ハウリングⅡ

2020年03月25日 18:58

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【原題名】HOWLING II: YOUR SISTER IS A WEREWOLF
【製作】スティーヴン・A・レイン
【監督】フィリップ・モーラ
【脚本】ロバート・サルノ、 ゲイリー・ブランドナー
【撮影】ジェフリー・スティーヴンソン
【音楽】スティーヴン・パーソンズ
【出演】クリストファー・リー、アニー・マッケンロー、シビル・ダニング、 レブ・ブラウン、マーシャ・A・ハント
1985年/イギリス映画/90分


【STORY】
人気テレビキャスターであったカレンの葬儀に参列していた弟のベンと同僚のジェニーは、そこで会った人狼ハンターのステファンから、カレンは狼人間であったことを聞かされ驚愕する。さらに狼人間の首領スティルバが復活することを知った二人は、ステファンと一緒に復活を阻止すべく、チェコスロバキアの古城へ向かう。

【REVIEW】
ジョー・ダンテが監督した前作『ハウリング』は、現代に潜む狼人間たちの様子を、ロブ・ボッティンの凄まじい特殊メイクで描いたモダン狼男映画としてホラー映画にその名を刻む名作であった。ヒット作が出れば続編が企画されるのは当然だが、1作目の評判が高ければ高いほどハードルもおのずと高くなるわけで、この『ハウリングⅡ』もファンの期待は高かったが、その出来は・・・。

とりあえず、場所を現代からあえてヨーロッパの古城に移してイメージを古風にしたが新味は薄く、唯一クリストファー・リーがその雰囲気と合っていたが、それじゃあ昔の狼男映画に戻っただけでは・・・!?さらに、ボッティンの創造した超絶変身場面と比べるのは酷だが、本作のこの貧相な変身シーンは余りにもお粗末なのでは??予算は、ほとんどリーのギャラに使ってしまったのか、見るも無残なこの変身シーンの数々に正直『ハウリング』シリーズを名乗ってほしくなかったとまで思ってしまい、DVDの裏面からして「特殊メイクなども低レベルで、映画の出来も遠く及ばないB級映画として知られている」と堂々と敗北宣言をしてしまう始末で、なんだか見る気がどんどん失せてしまう、褒めるところがみつからない駄作の典型じゃあないですか!!と叫びたくなる気が。結局、本作のウリは、中世狼男映画に戻った設定の中に、何故かボンテージ衣装に身を包んだエロいシビル・ダニングが脱ぎまくって作った見せ場だけで、そのほかはほとんど記憶に残らない寂しい映画であったのでした・・・。それにしても、エンディングのおっぱいポロリの無限リピートは何だったんだろうか?

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変態村

2020年03月24日 06:02

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【原題名】CALVAIRE
【製作】ミカエル・ジェンティル、エディ・ジェラドン=リュイックス、ヴァンサン・タヴィエ
【監督】ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
【脚本】ファブリス・ドゥ・ヴェルツ、ロマン・プロタ
【撮影】ブノワ・デビー
【音楽】ヴァンサン・カエイ
【出演】ローラン・リュカ、ジャッキー・ベロワイエ、フィリップ・ナオン、ジャン=リュック・クシャール、ブリジット・ラーエ
2004年/ベルギー=フランス=ルクセンブルク合作映画/91分


【STORY】
老人ホームの慰問ライブを終えた歌手のマルクは、次の仕事である南仏のクリスマスライブへと向かうが、途中山奥で車の故障で立ち往生してしまう。日も暮れてしまい、ペンションの看板を見つけたマルクは、通りがかった男に案内してもらい、その宿で一晩を明かす。翌朝、ペンションのオーナーであるバルテルに車の修理を依頼し、付近の散策に出かけたマルクは村人の異常な行動を目撃する。その後、ペンションに戻るが、やがてバルテルの様子が変貌していく。電話線は切られ、車はバッテリーを外され車内には物色された跡が。マルクが問い詰めると、バルテルはマルクを殴り倒して、車に火を放つ。そして、マルクを監禁したバルテルは無き妻グロリアの衣服を着せる。彼は、マルクとグロリアを混濁し、愛する妻が戻ってきたと思い込んでいた。エスカレートするバルテルの行為は、やがて疎遠になっていた村人も巻き込んでいく。

【REVIEW】
邦題は『変態村』だが、原題はCALVAIRE~フランス語で、ゴルゴダの丘、苦難、試練などの意味。主人公マルクが、ふとしたことで田舎の閉鎖的な村に迷い込んでしまったことから巻き込まれていく数々の理不尽な行為は、まさにこの原題名が表す通り。なぜ、バルテルや村人たちはマルクをグロリアと信じて疑わないのか、なぜ村には男どもしかいないのか、その辺の説明は一切ないまま最後まで進んでいくので、消化不良感は残ったままだが、このヨーロッパ独特の何とも言えない画面から滲み出る暗さや不気味さはハリウッド映画ではまず出せない個性。特典の監督インタビューでは、70年代などの過去のホラーへのオマージュを語っているが、2004年製作で、昔の雰囲気が感じられるのはある意味凄いかなと思います。

直接的なゴアシーンはそれほどでもないが、閉鎖的な空間で部外者が味わう言いようのない責め苦はよく伝わってきて、精神的に嫌~な感じが味わえる。自分以外の村人全員が異常者なんて、もうここに迷い込んでしまった時点でアウトです。さらに、テンポの悪い編集、ほとんど音楽が流れない無音な世界(それが余計に、バーの場面でのダンスシーンの異様さが際立っている)、理解不能なラスト、などが異様さに拍車をかける。起承転結のあるアメリカ映画が好きな人にはてんで理解できない、これがユーロ映画の味な気がします。劇中、ほとんど薄汚いおっさんか家畜しかでてこず、女性が登場するのは冒頭の老人ホームの場面のみ。そこで、マルクを見送る熟女看護婦が『殺戮謝肉祭』にも出ていたブリジット・ラーエだった。観終わった後で知ったけど。

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メイ

2020年03月23日 07:25

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【原題名】MAY
【製作】マリアス・バルチュナス、スコット・スタージョン
【監督】ラッキー・マーキー
【脚本】ラッキー・マーキー
【撮影】スティーブ・イェドリン
【音楽】ジェイ・ラケット
【出演】アンジェラ・ベティス、ジェレミー・シスト、アンナ・ファリス
2002年/アメリカ映画/94分


【STORY】
動物病院で働くメイは、生まれつきの目の障害と内気な性格もあって友達がいなかった。唯一心を許せるのは、幼いころ母親がプレゼントしてくれた人形のスージーのみ。そんな彼女にも好きな男性ができる。自動車工場で働くアダムに心を寄せるメイは、ふとしたことをきっかけに彼と付き合うことになり、幸せな時間を過ごすが、のめりこんでいくメイが見せる奇行に驚くアダムは次第に彼女と距離を置くようになる。そんな彼女を職場の同僚ポリーが慰めてくれるが、彼女ともやがてうまくいかなくなっていく。再び独りになり、精神的にも追い詰められていくメイ。そんなとき彼女はふと気が付く。「友達ができないのなら、自分で作ればいい―」職場の手術器具を持ち出したメイは、気に入った人間のパーツをつなぎ合わせて究極の友達を作ろうとする。

【REVIEW】
ホラー的な要素は、狙いを定めた相手を容赦なく殺して集めた人体のパーツで体をつなぎ合わせていく下り(※メイは裁縫が趣味で、衣装も自分でミシンを踏んで作っていくので、人体パーツもササっと縫い上げていく)。それまでは、なかなか社会に溶け込めず、友人や恋人づくりに苦労する青春ドラマの色が濃い。不器用でコンプレックスの多いメイが人並みに恋し、それを成就させようと四苦八苦するのはよくあるお話だが、他人とうまく噛み合わず、すれ違い離れていくのを見ているのは切ない。まあ、相手方からしたら性格が合わなけりゃ、行動が理解できなけりゃ別れようと考えても普通かもしれんが、逆の立場のメイからしたらもうこの世の終わり~絶望の淵・・・みたいになっているわけで、殺されるほうは何で殺されているのか理解できないだろうなあと思う。現実でも人間関係で悩んで殺人を犯してしまうのは、たぶんこんな感じじゃないかと思えるので、なんだか本当にやるせないものがズズーンと残るストーリーだ。

救いがあるとすれば、殺される登場人物が軽いノリのタイプが多くてそれほど可哀そうに思えないところと、ラストにメイが少し満足した笑顔で息を引き取っていく姿が映っていたところか。孤独は現代でもいろいろな世代と国々で社会問題化しているが、決して他人事ではない身近に潜むリスクであると思う。メイだって、誰か一人でも理解してくれる、側にいてくれる人間が居たら絶望の末に凶行に及ぶことはなかったはずだろうし、自分だって孤独な時間が延々と続いていったら理性を保っていけるかなんて保証はない。

主人公のメイを演じたやたら目力のある女優アンジェラ・ベティスは、フーパ―の『ツールボックス・マーダー』でも主役を張っていた人。彼女の演技力でこの映画はほぼ成り立っているといっても過言ではないと思う。惜しむらくは、最後の人体パーツの作成場面の描写が割とマイルドだったこと。同じような内容では、頭のおかしくなったオジサンが人体パーツでジグソーパズルを作ろうとする『ブラッドピーセス~悪魔のチェーンソー』が振り切った描写で楽しませてくれているので、ついついそんなレベルの映画を想像していたので、血糊が足らなかったのが寂しく感じたんだと思います。

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ホラー・マニアックス シリーズ第12期のラインアップが決定!!

2020年03月22日 13:36

新型コロナで落ち着かない今日この頃ですが、来ました、ホラー・マニアックスシリーズの最新第12期の内容が決まりました。全8作で、今年の7月からリリーススタート、今回も応募者特典はあって、4作購入で『殺人魚フライングキラー』のサントラCDをプレゼント!!うーん、どんな音楽だったのか、まったく思い出せん・・・。

例によって、特典内容等お知らせさせていただきます。
以下、amazonさんより抜粋です。




2020年7月3日発売 第1弾

『ガバリン 日本語吹替音声収録2Kレストア版』
“第15回パリ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞。
叔母の遺産は怪物屋敷! 異次元の迷宮に消えた息子を救え!”

■特典
<特典映像>
(1)メイキング・オブ・“ガバリン“(66分30秒)
(2)旧メイキング映像(24分)
(3)劇場予告編(2種/計2分30秒)
(4)ティーザー映像(1分25秒)
(5)TVスポット(3種/計1分30秒)
(6)フォトギャラリー(7分)


『ガバリン2 タイムトラぶラー -2Kレストア版-』
“時空を超えた秘宝ドクロの争奪戦!痛快ハウスホラー第2弾!”

■特典
<特典映像> 
(1)メイキング・オブ・“ガバリン2“(57分30秒) 
(2)旧メイキング映像(14分30秒)
(3)劇場予告編(1分20秒) 
(4)TVスポット(30秒) 
(5)フォトギャラリー(6分


2020年8月5日発売 第2弾

『ゾンビ伝説 -日本語吹替音声収録コレクターズ版-』
“ゾンビは実在する――人類学者が遭遇した衝撃の実話!”

■特典
<特典映像>
(1)メイキング・オブ・“ゾンビ伝説"(24分)
(2)劇場予告編(1分20秒)
(3)TVスポット(30秒)
(4)フォトギャラリー(5分)


『殺人魚フライングキラー -日本語吹替音声収録2Kレストア版-』
“ジェームズ・キャメロン監督の長編デビュー作! 
蒼い深淵から空飛ぶ殺人魚が大襲来!もうどこにも逃げ場はない…。”

■特典
<特典映像> 
(1)リッキー・ポール・ゴルディン<俳優>インタビュー(16分)  
(2)ブライアン・ウェイド<特殊メイク>インタビュー(14分) 
(3)劇場予告編(2分


2020年9月2日発売 第3弾

『ゾンゲリア -日本語吹替音声収録コレクターズ版-』
“愛する人もゾンビなのか――海辺の町を襲う死者甦りの悪夢!”

■特典
<特典映像> 
(1)スタン・ウィンストン<特殊メイク>インタビュー(18分) 
(2)ロバート・イングランド<俳優>インタビュー(12分)
(3)ダン・オバノン<脚本>インタビュー(14分) 
(4)予告編(2種/約4分)


『ドッグ・ソルジャー -4Kレストア版-』
“第20回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭グランプリ作品。
英陸軍特殊部隊VS未確認肉食獣!生き残るのは誰だ!? ”

■特典
<特典映像> 
(1)メイキング・オブ・“ドッグ・ソルジャー“(102分)※DVD未収録 
(2)美術監督インタビュー(13分)※DVD未収録 
(3)旧メイキング映像(19分) 
(4)各種予告編(5分)※DVD未収録多数 
(5)未公開シーン集(7分) 
(5)NG集(1分30秒) 
(6)フォトギャラリー(4分30秒)※DVD未収録


2020年10月2日発売 第4弾

『フェノミナ -日本語吹替音声収録4Kレストア版-』
“虫を愛する孤独なヒロインに迫る魔手――残酷美少女ホラーの金字塔!”

■特典
<特典映像> 
(1)メイキング・オブ・“フェノミナ”(52分) 
(2)フィオーレ・アルジェント<女優>インタビュー(7分30秒) 
(3)フランコ・フェリーニ<原案・脚本>インタビュー(12分30秒) 
(4)ロマノ・アルバーニ<撮影>インタビュー(10分) 
(5)サイモン・ボスウェル<音楽>インタビュー(12分) 
(6)クラウディオ・シモネッティ「フェノミナ」回想(6分30秒) 
(7)セルジオ・スティヴァレッティ<特殊メイク>トークショー(19分) 
(8)イメージ音楽ビデオクリップ “Jennifer”(4分) 
(9)イメージ音楽ビデオクリップ“Valley”(4分) 
(10)セルジオ・スティヴァレッティによる冒頭挨拶(20秒) 
⑪インターナショナル版予告編(2分30秒) 
⑫イタリア版予告編(2分30秒)

※【DISC1】本編115分(インテグラルハード完全版)
 【DISC2】本編110分(インターナショナル版)
 【DISC2】本編83分(アメリカ公開版)

『デビルジャンク -HDコレクターズ版-』
“魔界からの殺急便!地獄さえ見放した悪霊殺人鬼、ここに降臨!”

■特典
<特典映像> 
(1)リタ・タガート<女優>インタビュー(11分) 
(2)ケーン・ホッダー<スタントマン>インタビュー(11分) 
(3)グレッグ・ニコテロ<特殊メイク>&ハワード・バーガー<特殊メイク>インタビュー(16分) 
(4)ビハインド・ザ・シーン集(21分) 
(5)削除シーン(1分20秒) 
(6)劇場予告編(1分30秒) 
(7)フォトギャラリー(5分)



『ガバリン』は懐かしい~!雑誌『V-ZONE』のNO.5でも表紙&特集記事がガッツリ掲載されていて、期待に胸膨らませて公開を楽しみにしていた記憶があります。内容は“怖い”というよりも“楽しい”という感じだったけど。1作目以外は未見だけど、買うかどうかとなると2作目以降は微妙ですね。今回、購入するとしたら・・・、『ガバリン』、DVD買い損なっていた『ドッグ・ソルジャー』はほぼ決定、ピラニアの亜流ながら結構楽しめる『殺人魚フライングキラー』もビデオ鑑賞以来なので欲しい。『ゾンビ伝説』と『ゾンゲリア』はDVDもあるし、ブルーレイで買い直すか迷うところ。ああ、『フェノミナ』は勿論買いますよ。VHS~LD~DVD~Blu-Rayと追い続けていますけれども、多分行きつくところまでは付いていきます。でも、今回の4Kレストア版の2枚組って、「インターナショナル版110分」「インテグラルハード完全版115分」「アメリカ公開版83分」の3バージョン収録なんだけど、これってARROW VIDEOのものと比べてどうなんだろうか?ARROW版はブルーレイにサントラCDが付いた3DISC仕様でしたが、今回発売のホラー・マニアックス版は新録の日本語吹替が収録されているのがポイントですかね。





本日、ダリオ・アルジェント"魔女三部作"禁断の一挙上映!!

2020年03月21日 10:19

新文芸坐で、『サスペリア』『インフェルノ』『サスペリア・テルザ 最後の魔女』のアルジェント魔女三部作を一挙上映する予定。今回、オールナイト上映ではなく、15:00からなんで、昼間の明るい時間帯に見るなんか健全な感じです。

そんでもって、特典があって、「限定ポストカード」と「サスペリア新聞号外」が付いてくるとのこと。
・・・地味に、本編見るより、こっちが欲しいっス。
“限定”とか“特典”という言葉には人間を惑わす何かがある気がする・・・。


ちなみに、魔女三部作上映は4月4日にも予定されていて、こちらはオールナイト上映で、山崎圭司さん×田野辺尚人さんのトークショーに、「限定ポストカード」と21日のものとは異なる内容の「サスペリア新聞」が付いてくるとのこと。コアなファンは今日と4月4日の2回来なさい!ということですね。


ポストカード&新聞♪
https://twitter.com/shin_bungeiza/status/1240973033319182336


肝心の『サスペリア・テルザ』のBlu-Rayの発売日も近づいてきています。
ホラ—・マニアックスの発売も決まったし、また資金確保しとかんと・・・。




死霊のえじき Blu-ray 『初回生産限定版』

2020年03月06日 01:49

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『死霊のえじき』ブルーレイ。先月自宅に届いていたんだけれども、諸事情で、最近開封したところ。封入特典は、「42Pフルカラーブックレット」「THE DEAD WALKの新聞ミニレプリカ」「オリジナル脚本」「VHS風アウターケース」で、表のBOXのジャケットは3D仕様でいろいろと凝った仕掛けが施されております。さらにディスクは2枚組で、HDニューマスターによる滅茶苦茶キレイに生まれ変わった本編に、合計320分にも及ぶ特典映像を収録したディスクが付いたものになっている。まだ、特典ディスクまでは観きれてないんだけれども、とりあえず本編を久々にじっくり見て、今まで見た中で一番美しい『死霊のえじき』を満喫できました♪とても1985年製作の35年前の映画とは思えない映像で、細部までレストアされていて、ここまで細かな作業を行ってくれたことに本当にご苦労様ですと言いたいです。新録の日本語吹き替えもあるし、オマケのトリビア字幕も楽しめました。

作品内容については、以前の記事でも書いたけど、哲学的なゾンビ映画逸品である認識は変わらず。日本公開当時は、ホラー映画~とりわけ特殊メイクを前面に押し出したスプラッタームービー~が最も勢いのあった頃で、この『死霊のえじき』も残酷ゴアシーンをこれでもかと予告編でも打ち出していたんで、皆それを目当てで映画館に足を運んだはずだが、いざ本編を見てみると、なかなかお目当てのゾンビと残酷場面はなかなか出てこず、どちらかといえば地味~な会話シーンが延々と続き(オマケに地下のシンプルな会議室&実験室ばかりで、太陽の光がほとんど差し込まない暗い画面がほとんど)、クライマックスの軍人大殺戮でやっと留飲を下げたという、少々消化不良で映画館を後にした記憶が今でも残っている、残念な記憶で終わった映画であった。これはあの『ゾンビ』の続編で、ロメロのゾンビ・サーガ3部作の完結編であるとの情報もあって、ファンの期待値を最大にまで上げていたことも、評価を下げてしまった原因であったと思われる。逆に同年公開の『バタリアン』は前評判よりも良かったこともあって、映画自体の評価は上がった方であった。そんなふうに当時は低評価&興行成績もライバルに負けてしまい、不遇な扱いを長年受けてきた本作だが、年数を重ねていくうちに作品自体が見直されて、今では一定の評価も受けて「そんなに悪い映画じゃないよね。むしろ、よくできた作品だよね」に変わってきているのが個人的には嬉しく思います。『ゾンビ』の明るい雰囲気とは真逆のシリアスで真面目な『死霊のえじき』、“夜明け”から“昼間”にタイトルが変わったのにむしろ暗い画面ばかりになっているけれども、この重苦しい終末観あるれる感じが好きなんですよねー。まあ、人によって好みはあると思いますが、間違いなくゾンビ映画史にその名を刻んでいる、ゾンビ映画を語るうえで、『死霊のえじき』はやっぱり外すことのできない重要な作品であると思います。


特典5種類
左上から、アウターBOX、VHS風ケース、
左下から、新聞ミニレプリカ、オリジナル脚本、カラーブックレット



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左が、VHS風ケースで、右が、中のジャケット。BOXのジャケットとはまた違ったものになっている(というか、通常版のデザインですね)






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