デモンズ4

2020年08月26日 21:11

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【原題名】THE SECT/LA SETTA
【製作】ダリオ・アルジェント
【監督】ミケーレ・ソアビ
【脚本】ミケーレ・ソアビ、ダリオ・アルジェント
【撮影】ラファエル・メルテス
【音楽】ピノ・ドナッジオ
【出演】ケリー・カーティス、ハーバート・ロム、カーラ・カッソーラ、アンジェリカ・マリア・ボーク
【製作年度】1991年
【製作国】アメリカ
【上映時間】116分


【STORY】
1970年代のカリフォルニア。集団で生活しているヒッピーの若者らのところにデーモンと名乗る男がやってくる。夜になるとデーモンの仲間が現れはヒッピーらを皆殺しにする。彼は悪魔を崇拝する教団の一員であった。1991年のドイツ、小学校で教師をしているミリアムは車で帰宅途中、路上にいた老人と接触事故を起こしそうになる。老人の身を案じたミリアムは自宅へ連れていき休ませるが、その晩老人は死にそれから奇妙なことが起こり始める。同僚の教師キャサリンはミリアムを心配して訪ねてくるが、謎の布が顔面に張り付いてから様子がおかしくなり、街で若者誘惑した後刺殺されてしまう。さらにいろいろと相談に乗ってもらっていた医師のフランクもミリアムの家の近所で謎の儀式を目撃した後、彼女に襲い掛かってきた。そして、死んだはずの老人がミリアムの前に現れる。実は老人は邪教集団のリーダーで、ミリアムは悪魔の子を宿すために運命づけられていたのだという。不気味な虫の力で妊娠したミリアムは悪魔の子を出産、邪教集団は赤子を連れ去ろうとするが、ミリアムのとった行動は―。

【REVIEW】
デモンズ3』に続いてミケーレ・ソアビが監督した本作だが、勝手に付けられた邦題とは違い、デモンズは一切出てこない。代わりに筋となるのは、邪教を信仰するカルト集団が神に対抗するため悪魔の子を手に入れようとするストーリーだ。この手のストーリーはオカルトホラーが全盛期であった70年代っぽい気が非常にするのだが、キリスト教を信仰する地域の人々にとっては別に古臭くはない普遍的なテーマなのかもしれません。この辺は仏教徒である私にはピンっと来ないんですが、これは致し方がないでしょう。

で、この『デモンズ4』面白いのか?面白くないのか?と聞かれれば、面白くない映画に分類されてしまう出来栄え。邪教集団が迫ってきている、何か不穏なことが起こり始めているということを直接的な表現ではなく、抽象的に心理的に表現しているところが多くて、やや分かりにくい映画になっている。狂気の発端となる謎の白い布も、「なんで顔にへばりついただけで変わっちゃうの?」と半ば呆気にとられるし、虫が体内に入っただけで妊娠するのもある意味凄い。ただ、主演のケリー・カーティスが所々で見る幻想的な夢やイメージが不安を煽っていたり、登場する人物の独特な雰囲気が異様さを盛り上げてくれているのは間違いない(『ゾンビ3』の乳噛まれ役のマリアンジェラ・ジョルダーノとか、『地獄の門』のドリル打ち込まれ役のジョヴァンニ・ロンバルド・ラディーチェとか、デーモン役には『デモンズ3』のトマス・アラナとか)。というわけで、独特の雰囲気を楽しむ映画だと思うが、少々上映時間が長くて中だるみ気味であったことと、やはりデモンズが出てこないのなら別のタイトルにした方が良かったのでは?という気がしました。

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デモンズ3

2020年08月25日 20:48

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【原題名】THE CHURCH/LA CHIESA
【製作】ダリオ・アルジェント
【監督】ミケーレ・ソアビ
【脚本】ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ
【撮影】レナート・タフリ
【音楽】キース・エマーソン、ゴブリン
【出演】ヒュー・クァーシー、トマス・アラナ、フェオドール・シャリアピン・Jr、バーバラ・クピスティ、アーシア・アルジェント
【製作年度】1989年
【製作国】イタリア
【上映時間】102分


【STORY】
中世イタリア、悪魔崇拝の疑いを掛けられた村人らがチュートン騎士団に皆殺しにされ、生き返らないよう埋葬した上に教会が建設された。現代、その教会の図書室の司書としてやってきたエバンは、聖堂の修復作業を行っているリサと親しくなる。ある日、リサは地下室から古い羊皮紙を発見する。興味を持ったエバンは羊皮紙の内容を解読し、地下の封印を解くが、何かに取り付かれたエバンは別人のようになっていた。
ガス神父は教会の懺悔室で番人の話を聞いていた、番人は悪魔に取り付かれたことを告白し、錯乱した番人は地下室へ逃げ込み自分の腹部に掘削ドリルを打ち込み絶命する。そのときの振動で教会に設置されていた装置が発動し扉が閉まり、中にいた人々は閉じ込められてしまう。この教会は、悪魔が復活したときにそれが外の世界に広がらないようになっていたのだった。司教から教会の秘密を知ったガス神父は、事態を収拾しようと奔走する。

【REVIEW】
邦題はデモンズシリーズのようだが、1・2とは直接関連はなく、独立した内容で派手さはないが外見ではなく内面から悪魔に侵食されていく様を描いたゴシック・ホラーになっている。ただ、元々の企画がデモンズの続編として進んでいたが、紆余曲折がありランベルト・バーバが降板、代わりにミケーレ・ソアビが監督することになったことや、密室空間での悪魔復活という構図はデモンズシリーズの流れを汲んでいると捉えてもあながち間違いではない気もする。製作は、同じアルジェントだし。

派手な特殊メイクと音楽で人気を博した『デモンズ』『デモンズ2』と比較すると地味な印象の本作だが、悪魔が復活するさまを細かな異変の積み重ねで描写し、じわじわくる怖さがありこれはこれで悪くない。『地獄の門』のフルチの頭部ドリル貫通に対抗した掘削機ドリルを腹部に打ち込んだり(対抗はしてないかもしれないが)、旦那の生首で鐘を打ち鳴らす老女、地下鉄に衝突して破裂する女性など、独創的なゴアシーンも所々に用意されているし、最後の人体オブジェによる悪魔の像の登場も面白い。そのドリルで自死する番人の娘役でまだあどけないアーシア・アルジェントが出演しているのも見どころ。中世の虐殺された娘の生まれ変わりとして、現代の悪魔復活の一部始終を見届ける象徴的な存在であった。

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殺人魚フライングキラー

2020年08月15日 19:25

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【原題名】PIRANHA II: FLYING KILLERS
【製作】チャコ・ヴァン・リューウェン
【監督】ジェームズ・キャメロン
【脚本】ジェームズ・キャメロン
【撮影】ロベルト・デットーレ・ピアッツォーリ
【音楽】ステルヴィオ・チプリアーニ
【特殊効果】ジャンネット・デ・ロッシ
【出演】トリシア・オニール、ランス・ヘンリクセン、スティーヴ・マラチャック、リッキー・G・ポール
【製作年度】1981年
【製作国】アメリカ=イタリア
【上映時間】95分


【STORY】
カリブ海のリゾート地でダイバーや観光客が行方不明になる事件が発生、この地でダイビング講師を務めるアンは、受講生が海中で無残な死体として発見されたことで責任を感じ、原因を探り始める。やがて、陸軍が極秘裏に開発した生物兵器の空飛ぶ殺人魚が存在していることを知り、観光客の避難を呼びかけるが、ホテルの支配人は耳を貸さない。そして、毎年恒例の祭りが開かれ、ホテルには多くの人々が詰めかけるが、海岸からは殺人魚が多数飛来し人々に襲い掛かるのだった。

【REVIEW】
ジェームズ・キャメロンの監督デビュー作としても有名なパニックホラー。邦題にはないが、ジョー・ダンテ監督の『ピラニア』の続編で、あの凶暴なピラニアにトビウオらの遺伝子を交配、海水での生息を可能とし、巨大なヒレで飛び出して陸上の生物にも襲い掛かるという新たなモンスターが登場する。『ピラニア』では水中に居る時が危険な時間帯だったが、陸上でも襲われるということで見せ場が広がったはず・・・であったが、その出来栄えは逆にトーンダウンし凡庸なホラー映画に成り下がってしまったのは残念なところ。

陸上でパタパタと飛んでくる殺人魚は“恐ろしい”と感じるより、むしろ滑稽で恐怖感は薄く、姿が全部見えることで造形の粗さも目立ってしまいいいとこなし。『ジョーズ』や『ピラニア』でもあった、観光・金儲け優先で現実から目を背け続ける権力者と主人公らとの対立する図式も今一つ盛り上がらない。頼りにならない男性陣を差し置いてアンが殺人魚退治に奔走するくだりは、強い女性像をメインに持ってくるキャメロンっぽい感じがしたが、ストーリーも中だるみし、演出もキレがなく、やはりC級作品程度の評価は致し方ないか。ただ、流血シーンは割とリアルで回数も多くてそれなりに楽しめる。無残に食い散らかされた死体や噛まれて喉元から飛び散る血しぶきが威勢がいい。全体的にのんびりした映画だが、「これが70~80年代テイストだよ」という気もしてきて、昔テレビのロードショーで流れていたのを見たような気分になって、これはこれで悪くはないのだが。


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ヘルレイザー2

2020年08月06日 11:10

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【原題名】HELLBOUND: HELLRAISER II
【製作】クリストファー・フィッグ
【監督】トニー・ランデル
【脚本】ピーター・アトキンス
【撮影】ロビン・ヴィジョン
【音楽】クリストファー・ヤング
【出演】アシュレイ・ローレンス、クレア・ヒギンズ、ケネス・クラハム
【製作年度】1988年
【製作国】イギリス
【上映時間】99分


【STORY】
魔道士たちを退けたカースティは事件のショックで錯乱状態になり、精神病院に収容されてしまう。そこで事件の真相を話すが、それを聞いた院長のチャナードは事件で押収されていた血まみれのマットレスを入手する。チャナードは長年パズルボックスについて研究を重ねており、患者を使って実験を行い、地獄からジュリアを呼び覚ますことに成功する。さらに自閉症の患者ティファニーにパズルボックスを開けさせたチャナードとジュリアは開いた扉から迷宮へ足を踏み入れる。殺された父親の魂の開放を願うカースティも開いた扉から迷宮へ入っていくが、新たな魔道士に変化したチャナードとジュリアと対峙することになる。

【REVIEW】
前作から主要キャストを引き継いで作られた続編、監督はC・バーカーからトニー・ランデルにバトンタッチ。今回復活するのはジュリアで彼女に仕込まれてチャナード医師が魔道士に変身、新たな脅威となるが、前作の重厚な雰囲気は消え去り、またパズルボックスについて回る苦痛の描写が無いのがちょいと寂しいところ。魔道士たちも前回と同じメンバーで4人登場するが、チャナードにあっさりやられてしまうのがちょっと拍子抜けではあるが、ピンヘッドの過去(生前、普通の人間であった頃が判明)が少し分かったのは良かった。精神病院を舞台に、悪徳院長の残虐ぶりが楽しいが、犠牲者が意外と少なかったのが残念、1作目のゴア描写のインパクトが強烈だったので、それを超えるのはやはり難しかったか。ヒロイン役でA・ローレンスも続投しているが、活躍の場が少々少な目であったのが悔やまれる。悪役ジュリアの生皮剥ぎシーンはお約束で良かったが。

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ヘルレイザー

2020年08月05日 10:31

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【原題名】HELLRAISER
【製作】クリストファー・フィッグ
【監督】クライヴ・バーカー
【脚本】クライヴ・バーカー
【撮影】ロビン・ヴィジョン
【音楽】クリストファー・ヤング
【出演】アシュレイ・ローレンス、クレア・ヒギンズ、アンドリュー・ロビンソン、ショーン・チャップマン、オリヴァー・スミス
【製作年度】1987年
【製作国】イギリス
【上映時間】93分


【STORY】
「究極の快楽」をもたらすという謎のパズルボックスを手に入れたフランクは、箱を開けるが開いた地獄の扉から現れた魔道士たちによって肉体を八つ裂きにされてしまう。やがて、無人となったその家にフランクの弟ラリーと妻のジュリアが引っ越してくる。家具を運んでいる途中、ケガをしたラリーの血が床に落ち、それを浴びたフランクの魂は覚醒し、肉体が復活し始める。かつて愛人関係にあったジュリアはそれに気づくが、フランクの誘惑に負け、彼の肉体を元に戻すため生贄の男たちを家に連れ込み惨殺していく。フランクの凶行は実弟のラリーにまで及ぶが、父親を心配して訪ねてきた娘のカースティに現場を目撃されてしまう。叔父のフランクに襲われたカースティはパズルボックスを奪って逃げだすが、誤ってボックスを開いてしまい、魔道士たちを呼び寄せてしまう。

【REVIEW】
クライヴ・バーカーが自身の小説を自ら映画化したスプラッターホラー。ピンヘッドを筆頭に個性的な外観が特徴の魔道士たち、幻想的な映像美、そして激しいゴア描写とこれまでのスプラッター映画とは一線を画す仕上がりになっている。特に画面に飛び散る血糊の量は結構激しいものがあり、四方八方に肉体がバラバラにされる凄まじい描写に、生皮がない状態の筋肉組織むき出しの肉体や、フランクが犠牲者の生気を次々に吸い取っていく下りなど、なかなかエグイ場面が目白押しで見応え抜群。

このシリーズ、魔道士たちの人気が出て、以後このキャラクターがフューチャーされていくが、この第1作では主人公一家のドロドロした関係がクローズアップされていて、意外と暗いジメジメっとした物語になっている。まず、カースティの実の母親はすでに亡くなっており、父親のラリーはジュリアと再婚して生家に引っ越してくる。しかし、この家の2階でラリーの実兄フランクはパズルボックスを開けて絶命していたが、生前ジュリアとは愛人関係にあった。過去の関係が忘れられないジュリアを利用して肉体の復活を図るフランクはやがてラリーとカースティも殺そうとする・・・。ポイントはやっぱりジュリアで、愛人のために街で男を誘惑しては一軒家に連れ込んで次々に殺していく様は、恐ろしくもあり哀れでもある(特に、最後にフランクに裏切られて絶命するので余計にそう感じます)。救いは、カースティ役のアシュレイ・ローレンスの可愛さか。なかなかの絶叫演技で頑張ってくれているのが嬉しい。

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ステファニー 死体と暮らす少女

2020年08月03日 19:38

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【原題名】STEPHANIE
【製作】エイドリアン・ビッドル、ジェイソン・ブラム、エレン・ゴールドスミス=ヴァイン、マット・カプラン
【監督】アキヴァ・ゴールズマン
【脚本】ベン・コリンズ、ルーク・ピオトロフスキ
【撮影】アントニオ・リエストラ
【音楽】ネイサン・ホワイトヘッド
【出演】シュリー・クルックス、フランク・グリロ、アナ・トーヴ
【製作年度】2017年
【製作国】アメリカ
【上映時間】86分


【STORY】
森の奥の一軒家に一人で暮らす少女ステファニー。瓶づめの食糧で飢えをしのぎ、ぬいぐるみと会話をして日々を暮らしているが、夜になると何者かの存在を感じ怯えていた。ある日、行方不明だった両親が帰ってきて、3人の暮らしが始まる。両親は、2階のベッドに横たわっていたステファニーの兄ポールの遺体を離れた地に埋葬するが、すぐに何者かの手によって家に戻されてくる。父親は、家の周りを囲むように塀を作り続け、母親は外部と通信し何者かの存在に怯えているようだった。ある日、父親はステファニーを連れてピクニックに出かけ、毒入りのホットチョコを飲ませようとするが―。

【REVIEW】
前半は少女ステファニーが一人で暮らす独り芝居を見せてくれるが、芸達者で見せるものを飽きさせない演技で引っ張ってくれる。この一軒家になぜ一人で住んでいるのか、両親はどこに行ったのか、兄弟はなぜ死んでいるのか、そして邪悪な存在はなんなのか―?やがて、両親が帰ってきて、少しずつ謎が明らかになっていくが、明確な説明は最後までなされず、またそれほどビックリもしない展開。パッケージの“『エクソシスト』『エスター』につぐ最恐ホラー”とあるが、この2作からは遥か遠く離れていて、正直怖さは感じなかった。オカルトなのかSFなのかも微妙なところで、説明不要で怖がらせるのならもっと視覚的な見せ場も用意しておいてほしかった。登場人物は少ないが、見るべきところがあるとすれば、当然ステファニー役のシュリー・クルックスの可憐な姿。それ以外は残念ながら無い。




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