2014年12月27日 01:17

【原題名】BEYOND THE DARKNESS
【監督】ジョー・ダマト
【脚本】オッタヴィオ・ファブリ
【撮影】アリステッド・マサセッシ
【音楽】ゴブリン
【出演】キーラン・カンター、シンツィア・モンレール、フランカ・ストッピ、サム・モデスティ、アンナ・カルディーニ、ルチア・デリア
1978年/イタリア映画/91分
【STORY】
富豪の青年フランチェスコには婚約者の美しい女性アンナが居たが、病死してしまう。悲嘆に暮れたフランチェスコは、埋葬されていたアンナの死体を盗み出して防腐処理を施し自宅に保管する。その最中をヒッチハイカーの女性に目撃されたフランチェスコは衝動的に殺してしまうが、屋敷に住み込みで働く家政婦のアイリスは、何も言わず死体の処理に協力するのだった。
その後、街で見かけた若い女性を連れ込んでは殺していくフランチェスコと、その始末を嬉々として行うアイリス。次第に精神を病んでいくフランチェスコは、彼の財産を狙うアイリスの求婚の申し出を受け入れる。すべてはアイリスの思惑通りに進んでいくのかと思われたころ、屋敷に若い女性が訪ねてくる。アンナと瓜二つのその女性は双子の妹のエレナだった。エレナに心奪われるフランチェスコ。それを見て逆上するアイリス。殺人を重ねて繋がっていた二人の関係は、破局へと向かって行く。
【REVIEW】
ゾンビ、殺人鬼、バンパイア、悪魔、モンスター・・・。ホラー映画にはいろいろなジャンルがありますが、その中でもマイナーな部類なのがカニバリズムとネクロフィリアだと思います。かたや、人間が人間を喰う映画、かたや死んだ人間を愛好する映画。どちらもタブーなラインを大幅に超えてますが、より陰惨でアンモラルなのは後者の死体愛好家でしょう。本作の主人公は、死んだ恋人が忘れられず、趣味でやっていた動物剥製製作の経験を活かして恋人の死体を剥製化し、自宅に置いて生活していくという、なかなかの変態さんです。
恋人の死体は生前の美しさを保ったままいてくれるものの(多少、血の気のない顔をしてますが)、動いてはくれず反応は無い。そのうち、主人公は若い女性を自宅に連れ込んでは結局殺してしまいます。この下りがやっぱり変で、ベッドで抱き合っている最中に、隣で横たわっている恋人の死体をわざわざ見せつけたりするもんで、女性はドン引き!!(当たり前!)騒がれて、殺してしまいますが(しかも、喉元に噛みついて頸動脈を食いちぎるというワイルドさ!)、そりゃそうなりますわな。何がしたかったんでしょう。最初の、ヒッチハイカーを殺す場面でも、絞殺する前にわざわざ生爪を一枚一枚引きはがしてから殺したりと、その行動一つ一つがどうも一般人とは違うのかもしれません。恋人を剥製化する処理の最中にも、臓物にかぶりついていて、なかなか真似できるものではありません。
しかし、それよりも変人なのが家政婦のアイリス。フランチェスコの作った死体をてきぱき処理していく恐ろしい家政婦です。ヒッチハイカーの場合はドデカい包丁で死体をバラバラに刻んで酸で溶かした後バケツで運んで庭に埋めるんですが、切断するときの迷いのない顔つきが冷静過ぎて怖い!フランチェスコはおどおどしてるのに。その後、バケツでドロドロになった液体を庭に埋め、作業後は死体汁によく似たカレーをガツガツ食べます。平然と。さらに、ジョギングしていて連れ込んで殺された女性は、丸ごと火あぶりで焼いちゃったりと、平然と処理していく姿が恐ろしいです。もともと、恋人が死んだのも、この家政婦が邪魔者は死んじまえ!とばかりに呪い殺したのが原因だし、財産目当てで協力していたわけだから、やっぱり女性は恐ろしいということなんでしょうか。
こんな映画を撮ったのは、あのジョー・ダマト。とんでもない作品ばかりを作っていた感のあるダマトからすれば、意外にまともに見れるのがこの作品。ストーリーの流れ、ゴア描写、アクの強いキャラクターなど、なかなか良くできた作品と言えます。まあ、一般の人にはとてもおススメ!とは言いにくいけど、見終わった後の充実感はけっこういいです。エグイ場面に流れるゴブリンの美しい旋律もポイント高し。しかし、残念ながらこれもビデオが廃盤になって以降、リリースされておらず、見る手段が限られているのが難点。是非、再販してほしい映画の1本です。


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