2018年07月28日 23:08

【原題名】THE HILLS HAVE EYES
【製作】ピーター・ロック
【監督】ウェス・クレイヴン
【脚本】ウェス・クレイヴン
【撮影】エリック・サーリネン
【音楽】ドン・ピーク
【出演】スーザン・レイニア、ロバート・ヒューストン、マーティン・スピアー、ディー・ウォーレス
1977年/アメリカ映画/90分
【STORY】
カーター一家はロサンゼルスに向かう途中、砂漠のど真ん中で車が故障し立ち往生してしまう。助けを求めようと、歩いて近くのガソリンスタンドまで行くが、そこで当主のボブが何者かに襲われる。その頃、車で待っていたボブの妻と息子たちを双眼鏡で監視している集団がいた。この地域は昔米軍の核実験場だったところで、監視していたのは岩山に隠れ住む食人一家。助けを求めて男手が手薄になったのを機に、車へ襲撃を始める。
【REVIEW】
狂暴な食人一家に突然襲われる普通の家族の悲劇かと思いきや、後半は一転して被害者側が攻勢に転じて食人一家を追い詰めていくという少し変わった展開のバイオレンス映画。監督は、その後『エルム街の悪夢』でブレイクするウェス・クレイヴンで、この『サランドラ』はまだまだ粗っぽさが残るが、それがまた逆に“何が起こるか分からない”といった不思議な期待感を持たせて、不気味なワクワク感みたいな感じがある。また、いきなり食人一家に襲われていくくだりは『悪魔のいけにえ』を彷彿させるものがある。
面白いのは、核実験の影響で一家が野蛮化した感じなのに、普通に銃を使っていたり、家族同士の交信に無線を使っていたりと、微妙に文明感が残っているところ(その出で立ちや、住処を見ると、先住民のような感じでもある)。しかし、肝心の食人場面は画面には映らず、残酷描写は意外と少ない。どう見ても、戦闘能力では劣る普通のカーター一家だが、犠牲者が出たことにより、怒り爆発で反撃に移るが、飼っていた犬が頑張ったのと、食人一家から抜け出したがっていた娘が加勢に加わったことが最終的に勝利に繋がっていく。窮鼠猫をかむという言葉があるが、生き物は追い詰められるととんでもない力を発揮するという言葉を正に体現した映画で、70年代のカルト映画として悪くないと思うのだが、日本公開時の悪評がまだ残っているのが作品の評価を下げているのかも。「全米38州で上映禁止!」はまだいいとして、劇中に登場しない凶器“ジョギリ”を付けたジョギリ・ショック、殺人鬼の名前がギリシャ神話に登場する(!?)“サランドラ”、意味不明な驚異の音響効果“ダブル・テンション・システム”など、東宝東和お得意の煽りまくった宣伝が仇となってしまったある意味可愛そうな作品なのかもしれない。


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