
【原題名】HELL OF THE LIVINGDEAD
【製作総指揮】セルジオ・コルトーナ
【監督】ヴィンセント・ドーン
【脚本】クラウディォ・フラガッソ、J・M・カルニス
【撮影】ジョン・カブレラ
【音楽】ゴブリン
【出演】ロバート・オニール、マルグリット・イヴリン・ニュートン、フランク・ガーフィールド、セラン・カレイ
1981年/イタリア・スペイン合作/96分
【STORY】
ニューギニアの奥地にあるホープセンター。ジャングルにそびえ立つこの化学薬品工場で事故が発生。漏れ出した有毒ガスは作業員をゾンビ化させ、他の作業員に襲いかかり生肉を喰らい始めた―。
事態の収拾のため政府は現地に特殊部隊を派遣、彼らは途中で取材中のTVクル―の2人と合流し現地へ向かう。ジャングルに住む原住民の集落ではすでに異変が起きていて、死者が甦り次々に人間に襲いかかってきていた。からくも難を逃れ、一行はホープセンターに辿り着く。静まり返る工場内には生存者は無く、すでにゾンビの集団で溢れ返っていた。ゾンビに襲われ、次々に命を落とす隊員たち。生き残った2人は、この工場で研究されていた恐るべき計画に気づく。しかし、時すでに遅く、ヨーロッパのある都市でもゾンビの行進が始まっていた。
【REVIEW】
数あるゾンビ映画でも悪名の高い1本。ロメロの『ゾンビ』が世界的大ヒットを飛ばした後、それに便乗するゾンビ映画がわんさか製作され、80年代前半はゾンビ映画の黄金時代のようでした。『サンゲリア』や『死霊のはらわた』、『バタリアン』に『死霊のしたたり』。それぞれ皆、独自のゾンビ像で楽しませてくれましたが、当然出来のよろしくないのもあるわけで、本作の評判が非常に低いのはそのオリジナリティの無さにあると思います。
バイオハザードが発生した化学工場に向かう面子がSWAT隊員とテレビクルー、音楽はあのゴブリン担当だが、サウンドはまんま『ゾンビ』から流用、特に前半で要人を人質に立てこもるテロリストをSWAT部隊が制圧する場面はゴブリンの音楽と相まってまんまゾンビのパクリだ(しかも、当然出来の悪いパクリ)。更に、原住民やジャングルの動物のシーンは別映像を差し込んで巧みに合成、ゾンビ映画にモンド的な雰囲気を醸し出しているのも不思議な感じだ。そう言えば、ヴィンセント・ドーン監督は後の『サンゲリア2』でも、熱帯ジャングルでのゾンビ発生を撮っていましたが、あれも珍品といえば珍品でした。
気味の悪いゾンビのメイクや、人肉貪り食いシーンもそれなりにあってゴア度はなかなかのものだが、緊迫感の無い演出、テンポ悪さが映画の出来をさらに落としてしまっているのは残念。学生の自主製作の映画でも、もうちょっとマシなんでない?といいたくなるほどのユルイ展開はなかなか見るのに忍耐を要求します。特に主人公のSWAT隊員の素行にはビックリ!素人みたいなテロリスト制圧作戦や、ゾンビの群れに会話しに行くキチガイ隊員、コスプレダンスをしていてゾンビに喰われて絶命する隊員など、ギャグでやっているのか?!と疑いたくなるような行動を次々に取ってくれます。しかし、真面目に撮った結果がこれなんだったら、すごいセンスですね。
ラスト、ヒロインのTVレポーターの女性から、化学工場で行われていた研究が人口爆発を抑制するために、人間同士を共食いさせようというものだったということが語られビックリしますが、それよりも唖然とさせられたのがヒロインの死に様。ゾンビたちに舌を引きちぎられ、口から突っ込まれた手で眼球を内側からくり抜かれるという壮絶なもの!普通、助かるはずの人間がもっとも悲惨な死に方をするという、なんともどんよりした重いものが残る終わり方です。
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