シーバース

2019年04月16日 14:55

【原題名】SHIVERS
【製作】アイヴァン・ライトマン
【監督】デヴィッド・クローネンバーグ
【脚本】デヴィッド・クローネンバーグ
【撮影】パトリック・ドッド
【出演】ポール・ハンプトン、ジョン・シルバー、リン・ローリー、アレン・マジコフスキー、バーバラ・スティール
1975年/カナダ映画/90分


【STORY】
会社員のチューダーは腹部に違和感を覚え吐血が続き調子が悪い。なかなか病院に行こうとしない夫の身を案じた妻は、高層マンション内にある診療所に往診を依頼する。その頃、同じマンションの一室で教授が教え子の腹部を切り裂いたのち自分の喉元を切って自殺する事件が起こる。事件の発見者であった診療所の医者ロジャーは教授が人体の欠損した臓器を寄生虫で補う研究をしていたことを知る。さらに教授は教え子に寄生虫を投与し人体実験を行っていた。その教え子と関係のあったチューダーは口から寄生虫を次々に吐き出して、その寄生虫はマンションの住人へ寄生していく。寄生された住人は理性を失うと暴力的になり、誰彼となくセックスに興じていく。事件の全貌にロジャーが気付いたころには時すでに遅く、混乱はマンション全体に広がっていた。

【REVIEW】
クローネンバーグの長編商業映画デビュー作。都会の高層マンションを舞台に謎の寄生虫によるパニックを描いているが、医療行為を発端とした肉体の変異が生み出す悲劇を血と暴力を絡めていく展開はこの時点ですでに確立されていて、演出やストーリーも粗削りだが、クローネンバーグの独特の表現方法がねっとりとした恐怖感を生み出していて味わい深い1本。寄生虫が巨大な芋虫みたいでそれ自体には怖さは感じられないが、取りつかれた人間が豹変し全く別人になってしまうところや、狂人が多数派になり、正常な人間がマイノリティーとなって追い詰められていくあたりは怖い。ゾンビ映画でもそうだが、逃げても逃げてもどうしようもなく、自分一人しか残っていないのなら、もはや正常でいることの意義さえ失われ、多数派に飲み込まれてしまった方が楽にさえ思えてくるあたりが人間性とは何か!?という問いかけのようで背筋の寒い何かを感じる。

低予算で製作されていたであろうが、マンションの住人役でバーバラ・スティールが、診療所の看護婦役でリン・ローリーが何気に出演しているのが嬉しいところ。最終的に2人とも寄生されてあっち側の人間になってしまうが、2人に襲われたら黙って仲間になった方が楽しいかも・・・。







『死霊のはらわたⅢ』&『チャイルドプレイ』がキング最終盤シリーズで発売

2019年04月15日 11:15

キングレコードが贈る最強仕様ブルーレイパッケージ≪最終盤≫シリーズより、『チャイルド・プレイ』と『死霊のはらわたⅢ/キャプテン・スーパーマーケット』の発売が決定した模様。以下、その仕様ですが―

『チャイルドプレイ』最終盤

発売日:2019年8月7日
価格:10,000円+税

収録時間:本編約87分+映像特典
仕様:カラー 1080pHi-Def(スコープサイズ)

音声:
①オリジナル英語(リニアPCM/5.1ch)
②トム・ホランド監督によるオーディオコメンタリー(DTS HDマスターオーディオ/ステレオ) 
③俳優(キャサリン・ヒックス、アレックス・ヴィンセント)らによるオーディオコメンタリー(DTS HDマスターオーディオ/ステレオ)
④デヴィッド・カーシュナー(プロデューサー)、ドン・マンシーニ(脚本)によるオーディオコメンタリー(DTS HDマスターオーディオ/ステレオ)
⑤バタリアンズ(山口雄大監督&井口昇監督)によるオーディオコメンタリー(DTS HDマスターオーディオ/ステレオ)
字幕:
①日本語字幕
②~④副音声用日本語字幕

映像特典:
・HOWARD BERGER:YOUR SPECIAL EFFECTS FRIEND ‘TIL THE END・LIFE BEHIND THE MASK:BEING CHUKY WITH ED GALE
・CHUCKY COMMENTARIES ON SELECT SCENES ・EVIL COMES IN SMALL PACKAGES-FEATURING INTERVIEWS
・CHUCKY:BUILDING A NIGHTMARE・A MONSTER CONVENTION・INTRODUCING CHUCKY:THE MAKING OF CHILD’S PLAY

封入特典:BOX仕様、16ページブックレット(山崎圭司監修)



『死霊のはらわたⅢ/キャプテンスーパーマーケット』最終盤

発売日:2019年8月7日
価格:10,000円+税

収録時間:本編約81分+映像特典
仕様:カラー 1080p Hi-Def(スコープサイズ)
片面2層
音声:①オリジナル英語(リニアPCM/5.1ch)
②バタリアンズ(山口雄大監督&井口昇監督)によるオーディオコメンタリー(DTS HDマスターオーディオ/ステレオ)
字幕:日本語字幕

映像(音声)特典:
本編(ディレクターズ・カット版、インターナショナル・カット版)、MEDIEVAL TIMES:THE MAKING OF ARMY OF DARKNESS FEATURE、ORIGINAL ENDING、ALTERNATE OPENING、DELETED SCENES、TV SPOT、サム・ライミ監督、ブルース・キャンベル他によるオーディオコメンタリー(ディレクターズ・カット)

封入特典:BOX仕様、16ページブックレット(山崎圭司監修)

≪以上、キングレコードより抜粋≫



なお、最終盤ではない通常盤のブルーレイも発売されるようで(死霊のはらわたⅢの方はDVDも出るみたい)、最終盤にこだわらなければ、そちらでもいいかも。通常盤ブルーレイが4,800円+税なんで、半値以下となると熱烈なファン以外はこちらで十分かもしれませんね。なんにせよ、ホラーの名作が次々にブルーレイ化されていってるのは良いと思うんだけど、未だにDVD化もされていないビデオリリースで止まっている作品にもスポットを当ててもらえると嬉しんだけれどなあ。まあ、買う層が限られているんで、商売として成り立ちにくいから難しんだろうですけども。





ヘルナイト

2019年04月14日 11:12

ヘルナイト

【原題名】HELL NIGHT
【製作】アーウィン・ヤブランス、ブルース・コーン・カーティス
【監督】トム・デ・シモーネ
【脚本】ランディ・フェルドマン
【撮影】マック・アールバーグ
【音楽】ダン・ワイマン
【出演】リンダ・ブレア、ヴィンセント・ヴァン・パタン、ピーター・バートン、ケヴィン・ブロディ、ジェニー・ニューマン、スーキー・グッドウィン
1981年/アメリカ映画/102分


【STORY】
大学の学生クラブ「アルファ・シグマ・ロー」の新歓コンパ。盛り上がる彼らは車で移動、夜中に町はずれの豪邸ガース館へやってくる。この屋敷、12年前に当主のレイモンドが障害を抱えた子供たちの行く末を案じて一家心中したという曰くつきのところ。クラブの規則では新人会員はこのガース館で一夜を明かさねばならないという決まりがあった。今年の新人はマーティら4人の男女。会長のピーターはルールを説明した後、門の入り口を施錠し引き上げていく。

やがて女性の悲鳴が聞こえてきたり、老人の幽霊が現れたりするが、これはピーターたち上級生の仕掛けたいたずら。ピーターらはガース館へ戻って来てた後、新人会員を驚かすために様様な仕掛けを準備していた。屋敷の外で新人会員を怖がらせて楽しむピーターたちだったが、背後から何者かが現れ、ピーターたちは次々に殺されてゆく。謎の殺人鬼は屋敷内にも侵入し、マーティらは本物の殺人鬼が居ることを知り、屋敷内を逃げ惑う。

【REVIEW】
80年代前半はスラッシャームービー全盛期で、この『ヘルナイト』が作られた81年も『ローズマリー』や『血のバレンタイン』『バーニング』などスラッシャーの名作が揃い踏みしており、とにかく殺人鬼が大暴れしていた素敵な時代でした。いくら人気のジャンルとはいえ、キャンプ場で若者が殺されていくだけでは所詮二番煎じで埋もれて行ってしまうので、後発作品は差別化を図ろうと、殺される場所を変えたり殺人鬼に特色を出したりとアイデアを出していくが、本作の舞台は一家心中のあった屋敷での肝試し。でもって、モノホンの殺人鬼が現れて若者を殺していくのだが、毎年新歓コンパの日にはこの肝試しが行われていたのに、何故今年だけ殺人鬼が現れたんだろう・・・!?などという野暮ったい詮索は置いといて、この設定を純粋に楽しむのがスラッシャー映画の醍醐味というもの。最後まで結局正体は明かされないが、暗闇から襲い掛かってくる不気味な殺人鬼はなかなか味があって、チェイスシーンも緊迫感があって悪くない出来栄えだ。

スラッシャームービーの見せ場の一つ(というかこれがメインだが)は殺しの場面なわけだが、本作でも女学生の首チョンパ→ベッドのシーツをめくったら生首がゴロリや、素手で首を360℃回転させて殺したり、鋭利な凶器で腹部をぶっ刺したりと、色々趣向を凝らしていて飽きさせない。また、殺人鬼が怪力で、なかなか死なないのも定番の展開で、この辺はこの手の映画を良く分かっている気がします。そして、もう一つの見せ場は、襲われるヒロインが可愛いかどうかもポイントの一つで、ここが弱いと映画の魅力も下がってしまうというもの。その点、『ヘルナイト』は『エクソシスト』の悪魔に取りつかれたリーガンの演技で全世界の度肝を抜いたリンダ・ブレアをヒロインに持ってきていて抜かりはない・・・が、『エクソシスト』の頃から比べるとかなりぽっちゃりしてしまっていて、か細いホラーヒロインを想像しているとちょっと肩透かしを食らうかも。製作陣もその辺を考慮してか、劇中でコスプレしている赤ずきんの衣装を最後まで一切脱がさず、お色気は別の女優でカバーさせている。個人的には、気にするほどのこともないと思うんだけれどもどうなんでしょうかね?惨劇の夜が明け、殺人鬼が串刺しで絶命した横を放心状態で歩いてゆくラストシーンが印象に残るスラッシャーの佳作だと思います。



ヘルナイト解説
映像特典は、「リンダ・ブレア」インタビュー、「トム・デ・シモーネ」インタビュー、俳優陣による対談など、インタビューものが実に豊富で、これら全部見ると2時間はゆうに超えています。その他にも、殺しのシーンの解説やロケ地紹介など充実した内容。




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