。パンフレットも買ったけど、なぜかクリープショーとセットになったやつだった気がします。『XYZマーダーズ』だけだと売れないと判断されたんかな~。


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ウィジャ ビギニング ~呪い襲い殺す~

2019年08月25日 11:11

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【原題名】OUIJA: ORIGIN OF EVIL
【製作】マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッド・フラー、ジェイソン・ブラム、ブライアン・ゴールドナー、スティーヴ・デイヴィス
【監督】マイク・フラナガン
【脚本】マイク・フラナガン、ジェフ・ハワード
【撮影】マイケル・フィモナリ
【音楽】ザ・ニュートン・ブラザーズ
【出演】アナリース・バッソ、エリザベス・リーサー、ルル・ウィルソン、ヘンリー・トーマス
2016年/アメリカ映画/99分


【STORY】
夫を交通事故で失ったアリスは、娘二人にトリックを手伝わせて客を騙す霊媒師の仕事をしていた。ある日、トリックの小道具にウィジャ・ボードを使い始めるが、末娘のドリスがトリックなしで霊と会話し始める。やがて、人格が変わり、挙動不審になっていくドリスを心配した姉のリーナは教師で神父でもあるトムに相談、ドリスの筆記していたポーランド語の日記から、トム神父はこの家で人体実験の上処刑された男の霊が乗り移っているのではないかと推測する。

【REVIEW】
欧米版こっくりさん“ウィジャ・ボード”を使ったことによる恐怖を描いた『呪い襲い殺す』(←この邦題もなんだかイケてない気がするが・・・)の続編で、前作の事件の発端となった、霊媒師一家が巻き込まれた事件を追った前日譚となっている。霊媒師のアリスは苦しい家計をなんとかしようと、降霊会で客を騙して謝礼を受け取っていたが、ウィジャ・ボードで娘のドリスがガチで交霊し始めたことから状況は一変。ドリスは学校のいじめっ子に仕返しをし、訪ねてきた姉のリーナのボーイフレンドを首吊り自殺させる。さらに、助けに来た神父も返り討ちに遭い、アリスとリーナも追い詰められてゆき・・・。

前作では、事の発端はインチキ霊媒師が原因だとされていたのだが、実は家族を守るためやむなく客を騙して仕事をしていたアリスがウィジャ・ボードを使ってしまったことで霊につきまとわれてしまうのが本筋の本作。彼女らが住んでいた前の住人は、人体実験を繰り返していた悪魔の医者で、ウィジャの禁止事項「墓場では使用してはいけない」に今回も触れてしまうのだ。しかし、欧米の住居は昔から立っているものが多くて、住人も何代も入れ替わって住んでいることが普通にあるので、実際住んでみたら前の住人のせいでえらい目に遭いました!!といパターンが良く見受けられる気がします。

白目を剥いたり、壁を這ったりと霊に取りつかれて豹変する娘を演じたルル・ウィルソンが見ものだが、結末が分かっているだけに救えないラストは少々可愛そう。唯一生き残る姉のリーナは、次作で封印した妹の解放を依頼するわけだが、このくだりはなんだか不自然な気がしたが、長年の精神病院の収容でおかしくなっていたということなんだろうか。それにしても、勢いよくやってきたトム神父が全く役に立たずやられてしまうのは定番の流れとはいえ、弱すぎ。せめて除霊したけど歯が立たんかったわ~くらいはやってほしかった。

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エスター

2019年02月15日 06:44

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【原題名】ORPHAN
【製作】ジョエル・シルヴァー、スーザン・ダウニー、ジェニファー・デイヴィソン・キローラン、レオナルド・ディカプリオ
【監督】ジャウマ・コレット=セラ
【脚本】デヴィッド・レスリー・ジョンソン
【撮影】ジェフ・カッター
【音楽】ジョン・オットマン
【出演】ヴェラ・ファーミガ、ピーター・サースガード、イザベル・ファーマン
2009年/アメリカ映画/123分


【STORY】
3人目の赤子を死産で失ったケイトは夫ジョンと相談を重ねて、孤児院から養子を貰うことを決める。2人は聡明で大人びた少女エスターを気に入り、我が家へ迎え入れる。エスターは新しい生活にも慣れ、平和な暮らしが訪れたかに思えたが、クラスメートが滑り台から転落する事故が起こり、そばに居たエスターに疑いがかけられる。それ以降、違和感を感じるケイトは孤児院のシスターに相談、以前の里親一家が火事で焼死した事件も含めて、様々な揉め事の場にエスターが居たことを聞き不安を募らせる。自分が疑われていると知ったエスターは、ケイトの実の娘マックスを仲間に引き入れ、シスターを撲殺、森の中に死体を隠すのだった。それ以降、エスターはケイトを一家の中で孤立するように仕向けていき、ジョンもケイトがエスターを虐待しているのではないかと疑い始める。

【REVIEW】
孤児院から少女を迎え入れた一家。新しい生活に馴染んでいく少女を見て夫婦は安心するが、やがて気づく―。「あの子はどこか変だ」他の子供たちとは違った雰囲気を持つ少女エスター。私服が少女っぽくない、難解なピアノの曲をすらすら弾ける、歯医者に絶対行かない、肌身離さない古い聖書。いろいろな伏線を張りながら、導き出したのは驚愕の事実―。以前引き取られていた一家が焼死したのも、自分の過去を探るシスターを消したのも彼女の仕業。何故、小さな少女がそんな残忍な行動ができるのか?二重人格!?悪魔が乗り移っている!?などと推理するものの、見事に裏切られる結末に「ちょっと、それはありえへんのちゃう??」と少々突っ込みたくなるが、それを許容できればなかなかの佳作。

何より、子役の演技が素晴らしく、エスター役のイザベル・ファーマンは凄い。前半の淡々とした冷徹な行動ぶり、後半正体がばれるあたりからの狂気が滲み出たような鬼気迫る演技は怖いの一言。周囲の人間を容赦なく排除していき、目的が達せられなかったら、その相手も躊躇なく殺すなど残忍極まりないが、エスター自身の身体的な不幸を鑑みれば、ある意味彼女も可愛そうな人間にも見える。だからって、何をやっても許されるというわけではないが。また、一家の娘役のアリアーナ・エンジニアもいい。会話が不自由な役柄ながらも、エスターと渡り合う存在感はなかなか。それに比べると、兄貴役の少年の弱さが目立つ。父親もエスターに騙されてあっさりやられちゃうし、決闘の末とどめを刺すのは母親役のヴェラ・ファーミガだし、終始、女性陣が活躍した作品。

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イット “それ”が見えたら、終わり。

2019年01月23日 18:00

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【原題名】IT
【監督】アンディ・ムスキエティ
【脚本】チェイス・パーマー、キャリー・フクナガ、ゲイリー・ドーベルマン
【撮影】チョン・ジョンフン
【音楽】ベンジャミン・ウォルフィッシュ
【出演】ビル・スカルスガルド、ジェイデン・リーバハー、ジェレミー・レイ・テイラー、ソフィア・リリス
2017年/アメリカ映画/135分


【STORY】
メイン州の田舎町デリー。そこでは子供たちの行方不明事件が続いており、ビルの弟ジョージーも雨の日に外で遊んでいた後姿を消す。弟の失踪の原因に責任を感じるビルはそれから不可解なものを目にするようになる。それはビルの友達も同じで、得体のしれない恐怖を具現化したものと不気味に笑うピエロの姿を目撃する。大人たちには頼れないことを悟ったビルたちは、仲間たちだけで決着を付けようと決めるのだった。

【REVIEW】
昨年公開されヒットを記録した本作は、1990年のTVムービー版とは違い、主人公たちの子供時代にスポットを当てて構築した“第一章”版。2時間強を使って子供時代のみを描いていて、1本のまとまり感はコチラの方が出来栄えは上。また、時代設定も、1950年代から1980年代に変更されていて、TV版のノスタルジックな感じは薄まった気がするが、40~50歳の観客からしたら自分たちの子供時代とほぼ同じ目線なので、これはこれで懐かしい感じがする(自分もその一人)。

ただ、前評判がとても高かったのと、TV版を見た後に本作を鑑賞すると、正直そこまで怖くなかったなあ・・・というのが感想。映像的には、年月の差があるので当然だけれども、本作の方が見応えがあるが、背筋が凍るほどの恐怖感とはまた違った趣だった。やはり、ベースが青春映画であり、子供目線から感じる世の中に存在する得体のしれない恐怖を見せてくれるが、そこにうまくハマれないのは、自分が大人になっていろいろ経験しすぎたからなのかもしれない。また、ほとんど笑いを封印して怖さを追求してくれた新ペニー・ワイズだったが、個人的には前作のフレンドリーでとぼけた表情を見せておいていきなり豹変するティム・カリー版ペニー・ワイズのほうがよりピエロっぽくて、好印象であった。なんにせよ、大人版“第二章”も控えているわけなので、そこでは、あのズッコケクライマックスをうまく処理して違う見せ場を出して欲しいなあ~と思います。

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イット

2019年01月17日 01:30

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【原題名】IT
【監督】トミー・リー・ウォーレス
【脚本】トミー・リー・ウォーレス、ローレンス・D・コーエン
【撮影】リチャード・レイターマン
【音楽】リチャード・ベリス
【出演】ハリー・アンダーソン、デニス・クリストファー、リチャード・トーマス、ティム・リード、アネット・オトゥール、ティム・カリー
1990年/TVムービー/187分


【STORY】
メイン州のデリーという小さな町で児童の連続殺人事件が発生、その町に住む図書館職員のマイクの脳裏に30年前の忌まわしい記憶がよみがえる。6人の仲間とともに体験した異常な出来事。そのとき、彼らにしか分からない邪悪な存在を消し去ったかに思えたが、奴は再び現れたのだった。今回の殺人事件が過去の出来事と繋がっていると確信したマイクは、かつての仲間に連絡を取り、デリーに集合するように依頼する。

【REVIEW】
スティーブン・キングの原作をTVムービーにて映像化。3時間を超える長編だが、前半は、大人になった7人がそれぞれ少年期を回想するシーンが描かれ、後半は過去の誓いを守って集合した6人が(一人は自殺してしまい、来れなかった)意を決意して、イットに戦いを挑んでいくという2部構成になっている。この前半の少年時代のエピソードが面白くて(よく言われているが、ホラー版『スタンド・バイ・ミー』といった趣)、楽しい。7人は、貧困家庭、人種が違う、喘息持ち、体型が太っているなどを理由にいじめられている弱虫集団だが、一緒に行動していく内に結束し友情を強めていくストーリーに引き込まれていく。やがては、いつもいじめていた不良グループを撃退し、邪悪な存在=イットにも戦いを挑んでいく勇敢さも身に付けることになる。

そして、後半の大人編だが、「奴が復活したら、必ず集まろう」としていた過去の誓いを守って集合するまではいいのだが、その後の最終決戦がいかんせん尻すぼみ。それまで、神出鬼没で、人間の恐怖心をかき立てるものに次々に変身してくるピエロ姿のイットが非常に不気味な存在であったのに、その真の姿を見せたときの落胆さの激しさと言ったら・・・!最初、手下が出てきたのか!?と思っていたら、なんとこいつがラスボスでした!という感じで、倒し方も少年時代と同じパチンコで純銀の塊をぶつけるという荒業で終了。あのクモもしくはカニのような姿はなんだったのか?そもそも30年ごとに姿を現して子供を襲う“イット”という存在はなんだったのか!?その辺の謎解き、説明は無きまま終わっていくので、非常に消化不良な感は否めません。それでも、ペニー・ワイズというピエロの存在感は抜群で、このキャラクターを見るだけでも価値はあると思います。

それにしても、DVDで見たんだけれども、途中でいったん停止してストップしたのには驚いた。メニュー画面見ても一向に先に進むところがないと思っていたら、なんと、裏返してのB面再生するパターンだったとは。LDを思い出して懐かしかった(後でパッケージをよく見ると、両面再生仕様と書いてあった。よく読んでおけば何も慌てる必要もなかったのだが)。

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