デアボリカ

2019年03月09日 22:48

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【原題名】BEYOND THE DOOR/CHI SEI?
【製作】オヴィディオ・G・アソニティス、エンツォ・ドリア、エドワード・L・モントロ
【監督】オリヴァー・ヘルマン、リチャード・バレット
【脚本】オリヴァー・ヘルマン、アントニオ・トロイソ
【撮影】ロベルト・デットーレ
【音楽】フランコ・ミカリッツィ
【出演】ジュリエット・ミルズ、ガブリエラ・ラヴィア、リチャード・ジョンソン、エリザベス・ターナー
1973年/イタリア映画/108分


【STORY】
ジェシカは夫のロバートと2人の子供たちと幸せに暮らしていたが、覚えのない妊娠をきっかけに奇妙なことが起こり始める。ジェシカは精神的に不安定になり、言葉や行動が暴力的になる。子供部屋では人形が動き回り、ポルターガイスト現象も。ロバートの友人で医師のジョージによれば、胎児はあり得ない速さで成長しているという。やがて、顔つきまで変わり別人のようになったジェシカは緑色の液体を吐き出し、男の声で罵りはじめる。全く事の原因がつかめないロバートの前に、ある日ディミトリという男が現れた。彼は自分ならジェシカを救えるという。藁にもすがる思いで、ロバートはディミトリにジェシカを託すが、ディミトリには10年前に悪魔とある約束を交わしていた―。

【REVIEW】
大ヒット作『エクソシスト』の影響下にイタリアで製作されたオカルト映画。悪魔に取りつかれた妊婦の形相がおぞましく変化し、首が180度回転、汚らわしい言葉を吐いて汚物を吐きまくるのも本家と瓜二つ。『エクソシスト』がいかに偉大で影響力を持っていたかよくわかる。

パクリと言われても仕方がないが、それでも見どころがあるのがイタリア映画のいいところ。定番のゲロ描写は『エクソシスト』よりも大量にサービス、ジェシカ役のジュリエット・ミルズの悪魔憑きぶりも見事、医者のいい加減な検査であきらめて良く分からん他人にすがるロバートの良く分からん心情、そんでもって街中を彷徨うロバートにやたらとまとわりつくストリートミュージシャン。本筋とは関係なところにまで、何故かこだわりを見せるのが理解はできないが独特の味わいがあるのも事実。一言でいえば、よく分からなない、理解し難い不条理なものを見せられる不快感的なものをわざと誘発しているのではないか!?という意図さえ感じてしまうが、多分考え過ぎだろう。

謎の男ディミトリはジェシカを助ける救世主かと思わせながら、最後の種明かしでは、10年前に悪魔に決められていたタイムリミットが迫っていたため約束を守ってジェシカに悪魔の子を産ませようとしていた・・・。って、結局自分が助かりたかっただけかい!と突っ込んでしまうが、さらに悪魔が助けると約束しておいて実は助けるつもりはさらさらなく、実は全部ウソだよーって告白する始末。そこで、取り乱して「死にたくないーッ」と叫ぶディミトリが何とも哀れ。このディミトリ役のリチャード・ジョンソン、個人的には『サンゲリア』の印象が強すぎて、終始メナード医師にしか見えなかった。


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“悪魔とエクソシストとの壮絶な戦いを描く”とあるが、壮絶とは言い難く、むしろ何もせずただ待っていた様な気もする。




ミミズバーガー

2019年03月07日 12:23

ミミズバーガー表

【原題名】THE WORM EATERS
【製作】テッド・V・マイクルズ
【監督】ハーブ・ロビンズ
【脚本】ハーブ・ロビンズ
【出演】ハーブ・ロビンズ、バリー・ホステットラー、ジョセフ・サケット、リンゼイ・アームストロング・ブラック、ロバート・ギャリソン
1975年/アメリカ映画/89分


【STORY】
町はずれの沼地を再開発してひと儲けしようと企む市長一派は、土地を所有しているアムガーを疎ましく思っていた。人付き合いを敬遠して生活しているアムガーの楽しみはミミズを飼育すること。一匹一匹に名前を付けて愛情を持って接しているが、他人には変人扱いされている。ある日、アムガーの家にやってきたっ女性が、ミミズの混入したパスタを食べてしまい、彼女は下半身がミミズになってしまう。困ったアムガーは彼女を檻を作って中で飼育する。その頃、町では沼地の開発案が可決され、それを知ったアムガーはそれを阻止しようと、町の食物にミミズを入れミミズ人間を増やしていく。

【REVIEW】
ミミズを扱ったホラーといえば、『スクワーム』が有名だが、もう1作答えなさいと言われたら、出てくるのがこの『ミミズバーガー』。『スクワーム』は大量発生したミミズやゴカイが街や人を飲み込んでいくスケールの大きい作品だったが、本作はほとんどが主人公の家の周りで起こる珍事を描いた小粒な作品。ミミズを食べたら、ミミズ人間になっちゃった!・・・というのをバカ真面目に撮っているだけにかなり痛い仕上がりとなっている。主人公のアムガーおじさんを演じたハーブ・ロビンスは生ミミズを吹き替えなしで食べており、劇中ではミミズを手に取ってうっとり話かけるシーンを熱演。監督・脚本も彼の名前でクレジットされており、アムガーおじさんワンマンショーといった趣だ。

さらに肝心のミミズ人間の姿が下半身に布をぐるぐる巻きにしただけで、出来損ないの人魚みたいなのも凄い。そんなミミズ人間が腕の力だけで這って進んでいく姿はシュールを通り越して唖然とするしかない光景。ミミズ人間の男3人組は、俺たちに女のミミズ人間をあてがえ!と脅し、檻の中ではミミズ人間が奇妙な声を上げて暮らしている。アムガーがミミズと戯れる場面で流れる安っぽいエリーゼのためにも切ない。ほとんど予算の無いコントを延々と見せられている感じがし、リモコンの早送りボタンから手が離せない。製作のテッド・V・マイクルズは、エド・ウッドの唯一のライバルという触れ込みだったが、他に手掛けた作品が、『人間ミンチ』や『アストロ・ゾンビ―ズ』などがあり、ソフトの特典で映像が紹介されているが、どれもこれも同じようなレベルの仕上がりで、ある意味凄いな・・・と思ってしまった。ホラー映画には玉石混合様々な作品が存在するが、間違いなくその最底辺に位置するといっても過言ではない、カルト作だ。

ミミズバーガー裏
中古で購入したら、なぜか未開封の新品が送られてきた。それほど嬉しくないのはなぜだろうか。



THE TOOLBOX MURDERS

2019年03月05日 19:23

ツールボックスマーダー表

【製作】Tony DiDio
【監督】Dennis Donnelly
【原案】Robert Easter
【脚本】Ann Kindberg、Robert Easter、Neva Friedenn
【撮影】Gary Graver
【音楽】George Deaton
【出演】Cameron Mitchell、Pamelyn Ferdin 、Wesley Eure 、Nicholas Beauvy、Tim Donnelly、Aneta Corsaut
1978年/アメリカ映画/94分


【STORY】
車から工具箱を取り出した黒ずくめの男がアパートの一室に入っていく。部屋にいた女性は、男が工具箱から電動ドリルを出してきたのを見て驚き別室へ逃げ込むが、男はドアを突き破り、女性にドリルを突き刺して殺す。その後、別の部屋に住む女性を金槌で撲殺すると、そこに入ってきて悲鳴を上げる女性の腹部にドライバーを突き刺して殺す。翌日、死体が発見され、アパートに警察がやって来て捜査を始めるが、その後も殺人事件が発生、さらにアパートに住む少女も行方不明に。少女の兄ジョーイは、警察の捜査が進展しないため、独自に妹の行方を捜す。その頃、少女はある家で監禁されていた。少女を連れ去った殺人鬼の男は、数年前愛する娘を交通事故で失い精神に異常をきたしていたのだった。男は満足げに少女を溺愛するが、その家にジョーイがやってきたことで破滅が訪れる。

【REVIEW】
2003年にトビー・フーパーによってリメイクもされたスラッシャー映画。フーパー版は、殺人事件を追っていくうちに高層アパート内部の秘密の階層にたどり着くという、アルジェントの『インフェルノ』めいた感じであったが、78年のオリジナル版は、美女のヌードと陰惨な殺しの描写がミックスされたイタリアのジャーロ映画に近い感じに仕上がっている。しかも、前半と後半の展開がコロッと変わる作りもオリジナル版の特徴。前半は、動機が明かされないまま女性が無差別に殺されていくエロ・グロを畳み掛け、犯人があっさり明かされた後半は監禁された少女と殺人鬼オヤジとのねっとりとした場面が続く。しかも、兄のジョーイが妹を見つけて救い出すのかと思いきや、彼は火を点けられ丸焼きで焼死してしまう驚きの展開に!さらにオヤジも殺され、最後は監禁されていた妹が(おそらくハサミで犯人を刺殺して)血まみれ&呆然自失で駐車場を彷徨って終わるという、なかなか予想外な結末で、後味の悪さもなかなか。これが日本未公開で、ソフト化されていないのは非常にもったいないと思う。

犯人捜しを物語中盤で放棄してしまっている本作の目玉は、もちろんエロとグロ。凶器が日曜大工道具なのだが、頭部に金槌を何度も振り下ろしたり、体にドリルがめり込んでいくあたりは、視覚的にはインパクトはけっこうある。下手にナイフで一突きされるより、よっぽど痛そう!そして、目玉は何と言ってもネイルガンをぶち込んで殺す場面。ジャケットにも出ているが、全裸の女性を襲うこの殺しが本作最大の見せ場と言っても過言がないくらい。バスタブでくつろぎながら自慰行為にふける美女。絶頂を迎えた後、目を開けるとそこには覆面を被った殺人鬼のおっさんが!!驚いた彼女は浴室から飛び出すが追い詰められ、体にネイルガンで釘を打ちこまれて絶命する。犯人が標的を外したり、装填するのにモタモタするのも挟んで、被害者が逃げる時間を取ってあるのもあり、全裸美女が殺される様が実にゆったりと楽しめる作りになっているのである(さらに瀕死の重傷状態の彼女の眉間にとどめを打ち込むあたりもエグイ)。ほとんど、主要な人物よりも目立っている感があるが、ソフトの映像特典に演じたマリアンヌ・ウォルター(ケリー・ニコルズ)が出演し自分が殺される場面を解説していて、ああ、やっぱり皆そう思っているんだと再認識。



→『ツールボックス・マーダー』(2003年版)


ツールボックスマーダー裏
ジャケット裏面

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