2013年08月31日 22:57
![]() | 貞子3D 2Dバージョン(本編DVD) (2012/10/31) 石原さとみ、瀬戸康史 他 商品詳細を見る |
【監督】英勉
【脚本】藤岡美暢、 英勉
【出演】石原さとみ、瀬戸康史、山本裕典、田山涼成、橋本愛
2012年/日本映画/96分
【STORY】
ある女子高では奇妙な噂が流れていた。それは、“ネット上の動画を閲覧すると死ぬ”というものであり、実際に犠牲者も出ているという。その学校に勤める教師の鮎川茜は教え子がその動画を見てしまったのをきっかけに事件に巻き込まれていく。この動画の正体は何なのか―。
【REVIEW】
いわずとしれたジャパニーズホラーの金字塔リングシリーズの最新作。鈴木光司の原作『エス』をアレンジし、貞子を再び前面に押し出してきています。昨日、地上波で放映していたので、途中から見たので感想を書きたいと思いますが・・・。
とりあえず、酷い映画です。
まず、これはホラー映画では断じてない!
「一昔前、ジャパニーズホラーの怖さを世界に知らしめた『リング』のパロディ映画として製作しました!」というのなら、まだ理解できなくもない。(それでも、映画としての出来は最底辺のものに変わりはないですが)
どんな出来の悪いホラーでも、「なんじゃ、こりゃ!?」「それはないだろう!」とか愛すべき突っ込みを入れながら見る楽しみが少しはありますが、この『貞子3D』は全編突っ込まなければならないので、楽しめる要素がもはや苦痛にしか感じられません。ホラー映画が好きな人たちが集まって「俺ならこんなホラーを撮ってやるぜ!」と勢いが空回りして作った独りよがりの出来の悪いホラーは、古今東西多々存在します。でも、それはホラー映画を愛するあまり空回りしてしまった結果であって、それが感じられれば、「まあ、しゃあないか」と温かく見守ってやるべきでしょう。でも、この『貞子3D』には、その辺が全く感じられない。多分、製作に関わった人たちにはホラー映画が好きな方は一人も居なかったではないでしょうか。そもそも、本気で人を怖がらせる映画を撮る気があったのか!?怖がらせるつもりで作った結果がこれなら、ある意味すごい才能を持った方々と言わざるを得ません。
適当に気が付いた点を挙げてみると-。
・CG技術が稚拙。3D映画として製作しているので、飛びだすシーンが多いのは分かりますが、それがくどいのと不自然すぎて違和感ありすぎ。そして、合成感あり過ぎの特撮効果はなんなんでしょうか。特に井戸に落ちていくシーンなんかは、何十年前の映画かと目を疑いたくなります。予算が無かったのか、それとも日本のCGってこんなものなの!?
・シナリオが適当すぎ。展開がご都合主義すぎてビックリ。例の井戸の場所へ行くシーンですが、なんで場所が分かったんだろう。そもそも、そこはどこなの?もう少し説明してよ!出てくる刑事も有能なのか無能なのかなんなのか。で、その井戸の横の廃屋には、スマホが置いてあって、それに吸い込まれると、貞子が支配する(?)異世界。石原さとみはそこに吸い込まれちゃうんだけれども、彼氏がスマホを破壊すると無事帰還。なんじゃそりゃ?!最後に出てくる中年のおばさんもよく分からんし、なんなんだろう、これは。
・主人公は超能力者。『リング』のときも高山竜司は一般人とは違う能力を持ってましたが、本作の石原さとみ演じる鮎川茜は叫ぶと、その衝撃波のようなもので物体を破壊できる力を持っているらしい。なので、最終バトルではどう考えても切り抜け不可能の場面でも、あっさり敵を全滅させて勝利!って、なら最初からその能力を使えばいいじゃん!逃げ惑っていて、いきなり鉄パイプ拾うと背後から来た敵を振り返らんとバサッと倒したり・・・、強すぎるよ。まあ、一般人が拳銃持つと「どこで撃ち方練習してきたん!?」ていうくらい上手に打ちまくる映画も多いですけれども。
・で、問題の貞子が、もうなんなのかよく分かりません。モニターから勢いよく飛び出してくる貞子。屋上に立っている生徒を引きづり落そうとする貞子。今回の貞子はかなり、アクティブ。そして井戸からどんどん湧き出てくるスパイダー貞子。その姿はバイオのリッカーか、楳図かずおの『漂流教室』に出てきた未来人か。ともかく動きの素早いモンスターとなった貞子は増殖に増殖を重ねて出てくる数も数十体と、もう投げ売り状態。ありがたみがありません。あれを見て、怖いと思う人はいるんでしょうか。もうほとんどギャグにしか見えませんでしたが。
この映画はヒットし、海外でも公開されたそう。さらに続編も封切られました。ヒットしたのはプロモーションのおかげなのか、単純にこの貞子を観たい観客層が存在していたからなのかどうか分かりませんが、この映画は“ホラー映画”というジャンルの映画ではないことだけは言い切りたいと思います。
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