ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

2011年04月02日 00:23

ヘル・オブ・ザ・リビングデッド01
【原題名】HELL OF THE LIVINGDEAD
【製作総指揮】セルジオ・コルトーナ
【監督】ヴィンセント・ドーン
【脚本】クラウディォ・フラガッソ、J・M・カルニス
【撮影】ジョン・カブレラ
【音楽】ゴブリン
【出演】ロバート・オニール、マルグリット・イヴリン・ニュートン、フランク・ガーフィールド、セラン・カレイ
1981年/イタリア・スペイン合作/96分


【STORY】
ニューギニアの奥地にあるホープセンター。ジャングルにそびえ立つこの化学薬品工場で事故が発生。漏れ出した有毒ガスは作業員をゾンビ化させ、他の作業員に襲いかかり生肉を喰らい始めた―。

事態の収拾のため政府は現地に特殊部隊を派遣、彼らは途中で取材中のTVクル―の2人と合流し現地へ向かう。ジャングルに住む原住民の集落ではすでに異変が起きていて、死者が甦り次々に人間に襲いかかってきていた。からくも難を逃れ、一行はホープセンターに辿り着く。静まり返る工場内には生存者は無く、すでにゾンビの集団で溢れ返っていた。ゾンビに襲われ、次々に命を落とす隊員たち。生き残った2人は、この工場で研究されていた恐るべき計画に気づく。しかし、時すでに遅く、ヨーロッパのある都市でもゾンビの行進が始まっていた。


【REVIEW】
数あるゾンビ映画でも悪名の高い1本。ロメロの『ゾンビ』が世界的大ヒットを飛ばした後、それに便乗するゾンビ映画がわんさか製作され、80年代前半はゾンビ映画の黄金時代のようでした。『サンゲリア』や『死霊のはらわた』、『バタリアン』に『死霊のしたたり』。それぞれ皆、独自のゾンビ像で楽しませてくれましたが、当然出来のよろしくないのもあるわけで、本作の評判が非常に低いのはそのオリジナリティの無さにあると思います。

バイオハザードが発生した化学工場に向かう面子がSWAT隊員とテレビクルー、音楽はあのゴブリン担当だが、サウンドはまんま『ゾンビ』から流用、特に前半で要人を人質に立てこもるテロリストをSWAT部隊が制圧する場面はゴブリンの音楽と相まってまんまゾンビのパクリだ(しかも、当然出来の悪いパクリ)。更に、原住民やジャングルの動物のシーンは別映像を差し込んで巧みに合成、ゾンビ映画にモンド的な雰囲気を醸し出しているのも不思議な感じだ。そう言えば、ヴィンセント・ドーン監督は後の『サンゲリア2』でも、熱帯ジャングルでのゾンビ発生を撮っていましたが、あれも珍品といえば珍品でした。

気味の悪いゾンビのメイクや、人肉貪り食いシーンもそれなりにあってゴア度はなかなかのものだが、緊迫感の無い演出、テンポ悪さが映画の出来をさらに落としてしまっているのは残念。学生の自主製作の映画でも、もうちょっとマシなんでない?といいたくなるほどのユルイ展開はなかなか見るのに忍耐を要求します。特に主人公のSWAT隊員の素行にはビックリ!素人みたいなテロリスト制圧作戦や、ゾンビの群れに会話しに行くキチガイ隊員、コスプレダンスをしていてゾンビに喰われて絶命する隊員など、ギャグでやっているのか?!と疑いたくなるような行動を次々に取ってくれます。しかし、真面目に撮った結果がこれなんだったら、すごいセンスですね。

ラスト、ヒロインのTVレポーターの女性から、化学工場で行われていた研究が人口爆発を抑制するために、人間同士を共食いさせようというものだったということが語られビックリしますが、それよりも唖然とさせられたのがヒロインの死に様。ゾンビたちに舌を引きちぎられ、口から突っ込まれた手で眼球を内側からくり抜かれるという壮絶なもの!普通、助かるはずの人間がもっとも悲惨な死に方をするという、なんともどんよりした重いものが残る終わり方です。






コメント

  1. たかひろ | URL | -

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    出来はともあれ、観たいホラー映画の一本なんですよ。
    ラストまで書いたAkiさんを恨みますよ(笑 勿論ジョーク)。
    とにかく『サンゲリア2』と並んで、ゾンビマニアには堪らない映画のようですね☆

  2. Aki | URL | -

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    『ゾンビ映画大事典』の伊東美和氏の言葉を借りるなら、この『ヘル・オブ・ザ・リビングデッド』は、
    “仮にもゾンビ映画好きを自認するなら、本作は必ず乗り越えねばならないハードルに違いない。乗り越えてどうするのか?次のハードルが待っているのだ―。”・・・そんな1本だそうです。

    ホラー映画ファン、とりわけゾンビ映画ファンには、なんと厳しい(楽しい!?)試練が待っているんでしょうか(笑)世の中には『ゾンビ』のような全てのジャンルを通してもベストと言えるホラー映画があれば、一般の映画ファンなら見向きもしないようなC級、Z級のゴミ屑のようなホラー映画も山ほど存在しています。いやむしろ、そんなゴミ映画の方が圧倒的に多いかもしれません。でも、そんな中から未知なるホラーを拾い上げ、新たな発見に狂喜乱舞するのもファンならではの楽しみと言えるでしょう。

    機会があれば、たかひろさんも是非ご鑑賞下さいまし☆

  3. リキマル | URL | 1jhbtX.k

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    この作品大好きです。
    マイフェイバリットは当然「ゾンビ」ですが、昔このビデオソフトを初めて見たときはゴブリンサウンドの流用に感激しました。
    肝心の内容はAkiさんが書かれたとおりツッコミところ満載の怪作ですね。
    SWAT隊員2名の意味不明な演技もですが、プールの中から顔を出すだけや木の上にいるだけのゾンビってどういうつもりであんなシーンを入れたのか意味不明です。
    無能なドーン監督の行き当たりばったりな製作現場が想像できます。
    7月のリマスター版、とりあえず買いますが。

  4. Aki | URL | -

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    この手のホラー映画になると、「どないなってんねん!?」といちいち突っ込むこと自体が楽しみになってきたりして、それがまた魅力なのかもしれません。いや、そうでもしないと最後まで見るのが苦痛で仕方がないのかも・・・。ともかく、一般の映画ファンなら、ほぼスルー確実な作品ですが、なんだかんだ言って見てしまうのはホラーファンの性なのでしょうか。

    イタリアンホラーならではのグロい描写、画面から溢れ出す暗~い雰囲気など、この作品の持つ独特の雰囲気は私も好きです。

  5. リキマル | URL | 1jhbtX.k

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    先日輸入DVDでまた見てしまい、脚本の酷さに別の意味で感動しました。
    ラストにホープセンター到着ですが、冒頭に出た責任者のオッサンのゾンビを普通なら出すべきでしょう。
    SWATのメンバーが着ているユニフォームもあれってただの作業服ですよね(笑)
    中盤あたりの村で出た土人ゾンビ集団は他の作品では見ない異色な感じでいいですが、サントロに松明で燃やされるゾンビ役者はあの後、大火傷していそうで同情します。

  6. Aki | URL | -

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    確かに、あのヨレヨレの制服を着た疲れ切ったようなオジサンたちがSWATの精鋭だとはとても見えない。やる気の無い外人部隊の落ちこぼれみたいです。一応、主要なキャラクターなんだから、この辺をしっかり演出すれば、もうちょっとマシな印象に変わると思うんですが、そんなことはきっとどうでもいいんでしょうね。

    『エイリアン2』を大胆にパクッた、ヴィンセント・ドーンの遺作『ゾンビ2009』も気になります。きっとヒドイ出来なんだろうなあ。

  7. リキマル | URL | 1jhbtX.k

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    「ゾンビ2009」、まあ一度見て下さい。
    悲しいくらい本当に出来の悪い「エイリアン2」です。
    見ていて何もここまでパクらなくてもと悲しくなります。
    この監督ってはるか昔に作った「ヘルオブ」と「ラッツ」の2本くらいしか何とか見られる作品がなかったですね。
    「ランボー2」を模倣した「ストライクコマンドー」もありました。
    監督としてのプライドの欠片も見当たらない人だったのでしょう。
    少し前にDVDが出た「アイランド・オブ・ザ・リビングデッド」という前日談もありますが、これも当然ながら酷かったです。

  8. Aki | URL | -

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    他の作品からアイデアを拝借、というのはイタリア映画ではよくありますが、オリジナルを超えるのは無理でも、何かしら光るものがあればまだ見れると思うんですが。フルチが『サンゲリア』を発表したとき、『ゾンビ』の公開後だったんで、散々、模倣やパクリと言われましたが(製作者たちは、『ゾンビ』の情報は知っていても、内容までは詳しく知らなかったみたいですが)、その突き抜けたゴア描写や独特の世界観で、フルチ独自の作品に昇華されていました。

    ヴィンセント・ドーン監督にも、そんなところがあれば、また評価も違ってきたと思いますが、この人はひたすらいろんなところからパーツを寄せ集めてきてつなぎ合わせるのが唯一個性だったんではないでしょうか。それでも、その作風を生涯貫き通して量産したのは、ある意味すごいですけれども。

  9. リキマル | URL | 1jhbtX.k

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    SPOから発売されたDVDライナーを読むと脚本兼助監督のフラガッソはかなり気合を入れて残酷シーンを撮影したらしいですが、完成版ではことごとくカットされてしまったそうです。
    例の他作品フッテージを入れるよりも撮影した残酷シーンを全て使っていたらもしかすると「サンゲリア」風にインパクトのあるゾンビ映画に化けていたかもしれないと思うと非常に残念です。
    是非フラガッソ自身にオリジナル脚本でリメイクして欲しいです。

    イタリアンゾンビ風な新作では昨年完成済みの「THE DEAD」というアメリカ映画があり、アフリカ大陸を舞台に珍しい黒人のゾンビ集団がゾロゾロ襲ってくるという内容で、ネットで見られる予告編を見るとかなり面白そうです。
    アメリカでも未だDVD化されていないですが、早く国内ソフト化して欲しい1本です。

  10. Aki | URL | -

    Re: ヘル・オブ・ザ・リビングデッド

    “黒人のゾンビ集団”がちょっと気味悪そうですね。『ヘル・オブ・ザ・リビングデッド』のゾンビはのんびりした雰囲気だったんで、怖さはなかったけれども白人ゾンビにない異様さはありました。そもそも、黒い肌が白くなって何とも言えない色に仕上がっているのが不気味。『ゾンビ』のプエルトリコ人アパートのゾンビも青白い顔でやっぱり不気味でした。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://thehorrormovies.blog55.fc2.com/tb.php/64-b5c5d4f0
この記事へのトラックバック


最新記事