2020年04月04日 22:49

【原題名】HEREDITARY
【製作】ケヴィン・フレイクス、ラース・クヌードセン、バディ・パトリック
【監督】アリ・アスター
【脚本】アリ・アスター
【編集】ジェニファー・レイム、ルシアン・ジョンストン
【音楽】コリン・ステットソン
【出演】トニ・コレット、アレックス・ウォルフ、アン・ダウド、ミリー・シャピロ
2018年/アメリカ映画/127分
【STORY】
グラハム家の祖母エレンが亡くなり、娘のアニーは家族とともにその葬儀を終える。その後から、祖母に溺愛されていた娘のチャーリーの様子がおかしくなってくる。ある晩、高校生の息子ピーターが学校のパーティーに行くことになり、チャーリーも連れていくように頼むが、その帰り不慮の事故でチャーリーは死亡する。これを機会に、家族間の亀裂はどうしようもなくなり、アニーは精神的に不安定になっていく。悲しみに暮れるアニーは、ふとしたことで知り合ったジョーンという女性から、亡くなった家族を交霊術で呼び寄せることを教えられる。半信半疑のまま、家族を集めて自宅で試してみると、何かが存在するのを感じ、娘のチャーリーが戻ってきたものだとアニーは喜ぶ。しかし、交霊会で呼び出されていたのは、娘の霊ではなく邪悪な何かだった。
【REVIEW】
前評判が非常に高かったのでほとんど予備知識を入れずに鑑賞、近年では最高の出来のホラーと言われていたが個人的には微妙な感じだった。まず、良かった点。ジャンルはホラーなんだけれども、この映画の特徴は主人公一家のドラマを丁寧に描いていたファミリー映画であったこと。祖母から受け継がれていた“何か”が終盤明らかになっていくのだけれども、その何かによって狂わされていくグラハム一家の悲劇がじっくりと描かれているのが素晴らしい。そして、逃れられない祖母の呪縛によって狂っていくアニーを演じたトニ・コレットの鬼気迫る演技。『シックス・センス』の母親役であったのは後で知ったが、とにかく彼女無しでは成り立たなかったであろう本作であるが、娘チャーリー役のミリー・シャピロも独特の雰囲気を持った子役で、表情を変えずに鳥の死体の首を斬るあたりに凄みを感じた(途中で衝撃的な死に方をするのが個人的には一番怖かった)。
逆にもう一つと感じたのは、淡々と進んでいた前半から、スピードアップして謎が明かされていく後半で、祖母がカルト教団に属していて悪魔を召喚しようとしているのが分かるのだが、何となく予感はしていたが、やっぱり感が否めないのが少し興ざめ。特に、悪魔崇拝というオカルトの定番ネタは、どんなに上手に説明してくれても、宗教的な違いからか日本人の自分には恐怖感が薄くなってしまいがちで、それほど怖いと感じないのだ(逆に、日本のしっとりとした心霊物のほうが怖いと感じたりする)。また、取りつかれたアニーが狂暴になり、ものすごい速さで襲ってきたり、空中に浮遊してしまうあたりは、やりすぎなんでは?!と思ってしまったり。ちょっと違和感な気がしました。でも、監督のアスターはこの作品が長編デビューらしく、それを考慮すればとてもよく作りこまれていて、非凡なものを感じます。つい最近には異文化スリラーという独特の触れ込みの『ミッドサマー』も「公開されていて、こちらも気になるところ。


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