テナント/恐怖を借りた男

2016年04月06日 02:09

テナント01

【原題名】THE TENANT
【製作】アンドリュー・ブラウンズバーグ
【監督】ロマン・ポランスキー
【脚本】ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラッシュ
【撮影】スヴェン・ニクヴィスト
【音楽】フィリップ・サルド
【出演】ロマン・ポランスキー、イザベル・アジャーニ、メルヴィン・ダグラス、シェリー・ウィンタース
1976年/アメリカ・フランス映画/126分


【STORY】
古いアパートの一室を借りて住むことになったトレルコフスキー。彼の部屋の前の住人は、窓から飛び降り自殺を図っていた。自分の空間を手に入れた記念に、早速友人たちを招いてパーティーを開くが、物音がうるさいと他の住人から苦情が入り、中止になる。階下の家主はことあるごとにトレルコフスキーに注文を付け、管理人の中年女性は無愛想だ。近所の喫茶店では、前の住人の話になり、そのメニューを勧めてくる。そして、アパートの窓から見える共同トイレで微動だにしない男性の姿。このアパートは、何かがおかしい―。そして、トレルコフスキーの精神も徐々に崩れ始めていく。

【REVIEW】
監督・脚本・そして主演も兼ねたロマン・ポランスキー自作自演の異常心理サスペンス。直接的な暴力などは受けなくても、周りの環境や人間関係によって、追い詰められ崩壊していく様が描かれていて、派手さはないが、淡々とした狂気が映画全体を支配している。馴染めなかったり、他の住人と揉めたりしたら、アパートなんだから引越せばいいのでは!?と思ってしまうが、支払ったお金と手間のことを考えれば、そう簡単には決断できず、苦悩せざるを得なくなっていく状況は、同じような経験をしたことがある人なら共感できるはず。かくいう自分も、仕事で実家を出て初めて住んだアパートの階下の住人が(自分は2階)、驚くほど神経質で、少し物音を立てると天井を棒か何かで突いてきて、びくびくしながら過ごした記憶があります。当時は、会社の借り上げ住宅で転居もできず、我慢するしかなかったのですが、音を立てずに生活するのがこんなに窮屈でストレスなのか苦労したものでした(結局、転勤でまた引っ越しできたわけなんですが)。

話がそれましたが、主人公のトレルコフスキーもどちらかと言えば繊細な感じで、内向的なタイプ。友人の男性は、アパート住みでも大音量で音楽を鳴らして、隣から注意されても意に介さず、逆に文句を言い返すくらいだが、トレルコフスキーにはそれができない。しだいに、周りの人間が自分を追い詰め、自殺した前の住人の女性と同じ状況にしようとしているのではないかと考えていく。実際、アパートの住人も、喫茶店の店員も、職場の同僚も、どこかみなよそよそしくて冷たくて、なにかがおかしく感じられる。それはトレルコフスキーの被害妄想がそう感じさせるのかもしれないが、本人がそう感じてしまっているのだから、それはたぶん真実なんだろう。人間って、ちょっとしたことで、正気にも狂気にもなれてしまう。怖いお話だ。

出てくる人間、みなどこか暗い影があって不気味なんですが、自殺女性の友人ステラ役で若き日のイザベル・アジャーニが出ていて、そこは拾い物。しかし、なんといっても、この映画はポランスキーの独壇場なわけで、女装して、2度も飛び降り自殺してしまう狂気の演技の前では、皆霞んでしまいそうな・・・そんな映画です。

テナント02





コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://thehorrormovies.blog55.fc2.com/tb.php/423-c8506ffc
    この記事へのトラックバック


    最新記事