いるの いないの

2013年09月03日 21:54

怪談えほん (3) いるの いないの (怪談えほん3)怪談えほん (3) いるの いないの (怪談えほん3)
(2012/01/28)
京極 夏彦

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著者:京極夏彦、町田尚子
出版社:岩崎書店
ページ数:32頁
発行日:2012年1月28日
定価:1,575円


“ぼく”は、おばあさんの家で暮らすことになった。
おばあさんの家は、いわゆる日本家屋の古い家で、昼間でも家の中は薄暗い。
しばらくして、ぼくは気付いた。
暗がりに誰か居るみたいなんだ・・・。


岩崎書店発行の、「怪談えほん」シリーズの1冊。シリーズにはほかに『悪い本』『マイマイとナイナイ』『幽霊の街』『ちょうつがい きいきい』がある。個人的には『マイマイとナイナイ』(目玉が取れるところが怖い!)と、『ちょうつがい きいきい』も不気味な絵柄もあいまって怖かったが、このシリーズでNO.1はやっぱりこの『いるの いないの』でしょう。

おばあさんの家でしばらく暮らすことになったぼく。両親と離れて一人で祖母の家にやってくる時点で、何やら不穏な気配がしてならないが、問題のおばあさんの家がこれまた不気味だ。見ようによっては、昔ながらの普通の日本家屋なのかもしれないが、この上なく怖さを感じさせる。昼間、外はあんなに明るいのに、家の中はなぜこんなに暗いんだろう。そして、天井は異様に高く、太い梁がとても遠くに感じられる。天井の隅は照明の光も届かず、ぼんやり薄暗い。その天井に気配を感じる。誰か居るの?!

ぼくは、そのことをおばあさんに尋ねるが、おばあさんはちゃんと答えてくれない。

「わたしには見えないねえ」
「いるのかもしれないねえ」
「見なければ怖くないねえ」

要領を得ず、答えをはぐらかすおばあさんの存在もなんだか気味が悪い。このおばあさん、会話をしているときもこっちを向いておらず、終始表情が分からないのも怖い。果たして、おばあさんは何か知っているのか?そもそも、おばあさんは普通の人間なんだろうか?そんな疑問もよぎります。


私も、夜寝るときに天井を見ていると、何かが居るような気がして怖かった記憶があります。うちもおばあちゃんの家はやっぱり天井が高くて、夜電気を消すと、本当に真っ暗で何も見えなかった。昼間、怖いテレビを見た日に限って、布団に入るとなぜか目がギンギンにさえて眠れず、天井を見ると何か見てはいけないものを見てしまいそうで、布団にもぐりこんで寝ていたものでした。

だから、この絵本のぼくの気持ちがよく分かります。見てはいけないけれど見てしまう。気にするなといわれても、気になってしまう。

だって、だって、そこにいるんだから。


年端もいかない子どもに読み聞かせたらトラウマ必至の1冊。大人でも、十分ぞくぞくできる怪談本です。



最後に、出版社のコメントを引用しますが、


子供たちは、おばけが大好きです。
不思議な話、怪しい話、怖い話が出ると、いきいきと目を輝かせて聴き入ります。幼いころから怪談に親しむことによって、子供たちは豊かな想像力を養い、想定外の事態に直面しても平静さを保てる強い心を育み、さらには命の尊さや他者を傷つけることの怖ろしさといった、人として大切なことのイロハを自然に身につけてゆくのです。


これって、ホラー映画にも言えることですね。だから、子どもの目に触れないように隠すよりも、どんどん触れさせる方が私はいいと思いますが。いかがでしょうか?




コメント

  1. 藍色 | URL | -

    Re:いるの いないの

    こんにちは。同じ本の感想記事を
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