2017年09月29日 18:21

【原題名】BRUISER
【製作】ベン・バレンホルツ、ピーター・グルンウォルド
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【脚本】ジョージ・A・ロメロ
【撮影】アダム・スウィカ
【音楽】ドナルド・ルビンスタイン
【出演】ジェイソン・フレミング、ピーター・ストーメア、レスリー・ホープ、ニーナ・ガービラス
2000年/アメリカ映画/100分
【STORY】
真面目な会社員のヘンリーは、念願のマイホームを郊外の住宅地に購入するが、資金不足で未完成、収入の少なさを妻のジャニーンに馬鹿にされつつもあくせく働いている。職場の雑誌編集長のミロのワンマンで横柄な態度、浪費家のジャニーンの馬鹿にした振る舞い、学生時代からの友人で投資コンサルタントのジミーは信頼していたが、投資資金を横領していた。自分を蔑ろにする周りの環境に心を蝕まれていくヘンリーは、ミロとジャニーンの浮気現場を目撃して、その怒りは遂に頂点に達する。自らを“顔のない男”と認識したヘンリーはその怨みを晴らすべく、復讐を開始する。
【REVIEW】
ロメロも“ゾンビ映画”と“それ以外のテーマの映画”といった分け方をされてしまうところがありますが(―それだけ、ロメロの創造したゾンビ映画の影響がスゴかったということでもあります)、本作『URAMI』は後者に属するもの。いい人だが周囲に無下に扱われてアイデンティティーを失っていく主人公。関係する人々が自分を蔑ろにすることに絶望した彼は自分の顔に真っ白な仮面を着け復讐を開始、妻、友人、上司を次々に殺していくうちに自我を取り戻していく。ストーリーは分かりやすく、復讐劇も悪くはないんだが、これがロメロの作品だというと、少々物足りないのも事実。ゾンビ映画で見せてくれた世界観からすると、個の復讐劇はどうしてもスケールが小っちゃくなってしまっているのと、復讐に手を下すシーンも意外とあっさりしているのが残念。ファンは過剰な期待をしてしまうが上に、作品への評価は辛口になってしまうのが巨匠の辛いところですね。ただ、思うように映画が撮れず、前作から8年ものブランクを強いられたロメロの怨み映画だとすれば、なんだか気持ちも分かる気がする、小粒なカルト作です。


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