ピラニア

2011年08月27日 21:39

ピラニア01
【原題名】PIRANHA
【製作】ジョン・デイヴィソン、チャコ・ヴァン・リューウェン
【製作総指揮】ロジャー・コーマン、ジェフ・シェクトマン
【監督】ジョー・ダンテ
【脚本】ジョン・セイルズ
【音楽】ピノ・ドナッジオ
【特殊メイク】ロブ・ボッティン
【出演】ブラッドフォード・ディルマン、へザー・メンジース、ケヴィン・マッカシー、キーナン・ウィン、ディック・ミラー、バーバラ・スティール
1978年/アメリカ映画/93分


【STORY】
テキサスの山中をハイキング途中の若いカップルが廃墟のような施設を発見、中のプールで泳ぎ始めるが、何者かに襲われ2人は水中へと消えて行った。数日後、女調査員のマギーがカップルの行方を探しにやってくる。マギーは途中で知り合ったポールと施設へ辿りつき、プールで溺れたのではないかと思いプールの水を抜く。すると物影から怪しい男が襲いかかってきた。2人は男を撃退するが、この男から驚くべき事実を知る。この施設はかつて軍の研究施設で、生物兵器としてピラニアを改良し、冷たい水でも生存し人間を喰い殺す獰猛な種を密かに育てていたのだ。プールの水は川へ排出されていた。折しも、下流ではキャンプに来ていた子供たち、さらにレジャー施設での川開きで多くの人々が水に入っていた。解き放たれたピラニアの群れは獲物を求めて下流へと進んでいく。

【REVIEW】
『ハイテンション』『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャが監督した『ピラニア3D』が日本でも公開された(しかも今日公開!!)。本作は1978年に公開されたオリジナル第1作目。製作にB級映画の帝王ロジャー・コーマン、監督にジョー・ダンテ、特殊メイクにロブ・ボッティンと豪華なメンバーが揃った動物パニック映画だ。ちなみに、続編の『殺人魚フライング・キラー』はジェームズ・キャメロンのデビュー作としても有名。

冒頭の夜中のプールで若い男女がピラニアに襲われて水の中に沈んでいくくだりからして、大ヒットした『ジョーズ』に便乗しているのは見え見え。調査員の女が出発前にサメ退治のゲームで遊んでいる辺からスタッフも確信犯なのだろう。ジョーズと違ってこっちのピラニアは数で勝負しているのがミソ。こいつに襲われると、あっという間に肉を食いちぎられ白骨化してしまう。ピラニアの造形もコワイ顔つきだ。

主人公の2人がピラニアを退治しようと走り回るものの、利益最優先のレジャー会社の社長が聞く耳を持たないあたりも、まんま『ジョーズ』と同じだ。結果、泳いでいる客たちが血まみれの大惨事になるのもお決まりの展開。このあたり分かり切った流れではあるが、ダンテ監督のテンポの良さとコミカルな演出で飽きさせないのはさすが。『ジョーズ』に続けと沢山の動物パニック映画が製作されたが、その中でも本作の評価が高いのも頷けます。

結局、主人公たちの命がけの行動でピラニアたちは全滅するわけですが、そもそもプールの水を無断で抜いたりしなければ事は大きくならなかったはず。そう考えると、自業自得という気もしないでもないが、誰もその事に突っ込まなかったりして、けっこういい加減です。


28日後・・・

2011年08月18日 00:31

28日後・・・01
【原題名】28DAYS LATER
【製作】アンドリュー・マクドナルド
【監督】ダニー・ボイル
【脚本】アレックス・ガーランド
【撮影】アンソニー・ドッド・マントル
【音楽】ジョン・マーフィ
【出演】キリアン・マーフィ、ナオミ・ハリス、クリストファー・エクルストン、ミーガン・バーンズ、ブレンダン・グリーソン
2002年/イギリス/113分


【STORY】
動物愛護を標榜する活動家たちが研究所に潜入し、研究材料の動物たちを解放しようとする。研究員はウィルスに感染していて危険だ!と忠告するが、活動家たちは耳を貸さず、檻の扉を開ける。その瞬間、中にいたチンパンジーが襲いかかってきた。そのウィルスは血液を媒体として瞬時に感染し、人間を凶暴化させる作用があった。

交通事故に遭い、病院に収容されていたジムは集中治療室で目覚めた。しかし、病院内には人影は無く、ロンドンの街全体が無人化していた。彷徨うジムは男女2人の生存者と遭遇し、事の経過を知る。28日前、突然発生した新種のウィルスの感染が瞬く間に広がり、国家は崩壊、イギリス国民は国外脱出を余儀なくされたと。事態が信じられないジムは実家へ向かうが、既に両親は死んでいた。途方に暮れるジム。しかし、行きつく暇も無く、新たな感染者が3人に襲いかかってきた―!

【REVIEW】
低迷期にあったゾンビ映画というジャンルに“走るゾンビ”という新たな概念をもたらし、ゾンビ映画復活のきっかけを作ったのはロメロの『ゾンビ』のリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』とこの『28日後・・・』だろう。ただ、本作に登場するのは“ウィルスの影響で、凶暴化した感染者”で、厳密に言えばゾンビではないでしょう。しかし、噛まれると感染し仲間になってしまう(さらに細かく言えば、感染者の血液1滴が体内に侵入しただけでも、感染する)という定義付けにより、ゾンビ映画というジャンルに入れてもそれほど違和感を感じさせません。

前半は、荒廃した街中を舞台に生存者と感染者との攻防を描き、緊張感のあるサバイバル・ホラーの趣きですが、後半はガラリと雰囲気が変わって、主人公たちと生き残っていた軍人たちとのデスマッチに変貌していきます。社会秩序が崩壊し、理性を失った軍人たち。それに対して、最初はひ弱な青年であったジムも生き残るため、軍人たちを返り討ちにしていきます。冷酷な軍人たちを、血まみれで応戦するジムの行動には狂気すら感じさせ、結局本当に怖いのは、感染者たちではなく人間同士の争いじゃあないかという声が聞こえてきそう。このあたり、ロメロがリビングデッド・シリーズで一貫して訴えてきているスタンスと一緒みたいです。

『トレインスポッティング』で有名なダニー・ボイル監督の演出はスタイリッシュで、怖さも十分感じさせますが、ちょっとあっさりしすぎて物足りなく感じるのは、コテコテのサービス精神旺盛なマカロニゾンビ映画の見過ぎのせいでしょうか!?
なお、2007年にはボイルが製作総指揮にまわった続編『28週後・・・』が作られています。


伊東美和さんのインタビュー

2011年08月14日 06:26

exciteニュースに伊東さんのインタビューが掲載されてました。

・ゾンビブームって終わっちゃうの?(´・ω・`)〈『ゾンビ映画大マガジン』 伊東美和インタビュー前編〉

・30代と40代では好きなゾンビが違う〈『ゾンビ映画大マガジン』 伊東美和インタビュー後編〉

“面白い映画”と、“好きな映画”は違うという伊東さんの発言に共感。
これはゾンビ映画だけでなく、ホラー映画全般に言えることですけど、映画としての出来は今一つでも(もしくは全くダメダメでも)、何か一つ惹かれるところがあれば、それがその映画の魅力になるんだなあということ。登場するゾンビの造形が素晴らしいとか、派手なスプラッター場面があるとか、BGMがグッとくるとか、などなど・・・。

フルチの作品なんて、ストーリーは支離滅裂だし、プロットは無いに等しいし、映画の文法的には全くダメなのかもしれないけど、それらを忘れさせてしまうほど、素晴らしいゴアシーンがあったり、グロいゾンビの大群が登場したりと、他に魅力がありファンの心を惹きつけてやまないわけで・・・。だから、映画としての面白さは低いけど、『ビヨンド』も『地獄の門』も好きな人には傑作なんですよね。


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