X線

2014年06月28日 18:33

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【原題名】X-RAY
【製作】メナハム・ゴーラン、ヨーラン・グローバス
【監督】ボアズ・デヴィッドソン
【脚本】マルク・ベーム
【撮影】ニコラス・ジョセフ・フォン・スタンバーグ
【音楽】アーロン・オーバー
【出演】バルビ・ベントン、チップ・ルシア、ジョン・ヴァン・ネス、ゲイ・オースティン
1981年/アメリカ映画/90分


【STORY】
スーザンは健康診断の結果を聞きに病院を訪れるが、結果重病だと診断され、強制的に入院させられることに。彼女のカルテは別の末期患者のものとすり替えられていたのだ。スーザンを狙うこの男は、邪魔な医者や看護師を次々に殺害、ついにスーザンにも魔の手が伸びる。


【REVIEW】
前回ご紹介した『面会時間』と同じく、病院を舞台にした殺人鬼もの。同じシチュエーションでは『ハロウィンⅡ』もありますが、『面会時間』がマイケル・アイアンサイドの異常さぶり、『ハロウィンⅡ』はブギーマンの不死身さ、なんかが見どころでしたが、本作『X線』の見どころはズバリ“エロ”!なにせ、主役が元プレイメイトのバルビ・ベントン。殺人鬼に追われたり、最後の格闘シーンもそれなりに見せ場ですが、メインは彼女の診察場面です。

重病だと診断され、医者にもう一度診察を受けるシーンがあるのですが、ついたての向こうで着衣を脱いでいくシルエットからしてエロっぽく映され、ベッドに横になっての触診がまたいやらしい。なめるような医者の診察がスケベで、それをねっとりと追っていくカメラワークもよく心得たもんだ。映画の本筋とは関係ないけれど、サービス精神全開の見どころを作ったのは、「グローイング・アップ」シリーズのボアズ・デヴィッドソン。さすがです。でも、肝心の殺しの場面ではその瞬間はダイレクトに見せていなくて、ゴア度は低め。足りないところはエロ場面でカバーしてます。


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面会時間

2014年06月27日 19:23

面会時間 [VHS]面会時間 [VHS]
(1986/02/21)
リー・グラント

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【原題名】VISITING HOURS
【製作】クロード・ヘロー
【監督】ジャン・クロード・ロード
【脚本】ブライアン・タガート
【撮影】ルネ・ベルジエ
【音楽】ジョナサン・ゴールドスミス
【出演】マイケル・アイアンサイド、リー・グラント、リンダ・パール、ウィリアム・シャトナー、レノア・ザン
1982年/カナダ映画/107分


【STORY】
TV局の女性キャスターのデボラは仕事を終えて帰宅した自宅で暴漢に襲われて下半身をケガし、入院することに。彼女を襲った男ホーカーは、幼い頃暴力に耐えかねた母親が父親に熱湯を浴びせて大怪我を負わせたのを目撃して以来、女性を激しく敵視するようになっていた。デボラは女性に対する暴力の根絶キャンペーンを行っていて、ホーカーにとってそんな行為は許しがたいものがあったのだ。

ホーカーは見舞客、看護師などの扮し病院に潜入、邪魔なスタッフや患者を殺しながらデボラを狙うがとどめを刺すには至らない。警察の警護が厳しくなる中、ホーカーは自分の腕を刺して救急患者としてまたもや病院内に潜入、デボラの息の根を止めようと近づいていく。


【REVIEW】
ハロウィン』『13日の金曜日』に始まるスラッシャー映画が大量生産された80年代、本作は同時期カナダから発表された1本。惨劇の舞台が病院になっていて、運び込まれた女性患者が狙われるわけですが、この映画の主役はなんといってもマイケル・アイアンサイド。父親に溺愛されて育ち、その父親が母親に廃人同様にされてしまったことから(これも、父親のDVが原因なのだが)、女性を極端に憎むようになった異常者ホーカーを演じています。どの辺が異常かというと、女性を憎むあまり、女性を暴行してはその姿をカメラで写し、自宅にその写真を貼り付けてコレクションしているくらいで、最初にデボラを襲うシーンでも、全裸でナイフを振りかざしてくるその様は、かなり異様な迫力で変人ぶりがよくわかります。このホーカー役がアイアンサイドに実にはまり役で、おもわず地で演じているのでは!?と思ってしまうくらい素晴らしい演技です。アイアンサイドは他にも『スキャナーズ』や『トータル・リコール』『スターシップ・トゥルーパーズ』など、数々の映画に出演していますが、この『面会時間』の鬼気迫る演技がその後の活躍につながったのではないでしょうか。

アイアンサイド以外でも、デボラ役にオスカー女優のリー・グラント、ホーカーに狙われる看護師シーラ役に初々しい演技が光ったリンダ・パールなど、女性陣が好演。その陰で、ネームバリューでは一番だったはずのウィリアム・シャトナーがデボラの恋人役で出演するも、ほとんど目立たず、ホント『スター・トレック』以外では影の薄い人です。

面会時間01

面会時間02



惨劇の世界映画事件史

2014年06月26日 18:24

別冊映画秘宝惨劇の世界映画事件史 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)別冊映画秘宝惨劇の世界映画事件史 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
(2013/04/26)
筑波久子(特別出演)、鈴木義昭 他

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出版社:洋泉社
出版年月:2013年5月
ページ数:221頁
定価:1,300円(本体価格)


・第一章 日本映画が語ってこなかった暗黒面
・第二章 死の映画館 Death of Screen!
・第三章 洋画は本当にダメなのか?


ピラニア』をロジャー・コーマンとともにヒットさせた筑波久子、台湾最大の武装蜂起「霧社事件」の全容を描く『セデック・バレ』の関係者インタビューの2大特集をメインに、今回も映画界の裏事情を暴いた内容。ちなみに1年前に同社から『衝撃の世界映画事件史』が出ており、今回はその第二弾という扱い。


個人的には、最後に収録されている「ビデオバブルに消えた怪人・光山昌男伝PART2!わたしは謎の会社「マウントライト」の社員だった!」が楽しめました(というより、これが読みたくて買ったようなものかも)。執筆者は、光山氏が起こしたマウントライト・コーポレーションで実際に働いていた方。光山氏といえば、パイオニア版『ゾンビ』やソニー版『サンゲリア』のLDのリリースに携わったことで有名ですが、ここでは彼が社長を務めていた会社マウントライト(勿論、光山さんだから、もじってマウントライトなんでしょうね)のハチャメチャぶりがよく分かる内容になっています。

例えば、自分が『エルム街の悪夢』の共同プロデューサーだと偽って、ビデオメーカーに映画の権利を売り込みに行く(←相手を信じ込ますために、クレジットに自分の名前を入れた未公開ビデオまで作成しておく周到さ)、ヤクザを騙して資金を調達するが金を返せないため会社に怖~いお兄さんが常駐している、牛肉を通常の3割で売るから客を紹介してもらう、新しい業務は「宇宙人との貿易」・・・・。執筆者も振り返ってみて「ここは映画の会社じゃなかったっけ!?」。まあ、いろいろな武勇伝を残しながらも、マウントライトはその後ある組織の傘下に入り、執筆者も辞職したそう。よくまあ、こんな会社が存在していたんだなあ、と呆れるやらある意味感心するやら。それでも読んでいて、おもしろかったのは事実です。

あと、光山氏はハッタリと大ぼら吹きが有名だったそうで、「ゾンビの完全版を見たことがある」「サンゲリアの続編の企画を進めている」「ハリウッドであのトレーシー・ローズと一発やったことがある」とか、いろいろ自慢していたとか。(別の本では「デパルマの家で、こっそりナンシー・アレンとやっちゃった!」というのもありましたね・・・。)今のように、ネットも無かった時代、真偽が確かめようもない世界で、少しディープな情報を握っている人がさも真実かのように喋ると、みんな信じちゃったんでしょうかねー。まあ、それだけこの光山氏が人を惹きつける何かを持っていたのは事実だと思いますが。

ちなみに、この特集は第二弾なんで、その前に出ている『衝撃の世界映画事件史』に第一弾が掲載されているもよう(これは、持ってないんで内容はちょっと分かりませんが)




悪魔の受胎

2014年06月24日 02:08

悪魔の受胎 [DVD]悪魔の受胎 [DVD]
(2001/05/25)
ジュディ・ギーソン、ロビン・クラーク 他

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【原題名】INSEMINOID
【製作】リチャード・ゴードン、デヴィッド・スピーチリー
【監督】ノーマン・J・ウォーレン
【脚本】ニック・メイレイ、グロリア・メイレイ
【撮影】ジョン・メトカーフ
【音楽】ジョン・スコット
【出演】ジュディ・ギーソン、ロビン・クラーク、ジェニファー・アシュレイ、ステファニー・ビーチャム、スティーヴン・グリブズ
1979年/イギリス映画/94分


【STORY】
とある惑星で、発掘作業をしていた調査隊で事故が起きる。男性隊員が爆発に巻き込まれ、負傷したのだ。彼は基地に連れ帰られ手当てを受けるが、目を覚ますと仲間を振り切って外へ飛び出していった。後を追う隊員たちだったが、作業現場でエイリアンに襲われ複数の隊員が死亡、女性隊員のサンディーはそのエイリアンに犯されてしまう。サンディーは基地に収容された後目を覚ますと、仲間を次々に殺していく。


【REVIEW】
『エイリアン』以降、いろいろなSF映画(特に宇宙空間でエイリアンと遭遇するパターンのもの)が作られたが、レベルの低い二番煎じものを見ると、いかに『エイリアン』が偉大な作品だったと再確認できるのですが、この『悪魔の受胎』もその偉大さを十分に確認させてくれる1本。いかにも見たまんまの土偶スタイルのエイリアンと、そのエイリアンが女性に襲いかかるというのがポイントですが、それ以外に見るべきものが何も無いのが悲しい・・・。

ほかの映画と趣が違うのは、人間に襲いかかるのがエイリアン本体ではなくて、エイリアンに操られたサンディー一人ということ。彼女はエイリアンに犯されたあと、お腹の子どもが命じるままに仲間を惨殺していくわけですが、サンディーvs他の隊員という構図がイマイチ盛り上がらないのが、一番のウィーク・ポイント。多少、サンディーは不死身っぽくなっているものの、7~8人居る隊員が(もちろん男性も居る)あっさり殺されていくのは、なんとも説得力に欠ける展開。エイリアンの姿が無ければ、サイコな中年おばさんがただ暴れている映画になっていまうのが、なんとも・・・。そしてエイリアンの出番は、サンディーの股越しにヌッと出てくるところと、後半出産されて出てくるベビーエイリアンだけ。この出番の少なさには、いくら低予算映画でも淋しすぎるのではないでしょうか。

監督のノーマン・J・ウォーレンは84年に『人喰いエイリアン』という作品も撮っていて、こちらは地球が舞台。人間に乗り移ったエイリアンが、カップルのSEXを覗き見て興奮。自分も行為に及ぶと、ついでに内臓も食べちゃった的なストーリー。何年たっても、やっぱり同じような路線が好きなんでしょうかねー。
悪魔の受胎01

悪魔の受胎02


ブラック・ウォーター

2014年06月23日 14:11

ブラック・ウォーター [DVD]ブラック・ウォーター [DVD]
(2012/05/09)
メーヴ・ダーモディ、ダイアナ・グレン 他

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【原題名】BLACK WATER
【製作】マイケル・ロバートソン、アンドリュー・トラウキ、デヴィッド・ネルリッヒ
【監督】アンドリュー・トラウキ、デヴィッド・ネルリッヒ
【脚本】アンドリュー・トラウキ、デヴィッド・ネルリッヒ
【撮影】ジョン・ビギンズ
【音楽】ラファエル・メイ
【出演】ダイアナ・グレン、メイヴ・ダーモディ、アンディ・ロドレーダ
2007年/オーストラリア映画/89分


【STORY】
リーと姉のグレース、そして恋人のアダムの3人はオーストラリア北部をバカンスで訪れていた。ワニ園を見て楽しんだ後、川釣りを体験しようと、ガイドのジムに先導されて、小さなボートでマングローブの生い茂る川をさかのぼっていく。途中、何かがボートに衝突して船は転覆、4人は水の中に放り出されてしまう。ボートを転覆させたのは巨大なクロコダイルで、ガイドは既に犠牲になっていて、3人は何とか木の上に登り助けを待つことにするが・・・。

【REVIEW】
最近ハマっている感のある“ワニが人間に襲いかかってくる”映画ですが、この『ブラック・ウォーター』も主役はクロコダイル。一応実話を元に製作されているらしく、ドキュメンタリーっぽい作りになっています。お話も、ツアーで来た旅行者がワニに襲われて森の奥地で孤立、付近に人の気配は全くなく、助けが来る確率は非常に低い状況下で、いかにして脱出するかを描いた、サバイバルムービーで、巨大生物が暴れまくって人々が逃げ惑うアニマル・パニックものとは少し趣が違っています。この辺、前に見た『マンイーター』とよく似た設定です。

リアル感を重視したためか、本物のワニを撮影して使ったものの、その姿が出てくる時間が少ないため、ワニがドーンと襲ってくるのを期待して見ると拍子抜けするかも。水がちゃぷんと揺れたり、森の奥から不気味な音がして驚いたりと、追い詰められた状況下で感じる恐怖感をじわじわ~っと味わうのが、この映画の醍醐味でしょう。



クロコダイル

2014年06月22日 11:30

クロコダイル [DVD]クロコダイル [DVD]
(2000/11/24)
ダンカン・リーガル

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【原題名】CLOCODYLUS (BLOOD SURF)
【製作】ペーター・J.アブラムズ、ナタン・ザハヴィ
【監督】 ジェイムズ・ヒッコス
【脚本】 サム・バーナード、ロバート・L.レヴィー
【撮影】クリストファー・C・ピアソン
【出演】ダンカン・リーガル、ダックス・ミラー、ケティ・フィッシャー、ジョエル・ウエスト、マット・ボーレンジー
2000年/アメリカ映画/90分


【STORY】
TV番組のプロデューサーのザックは恋人のカメラマン・セシリーと2人のサーファーを引き連れて、南国の島にやってきた。彼は人喰いサメが生息しているこの島で、体に傷をつけて波に乗る“ブラッド・サーフィン”を撮影して、一儲けを企んでいた。撮影は無事成功するが、人喰いサメを蹴散らして全長10メートルはゆうに超えるワニが現れ、撮影隊に襲いかかる。

【REVIEW】
南の島を舞台にした人喰いワニ映画。他の映画と少し違うのは、このワニ海水はへっちゃらなのに真水が苦手という性格。しかし、陸上でも歩行スピードは速く、水中からジャンプして船上の人間もガブッといってしまう、なかなか手強いやつです。出てくるのは、このワニ1匹だけだが、人間側の犠牲者はけっこう多く、ワニもけっこう派手に暴れまわるので、それなりに見応えがあります。

ただ、全体的な雰囲気はシリアスな展開ではなく、かなり脳天気でほのぼのした感じ。ワニが出てきたら「ギャー、逃げろー」てな感じだし、殺される登場人物もキャラ設定はコミック調。プロデューサーのザックは、金のためなら平気で人に危険な撮影をさせるものの、いざワニが襲ってきたら、恋人を見捨てて一目散に逃げ出すコスいやつ。当然、最後は恋人にも愛想を尽かされて、ワニのえじきになります。ほかにも、物語とは関係なく出てくる海賊らもよく分からんし(ワニに襲われて全滅)、過去にワニと因縁があった船長が出てきて一騎打ちを挑むものの、あっさり返り討ちにあって、半身食いちぎられて絶命、さらにその恋人はワニが気絶しているときに「恋人の仇!」とばかりに蹴りを入れていたら、ワニが目を覚ましてガブリ!とか・・・。もうなんだか、どうでもいい感じ。そんで、気になったのは、Hなシーンが意味もなく多いこと。まあ、南国が舞台なんで、お色気シーンもサービスしまっせ~ということなんだろうか。ただ、おかげで余計に緊迫感も目減りしてますがね・・・。

ワニの姿は少々ハリボテ感があるものの、下手なCGよりは重量感があって個人的には好みのお姿。時折見せる目のアップが妙に可愛かったりします。

クロコダイル01

クロコダイル02

ディノクロコ

2014年06月21日 18:43

ディノクロコ [DVD]ディノクロコ [DVD]
(2004/07/23)
ロジャー・コーマン、コスタス・マンディロア 他

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【原題名】DINOCROC
【製作総指揮】ロジャー・コーマン
【製作】ダミアン・アカヴィ
【監督】ケヴィン・オニール
【脚本】ダン・アクレ、フランシス・ドール、ジョン・ハッカート
【撮影】ヨーラン・アストラカン
【音楽】デーモン・エブナー
【出演】コスタス・マンディロア、ブルース・ウェイツ、チャールズ・ネイピア、ジョアンナ・パクラ、ジェーン・ロンジェネッカー
2004年/アメリカ/92分


【STORY】
太古の昔に生息していた巨大なワニ“ディノクロコ”がアフリカで発見された。アメリカのヴァイオ企業のジェリコ社は、ディノクロコの遺伝子を操作して、生物の成長を早める研究を行っていた。ある日、研究所内で事故が発生、飼われていたワニは研究者らを噛み殺して逃走する。ジェリコ社は隠密に事件を処理しようと、オーストラリアから生物ハンターを呼び寄せ逃げたワニを駆逐しようとする。しかし、さらに巨大化していたワニは手が付けられず、追ってきた警察官らも蹴散らし、観光客で賑わう湖に逃げ込むのだった。犠牲者が増えていく中、ハンターらは罠を仕掛けて、ワニの捕獲に成功するのだが・・・。


【REVIEW】
遺伝子操作されていた巨大ワニが逃げ出して、人々を襲うアニマル・パニックもの。自分の研究所から逃げ出したのに責任逃れを主張する悪徳企業、捕獲しようとするが逆にやられてしまう警官隊、主人公カップルとハンターらが協力してワニ打倒に向かう最後のバトル、など、展開はこの手の映画としてはお決まりのパターンですが、それだけに安心して見られます。やっぱり、製作総指揮にB級映画の帝王R・コーマンが名を連ねているのは伊達じゃありません。決して、素晴らしい作品ではないですが、レンタルして観るくらいならお釣りがくるくらい楽しめると思います。

で、肝心のワニですが、全長10~15mくらいはあるかなりの巨体。しかも水陸両用、湖ではモーターボートに並走して泳ぐくらい早く、陸上でも走る人間を楽々と追い詰める俊敏さの持ち主。こいつに狙われたら、ちょっと逃げ切るのは難しいかもしれません。ただ、画面で描かれるCG加減は少しリアルさに欠けるのが難点。見慣れてくると、ワニというより、恐竜に近い感覚がありました。

最後に何もしてこなかった企業の責任者が出てきて、ワニにガブッとやられるのは納得の展開で拍手喝采なのですが、動物愛護団体のヒロインがやけに捨て犬の保護にこだわったり(その前に自分たちが喰われちゃうよ!)、かと思ったら、子どもをあっさり首チョンパしちゃったりと、どこかしっくりこない展開。その辺の消化不良気味のストーリーが、多少尾を引く終わり方でした。


ディノクロコ01

ディノクロコ02

死霊の罠

2014年06月20日 20:49

死霊の罠 [DVD]死霊の罠 [DVD]
(2000/06/23)
小野みゆき、本間優ニ 他

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【製作】升水雄
【監督】池田敏春
【脚本】石井隆
【撮影】田村正毅
【音楽】吉良知彦
【出演】小野みゆき、本間優二、小林ひとみ、島田紳助、桂木文、中川えり子
1988年/日本映画/100分


【STORY】
TV局に送られてきた1本のビデオ。それは、女性が惨殺される映像が記録されたスナッフビデオだった。その内容を確かめるため、女性レポーターと仲間の番組スタッフが、ビデオの映像を手掛かりに廃墟に辿り着く。しかし、そこには数々の罠が仕掛けられていて、スタッフたちは一人ずつ罠にかかって殺されていく。

【REVIEW】
ホラー映画がビデオ業界を席巻し、一大ブームになっていた頃、日本初の本格スプラッタームービーとして製作された作品。当時は、ストーリーや設定よりも、特殊メイクやSFXに焦点が当てられ、いかにして派手に殺すか、いかにしてスクリーンに血糊をぶちまけるかが競われていた感がありました。そういう意味では、並み居る洋画ホラーに対抗して作られた『死霊の罠』は、和製スプラッター映画として、十分鑑賞に堪えうる内容になっています。

ギミックや血糊にこだわったためか、設定や話の流れが単調な気もしますが、その分殺しの場面は気合が入っています。床や壁から突き出てきた杭(!?のようなもの)に串刺しにされたり、ワイヤーで首つりにされ引きずり回されたり、トラップに引っかかって顔面に凶器が突き刺さったりと、けっこうエグイ描写が出てきます。その中でも、おススメは冒頭のスナッフビデオで殺される女性。巨大なナイフを目ん玉に突き刺し抉り出す様は、フルチの『サンゲリア』を彷彿させ、なかなかの迫力です。

80年代後半の作品なので、服装や女性のメイクがバブルの頃を思い出させるのはある意味懐かしいですが、小林ひとみや中川えり子といった、初期のAV女優が出演しているのも時代を感じさせます。島田伸助もTV局内のシーンで少しだけ顔を見せています。

死霊の罠01

死霊の罠02

アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2

2014年06月19日 09:48

アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2 [DVD]アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2 [DVD]
(2014/03/05)
ジェマ・ダレンダー、ジョー・アブソロム 他

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【原題名】I SPIT ON YOUR GRAVE 2
【製作】リサ・ハンセン、ポール・ハーツバーグ
【監督】スティーヴン・R・モンロー
【脚本】ニール・エルマン、トーマス・フェントン
【撮影】ダミアン・ブロムリー
【音楽】コリー・A・ジャクソン
【出演】ジェマ・ダーレンダー、ジョー・アブソロム、ヤヴォル・バハロフ、アレクサンダル・アレクシエフ、メアリー・ストックリー
2013年/アメリカ映画/106分


【STORY】
モデルのケイティは写真撮影で現場へ向かうが、どうも胡散臭い男性スタッフに疑問を感じ、途中で帰宅する。アパートへ着くが、そこへ先程の男が乱入、騒ぎを感じ駆けつけた恋人は刺殺され、ケイティも乱暴されたあと薬で眠らされる。そして気が付くと見知らぬ地下室に。隙を見て逃げ出すが、外は異国の地だった。警察へ駈け込んで助けを求めるが、運悪く犯人グループに捕まり、またもやあの地下室で監禁凌辱されてしまう。その後、殺される寸前で一命を取り留めた彼女は復讐の鬼と化し、犯人らを一人ずつ抹殺していくのだった。


【REVIEW】
レイプリベンジムービーとして映画史にその名を残すメイル・ザルチ監督の『発情アニマル~アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ1978』がリメイクされたのが2010年。そのメガホンを取ったスティーヴン・R・モンローがオリジナル脚本で再び挑んだのが本作。前作では、田舎にやってきた美人小説家が地元の男たちに襲われるストーリーでしたが、今回は大都会でモデルの女性が拉致監禁され、連れ去られた外国で復讐するお話になっています。

何の落ち度もないヒロインが酷い仕打ちを受けて、後半で犯人らに復讐するわけですが、今回は犯人の親が登場。息子を諭すわけでもなく、母親は息子をかばい、バカ親父はケイティを乱暴するのに加担する始末。当然、オヤジは自分がした電気ショックの拷問を自分が受ける羽目になり、最後はあえなく感電死。しかし、同情の余地は全くないので、仕方がないでしょう。しかし、母親の方は中途半端で終わってしまい微妙な感じ。その他のやつらは、磔にされてナイフで切り刻まれたり、ド汚い便器に顔を沈められて窒息死したり、と容赦なく復讐されていきます。

結局、非道な行いをした者はその報いを受ける、散々やられた被害者がそれを加害者側にやり返す、カタルシスを感じさせるのが、このシリーズならではと思いますが、本作もそれは十分感じられます。しかし、見終わって、スッキリするかどうかは別問題。復讐が終わっても、ヒロインには一生消えない傷が残るはずだし、爽快感よりもやり切れなさが漂うエンディングです。

アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2 01

アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ2 02


発情アニマル~アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ1978

アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ





ゾンビ&アンデッド モンスターFILE

2014年06月18日 06:06

ゾンビ&アンデッドモンスターFILE (ムーSPECIAL)ゾンビ&アンデッドモンスターFILE (ムーSPECIAL)
(2013/08/06)
オカルト雑学探究倶楽部

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出版社:学研
出版年月:2013年8月
ページ数:265頁
定価:505円(本体価格)


“ゾンビ伝説や吸血鬼伝説 アンデッドモンスターの謎に迫る!”

・甦った死体 ゾンビ
・中国のゾンビ キョンシー
・アンデッドモンスター 吸血鬼
・アンデッドモンスター 狼人間
・その他のアンデッドモンスター フランケンシュタイン、マミー、スケルトンetc


日本の最長寿にして、現在唯一発行されているオカルト雑誌「ムー」。その別冊ムック「ムーSPECIAL」シリーズの1冊。

内容は、本誌の文章から引用すると、
“そもそもゾンビはどこからやってきたのか?
フィクションの中で進化し、キャラクター化してしまった今、ゾンビの原型について知る者は少ない。
本書では、ゾンビの起源を紹介し、ゾンビの謎や魅力を伝えるべく、構成されたものである―。”
とある。

ブードゥーを起源とする動く死体としてのゾンビはリアリティのある伝承や伝説として紹介し、ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』以降のモダンゾンビ像は、映画を中心としたフィクションでのキャラクターとして扱っている。それぞれに、発生原因や、特徴そしてその退治法なんかも紹介されていて、その真面目な文章には好感が持てます。個人的には、学校図書館に蔵書しておけば、楽しいと思います。

メインはゾンビながら、後半は吸血鬼や狼男などの他のモンスターも出てくるが、それほど目新しい記述はなく、オーソドックスな内容。また、カラーページは巻頭のみで、後は全てモノクロ写真とイラストがメイン。ゾンビ映画の紹介ではロメロの『ゾンビ』からのカットが多く、ファンとしては嬉しいが、他の映画からももっと紹介してくれればなお良かったのですが。まあ、四六判サイズで、500円ちょいならば、気軽に雑学的な読み物として、そこそこ楽しめるのではないかと思います。



DAY OF THE DEAD(Opening Theme~The Dead Walk)

2014年06月17日 22:52



今夜は、なんとなく『死霊のえじき』を聞きたい気分でした。






理由は特段ありませんが、たまに聞きたくなります。
懐かしいなあー。

ユリイカ 2013年2月号 特集*ゾンビ ブードゥー、ロメロからマンガ、ライトノベルまで

2014年06月16日 21:36

ユリイカ 2013年2月号 特集=ゾンビ ブードゥー、ロメロからマンガ、ライトノベルまでユリイカ 2013年2月号 特集=ゾンビ ブードゥー、ロメロからマンガ、ライトノベルまで
(2013/01/28)
花沢健吾、木村心一 他

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出版社:青土社
出版年月:2013年2月
ページ数:245頁
定価:1,238円(本体価格)


・渡る世間はゾンビばかり
・生と死のトワイライト
・ゾンビにじゆうを
・ギーコのチェーンソーはわたしのチェーンソー
・あのね 大っきなリスなんていないでしょ
・スタディ・オブ・ザ・デッド
・走るな、死ね、蘇れ
・生ける屍のゆくえ
・ゾンビコメディとゾンビ原理主義の共鳴作用
・ゾンビと「はけん」
・ジャパン・オブ・ザ・デッド
・「くさったしたい」が仲間に加わった日
・怖がったのはだれの心
・これはゾンビではない
・クリリンのことか?はい、ゾンビです
・メディア内存在、ゾンビ
・ゾンビ・ザ・プー
・フィロソフィア・アポカリプシス
・デッドエンド、デッドタイム
・ゾンビの/と同一性
・西洋のゾンビ、東洋の幽霊
・ゾンビ作品傑作選!


詩と批評「ユリイカ」で、まさかのゾンビ特集!
古典的ブードゥーゾンビからロメロが『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』で確立したモダンゾンビ像を経て、今や全力疾走するゾンビも当たり前な世の中、ゾンビはスクリーンから飛び出して、いろいろなメディアに拡散しています。小説、コミック、TVゲーム、さらにTVドラマで『ウォーキング・デッド』がヒットするなど、その勢いは止まることを知りません。この本は、一般の人々にもその存在を認知させるまでに至ったゾンビを様様な角度から活字で味わえる1冊です。

個人的には『アイアムアヒーロー』の花沢健吾と『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド』のすぎむらしんいちによる、ゾンビマンガ対談、『ウォーキング・デッド』の翻訳者の風間賢二と『ゾンビ映画大事典』でおなじみの伊東美和による対談が読みごたえがあって良かったです。また、後半には、映画、文学、ライトノベルにおけるゾンビ傑作選なんかも紹介されていて、ゾンビ初心者の方にもおススメの内容です。



ゾンビ’99

2014年06月11日 23:12

ゾンビ’99 [DVD]ゾンビ’99 [DVD]
(2000/06/25)
ローラ・シェムサー

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【原題名】SEXY NIGHT OF THE LIVING DEAD
【製作】オスカー・サンタニエロ
【監督】アリス・ティーデ・マッサチェーシ
【脚本】トム・サリーナ
【撮影】アリス・ティーデ・マッサチェーシ
【音楽】ブルート・ケネディ
【出演】ラウラ・ジェムサー、ジョージ・イーストマン、ディルセ・フナリ
1980年/イタリア映画/103分


【STORY】
建築家のジョンは船員のラリーを雇って、愛人のフィオナとともに調査のために小さな島を訪れた。島はほぼ無人で、老人と美しい娘が居るだけだった。彼らはジョンたちに島を去るように警告する。老人の戯言だと無視して居座る3人の前に突如、村人ゾンビが現れて襲いかかる。廃屋でゾンビの群れを撃退したジョンは、浜辺に居た娘に迫るが性器を食いちぎられ絶命、追ってきたゾンビたちに喰われてしまう。何とか島から逃げ出したラリーとフィオナだったが、あまりの恐怖からか精神に異常をきたし、病院に収容されていくのだった。


【REVIEW】
ゾンビとポルノを融合して、ちょいサンゲリア風に仕上げたらこうなりました・・・。イタリアの陽気な職人ジョー・ダマト監督の作品。ダマトは変名を使っていて、脚本も撮影も自分で行ったようだが、肝心の仕上がりは―、真面目に見るにはなかなかつらい1本になっております。

南国の島を舞台にゾンビが襲いかかってくるのは、イタリアンゾンビ映画お得意のパターンですが、フルチの『サンゲリア』と比べると天と地ほどの差があります。その姿を見るだけでも価値があるサンゲリアのゾンビと比べると、本作のゾンビは現地の村人にボロ布を被せただけのお粗末なもの。遠巻きに見ると、ゾンビかホームレスか見分けがつかず、襲ってきても恐怖感が微塵も湧いてこないのが非常に淋しいです。

一応、ゾンビに追われて逃げ惑うシーンや、内臓を喰らうところなど、ホラーチックなところもあるにはあるのですが、それ以外は全編通してほぼエロシーンが占拠しているというのもある意味スゴイ!比率で言えばホラー1割、エロ9割といった感じで、レンタル店のAVコーナーに並んでいても何ら不思議ではない作品です。

それにしても80年代製作の作品に『ゾンビ‘99』っていうタイトルもすごいですよねー。ビデオ・ジャケットの「おはよう、新人類諸君!!」という意味不明のキャッチコピーも、売る気があるのか!?と突っ込みたくなります。とりあえず、「今日はエロ多めで、のんびりゾンビ映画でも見るかー」という奇特な方にお勧めの1本です。

ゾンビ‘99 01

ゾンビ‘99 02



突撃!モンスター映画100

2014年06月10日 22:28

映画秘宝EX 映画の必修科目05 突撃! モンスター映画100 (洋泉社MOOK)映画秘宝EX 映画の必修科目05 突撃! モンスター映画100 (洋泉社MOOK)
(2013/01/23)
青井邦夫、アサダアツシ 他

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出版社:洋泉社
ページ数:256頁
発行日:2013年2月23日
定価:1,200円(本体価格)


“ドラキュラ!フランケン!狼男!巨大怪獣!エイリアン!
火を噴き地を這う大暴れ怪獣映画100本!”

・モンスター映画の歴史
・『アタック・オブ・ザ・ブロック』
 ジョー・コーニッシュ監督が語るモンスター映画の魅力
・大御所モンスター&オカルト
・いにしえの怪物たち
・科学の暴走
・謎の巨大生物
・宇宙からの侵略者
・生ける屍たち
・恐怖の殺人ロボ
・幻想世界


月刊誌映画秘宝の映画の必修科目シリーズ第5弾。ちなみに、このシリーズの趣旨は―
“孤高の映画雑誌『映画秘宝』が、これさえ観ておけば大丈夫!と太鼓判を押す、各ジャンルのマスト100本を厳選したムックシリーズ(季刊)です。主に白帯の映画ビギナーが対象ですが、映画マニアにも温故知新として楽しめる内容を目指しています”
とのこと。

なので、一般の映画ファンでも一度は聞いたことのある有名どころをセレクトした内容。(この前、紹介した『80年代悪趣味ビデオ学』の内容とは180度異なるメジャー路線主体ですね)往年の3大モンスターから、『キングコング』『ジョーズ』『エイリアン』から『ジュラシック・パーク』に『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』『ターミネーター2』まで登場。必修科目なので、定番や名作をはめこんでいくと無難なレパートリーと感じてしまうのは致し方ないところ。ただ、やっぱりマニア諸氏には物足りなく感じるでしょうね。

巻頭のモンスター映画ヒストリーや各コラム読み物は、おもしろいが少々ボリューム不足かな。監督やSFXに携わったスタッフの紹介とかがもう少しあっても良かったかも。あと、写真が少ないのも残念。カラーページが増えるとその分価格が上がってしまうのかもしれませんが、その辺はもう少し頑張ってほしかったですね。




ハロウィンⅡ

2014年06月10日 01:14

ハロウィンII HDリマスター版 [Blu-ray]ハロウィンII HDリマスター版 [Blu-ray]
(2013/11/02)
ジェイミー・リー・カーティス、ドナルド・プレザンス 他

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【原題名】HALLOWEENⅡ
【製作】ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
【監督】リック・ローゼンタール
【脚本】ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
【撮影】ディーン・カンディ
【音楽】ジョン・カーペンター
【出演】ジェイミー・リー・カーティス、ドナルド・プレザンス、ランス・ゲスト、チャールズ・サイファーズ、パメラ・スーザン・シュープ
1981年/アメリカ映画/92分


【STORY】
6歳のとき、実の姉を殺した罪で15年間精神病院に収容されていたマイケル・マイヤーズは脱走して故郷に戻り、ハロウィンの晩に3人の若者を殺害する。さらに女子高生のローリーにも襲いかかるが、駆けつけた主治医のルーミスに銃弾を撃ち込まれて姿を消す。ケガを負ったローリーは病院に送られ手当てを受けるが、その後を追ってきたマイケルによって、医師や看護師が次々に殺されていく。最後に残ったローリーを仕留めにかかるマイケルだが、病院に辿り着いたルーミスによって焼き殺される。だが、マイケルは本当に死んだのか―!?


【REVIEW】
低予算で製作されたにもかかわらず、大ヒットを記録して、その後のスラッシャー・ムービーにも多大な影響を与えたカーペンターの『ハロウィン』。その続編にあたるこの『ハロウィンⅡ』は、前作のラストシーンで、ルーミス医師に6発の銃弾を撃ち込まれて、2階から転落したところから始まります。この後、マイケルの死体は消えていて、マイケルはローリーを追い、さらにその後をルーミスが追いかける展開になります。

今回、カーペンターは製作と脚本に回り、替わりに新鋭のリック・ローゼンタールにメガホンを譲っています。お決まりのテーマに乗ってマイケルがバラエティに富んだ殺害シーンを繰り広げる本作、1作目の何とも言えない静けさに潜む恐怖感のようなものは無くなったものの、その分殺しの派手さが強調され、続編としてはなかなかの出来栄えだと思います。

目ん玉に注射器をブッ刺したり、全身の血を抜き取って殺したり、熱闘に顔面を執拗に押し付けて殺したりと、残虐シーンは大幅にアップ。同時期に活躍していた13金のジェイソンにも、負けない活躍ぶり。加えて、殺しても殺しても死なない不死身度も増していて、マイケルの不気味なキャラクターが強調されています。




80年代悪趣味ビデオ学の逆襲

2014年06月09日 14:47

別冊映画秘宝 80年代悪趣味ビデオ学の逆襲 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)別冊映画秘宝 80年代悪趣味ビデオ学の逆襲 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
(2013/11/18)
山崎 圭司、伊東 美和 他

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出版社:洋泉社
ページ数:237頁
発行日:2013年12月18日
定価:1,500円(本体価格)


“恐怖!アブノーマル・セックス!猟奇殺人!
80年代、レンタルビデオ・ブームのどさくさにまぎれてショップの棚の片隅に潜んでいた奇作、怪作・衝撃作、全部あわせて90本!”

・インパクト勝負!内容はもっとあと!目玉が潰れる悪趣味ビデオ・ギャラリーPART2
・悪趣味ビデオ探究は絶対に終わらない

・第1章 お約束お下劣ホラーの世界
・第2章 ショック!実録&大ボラ満載サスペンス編
・第3章 人殺しアクション!たどり着くのは戦争映画編
・第4章 一緒に観ようよ、激安サイエンス・フィクション
・第5章 パチリック怪獣怪人溶解映画総進撃
・第6章 思わず手が伸びるライト・エロティックものの世界
・第7章 衝撃!変態セックス地獄編
・第8章 ワゴンセールの片隅に埋もれた名作編


前作が思いのほか好評だったのか、1年を開けずして続編が登場。今回も、セレクトした基準は~ビデオソフト化以降、次世代メディアに更新されていない作品~と、少し間口が広がった感がありますが、相変わらずの一般映画ファンが手に取って楽しむ映画ガイドとは程遠い内容。それだけに、この年代に青春時代を過ごした好き者ビデオフリークにとっては今回も楽しめる1冊になっています(若干、80年代から前後しているのが見受けられるのはご愛嬌ということで)。

個人的には、前作に掲載されているものは未見ばかりだったのに対して、今作はちらほら見た記憶があるものが出ていました。また、何本かはDVDになって生き残っている作品もあったりして(『バーニング』もそうですようね!)、幸運な作品もあるようですが、ほとんどが現在では見るのが難しい作品ばかり。映像で見るのは困難でも、私たちの記憶にはバッチリ残っていく・・・。それだけでも、この本は読む価値があります。

『悪魔のいけにえ~レジェンド・オブ・レザーフェイス』『チェンジリング』『面会時間』『ブロブ』『ウルフェン』なんかは、是非DVDでいいので、リリースしてほしいなあ。『未来帝国ローマ』や『食人大統領アミン』も懐かしいです。





80年代悪趣味ビデオ学入門

2014年06月08日 22:30

別冊映画秘宝80年代悪趣味ビデオ学入門! (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)別冊映画秘宝80年代悪趣味ビデオ学入門! (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
(2013/02/04)
伊東 美和、神武団四郎 他

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出版社:洋泉社
ページ数:255頁
発行日:2013年3月4日
定価:1,500円(本体価格)


“1980年代、バブルと共に狂い咲き、後に一掃されてしまった下品で不気味なトラウマだらけのビデオ軍団!
レンタルビデオ店の片隅からも消え去った、誰も振り向かない、「おすすめできない」謎の映画群に迫る!”

・これが目を覆いたくなる80年代下品ビデオ・ジャケットだ!!
・本書をタランティーノとデルモンテ平山に捧げる
・101本目以降の映画にこそ真実はある
・レンタルビデオ、狂乱の時代とは何だったのか
・80年代最狂ビデオガイド
 第1章 イカレた血まみれホラー帝国
 第2章 容赦なき暴力の嵐
 第3章 GOGO! お色気路線~微妙にエッチなビデオたち
 第4章 ショック! 残酷! ヤラセ・ドキュメント!~衝撃の実話集
 第5章 謎の正真正銘カルト物件~よくわからないもの
 第6章 激安SF映画の世界~投げ売りセンス・オブ・ワンダー
 第7章 陽の目を見なかった幻の傑作たち~VHSだけで終わらせることはもはや犯罪だ!



絶対に見なくてはいけない名作映画とは対極に位置する、見ると逆に損したのではないかと思われるくらいの屑映画。そんな映画ばかりを90本集めて紹介している1冊。時代は1980年代、ビデオデッキが一般に普及しはじめ、町にレンタルビデオ店が出現し始めた頃、いわゆる名作映画ばかりがリリースされていたわけではなく、B級やC級さらにはその下に位置するようなわけのわからん内容の映画も続々とソフト化され店頭に並んでいました。そのほとんどは劇場未公開、監督も出ている俳優陣も無名、ストーリーも陳腐なもので、「なんなんだ、これは!?」という珍品も少なくなかったものです。でも、「よく分からないけれども、興味をそそられる」「パッケージの煽り文句は非常に嘘っぽいけれども、実際に見て確かめたい・・・!」というような、なんだか異様な熱いものが存在していたのも事実。そんな作品群が、この本には詰まっています。

紹介されている映画はビデオ止まりで、DVD化されていないものばかり。なので、見たくてもその機会は非常に限られていると思います(果たして、見たくなるかは保証できませんが)。しかし、この90本、私はまともに見たのが1本も無かったのは残念。地方のレンタルビデオ店では、ここまでマイナーな作品はあんまり置いてなかった気がします。それか、あまりにくだらなさ過ぎて見落としていたのか!?いずれにせよ、もうお目にかかることはこの先も非常になさそうな~ある意味貴重な~作品群かもしれません。

ちなみに、表紙のイラストは『テラー・オン・テープ』と『ツール・ボックス・マーダー』、『マルディ・グラの虐殺』、あと1本はなんなんだろう!?うーん、分からん。



↑同じ別冊映画秘宝シリーズで、続編も出ています。

実録殺人映画ロードマップ

2014年06月08日 12:21

別冊映画秘宝 実録殺人映画ロードマップ別冊映画秘宝 実録殺人映画ロードマップ
(2004/03)
柳下 毅一郎

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出版社:洋泉社
ページ数:95頁
発行日:2004年4月15日
定価:950円(本体価格)


・テキサスを震撼させた殺人一家の「恐怖の屋敷」
 『テキサス・チェーンソー』
・呪われたハードコア・ホラー
 『悪魔のいけにえ』
・『テキサス・チェーンソー』トリビア
・GOTHカルト教祖が夢想した「吸血鬼殺人」
・グリーン・リバーで40人以上の女を殺した男の「倒錯」した性
・ワシントンの無差別連続射殺魔が照準を定めた本当の「敵」
・『エレファント』コロンバイン高校虐殺事件
・「自称ネオ」が吹き上がった『マトリックス』ごっこの「代償」

・『BULLY/ブリー』苛めっ子殺しに加担した少年たちの「激安」論理
・『パラダイス・ロスト』連続幼児殺害事件の真犯人が不敵に笑う現代の「魔女狩り」
・『ナチュラル・ボーン・キラーズ』模倣犯たちの「明日なき暴走」
・ピザ配達人の首に「時限爆弾」をはめ込んだ正体不明の男の行方
・「殺人王国」メキシコの神話、300人が次々殺される街
・タイ~総出で行きずりの女をなぶり殺した「殺人村」の恐怖
・タイの犯罪新聞の踊る「狂気」の見出し
・中国~目撃者は1人残らず始末する「65人殺し男」
・中国~「インターネット・カフェ」監獄殺人

・韓国~『殺人の追憶』
 10人の女を殺害した姿なき犯人が消えた「闇」
 インタビュー『殺人の追憶』監督ポン・ジュノ

・マカオ~『八仙飯店之人肉饅頭』死体を饅頭にして売った男の不憫な「末路」
・日本~『丑三つ村』『八つ墓村』殺人記録日本一、
 津山30人殺しの現場に今も漂う「妖気」
・韓国~一夜にして村を阿鼻叫喚の地獄に変えた武装警官の1人ぼっちの「戦場」
・韓国~映画にかぶれて殺人の「世界記録」を目指した馬鹿者たちの夢
・映画俳優・大地義行と僕たち



別冊映画秘宝のムック本。2004年発行だから、もうかれこれ10年前の本です。内容は、実際に起こった殺人事件にインスパイアされて製作された映画や、逆に映画を超越した恐るべき現実社会での殺人事件のルポなど。あと、表紙に電ノコを持ったトーマス・ブラウン・ヒューイットがでかでかと載っていることからも分かるように、当時はマイケル・ベイ製作の『テキサス・チェーンソー』が公開されていて、それとリンクして企画された本なのではないでしょうか。ちなみに、『テキサス・チェーンソー』は巻頭で紹介されていますが、新聞の切り抜き記事を掲載するなどして、実際に起こった殺人事件風になっているのがおもしろいです。

しかし、読んでみてあらためて思うのは、どんな残虐ホラー映画よりも、現実社会で起こっている事件の方が凄まじく恐ろしいということ。映画の中でどれだけ殺人鬼が暴れようともあくまでフィルムの中での絵空事だと考えれば可愛いもので、それよりも日常に潜む現実の殺人鬼の方がよっぽど恐ろしいわけで。日々、報じられる殺人事件の犯人の素顔はいたって普通。自分の身の回りに居る普通の人たちと全く変わらない。それが怖い。人を殺す犯人が皆、怪物やら宇宙人やらこの世のものでないものたちだったら納得もするが、見た目普通の人間の方が恐ろしい。パッと見、殺人鬼かどうかも見分けがつかないし、そのため防ぎようもない。だから、人が人を殺すのは映画の中だけにしてもらいたい。どんな殺人鬼の映画を見て怖がっても、見終わって現実に戻れば「ああ~、あれは全部作り物なんだ」と安心できるのがホラー映画のいいとこなわけで。現実にもリアルな殺人鬼が身近に居たら、シャレになりませんもんね。




その他にも、洋泉社からは似たようなのが出ていますね。


ザ・フォッグ(2005)

2014年06月07日 17:45

ザ・フォッグ [ノーカット版] コレクターズ・エディション [DVD]ザ・フォッグ [ノーカット版] コレクターズ・エディション [DVD]
(2009/07/03)
トム・ウェリング、マギー・グレイス 他

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【原題名】THE FOG
【製作】ジョン・カーペンター、デヴィッド・フォスター、デブラ・ヒル
【監督】ルパート・ウェインライト
【脚本】クーパー・レイン
【撮影】ネイサン・ホープ
【音楽】グレーム・レヴェル
【出演】トム・ウェリング、マギー・グレイス、ラデ・シェルベッジア、デレイ・デイヴィス
2005年/アメリカ・カナダ映画/99分


【STORY】
オレゴン州の小さな港町アントニオベイでは、街の発展に寄与した者たちの銅像が建てられ記念の式典が準備されていた。その頃、海に船を出して騒いでいた若者が惨殺される。不穏な空気が漂う中、街は謎の霧に包まれ始める。霧の中に潜んでいたのは、この町の先祖に皆殺しにされた一行の幽霊だった。幽霊たちは、生き残っていたその子孫に復讐を始める。


【REVIEW】
1979年の『ザ・フォッグ』のリメイク作。オリジナルはもちろんジョン・カーペンターが監督したもの。基本的なプロットや、霧の中から襲ってくるくだりは、ほぼ一緒ながら、繰り返し挿入される100年前の蛮行のシーンが幽霊の復讐の動機として描かれ、その辺は分かりやすくなっています。

しかし、折角霧に紛れて幽霊たちが襲ってくる怪奇映画を目指したのなら、その辺のじわじわーとした怖さを積み重ねていって欲しかった。この辺、カーペンター版の方が雰囲気作りは抜群で、このリメイク版は全体的にあっさりした感があります。一応、霧はCGではないので本物感があって、そこはいいんですが、肝心の襲ってくるシーンがどうしてもイマイチ。うーん、です。

あと、最後のヒロインがいきなり幽霊側に行っちゃって去っていくのは、あまりにも唐突過ぎて半ば唖然。そんな終わり方で良かったんだろうか。主人公も、そりゃビックリするよねー。



ザ・フォッグ01
ザ・フォッグ02



こんなのも出ます、DVD『血まみれ農夫の侵略』

2014年06月07日 01:10

先程、キングレコード発売の“「死ぬまでにこれは観ろ! 」”シリーズのご紹介記事を書きましたが・・・。同じ8月に発売されるもので『血まみれ農夫の侵略』を発見!これも以前、DVDですでに出ていたものでしたが(『サンフランシスコ連続殺人鬼』と2枚セットで2005年に出ていたもよう)、今回新たに1,620円のプライスで登場するみたいです。

血まみれ農夫の侵略 [DVD]血まみれ農夫の侵略 [DVD]
(2014/08/22)
ノーマン・ケリー、タナ・ハンター 他

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以前、発売されていたのはコッチ
↓       ↓       ↓
血まみれ農夫の侵略/サンフランシスコ連続殺人鬼(2 in 1) [DVD]血まみれ農夫の侵略/サンフランシスコ連続殺人鬼(2 in 1) [DVD]
(2005/12/02)
ノーマン・ケリー

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この作品、製作は1971年で日本では劇場未公開、ビデオバブルが始まった頃ににっかつビデオフィルムスから発売されたもので、Z級のレベルというありがたくない烙印を押されつつも、知る人ぞ知るというなんだか不思議な作品。本国アメリカでも“ドライブイン・シアターの悪夢”とか、“クズ映画ファンが探し求めていた映画”とか散々な評価をもらっていたそうです。そんな、消え去ってもおかしくない作品をあえて再発売してくれるなんて、なんという英断。しかし、この発売元の有限会社フォワード ってどこのメーカーさん!?製作のWHDジャパンというところはHPもありますが。でも、こんなマニアックな映画を扱ってくれるメーカーさん、好きですよ!

これはけっこうお買い得かも・・・! 「死ぬまでにこれは観ろ! 」キングDVDセレクション

2014年06月06日 21:33

キングレコードが8月6日に発売するDVD全50タイトル。その名も“「死ぬまでにこれは観ろ! 」キングDVDセレクション”←ナイスなネーミング。

“厳選! 名作から珍品まで、超面白洋画50タイトルをお値打ち価格で一挙再発売! ! ”ということですが、過去にリリースされていた洋画がまとめて復活!!するのであります。気になるのは、その内容ですが、

『愛のそよ風』
『アンチクライスト』
『イディオッツ』
『インフェルノ』
『怪奇! 吸血人間スネーク』
『カラー・ミー・ブラッド・レッド』
『奇跡の海 <無修正 HDニューマスター版>』
『原子力潜水艦浮上せず』
『ゴア・ゴア・ガールズ』
『サスペリア』
『サスペリア・テルザ 最後の魔女』
『ザ・シンガー』
『死の接吻』
『少林寺 アルティメット・エディション』
『少林寺2 アルティメット・エディション』
『白い肌の異常な夜』
『スローターハウス5』
『鮮血の美学』
『ダーティ・ダンシング』
『ダーティー・メリー、クレイジー・ラリー コレクターズ・エディション』
『血の祝祭日』
『血の魔術師』
『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』
『デス・レース2000年 HDニューマスター/轢殺エディション』
『デッドゾーン』
『隣の家の少女』
『ナインハーフ』
『2000人の狂人』
『ハートに火をつけて』
『バスケットケース』
『パニック・イン・スタジアム』
『パパ/ずれてるゥ! 』
『パラダイス・アレイ』
『ハワード・ザ・ダック』
『半魚人の逆襲』
『ハンバーガー・ヒル』
『ビー・デビル』
『人喰猪、公民館襲撃す! 』
『ビフォア・ザ・レイン』
『ヒンデンブルグ』
『ファンハウス惨劇の館』
『プッシャー』
『プッシャー2』
『プッシャー3』
『ヘル・レイザー』
『ヘルレイザー2』
『ヘルレイザー3』
『マーターズ』
『屋敷女』
『ヤングガン』
・・・以上、50タイトル。
さすがに50本となると壮観ですが、嬉しいのはホラーな作品がけっこう多いこと。ざあーっと、気になるタイトルを抜き出してみると、アルジェントの『サスぺリア』『インフェルノ』『サスぺリア・テルザ 最後の魔女』、H・G・ルイスの『カラー・ミー・ブラッド・レッド』『ゴア・ゴア・ガールズ』『血の祝祭日』『血の魔術師』『2000人の狂人』、クローネンバーグの名作『デッドゾーン』、フーパーのフリークスもの『ファンハウス―惨劇の館―』、そしてヘルレイザー3部作、『マーターズ』に『屋敷女』、『バスケットケース』に『鮮血の美学』もあるし、とどめは『怪奇!吸血人間スネーク』!(余談ですが、私は小学校の頃に持っていたケイブン社のホラー大百科か何かに掲載されていた、この『怪奇!吸血人間スネーク』のヘビ人間のスチル写真があまりにも強烈すぎて、かなりの間トラウマになっていました。大人になってから、テレビで改めて見直ししたらそれほど怖くは無かったが、あの写真のインパクトは絶大でした・・・)

特に特典が増えましたとか、画質が向上したとかはないようですが、これだけホラー作品がまとめてリリースされるのは嬉しいことだし、さらに良心的なのは価格が全て1,900円に設定されていること!(税抜本体)以前出ていたものでは4,000円以上で出回っていたものもあったりして、それを考えると半値以下。amazonなんかだと、さらに割引されて1,500円程度で販売されているので、割安感はかなり高いです。しかも、対象商品3枚買うと、1枚サービスなんてキャンペーンもあったりなんかして、なんとお買得!!

買い逃していたものがあれば、この機会にまとめて購入しておくのもいいですね。





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