2020年12月13日 19:10

出版社:洋泉社
出版年月:2017年7月
ページ数:233頁
定価:1,500円(本体価格)
第1章 21世紀のハリウッド恐怖映画
・巻頭座談会 21世紀ホラーの動向 何が変わり、何が恐れられるのか
・恐怖のキーパーソン、その1 新時代ホラーの仕掛人ジェイソン・ブラム
・恐怖のキーパーソン、その2 『エクソシスト』に続くヒット作を打ち出すジェームズ・ワン
・恐怖のキーパーソン、その3 『ヴィジット』で完全復活したМ・ナイト・シャマラン
・ロバート・ゼメキス、マイケル・ベイ・・・ヒットメイカーが群がったゼロ年代ホラー・リメイクの功罪
・ハリウッドがホラーのリメイクに傾いた時代背景
・全米最新ヒット作研究
奇跡の黒人ホラー映画『ゲット・アウト』
魔女の呪いを再解釈する『ウィッチ』
・『テキサス・チェーンソー』から『ファイナル・ガールズ』まで、これだけは押さえておきたいアメリカン・ホラー十傑
・劇場で封切られなかったのが謎!本気で怖いアメリカン・ホラー裏十傑
・拷問ポルノ騒動再考
・ゾンビ・アポカリプス路線の終焉
・やはり宇宙人映画は恐ろしい
・POVホラーとポスト真実
・不法侵入路線恐怖映画を改めて検証
・プラクティカル・エフェクト~CGに背を向けて人体破壊を目指す現在
・大いなるマンネリズム『ファイナル・デスティネーション』はなぜ人気シリーズになったのか
・ティーンズ映画の恐怖~思春期は人生で最も恐ろしい時期
・鉄板系ホラー、動物パニック映画の新時代
・イーライ・ロスからフェデ・アルバレスまで、新時代ホラー映画のマグニフィセント7
・カナダ・オセアニア英語圏ホラーの現在
第2章 飛躍するアジアン・ホラー
・劇画ロードショー『新感染/ファイナル・エクスプレス』
・箸休め洋画劇場・タイの懐かしホラー映画ポスター大全
・ヘル・コリア世代の鬼才!『新感染』監督ヨン・サンホ
・現代韓国恐怖映画事情
・現代香港恐怖映画事情
・現代東南亜細亜恐怖映画事情
・現代中東恐怖映画事情
第3章 新たなる恐怖の震源地ヨーロッパを往く
・不滅の恐怖王ダリオ・アルジェントは21世紀ホラーをどう考えるか
・フレンチ・ニューウェーブ・ホラーの総括
・情熱と怪奇の国スペインの21世紀ホラー
・ネクロストームから『グッドナイト・マミー』、新時代ジャーロまで、ヨーロッパ・ホラー・シーンを俯瞰する
第4章 日本のホラーはこれからどうなるのか?
・すべては『リング』のハリウッド・リメイクから始まった~Jホラー盛衰記
・『クリーピー 偽りの隣人』から『散歩する侵略者』まで、黒沢清のラディカリズム
・『戦慄怪奇FILE コワすぎ!』で愛される白石晃士の異次元世界
・血まみれピンク映画で気を吐く山内大輔に注目
・激安心霊動画にハマった男
21世紀ホラー、今後の展望
本書が発行されたのが2017年なので、2000年以降約20年弱のホラー映画の潮流をジャンル別・国別・フィルムメーカー・キーポイントとなった作品など様々な視点から解説したムック本。もちろん、雑誌映画秘宝のの別冊シリーズの1冊なので、読者層もそれなりにマニアックなはずであるし、それに応えるように執筆陣も濃い布陣。普通の映画誌では取り上げることすらないような作品群の濃密に解説してくれていて、それを読み進めていくだけでも結構な時間を要するが、それがまた楽しかったりします。「アメリカン・ホラー裏十傑」で紹介されているので見たことあるのなんて『ツールボックス・マーダー』しかなかったし、本当に知らない作品はまだまだ沢山埋もれていると感じましたが、それだけこれから知る楽しみもあります。
しかし、巻頭の座談会でも発言されていますが、年代によって感じる温度差っていうのは本当にあって、70年代80年代を過ごしてきたものからすれば90年代はホラー映画にとって極寒の時代であったし、それに続く00年代以降は復活しつつある時期であったはずだけど、以前とは異質なムーブメントな気がするわけで。サスペンスとスリラーとホラーの境界線であったり、恐怖の見せ方の違いやそれを受け止める側の考え方の違いとか~残酷なものを見たと厭なものを見たとの違いとか~、なるほどなあ・・・と共感してしまうところがありました。個人的には“心安らぐホラーの黄金期”のポスター大全が楽しかったのと、近代映画社の『THE HORROR MOVIES』シリーズのロゴを模しているのが懐かしかった。
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