リーピング

2018年04月30日 17:06

リーピング02

【原題名】THE REAPING
【製作】ジョエル・シルヴァー、ロバート・ゼメキス、スーザン・ダウニー、ハーバート・W・ゲインズ
【監督】スティーヴン・ホプキンス
【脚本】ケイリー・W・ヘイズ、チャド・ヘイズ
【撮影】ピーター・レヴィ
【音楽】ジョン・フリッゼル
【出演】ヒラリー・スワンク、イドリス・エルバ、デビッド・モリッシー、アナソフィア・ロブ
2007年/アメリカ映画/99分


【STORY】
かつて宣教師として赴いた地で、夫と娘を失ったキャサリンは信仰を捨て、今では宗教的な奇跡を科学的に解明する大学教授の職に就いていた。そんな彼女のもとにある不可解な出来事の真相を解明してほしいとの依頼が。ヘイブンという小さな町で突然川が真っ赤に染まる怪現象が発生し、その原因として12歳の少女が疑われているという。調査に向かったキャサリンは、さらに不可解な現象に遭遇、それらは旧約聖書の10の災いとそっくりなことに気付く。科学的な説明がつかないまま、疑惑の少女ローレンの家に向かった彼女は、そこで悪魔崇拝の儀式が行われていたことを知る。果たして、ローレンはサタンの生まれ変わりなのか?

【REVIEW】
ヒラリー・スワンク主演のオカルト・ホラー。この手の宗教を絡めたホラーは、やはり宗派が違うと、事の重大さや怖さに認識の違いが生じるからか、あまりピンと来ないことが多いが、本作も同じ感じが。旧約聖書に由来する不吉な出来事、「カエルが空から降ってくる」「家畜が大量死」「ハエや蛆虫が湧いてくる」などは、遭遇すると確かに驚くだろうが、超自然的な現象な気がして、神とか悪魔とかに関係しているとはあまりピンと来ないのが残念。それよりも、不吉なことが続いて不穏になった住民が、村八分にしている家の娘の仕業と決め付けて殺そうとする方がよっぽど怖い気がする。

物語的には、割とありきたりな「犯人と思っていたら、実は逆の方が・・・」みたいなパターンで驚くほどはなく、怪現象もあっさりしていて怖さが感じられないのがイマイチなところ。最後の天から降り注ぐ炎のところは、ホントそのまんまの描写で、住人がボンボン火の玉に当たって燃え尽きて逆に笑えてきてしまった。イナゴの大発生のシーンはCGと分かるが、迫力は『エクソシストⅡ』を凌いでいて、ここが最大の見せ場だったか。全体的にどこかで見たシーンが続いて目新しさは薄いが、派手な音響と短い上映時間で中だるみせず最後までもっていってくれているのは有難い。ラストは思わせぶりな終わり方だけれども、続編は―作らない方がいいだろうなあ。

リーピング01

リーピング03




フォービドゥン/呪縛館

2018年04月29日 14:48

フォービドゥン01

【原題名】THE DISAPPOINTMENTS ROOM
【製作】ガイヤー・コジンスキー、ヴィンセント・ニューマン、タッカー・トゥーリー
【監督】D・J・カルーソー
【脚本】ウェントワース・ミラー 、D・J・カルーソー
【撮影】ローヒエ・ストファース
【音楽】ブライアン・タイラー
【出演】ケイト・ベッキンセール、メル・レイド、ダンカン・ジョイナー、ルーカス・ティル
2016年/アメリカ映画/92分


【STORY】
建築家のディナは夫のデヴィッド、幼い息子のルーカスとともに郊外の一軒家に引っ越してきた。長く空き家だった屋敷は所々傷んでおり、ディナはリフォームの計画を立てていく。ある晩、誰もいないはずの窓に明かりが点いていることに気が付いたディナは最上階に図面に載っていない小部屋を発見する。小部屋は外側からしか開閉できず、窓も固定されていて、部屋はまるで牢屋のようだった。その後、謎の黒い犬がルーカスを襲う幻覚や、前の住人の不気味な肖像画が彼女の不安を駆りたてる。デヴィッドは1年前に事故死した長女のことを引きずっているのではないかと心配するが、ディナは情緒不安定なのはこの屋敷のせいではないかと疑う。そして、地元の住民から聞かされた事実。前住人の判事一家の主は、生まれつき障害のあった娘を長年小部屋に閉じ込めていたが、外部に知られないように撲殺していた―。


【REVIEW】
アンダーワールド・シリーズのケイト・ベッキンセール主演のホーンテッド・ハウス・ホラー・・・、のようだが、数々の怪現象が果たして幽霊が引き起こしたものなのかは最後まで明かされないので、幽霊屋敷モノと呼んでいいのかは謎。主人公一家が移り住んだ家には忌まわしき過去があったのは事実だが、その霊を見たのも、怪現象を体験したのもディナ一人。霊が見えていたのが彼女だけなのか、それとも娘の事故死以降心を病んでいた彼女が見た幻覚だったのか、どちらとも取れるラストなので、あとは観客の皆様ご自由に解釈を・・・みたいなところか。

しかし、はっきり幽霊の存在を示さなかったことで、不完全燃焼なのは否めないし、怪現象も地味な演出で心底怖がらせるまでには行っていない。結局、最後はこの奇妙な屋敷を引き払って去っていくが、誰も死んでいなかったことに気付き、犠牲者なしのホラー映画っていうのも健全すぎやしないだろうか?怖がっていたのもディナ一人だったし、ディナ役のベッキンセールを見るのには申し分はないが、彼女のファン以外だとちょっと物足りないと感じる。せめて、屋敷の修理に来た若い修理工の兄ちゃんをフルチの『ビヨンド』みたいに目ん玉握りつぶして殺すとかしてくれたら評価はもうちょっと上がっただろうに・・・。

しかし、『アンダー・ワールド』のセリーン役のイメージが強すぎるのか、金髪がイマイチ似合っていない気がするのは自分だけだろうか?


フォービドゥン03





『ビヨンド』ブルーレイが年内で生産終了!

2018年04月29日 10:18

“少し先ですがこちらも年内で生産終了します。在庫はまだございますが、終了間際になりますと販売会社判断で早期に生産終了する可能性もございます。お早めに。。。”

https://twitter.com/piedpiperagogo/status/985837058563366912

ルチオ・フルチの傑作ゾンビ映画の『ビヨンド』。特典満載のブルーレイで発売されていますが、年内で生産終了とのアナウンスが。年内といっても、早めに切り上げる場合もある様なので、未購入の方は早く買っておいた方がいいかも。いや買っておくべし!

ビヨンド HDニューマスター<コレクターズ・エディション> [Blu-ray]
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『BUIO OMEGA』 Sound Track CD

2018年04月29日 00:58

ホラー・マニアックスシリーズ第10期のサントラCDプレゼント、無事来ました♪

サントラ002



こっちは裏面。
なんつっても、ゴブリン!
サントラ001

サベージ・キラー2

2018年04月17日 20:49

サベージ02

【原題名】THE BRIDE
【製作】マルチェロ・ダシアーノ
【監督】マルチェロ・ダシアーノ
【脚本】マルチェロ・ダシアーノ
【出演】ヘンリエッテ・リダーヴォルド、レイン・タウンゼンド、バート・カルヴァー
2014年/アメリカ映画/82分


【STORY】
結婚を2日後に控えた美しい女性キラは婚約者のマルコとともに山奥の別荘に旅行にやってくる。幸せな一夜を過ごす2人だが、翌朝、突然押し入ってきた男4人組によってマルコは銃殺されてしまう。隙をついて、森の奥へ逃げ込むキラだったが、男たちに捕まり、暴行の末殺されてしまう。元々、キラを誘拐して身代金を要求しようとしていた犯人たちだったが、計画が失敗したため、2人の遺体を埋めて事件の隠ぺいを図る。ところが、数時間後地中から息を吹き返したキラが甦る。彼らが埋められていたのは、呪われた曰くつきの木の下で、超自然の力を得たキラは犯人たちに復讐を開始、一人ずつ殺しては頭の皮を剥いでいくのだった。

【REVIEW】
レイプリベンジものにネイティブインディアンの魂を憑依させ、一風変わったホラーアクションに仕上げていた秀作『サベージ・キラー』の続編・・・であるかのように見せ掛けた全く別物作品。原題は、『サベージ・キラー』=SAVAGED、『サベージ・キラー2』=THE BRIDEで全く違うのだが、パッケージは驚くほど激似。しかも、ストーリーも大筋がほとんど一緒で、「設定まるごとパクッた!?」と聞き返したくなるような内容。なのに、こっちの『サベージ・キラー2』は恐ろしいほど面白くなく、同じことをやっているはずなのに、結果は雲泥の差がありありの駄作。なぜこうなった?

もう、いろいろと駄目な要素が満載なので、それを羅列するのがしんどいくらい。しいて言うなら、ヒロインが凌辱された挙句殺され、その復讐に男どもをぶち殺していくのは同じ流れなのに、肝心の復讐シーンがあまりにあっさり&迫力不足で盛り上がらないのが最大の敗因。悪役の俳優がちっとも強そうにも怖そうにも見えず、ただ間抜けな奴らと化してしまっているのも悲しい。キラ役の女優さんはがんばっているが、『サベージ・キラー』と比較すると、どうしても見劣りしてしまう。この辺、話の流れの悪さ、テンポの悪さ、編集がイマイチ、音楽も盛り上がりに欠け・・・・など、全体的に劣っているのだから仕方がないかも。結局、便乗商法で売り出したため、逆に「何やねん、これ。全然あかんやん!?」と突っ込まれてしまい、全く別物で紹介した方が良かったんじゃない??と言いたくなるのでした。取りあえず、あまりに気が滅入ったので、『サベージ・キラー』を見直して本作は忘れるようにします。

サベージ01

サベージ03


サンズ・オブ・ザ・デッド

2018年04月08日 20:03

サンズ03

【原題名】IT STAINS THE SANDS RED
【製作】ブランドン・クリステンセン、ビック・トラン、スチュアート・オルティス、コリン・ミニハン
【監督】コリン・ミニハン
【脚本】スチュアート・オルティス、コリン・ミニハン
【撮影】クレイトン・ムーア
【音楽】ブリッツ//ベルリン
【出演】ブリタニー・アレン、フアン・リーディンガー、クリストファー・ヒギンズ
2015年/アメリカ映画/92分


【STORY】
モリーは恋人のニックとメキシコに行くため飛行場に向かっていた。途中、砂漠の真ん中で車が砂にハマって動かなくなり立ち往生、全く人通りも無いため途方に暮れる2人。すると、スーツ姿の男が歩いてくるのが見える。男はゾンビで、ニックは無残にも食い殺されてしまい、モリーは車に在った水を持って逃げ出す。砂漠の中、飛行場を目指して歩くモリーの後をゾンビも執拗に追いかけてくる。途中、モリーを襲った囚人の男をゾンビが食い殺した後、着かず離れずで歩き続ける2人。モリーはかつて生んだ一人息子を姉の家に預けて自堕落な生活を送ってきたことをゾンビに話しながら、歩き続けていく。

【REVIEW】
一風変わったロードムービータイプのゾンビ映画。登場するゾンビが走るタイプではなく、歩くヤツにしたのがミソ。なので、一定の距離を保てば、捕まらずに歩いて行けるというもの。ちなみに、夜寝るときは、岩場の高所に這い上がって安全圏を確保。最初、主人公はイケイケのファッションで厚底ヒールを掃き、ドラッグやり過ぎて気持ち悪くなってゲロ吐いているようなどうしようもないキャラで登場。ゾンビから逃げるときも、思わず「そうじゃないだろ!?」と突っ込みまくってしまう行動を取りまくって、本当に感情移入できないのが、後半になってそれが急展開。ヤクが切れたのか、過去の自分を反省し、息子を残してきたことを後悔する。そして、芽生えるゾンビに対する不思議な感情。たとえ、相手が怪物でも、性悪な人間よりかはよっぽどマシかと思っってしまうのか、それとも砂漠で一人ぼっちになるよりかはゾンビでも居た方が少しはいいのか、ともかく慣れって怖いなあと思ってしまった。自分なら、やっぱりゾンビとは仲良くしたくありませんけどね。

ラストの、車をかっ飛ばして町へ戻り、息子を助けに行くというのは、ちょっと変わり過ぎてびっくりだが、人間いくつになってもやろうと思えばやり直せるんだって、有難い教訓を教えてくれました。あと、ゾンビがしっかり内臓を穿り出して、腸を引っ張って喰っていたのには好感が持てましたよ。やっぱり、ゾンビの食事はこうでなくっちゃね。

サンズ02

サンズ01


アイランド・オブ・ザ・デッド

2018年04月05日 16:44

アイランド02

【原題名】ISLAND OF THE LIVING DEAD
【製作】ルイジ・パオルッチ
【監督】ヴィンセント・ドーン
【脚本】アントニオ・テントリー
【撮影】ルイジ・チッカレーゼ
【出演】イヴェット・イゾン、アルヴィン・アンソン、ジム・ゲインズ
2006年/イタリア映画/93分


【STORY】
トレジャーハンターを乗せた船が濃霧に巻き込まれて座礁、航行不能となり、やむを得ず近くの島に上陸する。海図にも載っていない謎のその島を探索すると、16世紀ごろのスペイン人の墓らしきものを発見する。そこに現れた血まみれの男に船員が襲われ、一行は島の砦へ逃げ込む。そこに残されていた書物から財宝が隠されていることを知った彼らは見つけ出そうとするが、集まってきた大量のゾンビと戦うことになってしまう。

【REVIEW】
あのヴィンセント・ドーン監督のゾンビ映画だけに、その出来たるやある程度は想像できるが、結果はやはり期待を裏切らない出来映え。『ヘル・オブ・ザ・リビングデッド』でも、臆面もなく他の映画からいろんな場面を持ってきてくっつけたパッチワークの様なゾンビ映画だったが、本作でもその指向は全くブレておらず、オリジナリティの無さは変わっていない。『サンゲリア』と『ゴーストシップ』が合体したようなストーリーに大量の汚らしいゾンビを登場させて主人公らに襲い掛かからせる。沖に停泊していた船に突如ゾンビ軍団がなだれ込んでくるのも微妙だが(泳いできたのか!?)、16世紀ころの死人なのにあんまし肉体が腐っていないのも説得力に欠ける(その点、『サンゲリア』のゾンビの造形は素晴らしすぎます)。ゾンビ軍団に追われているのに休憩したり、ワインを飲んでくつろいだりと緊張感も皆無、至近距離でゾンビに囲まれてもなかなか襲ってこないのは、ヴィンセント・ドーンの十八番。でも、たまに喰われちゃったりもして、その差が良く分からんかったりします。

後半には、ゾンビ以外にもスペイン人の亡霊のようなものや、フラメンコを踊るゾンビなんかも出てきて、さらに良く分からん展開に。極めつけは、扉から出てきたゾンビに髪の毛を引っ張られたヒロインが、砕けた木片の先に目ん玉が串刺しになりそうな展開に「モロ『サンゲリア』のパクリかい!!」と突っ込みかけると、あっさり助かってしまうという脱力演出。もうどうでもいいです、と諦めているとヒロインだけが助かっていかだで脱出、無事救出されます。そして、その後は『ゾンビ2009』に引き継がれていくという、まさかの続編的展開に。しかも、これがドーン監督の遺作。ほぼ『エイリアン2』の焼き直しの様なゾンビ映画が生涯最後の作品というのも、彼の映画作りをよく表しているのではないだろうか。

アイランド03



アイランド01
ゾンビ映画というジャンルには酷い出来栄えのものも数多く存在するが、本作もその最底辺に位置する1本。ゾンビ映画ファンなら見ておくべきだろうが、それ以外のまっとうな映画ファンには全くおススメできない作品でしょう。


来年1月、

2018年04月05日 07:53

https://twitter.com/gagamovie/status/981515641659129856

“2019年1月公開『SUSPIRIA(原題)』

傑作ホラーをオスカーノミネート監督が完全リメイク!旧作とは異なるラストに新たな旋律が走る!”



リメイク版『サスぺリア』、来年1月公開なのか・・・。
楽しみだけど、先は長い・・・!

ゲシュタポ卍(ナチ)死霊軍団/カリブゾンビ

2018年04月04日 14:04

カリブゾンビ01

【原題名】SHOCK WAVES
【製作】ルーベン・トレイン
【監督】ケン・ウィーダーホーン
【脚本】ジョン・ケント・ハリソン、ケン・ウィーダーホーン
【撮影】ルーベン・トレイン
【音楽】リチャード・エインホーン
【出演】ピーター・カッシング、ルーク・ハルピン、ブルック・アダムス、ジョン・キャラダイン
1976年/アメリカ映画/86分


【STORY】
カリブ海をクルージング中の一行の乗った船が座礁し、ボートで近くの島に避難するが、そこには老人が一人で暮らしていた。実は老人は元科学者で、戦時中に“絶対に死なない兵士”を生み出した人物であったが、不死の軍隊の脅威に恐怖を感じ、船ごとカリブの海に沈めて一人で隠居生活を送っていたのだった。やがて、水中から軍服姿のゾンビ兵士の軍団が現れ、生存者を抹殺していくのだった。

【REVIEW】
カリブ海を舞台にしたゾンビ物。今回はそこにナチの遺物というスパイスが散りばめられているが、ゴア描写も控えめなため、全体的には地味な印象の映画。「不死身の兵士たちは一人も捕虜のならなかった」という冒頭の思わせぶりな説明にちょっとは期待してしまうが、殺し方が首絞めみたいなこれまた地味な攻め方で落胆。パンチ一発で人体破壊とか、銃で撃たれまくっても全く平気とか、人間離れしたところを見せてくれないと説得力がなさすぎるんでは?ターミネーターやジェイソンが魅力的な悪役なのは、純粋に「こいつ、スゲー!!」みたいなのを見せてくれるからだと思うんだけれどもねー。海中から、ゾンビ軍団が立ち上がってくる場面は、唯一カッコいいと思えた場面。それ以外は見せ場なし。不死身なのに、ゴーグル外されただけで息絶えるのも意味不明です。

ピーター・カッシングやジョン・キャラダインなど名優が出ているのに、ほとんど活躍せず存在感は薄い。全体的には駄作に分類されるだろうが、後に『バタリアン2』を撮るケン・ウィーダーホーンの監督作品だけにこれも致し方ながないところか。フルチの『サンゲリア』よりも先に水中を闊歩するゾンビを見せたところは覚えておきます。

カリブゾンビ02

カリブゾンビ03


ラプチャー 破裂

2018年04月03日 11:10

ラプチャー01

【原題名】RUPTURE
【製作】アンドリュー・ラザー、スティーヴン・シャインバーグ、クリスティーナ・ヴァイス・ルーリー、アンドレア・イェルヴォリーノ
【監督】スティーヴン・シャインバーグ
【脚本】ブライアン・ネルソン
【撮影】カリム・ハッセン
【音楽】ネイサン・ラーソン
【出演】ノオミ・ラパス、ピーター・ストーメア、レスリー・マンヴィル、ケリー・ビシェ
2016年/アメリカ映画/102分


【STORY】
シングルマザーのレネーは車で帰宅途中に、突然何者かに拉致される。気が付くと、そこは薄暗い研究施設で、彼女のほかにも拉致されてきて拘束されている人間がいた。そこでは被験者の恐れるものを与え続けて、その先で起こる人体の変化を確かめているらしい。実験に失敗した後は、記憶を書き換えられ元の生活に戻れる者もいるが、実験に耐え切れず死亡するものも。どうやら、実験を行っている者たちは人間ではないらしい。そして、レネーの実験の順番がやってくる。謎の薬品を注射された後、拘束され動けない彼女の体に与えられたのは、最も忌み嫌う“クモ”だった。


【REVIEW】
不思議な印象の作品。いきなりの拉致、拘束されての人体実験という流れはありがちなパターンながらも、この先どうなるんだろう?という期待させるサスペンス風の切り口だが、後半からは予想外のSF的な展開に。極限の恐怖を与え続けて、ある遺伝子が破壊(劇中では“破裂”と呼称)されると、どうやら人間を超越した何者かに変化を遂げるようで、実験を行っているやつらは、自分たちの仲間を増やすのが目的。しかし、仲間を増やして何をやっているのかが良く分からず(「人間は地球に対するウィルスで、邪魔な存在なんだ~」みたいな、ありふれたセリフも出てくるが、具体的に何をしたいかは不明)、観終わったあとはモヤモヤしたものが残る。例えば、変化した後は何か特別なスキルが備わっているとか、能力が人間をはるかに超えているとか見せてくれればまだしも、これじゃあ只の怪しい組織にしか見えない。ただ、映画自体から発する、何とも言えない不思議な雰囲気は面白い。先が読めない、正体不明、なんだかよく分からないものを見てしまった、という感じです。主演は、『ミレニアム シリーズ』『プロメテウス』のノオミ・ラパス。クモ恐怖症なのに、強制的に投入されて、発狂寸前状態を熱演、正直彼女の演技でこの映画は成り立っていた気がしますなあ。ただ、出てくるクモが意外に少なかったのが残念。最後は、全身クモまみれ!みたいなのを期待していたんですが・・・。

ラプチャー03


ラプチャー02




4匹の蠅

2018年04月01日 10:26

四匹の蠅03

【原題名】QUATTRO MOSCHE DI VELLUTO GRIGIO
【製作】サルヴァトーレ・アルジェント
【監督】ダリオ・アルジェント
【脚本】ダリオ・アルジェント、ルイジ・コッツィ、マリオ・フォリエッティ
【撮影】フランコ・ディ・ジャコモ
【音楽】エンニオ・モリコーネ
【出演】マイケル・ブランドン・ミムジー・ファーマー、ジャン・ピエール・マリエール、バッド・スペンサー、
1971年/イタリア映画/101分


【STORY】
ロックバンドのドラマーのロベルトは最近、見知らぬ男に付け回されていてウンザリしていた。ある晩、リハーサルを終えた後、立ち去ろうとするその男を発見したロベルトは後を追い、なぜ自分を尾行するのか詰問する。口論となり、男はナイフを持ち出し脅すが、揉み合いの末、ロベルトはナイフで男の腹部を刺していた。男は倒れ落ちるが、そのとき何者かがその瞬間をカメラに映していた。

その後、ロベルトの自宅に死んだ男の身分証や犯行現場の写真が送られてきて、ある晩ロベルトは侵入してきた不審者に脅迫されて殺されかける。警察に頼れないロベルトは親友のゴッドフリーに相談、私立探偵も雇って犯人捜しを開始する。しかし、ロベルトの家のメイドが殺され、犯人を見つけ出していた私立探偵も殺されてしまう。恐怖で混乱する妻のニーナを自宅から避難させたロベルトは、代わりに身を案じてくれるニーナの従姉妹のダリアと親密になるが、やがてダリアも殺されてしまう。警察はダリアの網膜に犯人の映像が残っているかもしれないと司法解剖を提案、検査の結果、映っていたのは4匹の黒い蠅だった。

【REVIEW】
歓びの毒牙』『私は目撃者』に続く、アルジェントの初期三部作の三作目。殺害現場を目撃された主人公が、脅迫を重ねる姿の見えない犯人を捜していくというストーリー。動物や昆虫を謎解きのキーワードにしていた作品が続いていたが、ここでは“蠅”が犯人を捜しあてる重要なポイントに。レーザー解析で死ぬ直前に網膜に映っていた映像を観るというのは奇抜なアイデアだが、科学的な根拠は!?と少々疑問符も。犯人が幼少のころに受けた事件で人知れず病んでおり、それが殺人事件の動機になっているのはアルジェントの一貫した犯人像だが、ロベルトをターゲットにした理由はいささか弱い(というか、強引)。

公園で追い詰められていきメイドが殺されるシーン、地下鉄で尾行をしていた私立探偵がトイレで返り討ちに合うシーンなどは、なかなかサスペンスフルで見応えがある。また、ニーナ役のミムジー・ファーマーがラスト車を飛ばしてトラックに激突、フロントガラスが粉々に飛び散り彼女が死んでゆく様をスローモーションで延々と見せるあたりは、アルジェントの異様なこだわりが垣間見える。音楽も安定のモリコーネながらも、本作は一風変わった登場人物で笑いの要素が多いのも特徴。友人のゴッドフリーは川辺に住む浮浪者だし、彼から紹介される私立探偵は事件を全く解決したことのないオカマキャラ、ロベルト宅にやってくる郵便配達員は不審者に間違えられて袋叩きに遭い、次回からは武装して配達に来る仕事熱心な男だったりする。

シナリオが強引、ストーリーの展開がご都合主義なのは、それがアルジェントじゃないか!と許せるなら楽しめるでしょう。殺人場面がおとなしくて流れる血の量は少ないのが残念だが、冒頭で登場する人形と、自分の過去を暴露しロベルトを追い詰めるミムジー・ファーマーの演技は怖い。何よりも、劇場公開から37年間、長らくソフト化されず、幻とされていた本作が、今現在こうして普通に鑑賞できることが嬉しいと思います。

四匹の蠅01


四匹の蠅02






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