2010年10月04日 13:15
【原題名】EATEN ALIVE(DEATH TRAP)
【製作】マーディ―・ラスタム
【監督】トビ―・フーパー
【脚本】アルビン・L・ファスト、キム・ヘンケル、マーディー・ラスタム
【音楽】ウェイン・ベル、トビ―・フーパー
【撮影】ロバート・カラミコ
【出演】ネヴィル・ブランド、メル・フェラー、マリリン・バーンズ、ウィリアム・フィンリー、キャロリン・ジョーンズ、スチュアート・ウィズマン、ロバート・イングランド
1976年/アメリカ映画/91分
【STORY】
人里離れたモーテルに部屋を取りに来たクララ。店の主人ジャドに案内されるが、彼女が売春婦だと分かると態度が豹変。襲いかかるジャドを押しのけ外へ逃げるが、凶器でめった突きにされ、モーテルのすぐそばの沼に放りこまれる。そこには巨大なワニが潜んでいた・・・。
やがて、旅行中の親子、行方不明の娘を探す父親と姉(冒頭で惨殺される売春婦は、この家族)、街の若いカップルなど、ふだんはほとんど人気の無いこのモーテルに続々と人が集まってくる。その中で、ジャドの狂気も加速、次々に大ガマで血祭りにあげ、ワニの餌にしてゆくのだった。
【REVIEW】
『悪魔のいけにえ』で衝撃的なデビューを飾ったトビ―・フーパーが、ハリウッドに乗り込んで撮った2作目。今回は、戦争体験をトラウマに抱えるサイコなモーテルの主人が、宿泊客を殺してワニの餌食にさせていたという、これまたショッキングな内容の1本。前作に引き続き、実話ネタがベースということで、アメリカの片田舎(特にテキサス辺り)へ行くときは、食肉工場と寂れたモーテルには絶対近づくなという教訓が身にしみます。
なんの罪もない若者たちを有無を言わさずチェーンソーで殺しまくった『悪魔のいけにえ』と比べると、どうしてもパワーダウンが否めない、なんとも不幸な作品。チェーンソーに対して大ガマはどうみても迫力不足だし、それを補う人喰いワニもハリボテ感ありありで、今一つ。セット撮影されたモーテルの雰囲気も悪くないが、『~いけにえ』のざらついたロケ撮影のフィルム感が醸し出す恐怖の上を行くのは難しい。つまるところ、“傑作だった『悪魔のいけにえ』の監督の次の作品”というレッテルを貼られて、常に比較されてしまうのがネックなんでしょうね。
しかし、そういう先入観を無くして鑑賞すると、意外に楽しくて見所もあります。霧の立ち込める沼地、赤を中心に原色を使った照明は、お化け屋敷風でいい感じ。床下に逃げ込んだ少女の叫び声が、下から聞こえてきてくるシーンは、セット撮影が活かされたところ。ベッドに縛りつけられて、狂ったようにもがく女を『悪魔のいけにえ』に続いてM・バーンズが熱演。さらに、ジャドを小馬鹿にし、モーテルでワニの餌食にされる青年役で、『エルム街の悪夢』のR・イングランドも出演しています。殺人鬼役のN・ブランドのサイコがかった演技も、最初からラストまで途切れず続きますが、最後は飼っていたペットにガブリ。爬虫類とはいえ、やっぱり、しつけはちゃんとしておくべきだったか。
コメント
迷子 | URL | SiG0sHTk
Re: 悪魔の沼
作品的には普通のレベルだが、マリリンファンには彼女の妖艶な姿が満喫出来る貴重な作品(笑)。
ベッドに縛られもがく彼女の姿は、一般映画としては刺激が強すぎです。しかし黒テープを口に貼られた下着姿の彼女は退廃的な美しさだった。
( 2010年10月14日 08:32 [編集] )
Aki | URL | -
Re: 悪魔の沼
確かに、出演作の少ない彼女の姿を見られる貴重な作品ですね。『~いけにえ』ほどではないにしても、今作でも長時間縛りつけられたり、大ガマで切りつけられたり、階段から突き落とされたりと、結構ヒドイ目に遇わされて大変なのですが、ホラー映画の女優さんはいたぶられて悲鳴を上げてナンボのもの(偏見でしょうか!?)。スクリームクイーンとして立派に責務を果たしてくれております。
( 2010年10月14日 23:33 [編集] )
迷子 | URL | SiG0sHTk
Re: 悪魔の沼
勿論ホラー映画の女優さんはいたぶられて悲鳴を上げてナンボのものです!
ところで本作は誰が主人公?なぜマリリンが監禁された?等??な点も有りますが、一言で言えば、宿泊した若奥さんにムラっと来たオヤジの悲しい片思いの物語かと(笑)。
マリリンが到着した直後、オヤジのペットの猿が死に「あなたの猿が死んでるわ」と言う場面、猿に代わり彼女がオヤジのペットにされることを暗示してると思うんです。
監禁シーンを以前キネマ旬報は「彼女の肉体の上下動はセック●の姿態を加速したもの」と書いてましたが全く同感。監禁部屋は彼女のフェロモンでむんむんしてそうです。
女が助けを呼べぬようし、他の宿泊客がいなくなるのを待つ計画が結局逃げられ、「ペット」に裏切られたオヤジは逆上し彼女を攻撃するも、反撃されたあげく別のペットのワニに喰われてEND・・・皮肉な結末です。
( 2010年10月17日 10:17 [編集] )
たかひろ | URL | -
Re: 悪魔の沼
僕は本作の初見で、ワイラーの「コレクター」を連想しました。
ヒロインが悲鳴を上げる度に、観客は自己のサディズムに酔い痴れます。
何とも麻薬の様な映画です。
( 2010年10月17日 11:05 [編集] )
Aki | URL | -
Re: 悪魔の沼
“彼女がオヤジのペットにされることを暗示”
なるほど、このとき、N・ブランドはすでに狙いを定めていたのかもしれませんね。しかし、冒頭の女性のときにはあっさり殺しちゃったのに、M・バーンズの方は監禁したんでしょうか。単に、好みだったから?!
“ヒロインが悲鳴を上げる度に、観客は自己のサディズムに酔い痴れます。
何とも麻薬の様な映画です。”
あらためて見直してみると、終盤はヒロイン叫びまくりですね。映画が終わった後も、不快感をあおる音楽(金属音のようなBGM)と娘の名前を叫び続けるM・バーンズの声が耳に残ります。確かに麻薬のような効果があるのかも。
( 2010年10月18日 17:52 [編集] )
迷子 | URL | SiG0sHTk
Re: 悪魔の沼
しつこい書き込み失礼。この作品でこんなに盛り上がるとは・・・。
“ワイラーの「コレクター」を連想しました”
私もです!~いけにえも本作も後ろ手に縛られたマリリンが捕らわれた後、違う格好で縛り直されますが、本作のベッドへ縛られ彼女は「生きた美女の標本」で、ある意味「コレクター」の青年と本作のオヤジの目的は類似してるかもです。また「磔」にされた姿も表現していると思い、フーパーのサディズムの真骨頂ですね。
“冒頭の女性はあっさり殺しちゃったのに、M・バーンズの方は監禁”
思うに自分の言いなりにならない女に殺意を抱く性分なのでは。娼婦だから自分を満足させてくれると思い迫ったら激しく抵抗され逆上したのかと。だからマリリンに裏切られると彼女も殺そうとしたのかと思います。
ちなみにN・ブランドは一目でマリリンを気に入った様に見えますが、彼女を手に入れようと思ったのは浴室の前を通り過ぎた後かと。浴室のドアに耳を当てニヤニヤしながら通り過ぎますが、直後に真顔で頭に手を当て何かを考え付いた様子を見せますが、「館内に子供以外いない今ならあの女を自分のものにできる」と思ったのかと。彼女がブラウスのボタンをはずす場面から浴室に彼が侵入するまでの間ブオンブオンと効果音が聞こえますが、これも彼のおぞましい妄想が膨らんでいる様子を表しているように感じます。長文になってしまった。
( 2010年10月18日 19:25 [編集] )
Aki | URL | -
Re: 悪魔の沼
N・ブランドの心理描写ありがとうございます。『悪魔の沼』はフーパーの作品としては、あんまし評判は芳しくなかったようですが、今こうして見直してみると、いろいろな再発見があって、なかなかどうして見所があります。
しかし、レビューを書いたり、再確認するためなんかで今月だけで『悪魔の沼』は5回ほど見ましたが、いいホラー映画というのは何回見ても飽きませんね!(ホラー映画に限らないかもしれませんが)
( 2010年10月20日 09:47 [編集] )
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( 2010年11月14日 11:54 [編集] )
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