2018年12月30日 21:53

【原題名】ZONE OF THE DEAD
【製作】ロリス・クルチ
【監督】ミラン・コニェヴィッチ、ミラン・トドロヴィッチ
【脚本】ミラン・コニェヴィッチ
【撮影】スティーヴ・ブルック・スミス
【出演】ケン・フォリー、クリスティーナ・クレべ、エミリオ・ロッソ、アリアドナ・シャブロル
2009年/イタリア=スペイン=セルビア映画/101分
【STORY】
セルビアで軍事演習が行われている最中、パンチェボ工業地域に停車していた軍事列車が事故に遭い毒ガスが流出、それを吸った住民たちは血を吐いて死ぬが、ゾンビ化して生者を襲い始める。その頃、インターポールの捜査官レイエスは囚人の護送警護の依頼を受け、護送車とともにベオグラードに向かっていた。丁度、パンチェボに入ったところで、ゾンビの集団に襲われて他の警護していた警官らは噛まれて死亡する。レイエスは生き残ったメンバーとともに地元の警察署に逃げ込むが、そこにもゾンビの群れが押し寄せてくるのだった。
【REVIEW】
本作の“ウリ”は勿論、主演があのケン・フォリーであること。ロメロの『ゾンビ』でSWAT隊員ピーターを演じた彼が再びゾンビ映画に出演しているというだけでも、ファンは見る価値があるというものだが、セルビアを舞台にしたいかにもユーロ圏っぽい雰囲気もこの映画の魅力の一つとなっている。
軍の保管していたガスからゾンビが大量発生するのは、もはやお決まりのパターンではあるが、ゾンビの造形や襲い掛かってくる場面もなかなか迫力があり緊迫感は感じられる。その反面、拳銃の残弾が「もう残っていない」と言った後もバンバン撃ちまくったり、護送任務の新人女性警官が「射撃は苦手で・・・」という発言を最初にしていたのに、後半では達人のように上達していたりと、矛盾しているところもちらほら。護送されている囚人が何故かゾンビに詳しく(本家のケン・フォリーよりも!)、かつ頭もよく回り、さらに銃の腕前にも長けていてラストでは日本刀でゾンビたちをバッサバッサと切りまくる大活躍で、ほぼほぼ主役級の活躍。しかし、最後まで何者だったのかは分からず仕舞い。また、教会から出てきた武装したハゲの男も途中で合流してゾンビたちをバンバン撃ちまくるが、彼も何者だったのかは分からず仕舞い。登場人物の説明を完全に放棄した潔さは、逆に清々しく、面白かったらいいんじゃないという開き直り感すらあり、その辺がアメリカ映画らとはまた一味違った魅力のような気がします。
ちょっと太った感のあるケン・フォリーは、戦闘力では囚人の男に一歩譲るものの、見ているだけで存在感は抜群。ショッピングモールに逃げ込んではどうかという提案に「立て籠もってもゾンビが集まってくる」とダメ出ししたり、地獄がオーバフローしていると言わせたりと、ファンにはニヤニヤさせられる場面が出てくるのが嬉しい。映画全体の出来栄えは平均点だが、彼が主演しているという要素を加味してゾンビファンならやはり必見の作品でしょう。


最新コメント