ビヨンド

2011年01月03日 19:57

ビヨンド01
【原題名】THE BEYOND
【製作】ファブリッツィオ・デ・アンジェラス
【監督】ルチオ・フルチ
【脚本】ルチオ・フルチ、ダルダノ・サケッティ、ジョルジオ・マリウッツォ
【撮影】セルジオ・サルヴァティ
【音楽】ファビオ・フリッツィ
【特殊メイク】ジャネット・デ・ロッシ
【出演】カトリオーナ・マッコール、デヴィッド・ウォーベック、サラ・ケラー、アントニー・セント・ジョン、ヴェロニカ・ラザール、ジョヴァンニ・デ・ナヴァ、アル・クライヴァ―
1981年/イタリア映画/87分


【STORY】
1927年、ルイジアナ。冥界と現世をつなぐ七つの門を開けようとした画家が町民のリンチに遭い、生きたままホテルの地下の壁に埋め込まれた。50数年後―その屋敷を相続してこの地にやってきたライザはホテルを再開しようとするが、彼女のまわりで奇妙な出来事が続発する。作業中のペンキ屋は転落事故に遭い、水道の修理に来た男は壁から飛び出してきた謎の手に顔面を握りつぶされて息絶える。そして、盲目の女性エミリーが現われ、ライザにここから去るように警告する。しかし、時すでに遅く、甦った画家シュヴァイクの怨念により、地獄の門は開け放たれようとしていた。


【REVIEW】
イタリアンホラーの帝王L・フルチの最高傑作。だと思う。しかし、ホラーに興味の薄い方にはさっぱりおもしろくもなんともない作品に写るでしょうし、ホラー映画ファンでも賛否両論があるのも事実。でも、やっぱりフルチ映画ではNO.1だ。それは20数年前に『ビヨンド』を初めて見たとき以上に、はっきり確信できます。

『ビヨンド』の評価が低い原因の一つはストーリーの難解さでしょう。邪悪なものが復活し、人々に襲いかかり惨劇が起こるわけですが、ゴアシーンを演出するためにストーリーの整合性を無視してしまったところがそもそもの発端。なぜ、病院の不自然な場所に塩酸が置いてあるのか、なぜ、図書館に人喰いタランチュラが生息しているのか、なぜ、地下室の磔に使われた釘は違う部屋の壁に刺さっているのか、なぜ、病院の地下とホテルの地下室はつながっているのか・・・。疑問は多々ありますが、それは最後まで解消されません。

もっとも、なんでそんな展開に?と考えるのはそれ自体野暮なのかもしれません。すべてはその後に用意されたゴアシーンやショックシーンのための布石なのだから。だから、壁から釘が飛び出た場所へ逃げた女性は、そこへ頭を押し付けられて頭部を貫通した釘が目ん玉を串刺しにするし、ガラスを銃で撃つとなぜかその破片が飛んできて顔にグサリ!と刺さったりします。さらに、終盤のゾンビの大群の応戦時、ゾンビの胴体を銃で撃っても倒れないが頭を撃ちぬくとドサッと倒れ、見ている誰もが「おおっ、これでゾンビどもを倒していくんだろうな」と思ったところに、また次のゾンビの胴体に弾丸を撃ち込む主人公たち。一発、二発、三発、いくら撃っても倒れません・・・。っていうか学習しなさいよ!と突っ込まずにはいられませんが、そんな流れもおかまいなしなのもある意味スゴイです。編集しているときに誰か指摘してあげようよ!なんて思ったり・・・。

「適当!」「ご都合主義!」という批判があるのもふまえたうえで、それでもこの映画の持つ魅力にひたれることができた人だけが、楽しめるのではないでしょうか。地獄の門が開いてこの世に邪悪なものが出てきているのだから、人知を超えた出来事が起こっても不思議ではない・・・。そんなふうに理解して、フルチの創造した終末の地獄絵巻のイマジネーションをただただ瞼に焼き付けることができれば、非常に楽しい作品だと思います。ラスト、主人公たちはビヨンド~あの世へ迷い込んでしまいます。振り返ると元来た道は無く、どこまで行っても地獄のような風景が続くばかり。驚く2人の眼は、エミリーと同じように白く変わっていた―。『地獄の門』の突然な終わり方と比べると、『ビヨンド』の方が断然いいですね。

フルチ作品にスコアを提供し続けていたF・フリッツィの奏でる音楽も、この『ビヨンド』で一つの頂点を極めたと言ってもいいくらいの出来。さらに、G・D・ロッシの超絶特殊メイク。彼の技術無くしては、数々のゴアシーンは実現不可能だったでしょう。それらをバックにフルチの脂の乗った演出も加わり、『ビヨンド』は傑作と成り得たのでしょう。

以前、パイオニアから出ていたもの。音声はステレオで、映像はところどころノイズが目立って今一つ。特典は、サントラによるアイソレイテッド・スコア集、劇場用予告編、ポスター&スチール・ギャラリーを収録。



今回、再発された方がコチラ↓

デジタルリマスタ―化で、画像は鮮明に、音声の5.1ch化もほどよく広がり感が味わえて良好です♪
で、特典は、フルカラーによるドイツ版オープニング、オリジナル劇場予告編、ジム・ヴァン・べッバ―による音楽ビデオ、別バージョン・オープニング。そして、これでもか!といわんばかりのインタビュー集。サケッティやロッシ、エミリー役のシンシア・モンレアーレ、マーサ役のヴェロニカ・ラザール、そして現在のK・マッコール嬢など多彩な顔ぶれで約72分と長いです。


関連作品
地獄の門
ザ・リッパー
マーダーロック
サンゲリア


コメント

  1. リキマル | URL | 1jhbtX.k

    Re: ビヨンド

    フルチではこれも好きな作品でSPO版も買いました。
    ディスク1枚なのに特典が結構入ってますね。
    以前のパイオニア版はジャケットデザインが好きで今も手元にあります。
    昔、大映版ビデオで初見の時は、あまりの音楽の良さとラストのゾンビ集団登場シーンでハマリました。
    ただこれに登場するゾンビも「地獄の門」同様いきなり消えたりして、超自然現象のひとつという描かれ方ですね。
    おかしいのがデビッド・ワーベック扮する医師が持つリボルバーが6発以上いくらでも弾が出たり、ゾンビを近距離で頭を撃たず体ばかりを撃つ弾の無駄使いなどツッコミ所が多いこともご愛嬌でしょうか。

  2. Aki | URL | -

    Re: ビヨンド

    大映のビデオ、なつかしいなあ。『ビヨンド』『墓地裏の家』『マンハッタンベイビー』がまとめて発売されて、衝撃を受けたのを思い出します。本で紹介されているスチル写真からでも、ぶっ飛んだビジュアルの迫力は十分すぎるほど伝わってきて、レンタルしに行くのが待ちきれませんでした。ただ、近所のビデオ屋にはなかなか入荷してこず、実際に見られたのはそれから数年後でしたが。

  3. リキマル | URL | 1jhbtX.k

    Re: ビヨンド

    大映のビデオソフト、自分も田舎だったので1件しかない近所のレンタル店にはビデオは入荷しなかったのですが、ビデオ発売用のチラシがあって思わず何枚か貰って今でも手元に保管してます。
    数ヵ月後にようやくビデオを借りるとシネスコサイズ収録されていたのは嬉しかったですね。
    一番見たかった「墓地裏の家」よりも「ビヨンド」が圧倒的に面白かったのは意外でした。

  4. Aki | URL | -

    Re: ビヨンド

    フルチ絶頂期に撮った『ビヨンド』と比べると、『墓地裏の家』はどうしても地味な印象は否めません。が、フロイトシュタイン博士の突き抜けたビジュアルと、内臓や脳味噌剥き出しの死体、首チョンパにナイフで脳天串刺しなど、素敵なシーンはやっぱり魅力的です。ただ、『ビヨンド』や『サンゲリア』なんかが派手すぎて、比べると弱く感じてしまうんでしょう。そういう意味ではちょっと損してる可哀そうな作品でもあります。

  5. リキマル | URL | Ef5G3OlI

    Re:ビヨンド

    こんにちは。
    先日「ビヨンド」のUK版ブルーレイ(アロービデオ発売)を購入しました。
    ブルーレイ&DVDの2枚仕様で、DVDは特典映像集になっており主演のカトリオーナ・マッコール、特殊メイクのジャネット・デ・ロッシらのインタビュー集。予告編などが収録されていました。(PAL仕様なのでPCで再生可能でした)
    肝心の本編ブルーレイは国内プレーヤーで無事再生が出来、盲目のエミリー役のサラ・ケラー(今でもやっぱり美人です)へのインタビューが入っていたのは嬉しいオマケでした。
    本編も87分のノーカットバージョンで、国内DVDを凌ぐ高画質&音質で満足のいく内容でした。

    このメーカーからはジャケットが最高の「サンゲリア」が来月発売でかなりの特典収録で楽しみだったのですが、どういう訳かこれのブルーレイ仕様がリージョンBらしいので再生不可になりそうで残念です。

  6. Aki | URL | -

    Re:ビヨンド

    こんばんはです。

    『ビヨンド』のブルーレイ版買われたんですね。高画質で特典ディスク付き、そんでもって国内盤よりもお買い得プライスときたら、かなり魅力的ですよね。あと問題は無事再生できるかということ。

    『サンゲリア』はリージョンBということですが、日本はたしかAでしたよね。再生するにはリージョンフリーのプレーヤーでしか無理なんでしょうかねえ。

  7. リキマル | URL | Ef5G3OlI

    Re:ビヨンド

    ハピネットから発売されたブルーレイ購入しました。
    やはり以前購入したイギリス アロービデオ版の本編と特典にホラーマニアックス版DVDに入ってあった特典映像も全て収録した最強仕様でした。
    画質もDVDよりかなり向上し明るくなっている(ここは好みもありますが)
    のと音響も良くなっている印象です。
    今回のジャケットはホラー映画らしからぬ美しいデザインなのもポイント高いです。
    女優二人のキャストインタビューはどれも大変興味深い内容で面白かったです。

    発売済みの「地獄の門」も同じような仕様だと想像つきますが、今作ほど好きな作品でないので中古購入をいずれ狙いたいです。

    来月はいよいよ待望の「サンゲリア」なので、特典映像がようやく字幕入りで見られるので楽しみです。

  8. Aki | URL | -

    Re:ビヨンド

    『ビヨンド』のハピネット版ブルーレイは、満足のいく仕様のようですね。きっちり特典も収録されているようですし、画質・音質も現時点では最高ランクでしょうか。(しかし、あんましキレイになりすぎるとザラついたいかがわしさのような雰囲気が消えてしまって、それはそれで淋しい気もします。昔のVHS時代は画質の悪さ、画面の暗さゆえに、何とも言えないアングラ感があったものですが)
    ジャケットも一目見ただけでは、その内容と余りにもギャップがある美しいものですが、これもアリですね。

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