〈映画秘宝〉激動の20年史

2015年05月25日 17:48

出版社:洋泉社
出版年月:2015年6月11日発行
ページ数:288頁
定価:1,500円(本体価格)


“破顔一笑、怒り心頭! 創刊からのベスト&トホホ10を再録した永久保存版!”
・町山智浩×柳下毅一郎 FBBが語る映画と秘宝の20年
・ホラー、アクション、SF・・・・・ジャンル映画に訪れた変化
・貴重インタビュー完全再録!


創刊20周年を迎えた映画雑誌『映画秘宝』のメモリアルブック。年代は1995年~2015年になり、その間の年間ベスト10とトホホ10も収録されていて、まとめて見返すには便利で非常にありがたい。ある意味、映画秘宝年鑑みたいな作りで、これを見るだけでも買う価値はあると思います。うちも2003年くらいから、買い続けているので、探せば見直せるのだけれども、こうやって年度別にまとめてくれると当然見やすくなっていて便利なわけで、雑誌だといちいち「どの号だったっけ!?」と探さなければいけない時間が必要なので、その時間が削減できるだけでも買うメリットはあるはずです。

もちろんそれ以外にも、創刊当時の裏話や、各年代の映画界の出来事が語られていたり、テレビ東京『午後のロードショー』の関係者インタビュー、タランティーノやロメロ、スタローンやクローネンバーグらのインタビューの再録も収録されている。ホラー映画関連では、ジャンル別20年史として4ページほど解説があり(筆者は、江戸木純氏)、Jホラーの隆盛と世界進出、POVホラーの席巻、リメイクしまくるハリウッド、そしてゾンビ映画の爆発的な製作状況などが綴られている。

ただ、最初にも書いたけれども、本書の使い方は、やっぱり年代別に当時を振り返ってみたり、秘宝的にどんな映画が話題になっていたかを調べたりするのに向いているので、死霊的な・・・じゃなくて資料的なものだと思うべきでしょう。個人的には、年鑑とかデータとかを見るのが好きなので、こういう作りの本は歓迎です。巻末の映画秘宝から発売された書籍やムックの刊行データなんかも「こんなん出てたんか~」と思っておもしろいですね。

それにしても、20年もよく続いているなあーと感心するのが本当のところ。他の映画雑誌では絶対とは言わないまでも、ほとんど話題にも上がらないようなジャンル映画にもスポットを当て、取り上げ続けているのは本当に感心しますし、今後もそのスタンスは取り続けてやっていってほしいです。この20年のうちに休刊・廃刊になった雑誌も多く、出版物には明るい未来があるとは決して言えないけれども、是非とも頑張って出し続けて、また30周年、40周年を迎えれたらいいですよね。私も、この映画秘宝だけはず~っと買い続けていこうと思います。




死ぬまでに見なければいけない作品はまだまだあります

2015年05月24日 23:32

昨年もリリースされていたキングレコードの「死ぬまでにこれは観ろ!」と銘打たれたDVDシリーズ。昨年は50本だったのに対して、今年も発売される同シリーズ「続・死ぬまでにこれは観ろ!」は倍の100本がラインナップ!ヒットした有名作品だけでなく、カルト作品(特にホラーというジャンル自体がマイナーな扱われ方をしていますが)にも力を入れているのが特徴で、今年はブルーレイも追加されているのも朗報です。

で、気になるホラージャンルの作品はどうかなんですが―、

『悪魔の毒々モンスター』
『共喰山』
『リヴィッド』
『ラブド・ワンズ』
『ヘル・レイザー』
『ヘル・レイザー2』
『ヘル・レイザー3』
『ファンハウス 惨劇の館』
『トールマン』
『スペイン一家監禁事件』
『ABC・オブ・デス』

とこんなところ。同作品でDVDとBDの両方発売のものもあれば、DVD単品発売のものもあり、また、昨年も出ていて再び今回入っているものもあります。ただ、正直な感想を言えば、昨年のラインナップよりもスケールダウンしている感は否めず少々残念。同シリーズのHPを見れば、ホラー以外のジャンルが充実しているのが良くわかり、まあ、同じ趣向で出しても目新し感がなく、目線を少し幅広いユーザーに向けたのかもしれません。

あと、紹介文に「権利期間によっては、死ぬ前に観れなくなる(買えなくなる)可能性のある作品もあり、やっぱり死ぬまでにとは言わず、今すぐ見るべき作品なのは間違いありません。」とありますが、これは大袈裟な話ではなく、将来新品では発売されなくなって、手に入れるのが困難になる可能性はあるので、買えるうちに買って見ておきましょうというのは正論。まあ、この作品らはまっさら消え去ってしまうことはないでしょうが、VHS時代に乱発されていた超マイナーなホラー作品などは、ほんとに今見ようと思っても本当に難しいものがあるので、善は急げということで。



ザ・ベイ

2015年05月20日 22:10

ザ・ベイ01

【原題名】THE BAY
【製作】バリー・レヴィンソン、ジェイソン・ブラム、スティーヴン・シュナイダー、オーレン・ペリ
【監督】バリー・レヴィンソン
【脚本】マイケル・ウォラック
【撮影】ジョシュ・ナスバム
【音楽】マーセロ・ザーヴォス
【出演】ウィル・ロジャース、クリステン・コノリー、ケッテル・ドナヒュー、フランク・ディール
2012年/アメリカ映画/84分


【STORY】
チェサピーク湾に面した港町クラリッジ。2009年の独立記念日のお祭りを取材に訪れていた記者のドナは当時の忌まわしい記憶を思い出しインタビューに答えていく。養鶏の盛んな同町では大量の糞の海洋投棄が環境汚染を引き起こしているのではないかという疑いがあり、海洋学者らが調査を行い町長らに警告をしていたが、町はそれを黙殺していた。その後、学者らの死体が発見されるが、体には内部から食い荒らされたような跡があった。

7月4日、お祭りムード一色の町を取材中のドナたちは住民たちの異変に気付く。体調不良の患者が病院に押し寄せパンク状態になり、通報を受けて駆け付けた警察官はもがき苦しむ住民を多数発見する。やがて、原因が海水に潜んでいた突然変異した寄生虫であることが分かるが、時すでに遅く、町は体中を食い荒らされ息絶えた住民の死体で溢れかえっていた・・・。


【REVIEW】
小さな港町が寄生虫の群れに襲われ壊滅していく様を淡々と撮ったファウンドフッテージ・スタイルのホラー映画。公の場から姿を消していた映像を集め、当時取材していた記者のインタビューを付け加え、ドキュメンタリータッチの重々しい映像に仕上げてあり、リアリティー感はなかなかのもの。この手のパニックものにありがちな、原因を突き止めて解決を図るような登場人物はおらず、出てくるのは被害を受けた生々しい人間ばかりで、見終わった後もどよーんとした重いものが残り、爽快感などは微塵もない内容になっている。

ただ、原因が寄生虫で環境汚染で変異したという設定なのはいいが、途中から出てくる巨大なワラジムシ(※ダンゴムシの親戚みたいなやつです)を見ると、リアリティー感が弱冠薄れてしまうのは惜しい。昔あった巨大生物ものみたいな匂いがして、これはこれで楽しいのだが(生きている人間の体を食い破って出てくる場面とか)、クライマックスで寄生虫の大群と一大決戦!!みたいな下世話な展開を期待したのに、そういうのが一切なく、淡々と終わっていき、その辺が物足りなかったかも。

あと、見終わってから気づいたが、監督のバリー・レヴィンソンて、『レインマン』とか撮ってた監督だったんですね。私はてっきり、若手の駆け出しの無名監督が撮っているのかと思ってたので、これはこれで意外でした。

ザ・ベイ02



96時間/レクイエム

2015年05月20日 00:41

【原題名】TAKEN 3
【製作】リュック・ベッソン
【監督】オリヴィエ・メガトン
【脚本】リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン
【撮影】エリック・クレス
【音楽】ナサニエル・メカリー
【出演】リーアム・ニーソン、フォレスト・ウィテカー、ファムケ・ヤンセン、マギー・グレイス
2014年/フランス映画/109分


リーアム・ニーソン演じる元特殊工作員のブライアンが別れた妻と娘を守るため、あらゆる手を使って暴走する様を痛快に描いたシリーズの3作目。一応、完結篇と銘打たれています。1作目では、娘のキムがフランス旅行中に人身売買組織に拉致られ、少ない手がかりを元に自分の持つ工作員のスキルを使ってキムを救い出し、2作目ではトルコで家族3人で休暇中、前作でブライアンに息子を殺された親父が組織を率いて復讐に現れるものの、結局ブライアンに返り討ちに遭い全滅、どちらも家族を守るためならどんな手を使ってでも~敵対する者は殺しまくっちゃっても~やり通す、その潔さがある意味痛快なシリーズでした。

で、この3作目では、いきなり元妻のレノーアがブライアンの部屋で殺されていて、自分はその殺人容疑で追われる羽目に。警察に追われながらも、真犯人を探すブライアンだが、娘のキムにも魔の手が伸びる。彼は最愛の娘を守り切れるのか―。大まかにはこんな感じですが、正直、出来は前2作に比べるとパワーダウンは否めない。舞台が海外ではなく、地元アメリカだからか、どことなくのんびりした(リラックスした!?)感があって、緊迫感に欠けるのがあるのと、ブライアンの特殊スキルの見せ場(例えば、少ない物証からでも、犯人を捜し出す方法や、爆発音から居場所を特定する方法など)が減ってしまっているのが残念。ロシアマフィアのアジトへの突入場面もただのドンパチになってしまっていて、もう少し工夫もほしかった気もします。まあ、この辺、3本目になってきてやっぱりマンネリ感が出てしまったんかもしれません。

それでも、家族を守るためなら何でもやってしまう(法律なんてクソくらえ!)、ある意味潔さとも取れるブライアンの暴走ぶりが微笑ましくも楽しかったので、シリーズ終了かと思うと残念。主要キャラのレノーアも死んじゃったんだけど、最後は孫が生まれるかも・・・という感じで終わったので、個人的には相変わらず「家族も増えて、これから増々守るためなら何でもやるぜー!」というスタンスで作り続けてほしいなあ・・・と思う次第です。

96時間

96時間 リベンジ



キャビンフィーバー

2015年05月13日 12:46

キャビンフィーバー02

【原題名】CABIN FEVER
【製作】ローレン・モウス、サム・フローリック、エヴァン・アストロフスキー、イーライ・ロス
【監督】イーライ・ロス
【脚本】イーライ・ロス
【撮影】スコット・ケヴァン
【音楽】ネイサン・バー、アンジェロ・バダラメンティ
【出演】ライダー・ストロング、ジョーダン・ラッド、ジェームズ・デベロ、セリナ・ヴィンセント、ジョーイ・カーン
2002年/アメリカ映画/92分


【STORY】
森の中のキャビンでバカンスを楽しみにやってきたポール、カレン、バート、マーシー、ジェフの若者5人組。羽目を外して騒いでいる中、全身血だらけの男が助けを求めてやってきた。その異様な風貌に恐怖を感じた彼らは、何とか男を追い払おうとして誤って男に火をつけてしまい、男は火だるまになって森の中に消えていった。翌日、カレンが体調不良を訴え、体中から血が噴き出してきた。あの男から謎の病気に感染したのではと疑うポールらは、カレンを隔離、近隣に助けを求めようとするが、ちょっとしたいざこざから地元民からも命を狙われる羽目になってしまう。


【REVIEW】
後に『ホステル』シリーズでブレイクする新鋭イーライ・ロスの監督デビュー作。森の中の一軒家を舞台に謎の病原菌の感染と若者たちが戦う低予算ホラーだが、飛び出す血しぶきの量も多くてゴア度はなかなかのもの。それでも、陰湿な雰囲気はなく、ひたすらライトで能天気な作風は、この監督ならではのものでしょうか。ラストの感染拡大を予感させる暗いエンディングにも関わらず、明るい音楽が流れて終わっていくのも、ブラックで悪くない(ただ、見終わっても、何も残らないスカッとした感じですが)。

山奥の小屋+若者5人組+休暇でバカ騒ぎ=というフォーマットはサム・ライミの『死霊のはらわた』を連想させるが、そのほかにも、往年の70年代・80年代ホラーを連想させるネタがちらほら。これはイーライ・ロスの趣味でオマージュ的な映像なんだろうが、今の年代の観客には「果たして何人が気づくだろうか?」と思ったりもするが、これはこれで楽しいもの。それにしても、見知らぬ土地でもめるとロクなことがないということ。前に『悪魔のいけにえ』あたりで書いたような気もしますが、田舎でよそもんが来てトラブルに巻き込まれるというのはある意味ホラー映画の定番ですが、この『キャビンフィーバー』でも、予想通りの展開に。息子を感染させられたと思った父親は猟銃かついで仲間と報復に来ちゃうし、地元の病院は患者をたらい回しにして、保安官はやる気が全くない。現実はこんなことはないと思いたいが、この手の映画を見ていると、見知らぬ土地へ旅行に行くのが怖くて怖くて仕方がなくなってしまうのは私だけでしょうか。少なくとも、川の水は安易に飲んではいけないということは分かりました・・・。


キャビンフィーバー01



機動警察パトレイバー THE NEXT GENERATION  首都決戦

2015年05月13日 03:22

毎年G・Wなんて文字通り“アッ”という間に過ぎてしまい、大したこともせずに終わっていくのがほとんどなのですが、今年は珍しく映画を見に行ってきました。で、何を見てきたかというと『パトレイバー』の実写版、『~THE NEXT GENERATION  首都決戦』。

もともと、この日は別の用事で友達と出かけていたのが、時間に余裕ができてしまい、「じゃあ、映画でも見ていくか」ということになり、「じゃあ、今何やってるの」で、調べていってタイトルを挙げていくと「じゃあ、パトレイバーでも見ていくか」ということになり、鑑賞してきた始末。

全く、見る予定に入っていなかったので、予備知識も無かったのでどんな内容かも知らずに見に行ったんですが(実際、劇場に着いたのも始まる5分前くらいで、こんなにギリギリに入ったのも久しぶりでした)、見終わった結果は、まあなんとも懐かしかったという感じ。

実写版が映画化されるのはCMで知っていたけれども、その前に同じキャストでシリーズ化されていたことは知らなかったし、予備知識なしで見たので~悪いけど、それほど期待していなかったというのが本音です~、日本で実写化したら、こんな感じなんだろうな~というか、むしろ頑張ってたほうかな~というのが率直な感想。ストーリーはホント何十年か前に見たアニメ版の劇場版2作目の焼き直しのようだったし、キャラクターも名前やらキャラ設定は多少もじってはあるものの、旧作と同じようなメンバーだし、物語に素直に入りこめたのは良かったが、逆に考えれば、アニメ版を楽しんでいた世代には受け入れられるけれども、それを見ていない世代には「さっぱり分からん」のでは!?と心配になったのも事実。これを見たのはG・Wの5日の19時台だったが、劇場内はガラガラで(自分たちを入れても10人足らず)、正直製作費をペイするのは無理だろーなーと要らぬ心配すらしてしまいました。やっぱり、ターゲットは往年の懐かしいと感じる世代向けの作品なんでしょうなあ・・・。

戦闘ヘリの描写は悪くないなあ、と感じたが、肝心のイングラムの稼働シーンはやっぱり物足りなさが残ったのが本音です。「機体の老朽化で、3分しか駆動できない」という説明がなされるものの、どう考えても「製作費の関係上、最後の3分しか見せれません」と言ってるようにしか聞こえず、この辺スケールでは圧倒的にこじんまりとしてしまう日本映画の限界を感じざるを得ませんでした。じゃあ、それ以外のところで楽しませてくれればよかったんですが、特車二課の突撃シーンが一番目立ったものの、それ以外はやっぱりイマイチ。同じ内容でもアニメ版ではあれだけ楽しめたのに、実写化してしまうと、なんともこじんまりしたスケールの小さい内容になってしまうのは何故なんでしょう。「首都東京を人質にとった」と言われても、ごく一部の地域でしか起こっていない事件に見えてしまうのも、やっぱり迫力不足なんでしょうねえ。

まあ、そんな日本映画の弱点や課題ばかりあげても、可哀想なもんで、リアルタイムで見ていた我々世代にとっては、劇場で鑑賞できたというのが良かったわけで、内容云々よりも、同窓会的な気分で楽しめました、というのがこの映画版の一つの見方なのかも知れません。それにしても、続編もまだあるのかな!?


ゾンビ サスぺリア版

2015年05月07日 23:45

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【原題名】DAWN OF THE DEAD
【製作】リチャード・P・ルービンスタイン、クラウディオ・アルジェント、アルフレッド・クオモ
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【脚本】ジョージ・A・ロメロ
【撮影】マイケル・ゴーニック
【音楽】ゴブリン、ダリオ・アルジェント(オリジナル版)
【特殊メイク】トム・サヴィーニ
【出演】デビッド・エンゲ、ケン・フォーリー、スコット・H・ライニガー、ゲイラン・ロス


【REVIEW】
1980年、木曜洋画劇場で当時目玉としてされたロメロの『ゾンビ』のTV放映。しかし、実際に放映された内容は、残酷シーン大幅カット、そして劇場公開時で流れていたゴブリンのBGMは一切使用されず、代わりに『サスぺリア』のBGMが使われていた・・・。同じゴブリンとはいえ、全く別の映画である『ゾンビ』に『サスぺリア』の曲が流れているのは違和感甚だしいし、今からすれば考えられない話ですが、なぜ、そうなってしまったかは、DVD『ゾンビ 新世紀完全版 5枚組DVD-BOX』付録の冊子に詳しく記述されているので、持っている方はもうご存知でしょうが、意図的なものではなく、製作時間がなかった、サントラが用意できなかった、など予期せぬアクシデントが重なり出来上がってしまったとのこと。そんな“珍ヴァージョン”な本作ですが、作品が作品なだけに、30年以上たった今でも話題に上ることがあるわけです。

ほかにも、TVサイズに収めるためと、ゴールデンタイムで放映するため残酷シーンは軒並みカット!プエルトリコ人が住むアパートをSWATが強襲する場面や、クライマックスの暴走族がゾンビに内臓を抉り出されるシーンなんかはまるまる無くなり、何が何だかよくわからん流れになってしまっています。その他にも、残酷シーン以外でもバシバシカットされていて、ある意味テンポの良さはアルジェント監修版よりもリズミカル!その代わりに、冒頭の惑星イオスの爆発シーンは収録されていて、TV中継の場面でも、学者が「惑星の爆発により宇宙線が降り注ぎ、その影響で死者が甦り・・・」という日本独自の解釈が展開される羽目になっています。また、唐突に挿入されるタイトルが『ゾンビ 地球SOS 死者が甦った日』というのも、レトロさが滲み出ていて、なんとも言えない哀愁さえ感じさせてくれています。

TV放映までの製作時間がタイトだったためBGMが差し替えられたのが最大のトピックですが、それ以外にもオリジナルから変わっている個所はけっこうあります。特に気になるのは、銃声とタイプ音。TV中継で画面下部に流れるテロップのタイプ音がありえない効果音に変わっていて、思わずギャグ!?かと耳を疑ってしまうほど。しかもそれが何度も続き、笑ってしまいます。また、ピーターのテニスの壁打ちの場面でのボールの跳ねる音もこれまた気の抜けたありえない音に!音響担当者は本当にホラー映画だと分かっていて使用したのか、一度聞いてみたいところ。かなり笑えます。

極めつけはラストのピーターとフランのセリフでしょうが、こんなヴァージョンが日本に存在していたのかと思うと、驚きを通り越してある意味微笑ましく思ってしまうほど。時代が生んだ珍ヴァージョンですが、改めて本家『ゾンビ』の偉大さを感じさせてくれたわけで、ソフト化されることはないでしょうが、記憶のどこかに留めておいてあげるべきでしょう。







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