
【原題名】PIECES
【製作】スティーヴ・ミナシアン、ディック・ランドール
【監督】ファン・ピケール・シモン
【脚本】ディック・ランドール、ジョン・シャドー
【撮影】ジョン・マリーン
【音楽】リブラド・パストール
【出演】クリストファー・ジョージ、エドマンド・パードム、リンダ・デイ、フランク・ブラナ、イアン・セラ、ポール・スミス
1982年/スペイン=アメリカ映画/85分
【STORY】
大学のキャンパスで女子学生が殺される事件が立て続けに起こる。凶器はチェーンソーで、遺体は切り刻まれたうえ、一部が持ち去られていた。警察は学校に協力を求め、囮の捜査員も派遣するが、犯人はあざ笑うかのように犯行を重ねていく。犯人は幼い頃、ヌードパズルで遊んでいたのを母親に咎められ、逆上して斧で叩き殺したがそれを隠したまま大人になり、今再び本物の人間のパーツでジグソーパズルを完成させようとしていたのだった。
【REVIEW】
唸るチェーンソーと美女の絶叫、そして飛び散る血しぶき。ストーリーは二の次ながらも残酷描写はこの時代の他作品と比べても非常にレベルの高いスラッシャー・ムービーの傑作。時代的に『
13日の金曜日』や『
バーニング』の影響を受けたかに思えるが、実際はマリオ・バーバの『
血みどろの入り江』の系統らしく、言われてみればアメリカが舞台ながらヨーロッパのジャーロ的な雰囲気の方が強い気もします。とにかくタイトル通り、チェーンソーで襲ってくるわけですが、首や腕など人体が切り刻まれていくのを惜しげもなく見せてくれ、飛び散る血糊の量も申し分ないボリュームで、この出し惜しみしない精神は拍手喝采もの。この手の映画で出来の悪い映画は、肝心の切り刻むシーンになると、いきなり場面が変わったり、気が付くともう殺されていたりと、直接的な描写を避けたりしがちですが、そんな心配は皆無。殺しの場面を見せないで何がスプラッターじゃい!と言わんばかりのゴアシーンの連発は本当に素晴らしい限りです。
加えて言うならば、殺される犠牲者も女性ばかりでしかも美女揃いで言うことなし。普通、不細工なオネーちゃんが一人くらい混ざっていてもおかしくないのですが、本作は殺される方々にハズレなし!しかもプールやシャワー室で襲われたりとヌードシーンも多く、こっち方面のサービス精神も抜かりなくあります。85分と短めのランニングタイムなのに、エロ・グロ・エロ・グロと畳み掛けるような感じで、まさB級テイスト全開、とてもゴールデンでは放送できない、素晴らしい出来栄え!
あえて弱点を挙げるならば、先に述べたようにストーリー部分の弱さで、犯人探しは本当に適当、これだけ殺人事件が起こっているのに捜査にあたっている警察は数人しかでてこないし、アルバイトで協力してもらった学生が先に犯人を見つけ出す始末。クリストファー・ジョージ演じる警部は「何とかしろ!」と部下に怒鳴るが、自分は一向に手掛かりを得られず仕舞い。行き当たりばったり感は半端ないが、そんなことを気にする人は多分この映画を進んで見ることはないと思うので、気にするほどではないと思います。
なお、今回リリースされたBDには米国劇場公開版とディレクターズカット版の2種類を収録。また、特典ディスクにはポール・スミスや監督のロングインタビューも収録されていて非常に豪華な内容。ファンならずともぜひともコレクトしておきたい必見の1本!



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