ドント・ブリーズ

2020年07月22日 02:43

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【原題名】DON'T BREATHE
【製作】サム・ライミ、ロブ・タパート、フェデ・アルバレス
【監督】フェデ・アルバレス
【脚本】フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
【撮影】ペドロ・ルケ
【音楽】ロケ・バニョス
【出演】ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーヴン・ラング
【製作年度】2016年
【製作国】アメリカ映画
【上映時間】88分


【STORY】
ロッキーと恋人のマニー、そして友人のアレックスは空き巣を繰り返し、盗品を売って小金を得ていたが、自堕落な親と荒廃した街から妹を連れて逃げ出したいロッキーには、もっと大金が必要だった。そこへ、マニーが大金を自宅に保管している一人暮らしの老人の情報を入手してくる。これが最後と、強盗を決意し、3人は深夜老人宅に忍び込む。事は簡単に進むかと思われたが、寝ていた老人が物音に気付いて彼らの前に現れる。老人は目は見えないが、音には異常に敏感、しかも退役軍人という屈強な肉体を持っていた。老人は、マニーの持っていた拳銃を奪い取り、銃殺。恐怖におののくロッキーとアレックスは暗闇の中、出口を探そうとするが、老人にことごとく行く手を阻まれてしまい―。


【REVIEW】
リメイク版『死霊のはらわた』のフェデ・アルバレスが、サム・ライミのもとで再び監督した、サスペンス・スリラー。一軒家を舞台にした追うものと追われるものとの攻防を描いた作品だが、若者3人対老人1人の構図ながら、老人が異常聴覚+元軍人で体力抜群、しかもマイホームで家の間取りも熟知していて、終始若者が追われる立場に。物音を立てずに逃げなければいけないという設定が単純ながらもうまく機能していて、最後までハラハラさせてくれるなかなかの佳作に出来上がっている。

惜しむらくは、主人公のロッキーが悲惨な生活環境から抜け出したいという背景があるものの、一人暮らしの老人(しかも盲目)から金を奪い取ろうとしているという弱みがあるため、若者たちが返り討ちに合っても仕方がないと感じてしまうし、被害者であるはずの老人が実は誰にも知られていないサイコな一面があったことが終盤明かされ、「こいつもあかんやんか!」となってしまい、結局どちらにも感情移入できずに終わってしまったこと。まあ、どちらの側も、人様に言えないアウトローなことをやっているので、ラストは痛み分けみたいな感じで、あまり後味のよろしくない終わり方でした。しかし、この老人、いくらなんでも頑丈過ぎ!


サスペリア・テルザ 最後の魔女

2020年07月21日 12:02

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【原題名】MOTHER OF TEARS
【製作】クラウディオ・アルジェント、ダリオ・アルジェント、マリーナ・ベルルスコーニ、ジュリア・マルレッタ
【監督】ダリオ・アルジェント
【脚本】ジェイス・アンダーソン、ダリオ・アルジェント、ウォルター・ファサーノ、アダム・ギーラッシュ、シモーナ・シモネッティ
【撮影】フレデリック・ファサーノ
【音楽】クラウディオ・シモネッティ
【出演】アーシア・アルジェント、クリスティアン・ソリメーノ、アダム・ジェームズ、モラン・アティアス、ダリア・ニコロディ、ヴァレリア・カヴァッリ、ウド・キア
【製作年度】2007年
【製作国】イタリア/アメリカ
【上映時間】102分


【STORY】
ローマの博物館に勤めるサラ・マンディは教会から送られてきた遺品入れを調べ始めるが、現れた謎の集団にサラの同僚は殺され箱の中身は持ち去られてしまう。同僚殺しの嫌疑を掛けられたサラは恋人のマイケルとともに箱の謎を追い、オカルトに詳しいヨハネス神父を訪ねる。そこで、幼い頃に亡くした母のエリザが魔女で、サラもその力を受け継いでいることを教えられる。箱を持ち去った集団は“涙の母”を崇める邪悪な集団で、ローマには涙の母の復活を祝い、世界中の魔女たちが集結しつつあった。ヨハネス神父は魔女に操られた家政婦によってメッタ斬りにされ、サラを助けた降霊師のマルタは股間から槍を突き刺されて絶命する。マルタから教えられていた錬金術師のグリエルモに助けを求めたサラは、涙の母が建築家ヴァレリによって建てられた屋敷に住んでいることを知り、ローマの街中を探し回り、その屋敷を見つける。その館の地下では魔女たちの狂宴が繰り広げられていた。

【REVIEW】
サスペリア』『インフェルノ』に続くアルジェントの“魔女三部作”の完結編。嘆きの母はドイツのフライブルクに、暗闇の母はニューヨークにいたが、最後の涙の母はイタリア・ローマで復活、最も美しく残忍な彼女は白い魔女の血を受け継ぐサラを狙い、関係する人々を次々に殺していく。『インフェルノ』から実に27年ぶりに作られた本作は、この壮大な三部作ラストを飾るのに相応しい内容であったのか!?結論から言うと、期待値が高ければ高いほど落胆する度合いは深まる壮大な失敗作品・・・と言ってしまうとそれまでだけれども、見所がないわけではないので、良い面、悪い面をそれぞれ挙げてみたい。

まず、良かった点。前2作を上回るゴア描写。とにかく人体破壊をこれでもかと見せつける展開はシリーズ随一。「切り裂かれた腹部から溢れ出た腸で首を絞められて絶命する女性」「斧で執拗に頭部をカチ割られる神父」「鋭利な凶器で両目を抉られる女性」「股間から刺さった槍が突き抜けて口から飛び出して死ぬ女性」などなど、全盛期のフルチも驚くようなゴア描写が盛り沢山。それ以外にも、乳児を川へ投げ捨てたり、子供の惨殺死体を見せたりと、容赦ない描写もあり、全体的には逆にやり過ぎ感も感じてしまうほど。次に、魔女の力で世界が邪悪な雰囲気に包まれていく設定は面白い。作られたのは2007年だが、世紀末的な感じがちょっとワクワクさせるし、世界に散らばってる魔女が電車や飛行機で集まってくるのもある意味斬新だ。

対して悪かった点は―こちらの方が多いんだけど―、まず、魔女の設定がイマイチ。続々と集まってくるのはいいんだけど、気品のかけらもないただのケバイお姉ちゃん連中がハイテンションで騒いでるようにしか見えず、肝心の涙の母も凄みが足りない。大体、着ている法衣がまるでホームレスが来ているようなボロ布なのも頂けないが(ほとんど裸体なのはまあ良いとして)、なんかこうラスボス感が感じられないのだ。相変わらず、唐突にやられて終わるのはいつものパターンだけれども、今回も法衣を剥ぎ取られたら魔力を失ってあまりにもあっさり死んじゃうのには「もう笑うしかない」。そして、残念なのが全体的にチープなつくりが見えてしまうところ。『サスペリア』も『インフェルノ』も古風で独特な建物や調度品がいい雰囲気を醸し出していたし、ケバケバしい原色を使った色彩が他の映画には無い個性を放っていた。しかし、本作にはそれがない。あまりにも時間が空きすぎて風景も変わり、別次元の物語のように思えてしまう。そして、音楽。一応、シモネッティがクレジットされているが、一言でいえば地味。ゴブリンのサウンドを超えるのはまず不可能だけど、何かもっと特徴的なメロディーを聞かせてほしかった気がします。

その他にも、ストーリーが破綻しているとか(これはいつものこと)、キャラの行動が意味不明とか(これもいつものこと)、最後サラが魔法を使わんと槍を使って終わっちゃうとかまるで設定を生かしていないところとか、突っ込みどころは多々あるが、よくよく考えればこれがいつものアルジェント節なのかもしれない。ただ、昔は、それらの欠点を吹き飛ばすような勢いがあったのに、それができなくなっているのが本作の欠点になっているのかも。アーシアとダリア・ニコロディの母娘共演も嬉しいんだが、その霊的表現が古臭いのも含めて(余りにも安っぽいCGなのも悲しい)、アルジェントも年を取ったんだなあ~・・・としみじみ感じてしまったのが寂しい。しかし、取り合えず死ぬまでに撮ってくれたんだから、それだけでも良しとしていいんじゃなかな。甘いか。


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ナイト・オブ・ザ・コメット

2020年07月20日 18:43

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【原題名】NIGHT OF THE COMET
【製作】アンドリュー・レイン、ウェイン・クロフォード
【監督】トム・エバーハート
【脚本】トム・エバーハート
【撮影】アーサー・アルバート
【音楽】デヴィッド・キャンベル
【出演】キャサリン・メアリー・スチュワート、ケリー・マロニー、ロバート・ベルトラン、メアリー・ウォロノフ、ジェフリー・ルイス
【製作年度】1984年
【製作国】アメリカ
【上映時間】95分


【STORY】
クリスマスの夜、6500年ぶりに飛来した謎の彗星の影響で、人類のほとんどは塵と化して消滅してしまう。屋内に居て助かったレジーナとサマンサ姉妹は生存者を旅に出るが、街には彗星の影響で死なずにゾンビ化した人間たちも居た。さらに、生き残っていた科学者らと出会い彼らの研究所に同行するが、彼らは自分たちがゾンビ化するのを防ぐために生存者を実験台にしていた。

【REVIEW】
80年代に製作された異色のSFゾンビムービー。人類が消え去った無人の街を生き残った主人公姉妹がゾンビと戦う・・・というとハードなサバイバルアクションかと勝手に連想してしまいそうだが、ひたすら明るく終末感を感じさせないポップな映画になっている。世界の終末が来ているけれども、あくまで女子高生目線で捉えていて、人類が消え去ってしまうような悲壮感よりも、「まあ今日・明日を取り合えず生き抜いてこうよ」だったり、「ちょっとまってよ、いい男取らないでよね!?」という終始お気楽なノリなのが楽しい。この軽い雰囲気に音楽もバリバリの80年代、ゾンビは出てくるけれども意外と出番は少なく、80年代特有のスプラッター度は低めでそこに期待していると評価は下がってしまうが、底抜けに明るい主人公2人を見ていると「窮屈な現代社会よりもこっちの世界の方が楽しそうかも・・・」と思えてきて、ここに共感できるかどうかでこの映画が好きになれるか嫌いになるかが分かれると思う。もちろん、自分は前者の方。無人の街中をオープンカーで疾走したり、デパートで好き放題に買い物したり、現実世界ではできないことを見せてくれるのが映画であって、魅力を感じるわけです。

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『THE HORROR MOVIES PART5』に掲載されたビデオソフト発売の広告。当時は、にっかつビデオフィルムスよりVHSが出ていた。


フェノミナ吹替のクラファン目標達成しましたよ!

2020年07月16日 18:32

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『フェノミナ』の日本語吹替版製作プロジェクトのクラウドファンディング、7月10日に目標額の300万に到達!無事目標達成しました。よかった、よかった。途中、ペースが落ちてきて、ちょっと無理っぽいのでは・・・!?なんて思いましたが、7月に入ってラストスパートで16日を残しての目標達成となりました。やっぱり自分も参加しているものだと、毎日気になって仕方がなかったんですが、これで安心して眠れるようになりそう・・・。

しかし、まだストレッチゴールなるものが設定されていて、こちらを達成できれば、「配役交換バージョン吹替」でさらに2名追加が実現するとのこと。目標は360万!・・・やっぱりちょっと眠れん日が続きそうやんか。

クラウドファンディングの詳細はコチラ→Makuake『フェノミナ 日本語吹替版制作プロジェクト




ちなみに『フェノミナ』のブルーレイ、発売が10月2日から11月6日に延期になっています。これは気長に待ちましょう。


ビヨンド HDマスター コレクターズ・エディション

2020年07月10日 00:35

『ビヨンド』のブルーレイ版をやっと鑑賞。そろそろ廃盤になるということで、いそいそと買ってあったが、なかなか時間が取れずそのままになっていたやつを本日開封して観ました。『ビヨンド』自体を見るのも久しぶりだったけど、画質は非常に良くなり(当たり前だけれども)、そして音も良くって、叫び声や稲妻の音が左右に響いて凄く心地よかった。ブルーレイ素晴らしい。本編自体は、もう何も言うことはない、フルチの考える地獄絵巻が「これでもか!!」と言わんばかりに展開されていて満足度は非常に高い。グロさで言えば『サンゲリア』や『地獄の門』に劣るところはあるんだけれども、どこかファンタジーのような不思議な感覚はこの『ビヨンド』特有の雰囲気で、バラエティ豊かな人体破壊描写は何となく気品すら感じられるから不思議だ。

そして、このHDマスター パーフェクト・コレクションのウリは、何といっても特典映像の豊富さ。過去パイオニアやエスピーオーから出ていたDVD版もそれなりに特典は付随していたけれども、このBDの方は2枚組(もう1枚の特典ディスクはDVD)で、合計時間が220分にも及ぶボリュームとなっていて全部見るのもなかなか大変なくらい。以前のものと被っているものもあるが、取り合えず30年以上前に作られた作品でこんなに特典が見られるとはそれだけでも嬉しく感じます。唯一残念なのは、DVDではあったサントラが収録されていないことくらいでしょうかね。取り合えず、その内容は下記に載せておきます。最近、老眼が進んであまりに収録内容が多いとジャケットの文字が小さすぎて読みにくくなっているのが辛いところ・・・。


【DISC 1】
●サラ・ケラー(シンツィア・モンレアーレ)インタビュー
●カトリオーナ・マッコールQ&Aセッション
●サラ・ケラー(シンツィア・モンレアーレ)イントロ・コメント
●ダレン・ウォード監督インタビュー

【DISC 2】
●テリー・リヴェイン インタビュー
●ジャンネット・デ・ロッシ インタビュー
●フルチ・フラッシュバック(ダリオ・アルジェントらによるフルチ監督ドキュメンタリー)
●フルカラー版オープニング
●カトリオーナ・マッコールのイントロ・コメント
●Voices From The Beyond(ルチオ・フルチの思い出~関係者インタビュー)
 セルジオ・サンヴァルティ、フランコ・ブルーニ、ジョルジオ・マリウッツォ、マウリツィオ・トラーニ、ヴェロニカ・ラザール、カトリオーナ・マッコール、ダルダーノ・サケッティ、ファブリッツィオ・デ・アンジェリス、ジャンネット・デ・ロッシ、ファビオ・フリッツィ、シンツィア・モンレアーレ
●Images From The Beyond(ギャラリー&監督・主演インタビュー)
 ポスター&スチール集、スナップ写真集、カトリオーナ・マッコール&デヴィッド・ウォーベックのインタビュー、デヴィッド・ウォーベックのコメント、ルチオ・フルチのインタビュー、ルチオ・フルチ&デヴィッド・ウォーベックのインタビュー
●ジム・ヴァン・ベッバーによるミュージックビデオ
●オリジナル劇場予告編

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左から、パイオニア版DVD、是空版BD、エスピーオー版DVD


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裏面



今年の「死ぬまでにはこれを観ろ!」

2020年07月01日 19:36

毎年、夏ごろ出てくるキングレコードの「死ぬまでにはこれを観ろ!」シリーズ、2020年も無事やってくれるようです。

公式サイトは→「死ぬまでにはこれを観ろ!2020

ホラー系で、新しく加わったのは、「ザ・クレイジーズ」「死霊のはらわた3」「怪怪怪怪物!」「チャイルドプレイ」「ドリラー・キラー」「ミディアン」「リターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ」あたりか。昨年最終盤として発売されていた「死霊のはらわた3」「ミディアン」「チャイルドプレイ」が廉価盤として出ているのはいつもの通りで、特典には興味がなく、本編だけ見られればOKという方はこちらでよさそうです。

そして恒例の“3枚買ったら、もう1枚もらえます”キャンペーンもあるので、買うなら3枚単位がお得。私も昨年は6枚買って、2枚頂きましたんで、今年も買います♪




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