ゾンビアス

2017年03月31日 12:17

ゾンビアス05

【原題名】ZOMBIE ASS: TOILET OF THE DEAD
【製作】宮田昌広、成田尚哉、平田樹彦
【監督】井口昇
【脚本】村田青、継田淳、井口昇
【撮影】長野泰隆
【音楽】福田裕彦
【出演】中村有沙、菅野麻由、護あさな、優希、ダニー、岸建太朗、亜紗美
2011年/日本映画/84分


【STORY】
妹を自殺で失ったことに自責の念を感じていた恵は、気分転換にと先輩の亜矢に誘われ、真希、タケ、直井の5人で山奥のキャンプに出掛ける。道中、人里離れた山中で不気味なうめき声をあげる男に襲われたタケは指を食いちぎられ、廃屋に避難する。腹の調子がどうも悪い真希はトイレにかけこむが、そこに汚物まみれのゾンビが現れ一行に襲い掛かってくる!普段から格闘技の訓練を欠かさずにいた恵はゾンビの群れを撃退し、危機を脱するが、廃屋に現れた医者の男にゾンビ発生の原因が寄生虫によるものであることを聞かされる。


【REVIEW】
『片腕マシンガール』『ヌイグルマーZ』などで知られる井口昇監督の、エロ・グロ・アクション・変態要素などを混ぜこぜに詰め込んだ異色のゾンビ映画。若者5人組がキャンプに行った山奥でゾンビに襲われるというありきたりなパターンながら、襲ってくるところが便所の中から(サブタイトルが、“TOILET OF THE DEAD”!)というのがいやはやなんともで、しかも全員汚物まみれで、おそらく映画史上一番バッチいゾンビではないかと思えるくらいの姿(別の意味で、フルチのゾンビを超えている)。ゾンビの群れはいい雰囲気ながらも、その体にまとわりついたモノが色といい質感といいリアルで、食べながら鑑賞するのは非常に困難な映画となっています。

ただ、ゾンビの発生原因が寄生虫で、さらにそれを村に持ち込んだのが医者だったということが分かった以降の後半は趣も変更。ケツからパラサイトを生やした村人ゾンビとの格闘、医者の娘とのナイフバトル、そしてパラサイトラスボスとの最終決戦まで、ホラー要素よりもアクション風味が勝っているのは好みの分かれるところでしょうか。しかし、主演の中村有沙のアクションが本格的で、アクションシーンが決まっているのが心地よく、この展開にしたのは良かったと思います。

まあそれにしても、観終わって感じるのは、よくまあここまでお下劣要素をぶちこんだなあ~というところ。村人ゾンビがパラサイトに操られて尻から襲ってくる滑稽な姿や、ウ○コまみれのゾンビの風貌にあきたらず、主要キャラの女優陣にもオナラをバンバン出させるは、さらに全員尻丸出しにさせ、トコトンASSにこだわったところはある意味潔さすら感じます。いやー、素晴らしい役者根性です。しかし、こんなにお下劣要素に溢れているのに、それでお腹が一杯にならないのは、中村有沙の制服姿が大きい。「なんで山奥のキャンプにセーラー服で来てるん!?」と最初は違和感があったが、汚物まみれのゾンビたちに立ち向かっていく彼女の姿がある意味ヒーローのように(ヒロインだけど)見えてきて、このセーラー服の清純さや美少女のオーラのようなものが、お下劣要素を絶妙に中和したんじゃないかと感じます。セーラー服、恐るべしです。

ただ、観る人を選ぶ映画であることは間違いなく、一般受けは難しいでしょうが、個人的には「こういうのもアリ」だと思えるので、興味のある方は迷わずどうぞ。特に、セーラー服ヒロインの中村有沙とビッチ友達役の護あさなの姿を見るだけでもこの映画は価値ありだと思います。


ゾンビアス03

ゾンビアス01

ゾンビアス06

ゾンビアス07



クロユリ団地

2017年03月30日 07:59

クロユリ団地03

【製作】鳥羽乾二郎、井坂正行、寺田篤、秋元一孝、藤岡修
【監督】中田秀夫
【脚本】加藤淳也、三宅隆太
【撮影】林淳一郎
【音楽】川井憲次
【出演】前田敦子、成宮寛貴、勝村政信、西田尚美、佐藤瑠生亮、田中奏生
2013年/日本映画/106分


【STORY】
古びたクロユリ団地に引っ越してきた明日香は、母親に挨拶に行ってきてほしいと頼まれ、向かいの部屋を訪ねるが、ドアは僅かに開いていたが誰も出てこなかった。壁伝いに聞こえる何かの音が気になる中、再び部屋を訪ねた明日香は老人が孤独死しているのを発見する。ショックを受けた彼女は、遺品整理にきていた業者の笹原に悩みを打ち明ける。情緒不安定になった明日香を気遣う笹原は再び団地を訪ねるが、部屋には明日香一人が放心状態で居た。実は、数年前に彼女以外の家族は交通事故で死亡しており、親戚の家で暮らしていた明日香は自立するため、この団地に一人で越してきたのだった。彼女が老人の霊に取りつかれているのではないかと考えた笹原は霊媒師に相談するが、原因は別にあった。明日香が越してきてから親しくなっていたミノルという少年が居たが、ミノルは13年前にかくれんぼをしている最中焼却炉に閉じ込められてそのまま事故死していたのだった。

【REVIEW】
企画:秋本康、監督:中田秀夫、前田敦子と成宮寛貴のW主演のサスペンスホラー。主役の2人がそれぞれつらい過去を引きずっており、そこにつけこもうとする霊との対決を主軸にストーリーが展開していく。・・・はずだが、出来栄えは・・・。前田敦子の演技が及第点かどうかはさておき、「どーしたんだ!?中田秀夫??」といいたくなるような演出には終始疑問符が。孤独老人の発見のくだりはいい雰囲気だったのに、その後は盛り上がることなく終了。元凶であるミノル少年がなぜか怖くなく、「これで終わってしまうの???」というラストに唖然。テレビの2時間ドラマならこれでもいいけれど、お金を払って劇場に見に行くのはちょっとためらってしまう内容としかいえません。中田監督にも、舞台が老朽化した団地で、恐怖体験をするというのはすでに10年前に『仄暗い水の底から』でやっているのに、それを越えるものを出さないでどうするの!?と思わず突っ込んでしまうような・・・。残念。


クロユリ団地02

クロユリ団地01


貞子vs伽椰子

2017年03月29日 12:01

貞子vs伽倻子01

【製作】堀内大示、桜井秀行、横澤良雄、丸田順悟、江守徹
【監督】白石晃士
【脚本】白石晃士
【撮影】四宮秀俊
【音楽】遠藤浩二
【出演】山本美月、玉城ティナ、佐津川愛美、菊地麻衣、安藤政信
2016年/日本映画/99分


【STORY】
女子大生の有美は友達の夏美にビデオテープのダビングを頼まれる。ビデオデッキを持っていなかった2人はリサイクルショップで中古のデッキを購入し、自宅でダビングしようとするが、デッキの中には古びたテープが。面白半分に再生し、最後まで見てしまった夏美は、このテープが“見たら2日後に必ず死ぬ”呪いのビデオではないかと怯える。

真偽を確かめるため、2人は呪いのビデオを研究しているという森繁教授に相談する。教授はビデオを見て貞子の呪いがかかった本物と確信、知り合いの霊媒師にお祓いを依頼するが、術中に貞子の怨念が炸裂、有美と夏美以外の人間は全員殺されてしまう。放心状態の2人、そこに現れたのは異端の霊媒師経蔵と霊感少女の珠緒。経蔵は強力な貞子の呪いを消し去るためには同等の呪いと衝突させればよいと考え、立ち入った者は呪い殺されてしまうという呪いの家へ向かう。


【REVIEW】
『フレディVSジェイソン』、『エイリアンVSプレデター』、『ゴジラ対キングコング』などなど、映画界には夢のスター対決という美味しい企画があるが、Jホラーの二大巨頭「リング」シリーズの貞子と「呪怨」シリーズの伽椰子を激突させたのが本作(呪怨側には俊雄も参戦!)。こういう対決企画物は期待されればされるほど、ハードルがあがってしまい結果評価が芳しくないことが多々ありますが、この『貞子vs伽椰子』は意外なほど2大キャラクターをうまく登場させていて、かつストーリーも破たんせずにうまくまとめた印象。

そもそも、どうやって住む世界の違うキャラをくっつけるかがポイントでしょうが、人間では解けない強大な呪いを破るには同じく呪いをぶつければいい―。言ってることは無謀ですが、前半の貞子の紹介から呪いで人が次々に死んでいくのを見せられて、「なるほど、うんうん、仕方がないよね」という流れが意外にもスムーズ。途中から登場する経蔵&珠緒コンビがその辺をうまく解説していき、怒涛のクライマックスになだれ込んでいきます。当然、観客の期待は「結局、どっちが勝ったの!?」が知りたいところなわけですが、ここは微妙な判定、貞子優勢ながらもどちらかといえばドローな感じで、その辺は肩透かし感をくらったかもしれないが、双方を立てた妥当な終わり方ともとれます。それよか、勝者=呪いのお二人、敗者=人間、というほうがスッキリするかも。どうあがいても呪いから逃れることはできない。怪しいものには、できるだけ首を突っ込まないのが一番ということかな~。とりあえず、観て損のない1本、続編も期待できるかも、です。



貞子vs伽倻子02

貞子vs伽倻子03


ポルターガイスト(2015)

2017年03月28日 18:15

ポルターガイスト01

【原題名】POLTERGEIST
【製作】サム・ライミ、ロブ・タパート、ロイ・リー
【監督】ギル・キーナン
【脚本】デヴィッド・リンゼイ=アベアー
【撮影】ハビエル・アギーレサロベ
【音楽】マルク・ストライテンフェルト
【出演】サム・ロックウェル、ローズマリー・デウィット、サクソン・シャービノ、カイル・キャトレット、ジャレッド・ハリス、ケネディ・クレメンツ
2015年/アメリカ映画/94分


【STORY】
エリックとエイミー夫妻は3人の子供たちと郊外の住宅地に引っ越してきた。しかし、不気味な物音、突然点灯する電球、庭地に埋められた謎の骨、など怪現象が続発、末娘のマディソンは深夜にテレビと会話していた―。ある晩、パーティーに出かけた夫妻は家に帰るとマディソンが居なくなっていることに驚く。超常現象との因果関係を疑った夫妻は、その筋の専門家を訪ね、原因を探ってもらうが、専門家の手に負えず霊媒師に助けを求める。

【REVIEW】
オリジナルはもちろん、1982年のスピルバーグ製作×フーパー監督のSFX大作で、その後シリーズ化もされたが、出演者など関係者が次々に亡くなり、「呪いか・・・!?」となった曰くつきの作品。今回は、サム・ライミが製作に当たり、オリジナルストーリーに沿って、スマホやドローンなど現代のアイテムも絡めた現代的な感じに仕上げている。末娘が真夜中に会話するテレビが本作では大型液晶テレビで、オリジナルがブラウン管なのがやっぱり時代を感じさせます。

家の側にそびえる木が怪物のようになって襲って来たり、この世とあの世をつなぐロープを家族で引っ張ったりするあたりはオリジナルに忠実、霊媒師役が女性→男性に変更されているが、これはこれで悪くないキャスティングで、味があっていいと思う。しかし、見終わってオリジナルと比べると何か物足りなさを感じるのも事実。これは、上映時間が115分から94分と20分も短くなったことで、簡潔だがダイジェスト版のようになってしまったことが一つの要因。尺が長ければ良いというものではないが、あまりにもテンポよく進むので、登場人物に感情移入できないまま、アッという間のエンディングを迎えてしまう。

あと、オリジナルでは、末娘のキャロルアンがあの世から戻ってきて元の生活に戻った・・・と思ったら再び怪現象が起こり、地下から埋葬されていた遺体がワラワラ出てくる下りが好きなのだが、リメイク版では墓地の遺体が地下に残ったままであることが先に明かされていて、この辺も物語が端折られた感があって、やっぱり最後がイマイチ盛り上がらない。オリジナル未見の方なら、そうは感じないかもしれませんが、どうしても比較してしまうとそんな感じがします。ただ、3D映画として企画されたこともあって、映像と音響に関しては楽しめることは間違いなく、四方八方から聞こえてくる物音、光の渦、明かされるあの世の映像(この辺はドローンがうまく生かされている)など、見て損のない1本だと思います。

ただ、個人的には、やっぱりオリジナルの方がいいよなあ~、です。日曜洋画劇場で頻繁に見た記憶があって、あの頃が思い出されて懐かしい。

ポルターガイスト03

ポルターガイスト02


愛蔵版 日本ヘラルド映画全史1956-2006

2017年03月24日 12:06

今月号の映画秘宝の特集「愛蔵版 日本ヘラルド映画全史1956-2006」が素晴らしい。パイ・インターナショナルから刊行された『日本ヘラルド映画の仕事 伝説の宣伝術と宣材デザイン』を記念しての特集だが、懐かしい映画のオンパレード。『地獄の黙示録』『エマニエル夫人』『愛の嵐』などから、『ゾンビ』『悪魔のいけにえ』『死霊のはらわた』などのホラー作品、『吐きだめの悪魔』『片腕サイボーグ』などのヘラルド・ベスト・アクションシリーズなど、70~80年代のピンポイントの作品がずらり。

インターネットのなかった時代は、TVCMや新聞広告、チラシなんかで情報収集していて、その煽り文句に期待を膨らませて劇場へ向かったもの。当然、配給会社のキャッチコピーに騙されてうなだれて家路に着いたことも多々あったが、思いもよらぬ収穫を得て、その後何度も見る羽目になった名作もありました。今では、こんな突き抜けた宣伝はめっきり減り、寂しい気もしますが、このある意味嘘とハッタリの美学というものも映画の味のような気もします。


特に『悪魔のいけにえ』、『悪魔のはらわた』のチラシは、もはや芸術的な感じのするデザイン。
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個人的には、本家版より日本版の『スペースバンパイア』のデザインも大好きです。
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(上記3枚とも、「映画チラシサイト」より)






イット・フォローズ

2017年03月18日 05:10

イットフォローズ01

【原題名】IT FOLLOWS
【製作】レベッカ・グリーン、ローラ・D・スミス、デヴィッド・ロバート・ミッチェル、デヴィッド・カプラン、エリク・ロメスモ
【監督】デヴィッド・ロバート・ミッチェル
【脚本】デヴィッド・ロバート・ミッチェル
【撮影】マイケル・ジオラキス
【音楽】ディザスターピース
【出演】マイカ・モンロー、キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾヴァット、ジェイク・ウィアリー、オリヴィア・ルッカルディ、リリー・セーペ
2014年/アメリカ映画/100分


【STORY】
ジェイは新しい彼氏のヒューとデートしていたが、SEXをした後衝撃的な告白を受ける。「それは、他人には見えない。それは、歩いて追いかけてくる。それに捕まると必ず死ぬ。それは、SEXした相手を追いかけていく―」にわかに信じがたいジェイの目の前に、不気味な女が現れる。それを確認したヒューはジェイを家まで送り届けるが、それっきり姿を消す。その日から、ジェイは毎回姿を変えて現れ追いかけてくる何かから逃れる生活が始まる。―それは、いったい何なのか?!

【REVIEW】
“それは、いったい何なのか?!”謎は、謎のまま進んでいき、そして謎のまま終わっていく不思議な映画。ジャンルとしてはホラーだろうが、ある意味ティーンエイジャー主体の青春映画とも受け取れる。直接的なゴア描写はないが、静かに追ってくる何かの姿がとにかく不気味で、感染者にしか見えないというのも孤独感が増幅されていて怖い。一応、人間の姿だが、明らかに死んでいる風で、そして喋らない(声を発さない)のが一層不気味で、こんなのに一生追われ続けると思うと、たぶん生きた心地がしないでしょうね。

結局、発生原因とか、抜本的な対処法は明かされず、そのまま終わってしまうんですが、謎は謎のまま残したのは多分正解で、この後味の悪い感じは見た後も結構引きずりそう。おそろしく怖い映画ではないけれども、何か良くわからないものに対する漠然とした恐怖がよく体現されていて、スピード感がない逆にゆっくり迫ってくる怖さも十分に感じられ、この辺、クラシックなゾンビにも相通じる恐怖感が味わえます。低予算での製作だろうけど、アイデア勝利のよくできた1本。

イットフォローズ02

イットフォローズ03


ゾンビ―バー

2017年03月16日 12:03

ゾンビ―バー01

【原題名】ZOMBEAVERS
【製作】エヴァン・アストロウスキー、クリス・ルモール、ティム・ザジャロフ、クリス・ベンダー、J・C・スピンク、ジェイク・ワイナー
【監督】ジョーダン・ルービン
【脚本】ジョン・カプラン、アル・カプラン
【撮影】ジョナサン・ホール
【音楽】アル・カプラン、ジョン・カプラン、ジョーダン・ルービン
【出演】レイチェル・メルヴィン、コートニー・パーム、レクシー・アトキンズ
2014年/アメリカ映画/77分


【STORY】
メアリー、ゾーイ、ジェンの仲良し3人組の女子学生が山奥の湖畔へキャンプへやってくる。途中で、彼氏3人も加わり乱痴気騒ぎになるが、バスルームに野生のビーバーが乱入し襲い掛かってくるが、撲殺し死体を屋外へ捨て去る。翌日、ビーバーの死体が消えていたが、気にせずに湖で泳ぎ始める。実は、この湖は医療廃棄物で汚染されており、それを浴びたビーバーたちも不死身かつ狂暴化していたのだった。若者たちに次々に襲い掛かるビーバー軍団。ビーバーに傷を負わされた人間もまた、ビーバー人間となり、人肉を求めて襲い掛かってくるのだった。


【REVIEW】
タイトルそのまんま(原題も“ゾンビ―バー”で一緒♪)、ゾンビ化したビーバーが人間に襲い掛かってくる、アニマルゾンビホラー。シリアスではなくコメディ路線で作られており、その最たるものが“ゾンビ―バー”の造形!CGではなく、操り人形のマペットタイプで、白昼で惜しげもなくその姿を現す彼らの姿は、恐怖よりもユーモラスと可愛さを感じさせる茶色のモコモコ生物。しかし、容赦なく噛みついてきて、半身をもがれても動き続けるなかなかタフなやつです。さらに襲われた人間も、前歯が伸びて爪も伸びて、ビーバー人間に・・・!もう、この辺ほとんどギャグにしか見えませんが、これを楽しめるか否かで、C級映画への愛着度が図れるのではないか・・・、そんな映画です。

冒頭のトラックからドラム缶が転げ落ちて川を流れてくくだりは『バタリアン』、女の子が2階の窓を突き破って飛び出すのは『悪魔のいけにえ』、後半の一軒家に立てこもってゾンビ―バーの襲撃を防ぐあたりは『死霊のはらわた』・・・、などなど、名作映画のエッセンスもところどころに散りばめられていて、「なんだか、どこかで見たことあるよな~」感がするのもなんだか嬉しい。ニヤニヤもの。オープニングから下ネタが続き、SEXに溺れる若者たちが襲われるのも定石通り、浮気していた男が元カノにナニを食いちぎられたりして・・・因果応報、悪いことははできませんね。真っ先に死んじゃうと思われた人物が生き残ったり、逆に生存率高そうな人がビーバー化したりと、意外性もちらほら。全体的にチープ感満載ながら、ゴアシーンもところどころあって飽きさせない。なかなか拾い物の1本。時間が短いのも丁度良し。ちなみに、エンディングテーマの歌詞を聞くと、ネタが全てバレテしまうので、聞くのは最後にしましょう。

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ゾンビ―バー02


マッキラー [HDリマスター版 Blu-ray]

2017年03月07日 03:14

マッキラー03

【原題名】DON'T TORTURE A DUCKLING
【製作総指揮】レナート・ジャボニ
【監督】ルチオ・フルチ
【脚本】ルチオ・フルチ、ロベルト・ジャンヴィッティ、ジャンフランコ・クレリチ
【原案】ルチオ・フルチ、ロベルト・ジャンヴィッティ
【撮影】セルジオ・ドフィッティ
【音楽】リズ・オルトラーニ
【出演】フロリンダ・ボルカン、トーマス・ミリアン、バーバラ・ブーシェ、イレーネ・パパス
1972年/イタリア映画/108分


【STORY】
南イタリアの田舎町で少年の連続殺人事件が発生する。地元警察は当初、身代金を要求してきた知恵おくれの青年を逮捕するが、殺人とは無関係と分かり釈放、次にジプシー女のマッキラーが怪しいとして逮捕する。しかし、彼女もアリバイが証明され釈放するが、納得のいかない被害者の父親らはマッキラーをリンチにかけ、死に追いやる。事件は終わったかに思えたが、またもや少年が殺され町は恐怖におののく。新聞記者のマルテッリと一時容疑者と疑われた金持ちの娘パトリツィアは協力して犯人探しを始める。


【REVIEW】
2015年の1月に当ブログでも紹介している『マッキラー』だが、めでたくブルーレイ化されたので再び鑑賞。DVDをすっ飛ばして、VHS→BDだが、製作年度が1972年とかなり古いため、それほど高画質という感じはしないが、南イタリアという陽気な土地で起こる陰湿な殺人事件の対比は、テレビの画面からも迫力十分に感じられ、やっぱり再発売されて良かったと感動の作品です。

間違った容疑者ばかりを逮捕して全く役に立たない警察や、記者の推理も大雑把で、ミステリーとしては凡庸だが、フルチ作品としては珍しく物語が破たんしておらず、最後までじっくり楽しめる作品。さらに、呪いの言葉を吐き、泡を吹く熱演を見せるフロリンダ・ボルカンの壮絶なリンチ場面や、子供でも容赦なく見せる殺人シーン、そして最後の顔面を岩肌で削られながら落下していく場面と(しかも火花までスパークしながら・・・!)、やっぱりフルチならではの残酷描写も散りばめられていて飽きさせないし、ハイウェイをバカンスを楽しむために家族連れの車が往来する側で、マッキラーが息絶えていくシーンはなんともやりきれない感じがあふれ出していて涙を禁じ得ない名場面で、見どころは多い。

そして、再確認できたのは、バーバラ・ブーシェの美しさ!父親の故郷にやってきたものの地元住民とは馴染めず、殺人事件の容疑者と疑われるヤク中という微妙な設定で、おまけにオールヌードで少年を誘惑したりとかなり大胆な行動に出たりもするが、小悪魔的な魅力全開で、彼女を見るだけでも価値ある映画じゃあないでしょうか(もちろん、それだけではないですが)。とにかく、長らく封印されていた本作が再び流通されるようになったのは嬉しい限りで、フルチファン以外にもおススメしたい1本。

マッキラー02

マッキラー01


ブレインデッド

2017年03月02日 01:49

ブレインデッド02

【原題名】BRAINDEAD/DEAD-ALIVE
【製作】ジム・ブース
【監督】ピーター・ジャクソン
【脚本】ピーター・ジャクソン、スティーヴン・シンクレア、フランシス・ウォルシュ
【撮影】マレイ・ミルン
【音楽】ピーター・ダゼント
【出演】ティモシー・バルム、ダイアナ・ペニャルヴァー、エリザベス・ムーディ、イアン・ワトキン
1992年/ニュージーランド映画/104分


【STORY】
気弱なマザコン青年ライオネルは、彼に思いを寄せるパキータと動物園でデートしていた。息子の行動を追ってきた母親のべラは、2人を監視している最中、謎の生物ラット・モンキーに噛みつかれる。その後、自宅で寝込んでいたべラは急死してしまい、悲嘆にくれながらもライオネルは葬儀を済ませ墓地へ葬る。ところが母親はゾンビとなって復活し、彼女に噛みつかれた者も瞬時にゾンビ化、ライオネルは犠牲者を自宅の地下室へ匿い世話を続ける。が、運悪くライオネルの家でパーティーが開かれることになり、多数の人々が訪れ、パキータもやってくるが、匿っていたゾンビが逃げ出し人々に襲い掛かり、ゾンビが大量発生。ライオネルはパキータを救うため、巨大芝刈り機を持ってゾンビの大群に挑む。


【REVIEW】
今や巨匠の風格さえ漂うピーター・ジャクソン監督が92年に撮った、ウルトラ・スプラッター映画。やりすぎたスプラッター描写はスラップスティックな笑いを生むが、その道を突き詰め頂までたどり着いたのがこの『ブレイン・デッド』で、本作の前では『死霊のはらわた』も『死霊のしたたり』も霞んでしまうほど。飛び散る血の量、破壊される人体の数々、そしてアンモラルな場面のオンパレード、とにかく常識はずれな展開にたまげてしまうが、見終わった後は爽快感すら漂う素晴らしい出来!ゾンビ映画の範疇を超え、ホラー映画ファンなら見ておかなければいけない作品の一つでしょう。

とりあえずゴア描写は素晴らしいものがあり、質・量ともに映画史に残るもの。胴体串刺しに首チョンパ、顔面が真ん中から裂け、ゾンビの内臓は縦横無尽に襲い掛かってくる始末。腕がもげたり、内臓掴み出しは日常茶飯事で、千切れた首を蹴りまくったり(挙句の果て、ミキサーで粉々に)、後頭部から刺さったランプで頭部が照明になってしまったりとブラックな笑いも多数掲載。ゴア描写以外にも、ゾンビのカップルがSEXしてゾンビベビーは生まれるし、神父がいきなりカンフーでゾンビを倒しまくったり、予想外の展開が目白押しで最後まで飽きさせない。そして、芝刈り機でのゾンビ大量破壊。もう、見どころが多すぎて、ハチャメチャな展開で、それでもこんなに楽しめて笑えるホラー映画はそうそうありません。本作を見ていない映画ファンは多分人生を幾ばくか損してます。なので、未見の方は是非見てください!残念なのは、DVDが廃盤になっていて(中古品はプレミア化)、普通に購入できないこと。本作がBlu-rayになって、復活してくれれば言うことないのですが。

ブレインデッド03

ブレインデッド04

ブレインデッド01




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