【原題名】DEMONI
【製作】ダリオ・アルジェント
【監督】ランベルト・バーバ
【脚本】ランベルト・バーバ、ダリオ・アルジェント、ダルダノ・サケッティ、フランコ・フェリーニ
【撮影】ジャンロレンゾ・バッタリア
【音楽】クラウディオ・シモネッティ
【特殊効果】セルジオ・スティバレッティ
【出演】ウルバノ・バルベリーニ、ナターシャ・ホーベイ、カール・ジニー、フィオーレ・アルジェント、パオラ・コッゾ、ニコレッタ・エルミ、ミケーレ・ソアビ
1985年/イタリア映画/85分
【STORY】
ベルリン。通学途中の地下鉄構内で映画の試写会の招待状を受け取った女学生のシェリルは、友人のキャシーを誘って観に行くことに。試写会場のメトロポール劇場で始まったのはホラー映画。ある晩、ノストラダムスの墓が暴かれ、その呪いでデモンズと化した人間がこの世に悪疫をまき散らすというものだった。
映画は進行し、デモンズが仲間を殺すシーンに差し掛かると、劇場に飾ってあった仮面を被ってケガをしていた女性がデモンズになり、他の人間に襲いかかってきた。観客たちは一斉に逃げ出すが、劇場の扉の外側はコンクリートで封鎖されていて外へは出られない。そうしているうちに観客らは次々にデモンズの餌食になっていく。
シェリルは上映中に知り合ったジョージとともに、屋上から脱出することに成功するが、外の世界でもデモンズが横行し、街は荒廃していた。デモンズの集団に追われる2人は通りがかった生存者のジープに助けられる。しかし、突然シェリルがデモンズと化す。それを見た同乗者が彼女をライフルで撃ち殺し、シェリルは地面に打ち捨てられる。ジョージを乗せたジープは、そのまま走り去ってゆく。
【REVIEW】
アルジェントのプロデュースで、イタリア・ホラーの重鎮マリオ・バーバの息子のランベルト・バーバが初監督した作品。かなりお金をかけて製作されたようで、ワンモーションで見せるデモンズの変身シーンや、大量に出てくるデモンズの造形など、特殊メイクはかなり見応えがあります。また、劇中ひっきりなしにかかる、メタル系のバンドの音楽も派手でよろしい。この作品あたりから、ロックに加えてメタル系の音楽もホラー映画によく使われるようになった気がしますが、それもデモンズの影響でしょうか。日本では、86年に公開されて、丁度ロメロの『死霊のえじき』と同時期にぶつかって、興業成績はこっちのほうがよかったとか。この頃までは、ホラー映画もまだ人気があったんですよねー。
さて、そんなバブル感満載の『デモンズ』ですが、肝心のストーリーは???劇中劇で、映画と同じ現象が起こって、デモンズが出現してくるあたりはいい感じですが、その後はバタバタと襲われていくシーンが続き、中だるみ気味。入ってくる前は無かったのに、なんで、突然コンクリートの壁が出現!?前触れもなく天井を突き破って落下してくるヘリコプターは何!?キャシーの背中から飛び出してくる“アキロンの大王”って何者!?そしてシェリルはなんでそれを知ってるの!?伏線っぽかった謎の仮面の男も結局何者か分からずじまい。・・・かなり、謎に満ち満ちたストーリーですが、脚本の煮詰め方が甘かったのか、ランベルトに演出の才能が乏しかったのか・・・。多分、両方なんでしょう。実際、アルジェントはほとんど、現場には出向かなかったようですし、才能豊かだった父親の息子は、いたって平凡な人だったんでしょうね。
でも、それでも個人的にはこの『デモンズ』大好きです!特殊メイクの見本市みたいに多種多様なデモンズの姿に、クラウディオ・シモネッティの冴えわたる音楽(テーマ曲最高!)が重なって、ほとんどMTVみたいな感覚で観ると悪くはないのですよ。後半のバイクに乗って日本刀で切りまくる長回しのアクショシーンもいいよなあ~。批評されると悪いところばかりが目立つ作品ですが、何も考えずに楽しむゾンビ・ホラーとしてはよいと思います。(あれ、デモンズはゾンビじゃなくて、悪魔だったっけ!?)
出演者も何気に豪華。アルジェントの長女のフィオーレが今回も観客の一人で登場、『サスぺリアPART2』や『悪魔のはらわた』に子役で出ていたニコレッタ・エルミがもぎり嬢で出演、仮面の男は助監督も務めたミケーレ・ソアビ、地下鉄のシーンでは監督のバーバの姿も。


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