ゾンビ 米国劇場公開版

2011年12月05日 06:20

ゾンビ 米国劇場公開版 ニューマスター&ワイドバージョン [DVD]ゾンビ 米国劇場公開版 ニューマスター&ワイドバージョン [DVD]
(2010/11/04)
デヴィッド・クロフォード、ゲイラン・ロス 他

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【原題名】 DAWN OF THE DEAD
【製作】リチャード・P・ルービンスタイン、クラウディオ・アルジェント、アルフレッド・クオモ
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【脚本】ジョージ・A・ロメロ
【撮影】マイケル・ゴーニック
【音楽】ゴブリン、ダリオ・アルジェント
【特殊メイク】トム・サヴィーニ
【出演】デビッド・エンゲ、ケン・フォーリー、スコット・H・ライニガー、ゲイラン・ロス
1978年/アメリカ・イタリア映画/127分
【REVIEW】
ロメロ編集による米国劇場公開版。日本で85年に初めてソフト化されたバージョンでもある(このときはCICビクターより発売)。ゴブリンの音楽は大幅に削減され、替わりにクラシカルなBGMに差し替えられている。また、アルジェント版に無いシーンがかなり収録されている。巡視艇基地での警官隊とのやりとり、給油基地でプロペラに頭を切断されるゾンビ(勝手にやられちゃって、思わず上を見上げるロジャーの表情が可笑しい)、ショッピングモールの入り口にトラックを移動させる回数が2回(アルジェント版は1回目がカットされている)など。また、ロジャー死亡後のドラマもゆったり見られる。逆にアルジェント版にあった、プエルトリコ人アパートでの数シーン(サイレン、部屋を覗き込むSWAT隊員、マルチネスを説得するセリフをロジャーが先に言う場面など)などが、ロメロ版には無かったりもします。そして、エンドクレジットは店内をゾンビがうろつく風景をバックにのんびりした音楽。しかし、人間が1人もいなくなった店内を虚ろなゾンビだけが彷徨う風景は、逆に寒々として無常感が漂っています。

全体としてはドキュメンタリータッチの重厚な雰囲気。しかし、所々に出て来るコミカルな場面もあるため、それ程暗い印象は感じさせない。むしろ、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』や続編の『死霊のえじき』と比べると全然明るいです。『ナイト~』は郊外の一軒家、『死霊~』は地下基地の中と、かなり限定された中で話しが進んでいくので、閉塞感や息苦しさを感じたが、『ゾンビ』はTV局~アパート~ヘリで脱出~ショッピングモールとパートが分かれていて、まだ展開に起伏がある。また、大半はモール内でのエピソード主体だが、モール自体の空間が広いため、ここでもそれほど閉塞感は感じない。それに、ゾンビを追い出した後のモール内での生活は、以前の平和な頃と変わらない暮らしぶり、いや店内のありとあらゆるものが取り放題使い放題なのを考えれば、物質的な豊かさはある意味ユートピアのような感じさえ受ける。それだけに、前後の凄惨な世界とのギャップが大きいわけだが、ロメロが意図した消費社会への批判は十二分に伝わってきます。ゾンビが増え続け、次第に現代社会が崩壊しいく様を淡々と描写したロメロの演出力はさすが。ゴブリンサウンドが鳴り響くアクティブなアルジェント版に比べると地味な印象ですが、『ナイト~』と『死霊のえじき』の間の1本と考えると、米国版の方がしっくりきますね。

ゾンビ 米国劇場公開版01
タイトルは“DAWN OF THE DEAD”。劇中でも「ゾンビ」というセリフはほとんど無く、「やつら」とか「死者」と呼ばれている。



コメント

  1. リキマル | URL | 1jhbtX.k

    Re: ゾンビ 米国劇場公開版

    こんばんは。
    この「米国公開版」はビデオブームの頃にCICビクターからビデオソフト化され劇場初公開版の「ゾンビ」ファンに衝撃を与えたことで有名ですね。
    海外版ビデオもこのバージョンが発売されて輸入ビデオ店でも当時はかなり売れたとか。
    ゴブリンの音楽が数箇所しか使用されず、監督によるライブラリーミュージックの使用で全く別の「ゾンビ」になってしまい当時、高価なビデオソフトを購入し正直ショックでした。
    とはいえ当時は字幕で見られる唯一の「ゾンビ」だったので何度ビデオを繰り返し見たかはわかりません。
    現在の様に新世紀完全版BOXで「ゾンビ」3バージョンが手に入れば逆に愛着も沸いてきて、あの頃のホラービデオブームを懐かしんでついつい気が向いたら鑑賞しています。


  2. Aki | URL | -

    Re: ゾンビ 米国劇場公開版

    今のようにネットで情報が共有できる時代でなかった頃でしたから、予備知識なしに米国版を見たら、「劇場で見たのと違うッ!!」となるのは当然ですよね。
    それでも、自宅で『ゾンビ』が何度でも見られるというのはやはり画期的なことだったはず。
    劇場で見逃したら、TVで放映されるのをひたすら祈って待ってましたからねえ。
    ビデオが普及し始めていた頃のなんともいえない熱気(ビデオデッキにテープを差し込む瞬間のワクワク感!)が懐かしいです。

  3. リキマル | URL | Ef5G3OlI

    今、都心の劇場でこのバージョンを期間限定で公開中ですね。
    ツイッターなど見ると劇場の中もゾンビ一色と言った感じです。
    ただし上映されるのはフィルムではなく、Blu-rayのデジタル上映でしょうか?

    ビデオで初見の時はあまりの編集の違いになんじゃこれっ!と思いましたが、見慣れるとロメロ監督自身のマスターピースとして、もうひとつのゾンビとなりました。

    劇場のスクリーンで是非一度は鑑賞したいですが、地方からは行けずBlu-rayソフトで我慢です。

  4. Aki | URL | -

    Re:ゾンビ 米国劇場公開版

    新文芸坐の“真夏のホラーレジェンド対決”ですね!
    8月8日~10日が『ゾンビ 米国劇場公開版』、そして、11日~12日が『悪魔のいけにえ 40周年記念版』。どちらも、もう終わってしまっていますが、すばらしいプログラム!やっぱり、東京はいいですね・・・。

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