2019年10月26日 12:14

出版社:近代映画社
出版年月:1986年11月
作品解説:江戸木純、北島明弘、小松沢陽一、久保田明、冨谷洋、平沢和行、水木容子、村岡三朗
ページ数:148頁
定価:1,800円(発売当時)
【表紙】死霊の谷
悪魔のいけにえ2、クリープス、死霊のしたたり
死霊の谷、死神レーサー、おとぎ話は血の匂い デッドタイム・ストーリー
ポルターガイスト2、悪魔の毒々モンスター、リンク、ノマッズ
クリッター、クリーチャー、ゴースト・ハンターズ、ストレンジ・インベーダーズ
ロジャー・コーマン:ハリウッズ・ワイド・エンジェル
赤死病の仮面、スペース・レイダース、SFソードキル、クロール・スペース
テラービジョン、ダーク・スター、スペース・バンパイア
エル・トポ、エレメント・オブ・クライム、ザ・ラスト・ウェーブ、アドベンチャー・マーク・トゥエイン
貴縁、俠女十三妹、7番目の呪い
悪魔の微笑み、ザ・リッパー、SFコンクエスト 魔界の征圧
ラッツ、ヘル・オブ・ザ・リヴィング・デッド
無邪気な悪魔におもちゃが8つ、バンパイア・キラーの謎
バンパイア・ラヴァーズ、吸血鬼ブラキュラの復活
デビル・ナイト、禁断の惑星 エグザビア、悪夢の銀河鉄道、四次元への招待
ブライアンの悪夢、ザ・プラマー 恐怖の訪問者
スタッフ、嗜肉の愛 ビヨンド・ザ・ダークネス、ミッドナイト、発情アニマル
血みどろの入江、血塗られた殺人、妖怪道士、アルジェント・ザ・ナイトメア 鮮血のイリュージョン
テラー・オン・テープ 、ファンゴリア・ビデオ・マガジンVol.2 黒魔術スペシャル
魔界の館、呪われた血族、フューチャー・キル、S.F.第7惑星の謎
ジュリア 幽霊と遊ぶ女、ザ・ハース 生贄の町
わたしは目撃者、悪魔の虚像 ドッペルゲンガー
スティーブン・キングの死霊の牙、スティーブン・キングのキャッツ・アイ
呪われた棺、アメリカン・ナイトメア 夜の切り裂き魔
怪人ドクター・ファイブス、モスキート 血に飢えた死体マニア
ナイトメア・シティ、魔界天書、犯されたお嬢様 女子寮を襲う聖夜の殺人鬼
ドラキュラ最後の聖餐、黒の殺人リスト、ブラッド・リンク
フランケンシュタイン’86、マッキラー、ベルベット・バンパイア、エビクターズ 惨殺の家
ジキル博士と女たち 暴行魔ハイド、タランチュラのキス、吸血男オクトマン
ブリーダーズ、ミュータント・ハント
モンスター・ア・ゴー・ゴー、シー・デビルズ・オン・ホィールズ、サムシング・ウィアード
◆東京国際ファンタスティック映画祭’86
◆ファンタスティック映画祭に来日するステキなホラー・メイカーたち
ロジャー・コーマン
ロイド・コーフマンとトロマ映画
トビー・フーパー
ジョン・カーペンター
◆どうしても日本で国際的なファンタスティック映画祭を開きたかった!!
◆ファンタスティカ・ブリュッセル映画祭
◆ホラー映画にもこんなステキなセリフがある!
◆ホラー・ムービー殺しのテクニック ア・ラ・カ・ル・ト
◆新作ホラー・ムービー製作ニュース
◆異色ホラー・バイプレーヤーたち
◆ホラー・ムービーはポスターもなかなかのものがある!!(Ⅱ)
◆最新話題作ビデオ一挙公開
【裏表紙】クリッター
近代映画社が発行していたホラー映画ムック本のシリーズ第5弾。記憶している限りでは、最終巻。その他にはNEOブックスなる判型の小さくなったPART1~PART2の再編集版が出ていたが、PART3以降はこのA4ムック版のみの発行だったと思う。PART4までは装丁がブラックだったが、このPART5はシルバーで、本文のフォントも丸くなりなんだかポップな感じになっている。
誌面の前半は東京国際ファンタスティック映画祭の作品、後半はビデオリリースされた作品になっており、その間に特集記事が挟まっているいつもの作りだった。特に、小松沢陽一氏のファンタスティック映画祭(前年のTAKARA~も含めて)のレポートは当時の日本で盛り上がっていたホラーブームの熱気が感じられて熱いものが込み上げてくる。アルジェントやクローネンバーグらが来日して舞台挨拶してくれるなんて本当にアメージングだし、ホラーやSFなどのジャンル映画のみで映画祭を日本で開催出来たというのも意義のあることだと思う。どちらかと言えば日陰でひっそりと暮らしていたものが、突然スポットライトが当てられたような時代。メディアもこぞってこのムーヴメントを取り上げ、レンタルビデオ店では大々的にコーナーが設置されて一般人にまで目に触れる機会が一気に増加した時期であった。しかし、この後、飽和状態になった業界のブームは落ち着き、ホラーが映画の1ジャンルとして定着しつつあったころ、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件が発生(1988年)する。容疑者の自宅から発見されたとするビデオ(ギニー・ピッグシリーズ)がホラー映画であったことから、世間の風当たりは強くなり、テレビ放映の自粛、ビデオ店からのコーナー撤去などが相次ぎ、あっという間にブームは消え去り、「ホラーが好き」と言うだけでも憚られる冬の時代が続くことになる。
それから30年が経過したが、今現在ホラー映画は死に絶えたかと言えばそうではない。90年代、宣伝文句に“ホラー”と入れると客が入らないということで、スリラーやサスペンスに分類されて、一時は消え去りかけたが、2000年代になり様様な作品が生み出されてホラー映画という言葉も普通に使われるようになってきた。往年の名作が次々にリメイクされたり、ゾンビ映画が復権してきたり、また、CG技術の進歩により昔なら表現出来なかった映像も見ることが可能になってきた。メディアもVHSからLD、DVDそしてブルーレイと進化し、そのたびに名作はリリースされ、埋もれていた作品も日の目を見ることができるようになった。この『THE HORROR MOVIES』シリーズが発行されていた頃と時代はかなり変わったが、当時掲載されていた作品たちは今も生き続けているのである。それは今後も多分変わることはない。願わくば、こういった出版物でも取り上げてもらって地道にホラー映画の裾野を広げていってくれれば、ホラー映画のいちファンとしては嬉しく思う。ホラーは不滅です。

巻頭は『悪魔のいけにえ2』

TAKARAファンタスティック映画祭と東京国際ファンタスティック映画祭のレポート

ジョン・カーペンター監督の特集記事。東京ファンタに合わせて来日予定だった、トビー・フーパー、ロジャー・コーマン、ロイド・カウフマンと並んでの特集(カーペンターは急きょ来日できなくなったとの注釈もあり)。

フルチの『ザ・リッパ-』と『SFコンクエスト』ビデオリリースの紹介記事。『ザ・リッパ-』はDVDでリリースされたが、『SFコンクエスト』のほうはビデオ止まりのまま。

裏表紙は『クリッター』
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