2019年02月15日 06:44

【原題名】ORPHAN
【製作】ジョエル・シルヴァー、スーザン・ダウニー、ジェニファー・デイヴィソン・キローラン、レオナルド・ディカプリオ
【監督】ジャウマ・コレット=セラ
【脚本】デヴィッド・レスリー・ジョンソン
【撮影】ジェフ・カッター
【音楽】ジョン・オットマン
【出演】ヴェラ・ファーミガ、ピーター・サースガード、イザベル・ファーマン
2009年/アメリカ映画/123分
【STORY】
3人目の赤子を死産で失ったケイトは夫ジョンと相談を重ねて、孤児院から養子を貰うことを決める。2人は聡明で大人びた少女エスターを気に入り、我が家へ迎え入れる。エスターは新しい生活にも慣れ、平和な暮らしが訪れたかに思えたが、クラスメートが滑り台から転落する事故が起こり、そばに居たエスターに疑いがかけられる。それ以降、違和感を感じるケイトは孤児院のシスターに相談、以前の里親一家が火事で焼死した事件も含めて、様々な揉め事の場にエスターが居たことを聞き不安を募らせる。自分が疑われていると知ったエスターは、ケイトの実の娘マックスを仲間に引き入れ、シスターを撲殺、森の中に死体を隠すのだった。それ以降、エスターはケイトを一家の中で孤立するように仕向けていき、ジョンもケイトがエスターを虐待しているのではないかと疑い始める。
【REVIEW】
孤児院から少女を迎え入れた一家。新しい生活に馴染んでいく少女を見て夫婦は安心するが、やがて気づく―。「あの子はどこか変だ」他の子供たちとは違った雰囲気を持つ少女エスター。私服が少女っぽくない、難解なピアノの曲をすらすら弾ける、歯医者に絶対行かない、肌身離さない古い聖書。いろいろな伏線を張りながら、導き出したのは驚愕の事実―。以前引き取られていた一家が焼死したのも、自分の過去を探るシスターを消したのも彼女の仕業。何故、小さな少女がそんな残忍な行動ができるのか?二重人格!?悪魔が乗り移っている!?などと推理するものの、見事に裏切られる結末に「ちょっと、それはありえへんのちゃう??」と少々突っ込みたくなるが、それを許容できればなかなかの佳作。
何より、子役の演技が素晴らしく、エスター役のイザベル・ファーマンは凄い。前半の淡々とした冷徹な行動ぶり、後半正体がばれるあたりからの狂気が滲み出たような鬼気迫る演技は怖いの一言。周囲の人間を容赦なく排除していき、目的が達せられなかったら、その相手も躊躇なく殺すなど残忍極まりないが、エスター自身の身体的な不幸を鑑みれば、ある意味彼女も可愛そうな人間にも見える。だからって、何をやっても許されるというわけではないが。また、一家の娘役のアリアーナ・エンジニアもいい。会話が不自由な役柄ながらも、エスターと渡り合う存在感はなかなか。それに比べると、兄貴役の少年の弱さが目立つ。父親もエスターに騙されてあっさりやられちゃうし、決闘の末とどめを刺すのは母親役のヴェラ・ファーミガだし、終始、女性陣が活躍した作品。


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