変態村

2020年03月24日 06:02

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【原題名】CALVAIRE
【製作】ミカエル・ジェンティル、エディ・ジェラドン=リュイックス、ヴァンサン・タヴィエ
【監督】ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
【脚本】ファブリス・ドゥ・ヴェルツ、ロマン・プロタ
【撮影】ブノワ・デビー
【音楽】ヴァンサン・カエイ
【出演】ローラン・リュカ、ジャッキー・ベロワイエ、フィリップ・ナオン、ジャン=リュック・クシャール、ブリジット・ラーエ
2004年/ベルギー=フランス=ルクセンブルク合作映画/91分


【STORY】
老人ホームの慰問ライブを終えた歌手のマルクは、次の仕事である南仏のクリスマスライブへと向かうが、途中山奥で車の故障で立ち往生してしまう。日も暮れてしまい、ペンションの看板を見つけたマルクは、通りがかった男に案内してもらい、その宿で一晩を明かす。翌朝、ペンションのオーナーであるバルテルに車の修理を依頼し、付近の散策に出かけたマルクは村人の異常な行動を目撃する。その後、ペンションに戻るが、やがてバルテルの様子が変貌していく。電話線は切られ、車はバッテリーを外され車内には物色された跡が。マルクが問い詰めると、バルテルはマルクを殴り倒して、車に火を放つ。そして、マルクを監禁したバルテルは無き妻グロリアの衣服を着せる。彼は、マルクとグロリアを混濁し、愛する妻が戻ってきたと思い込んでいた。エスカレートするバルテルの行為は、やがて疎遠になっていた村人も巻き込んでいく。

【REVIEW】
邦題は『変態村』だが、原題はCALVAIRE~フランス語で、ゴルゴダの丘、苦難、試練などの意味。主人公マルクが、ふとしたことで田舎の閉鎖的な村に迷い込んでしまったことから巻き込まれていく数々の理不尽な行為は、まさにこの原題名が表す通り。なぜ、バルテルや村人たちはマルクをグロリアと信じて疑わないのか、なぜ村には男どもしかいないのか、その辺の説明は一切ないまま最後まで進んでいくので、消化不良感は残ったままだが、このヨーロッパ独特の何とも言えない画面から滲み出る暗さや不気味さはハリウッド映画ではまず出せない個性。特典の監督インタビューでは、70年代などの過去のホラーへのオマージュを語っているが、2004年製作で、昔の雰囲気が感じられるのはある意味凄いかなと思います。

直接的なゴアシーンはそれほどでもないが、閉鎖的な空間で部外者が味わう言いようのない責め苦はよく伝わってきて、精神的に嫌~な感じが味わえる。自分以外の村人全員が異常者なんて、もうここに迷い込んでしまった時点でアウトです。さらに、テンポの悪い編集、ほとんど音楽が流れない無音な世界(それが余計に、バーの場面でのダンスシーンの異様さが際立っている)、理解不能なラスト、などが異様さに拍車をかける。起承転結のあるアメリカ映画が好きな人にはてんで理解できない、これがユーロ映画の味な気がします。劇中、ほとんど薄汚いおっさんか家畜しかでてこず、女性が登場するのは冒頭の老人ホームの場面のみ。そこで、マルクを見送る熟女看護婦が『殺戮謝肉祭』にも出ていたブリジット・ラーエだった。観終わった後で知ったけど。

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