2010年11月22日 00:39

“『悪魔の沼』は怖い映画か!?”と聞かれると、正直「それほどでもないかなあ」と答えてしまうかもしれない。少なくとも、フーパーの前作『悪魔のいけにえ』よりも、のんびり鑑賞できるのは間違いないでしょう。ジャンルとしてはホラー映画なんだから、怖がらせてナンボノもんでしょうが、純粋に怖さを追求したのではなく、異常な雰囲気を楽しむ映画としてならば、けっこういい線をいってると思います。
人間を生きたまま、飼っているペットの大ワニに喰わせる男が経営するモーテルに集まってくる人々。次々に犠牲者が出て行く中、男は宿泊客の女性を部屋の中に監禁し、ベッドに手足を縛りつける。逃げ出そうと必死にもがく女性。その頃彼女の幼い娘は床下に逃げ込むが、そこへ放たれたワニが追いかけて来て、少女は悲鳴を上げて逃げ惑う。それらのシーンを挟んで、1階でいちゃつくカップルと物思いにふける男の姿が映し出され、バックでは陽気なカントリーミュージックが流れている。日常と非日常が交互に入れ替わり、絶え間なく続く悲鳴と、縛り付けられた女性の姿が延々と目に焼きつき、サディズムを感じずにはいられなくなります。
凶器のカマでの襲撃シーンが意外とあっさりしていたり、肝心のワニ君が安っぽい作りで興ざめしてしまったりと、粗も多々目につきますが、ご愛敬ということで。評判は芳しくないけど、フーパー監督の映画はどれも水準以上の出来で、手堅くホラー映画を作っていると個人的には思いますけど。フルチの全盛期と晩年の作品の質の差などと比較すれば、全然よく出来てるのでは?
そして、コメントでもいろいろとご意見頂きましたが、本作の見所はやっぱりマリリン・バーンズの監禁シーン。『悪魔のいけにえ』ではレザーフェイスに追われて走って逃げまくっていたのに対して、今作は縛られて動けない時間がほとんど。静と動の異なったいたぶられ方を受けた彼女の演技が、初期のフーパー作品を支えたと言っても過言はないでしょう。
『悪魔の沼』の記事は→コチラ


最後は、自分がワニにガブリ!・・・って、いかにも作り物チックで、あんまし痛そうに見えないのがつらい・・・。
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