チャイナ・シンドローム

2011年04月10日 02:18

チャイナ・シンドローム01
【原題名】THE CHINA SYNDROME
【製作】マイケル・ダグラス
【監督】ジェームス・ブリッジス
【脚本】マイク・グレイ、T・Sクック、ジェームス・ブリッジス
【撮影】ジェームズ・グレーブ
【音楽】スティーブン・ビショップ
【出演】ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラス、スコット・ブラディ
1979年/アメリカ映画/122分


【STORY】
テレビ局の人気キャスターのキンバリーは原子力発電所へドキュメンタリー番組の取材に訪れる。丁度、コントロールルームを見学中、不気味な揺れが襲う。何かのトラブルが発生したのか、慌てて事態の収拾に当たる作業員の様子を、カメラマンのリチャードは密かに撮影していた。持ち帰ったフィルムを特ダネとして放送の準備をするキンバリーたちだが、テレビ局側は何かの圧力がかかったのか放送を取りやめフィルムを封印してしまう。

納得のいかないリチャードは無断でフィルムを持ち出し原子力の専門家にそれを見せる。フィルムから分かったのは、現場では何か重大な事故が起きていた可能性が高いということだった。しかし、発電所側からは事故に関する発表は何も行われず、早期に原発の運転を再開しようとしていた。コントロールルームにいたベテラン技師のジャックは、事故の原因に疑問を抱き、独自に調査を始める。そして、安全に関する資料を調べる中で、ずさんな設計ミスを発見するが、時を同じくして何者かに命を狙われ始める。

【REVIEW】
この映画が公開されたわずか12日後の1979年3月28日、スリーマイル島の原発事故が発生、実際の事故を予言したかのようなこの社会派サスペンス映画は、今見ても古さを感じさせない内容です。3.11の大震災に起因する福島原発の事故報道を見ていて、この映画をもう一度観てみたくなりました。中学生の頃、初めてこの映画のタイトルを聞いて“不思議な題名やな”と思いましたが、意味は、「アメリカの原発でメルトダウンが起こったら、地球の裏側の中国まで溶けて行ってしまう」ということで、china syndromeらしいです。

安全に関しては万全の体勢が取られていたはずの原子力発電所。ジェーン・フォンダ演じる女性キャスターが偶然目撃したのは、あってはならない事故だった。その原因は、ずさんな設計と手抜き検査などの人為的ミス。さらに利己主義に走る電力会社は事故をもみ消しに走り、挙句の果てには、事実を公表しようとする者を抹殺してでも隠蔽しようとする。構図としては、真実を伝えようとする主人公側と、それを隠そうとする電力会社という形が成り立つが、あってはならないミスが重なって、重大な事故が起きるというパターンは30年以上たった現在でも変わらない。たとえ、想定外の未曾有の災害が原因であっても、“想定外”の一言で片づけてしまうには、あまりにもお粗末だ。そういう意味では、今だからこそ見る価値のある1本だと思います。

個人的にはJ・フォンダは『バーバレラ』のイメージが強くてセクシーな女優さんという感じなんですが(偏り過ぎ!)、本作ではジャーナリスト魂に燃えるレポーター役を熱演、事実を公表しようとする技師役のジャック・レモンの迫真の演技もこれまた素晴らしいです。テレビ局の同僚役では『バタリアン』の真面目なフランク役を好演したジェームズ・カレン、さらにはジャックの同僚役では『遊星からの物体X』のブレアを演じたウィルフォード・ブリムリーなんかの姿も見られます。






コメント

  1. たかひろ | URL | -

    Re: チャイナ・シンドローム

    この映画は母方の叔父と劇場で観ましたね。
    フェイ・ダナウェイが演じてたら社会派の重いサスペンスになってたかもしれませんが、ジェーン・フォンダ(叔父がファンでした☆)が主演することで子供でも見易かったですね。
    今回の事故についてIAEAは
    「日本政府は適切な処置をしている」
    と評価し、アメリカやヨーロッパのマスコミも
    「あくまでも天災が引き起こした事故で日本の電力会社の人為的ミスではない」
    と報道していますが、日本への経済的支援については冷たいですね。
    元々アメリカは「トータル・フィアー」や「トゥルー・ライズ」で核爆発をサラリと描いてるので、軽く見ているのでしょうか?

  2. Aki | URL | -

    Re: チャイナ・シンドローム

    事実は小説よりも奇なり、もとい、事実は映画よりも奇なり。
    で、発表されている情報は一部分で、一般の人が知り得ている以上に事態は深刻なんじゃあないかと勘繰ってしまいます。後からレベル7に引き上げたりしてますし。ただ、これに関しても、各国の反応はさまざまですが。

    >元々アメリカは「トータル・フィアー」や「トゥルー・ライズ」で核爆発をサラリと描いてるので、軽く見ているのでしょうか?

    私は、『バタリアン』が思い出されます。収拾のつかなくなったゾンビの集団を核で一掃しちゃう、ダン・オバノンの力技のラストはある意味爽快ですが、現実にはその後の処理が大変なはずなんですがね。



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