死霊のえじき

2017年11月05日 14:50

死霊のえじき07


【原題名】DAY OF THE DEAD
【製作】リチャード・P・ルビンスタイン
【監督】ジョージ・A・ロメロ
【脚本】ジョージ・A・ロメロ
【撮影】マイケル・ゴーニック
【音楽】ジョン・ハリスン
【特殊メイク】トム・サヴィーニ
【出演】ロリー・カーディル、テリー・アレクサンダー、ジョセフ・ピラトー、リチャード・リバティー、アントン・ディレオ、ハワード・シャーマン
1985年/アメリカ映画/102分


【STORY】
近未来。甦った死者の群れは地上を覆い、その数はついに生存している人間の40万倍にまで膨れ上がっていた。絶望的な状況の中、フロリダにあるセミノル地下倉庫では、女性科学者のサラを中心にゾンビの研究が続けられているが、根本的な解決方法は見いだせないままでいる。彼らを守る任務に就いている軍隊のリーダーのローズ大尉は、成果の出ない科学者たちに業を煮やし、近いうちに何らかの進展が無ければ、研究用のゾンビを破壊しこの場を放棄すると脅す。

思うように研究が進まず苛立つサラは、ヘリパイロットのジョンと無線技士のマクダーモットの2人の住む部屋を訪れる。彼らの室内は殺風景な研究エリアとは違い、昔懐かしい人間の温かみが感じられる雰囲気になっていて、サラも驚くのだった。そこで、ジョンはサラに話しかける。「君たちの研究は無駄に終わる。ゾンビ発生の謎に挑んでも永遠に分からない。この事態は、驕り高ぶった人類に対する神の与えた罰なんだと―」

ある日、フランケンシュタイン博士と呼ばれるローガン博士が実験体として扱っているバブが、人間を餌と認識せず、博士の言うことを理解し始めていることが分かり、サラたちは驚く。ローガン博士は、ゾンビたちを飼い馴らすことができれば、人類の生存に繋がり活路を見いだせると説くが、ローズら軍人たちは逆に不信感を募らせる。そして、実験体のゾンビを捕獲中に軍人が噛まれて死亡する事件が発生、サラの恋人だったミゲルも片腕を喰いちぎられてしまう。基地内の緊張状態は極限まで高まる中、ローガン博士が軍人の死体をゾンビに食わせていたことが判明する。それを知ったローズは博士を射殺、怒りの矛先はサラたちにも向けられ、サラとマクダーモットはゾンビの洞窟へ閉じ込められてしまう。

軍人たちが暴走する中、ミゲルは地上のゾンビたちを基地内に向かい入れ、自らもゾンビに喰われて自殺する。なだれ込んでくる大量のゾンビたちに軍人たちは防戦するものの次々に襲われ喰われていく。最後に残ったローズは、博士が殺されたと知ったバブに銃で撃たれて重傷を負い、さらにゾンビに群れに八つ裂きにされてしまうのだった。

サラとマクダーモットは追いかけてきたジョンと合流し、地上へ向かう。ヘリポートにはゾンビの群れが迫っており、間一髪サラがヘリコプターのドアを開けたその瞬間―。


【REVIEW】
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』に続く、ロメロのリビングデッド初期3部作の最終章。当初、『ゾンビ』に続いて、アルジェントが資金援助する予定だったが、為替の影響でそれができなくなってしまう。アメリカ側だけで製作資金を調達することになったロメロは、750万ドルを用意する代わりにソフトな内容でと映画会社から打診されるが、最終的には350万ドルでレイティングを気にせずに作る方を選ぶ。最初の脚本では、ゾンビと軍隊が衝突する派手なサバイバルアクションシーンが予定されていたが、それは削除され、終始薄暗い地下倉庫で物語が進行するこじんまりした作品に仕上がる。スケールダウンした感は否めないが、息づまるような閉塞感と緊張感が生み出す究極の人間ドラマと、ゾンビが人間を喰らう残酷シーンがセットになった極上のゾンビ映画になっている(トム・サヴィーニの作り出したゴアシーンの数々は、そのリアルさにおいては当時の最高峰だったといっても過言はないでしょう)。

主演女優のロリー・カーディルは、父親が『ナイト~』に出演していた縁もあり決定、ローガン博士役のリチャード・リバティーは『ザ・クレイジーズ』に、ローズ大尉役のジョセフ・ピラトーは『ゾンビ』にと出演していたなど、もともとロメロ関連があった人物がこの『死霊のえじき』にも多く登場している。そして、ゾンビのバブ役で有名になったハワード・シャーマンは、オーディションで鶏肉にかぶりついて役を射止めたというのも有名なエピソード。ゾンビが知能を取り戻していく、というのは、『ランド・オブ・ザ・デッド』でさらに進んで描かれているが、このバブくらいの状態がちょうどいい感じがします。あまり人間に近づきすぎても、ゾンビというキャラクターの範疇から逸脱してしまっている感がしてしまうので・・・。


地下基地での会話シーンが多く、動きの場面が少なく感じられる本作は、『ゾンビ』の続編として期待していたファンからは不評を買い、同時期に公開された『バタリアン』や『デモンズ』にも興行成績で差をつけられる結果となってしまう。確かに、それらの作品と比べると、アクションシーンは少なく地味な印象は仕方がないが、それを補って余りあるのが、登場人物が織りなす人間ドラマ。もう人間社会が終わり迎えようとしているのに、争いを止めようとしない生き残った人間たち。彼らに引導を与えるゾンビたちはあくまできっかけに過ぎず、いつまでたっても協力し合えない人間たちの自滅がもたらした破滅の物語。これは、製作当時、東西冷戦、核の恐怖に世界が包まれていた様子を反映したものらしいが、これは21世紀を迎えた現在の世界でも何一つ変わっていない構図だ(むしろ、悪くなっているかも―)。ホラー映画を見ながら、こんなにいろいろ考えさせられるのは、やっぱりロメロの映画だからなのかと思うが、見れば見るほど味の出てくる不思議な感じもする。本当に唯一無二の哲学的ゾンビ映画だと思ったりします。

死霊のえじき05

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死霊のえじき08


当初リリースされたJVD版は、『~最終版』と銘打っておきながら、残虐シーンがカットされた極悪版だった・・・。これで、JVDの評価が下がったのは間違いない、買ってはイケなかった商品。



その後、ハピネットから完全版DVDが発売され、めでたくまともな形ですべての内容が見られることに。その後、ブルーレイも発売されるがどちらも廃盤状態に。ブルーレイの方は価格が高騰しています。



そして、スティーブ・マイナー監督のリメイク版と、よーわからん内容の続編。特に、『デイ・オブ・ザ・デッド2』の方は見ると、人生の貴重な時間をロスする効果しか得られない駄作。


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