マーターズ

2015年11月27日 00:44

マーターズ01

【原題名】MARTYRS
【製作】リシャール・グランピエール、シモン・トロティエ
【監督】パスカル・ロジェ
【脚本】パスカル・ロジェ
【撮影】ステファーヌ・マルタン、ナタリー・モリアフコ=ヴィゾツキー
【音楽】セップク・パラディグム、アレクシス・アンド・ウィルフリード・コルテ
【出演】モルシャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ、カトリーヌ・ベジャン、イザベル・ジャス
2007年/フランス・カナダ映画/100分


【STORY】
1970年代のフランス、ボロボロの姿で彷徨っていた少女リュシーが保護された。彼女は何者かによって、工場の一部屋に長期間監禁され、拷問と虐待を受けていたが、その目的は分からなかった。養護施設に引き取られたリュシーは、同じ年頃の少女アンナの助けもあり、徐々に回復していった。その15年後、森の中に佇む一軒家の玄関にリュシーは立っていた。家の中には朝食を取っていた家族4人が居り、リュシーは猟銃を構え、一人ずつ射殺してゆく。銃弾を浴びて息絶えてい往く住人達。その中の母親らしき死体の顔を見てリュシーは確信する。自分を監禁、虐待していた相手に復讐を果たしたのだと。血まみれの惨状の中、リュシーの背後に何かが忍び寄る。

【REVIEW】
上記ストーリー部分だけで約15分程度だが、ここまでだと監禁、虐待されていた女性の復讐劇かと思いきや、これ以降話は二転三転していく。事件現場に駆け付けたアンナはリュシーの傷の手当てをし、死体の片づけを手伝うが、復讐した相手が正しかったのかを疑う。―すべては、リュシーの妄想ではないのか?―事実、リュシーにしか見えない化け物が襲ってくるのは幻であり、彼女の自傷行為が原因であることが分かってくる。しかし、何が原因で彼女をここまで追い詰めたのか?謎は解明されないまま、リュシーの行動はエスカレートし、ついには喉元を掻き切って自殺してしまう。悲しみに打ちひしがれ、呆然とするアンナ。一夜明け、一軒家の中に地下室があることを知った彼女は中に下りて行き、ついには見てはいけないもの、知ってはいけなかったことを知ってしまう。

その後、物語は急展開していく。リュシーの過去の言っていたことが正しかったことが分かり、監禁と虐待に関与していた組織の人間が現れ、なぜこんなことをしていたのかを説明していく。そして、アンナを待ち受ける凄惨な儀式。先の読めない展開に翻弄されながら、後半延々と続くアンナへの容赦ない拷問の数々を見せられ、おそらく観客の多くが善良な心をベキベキっとへし折られてゆくのではないだろうか。心と体の両面を極限まで痛めつけることで到達できる場所を見せるため、観客にもそれを疑似体験させた後、映画はクライマックスを迎えるが、ラストは崇高で神々しいといえばそうかもしれないが、死の先にあるものは何か知りたいだけの虐待カルト集団の下衆い欲望の末路としか思えないのは、私がただ単にひねくれているからかもしれない。それと、一部の人間の欲望のために犠牲となったリュシーやアンナの人生はなんだったのかを思うと、それもやりきれないと思ってしまう。殉教者ってなんなんでしょうね!?

ただ、今までのホラー映画とは一線を画している別物であるのも事実。ここまでショッキングで、見た後にどよーんと重いものを残す映画も久々。刺激的な映像を見たい方、トラウマ級の拷問映画を見たい方、そしてホラーが三度の飯よりも好きな方は、やっぱり避けては通れない必見の映画だと思います。

マーターズ02

マーターズ03



燃える昆虫軍団

2015年11月18日 11:40

燃える昆虫軍団02

【原題名】BUG
【製作】ウィリアム・キャッスル
【監督】ジャノット・シュウォーク
【脚本】ウィリアム・キャッスル、トーマス・ページ
【撮影】マイケル・ヒューゴー
【音楽】チャールズ・フォックス
【出演】ブラッドフォード・ディルマン、ジョアンナ・マイルズ、リチャード・ギリランド
1975年/アメリカ映画/100分


【STORY】
アメリカ中西部で巨大な地震が発生した。町の郊外の農地では巨大な地割れも発生、住民はそこからゴキブリに似た真っ黒な昆虫が多数這い出てきているのを発見する。昆虫学者のジムは、地割れから出てきた昆虫が火事を引き起こしていると知らされ現地に調べに行く。真っ黒な昆虫は体に発火する仕組みが備わっており、炭素を栄養源として生きているようだった。新発見に興奮を迎えきれないジムは昆虫を持ち帰り、研究を重ねていくが、やがてこの虫の進化していく様に恐怖を覚え始める。


【REVIEW】
70年代は大自然の驚異を描いた映画が多数制作され、動物・昆虫らが人間に襲いかかるものも人気のジャンルだった。その種類も様々だったが、昆虫自体はサイズが小さいので、群れを成して襲ってくるか、突然変異で巨大化するというパターンが多かった。しかし、本作の主役は明言はされていないものの、見た目はどう見ても“巨大ゴキブリ”!!サイズは全長5~10cm程度で、しかも多数ご登場で、その雄姿を拝むだけでもこの映画は見る価値あり!!(ゴキブリが苦手な方は観ない方がいいでしょう・・・)

普通、火が苦手なはずの昆虫が自ら発火して敵を燃やすという発想がなかなかのもので、特に中盤のジムの奥さんのブロンドヘアーに取り付いて発火、奥さんが火だるまになって焼け死ぬ場面はけっこうショッキング。さらに、妻を失って、虫への執着心がエスカレートしたジムはこの虫をゴキブリと交配させ新種を誕生させてしまう。こいつが、最終的には人間の言語を理解し、自我を主張してくるのには、「ちょっと行きすぎじゃない!?」と思ったりもするが、人類が死滅してもゴキブリは生き残ると言われているくらいだから、あながち無いとも言えないかも。

この映画も、小学生時代にTVで観て、気味が悪かった記憶がありますが、特に印象的なのが、女優さんの顔面に巨大Gが張り付いているスチール写真。当時は当然CGなんてなかったので、あまりにもリアルすぎるゴキブリが目のあたりに食らいついている場面がどうしても頭から離れず、これも幼少時代のトラウマ映画の1本です。

燃える昆虫軍団01



ムカデ人間2

2015年02月07日 23:36

ムカデ人間2 [DVD]ムカデ人間2 [DVD]
(2013/02/02)
アシュリン・イェニー、ローレンス・R・ハーヴェイ 他

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【原題名】THE HUMAN CENTIPEDE II (FULL SEQUENCE)
【製作】イローナ・シックス、トム・シックス
【監督】トム・シックス
【脚本】トム・シックス
【撮影】デヴィッド・メドウズ
【音楽】ジェームズ・エドワード・バーカー
【出演】ローレンス・R・ハーヴィー、アシュリン・イェニー、マディ・ブラック、ドミニク・ボレリ
2011年/オランダ・イギリス映画/91分


【STORY】
地下駐車場で警備員として働くマーティンは映画『ムカデ人間』を愛していた。自宅では巨大なムカデを飼っていて、手製のムカデ人間スクラップブックを眺めては悦に入っていた。やがてエスカレートしていくムカデ愛は、自分の手でムカデ人間を実現しようとするに至る。マーティンは地下駐車場の客を次々に拉致しては貸倉庫に運び込み、結合を試みる。


【REVIEW】
あのカルト映画『ムカデ人間』の続編!しかも今度は10連結!!正直、前作のインパクトに比べてどうなのか!?と思ってみたら、衝撃度はコチラの方が上!ここまで、悪寒のする映画は近年見たことが無いです・・・。各国で上映禁止、日本でも一部をカットしての上映を余儀なくされた、というのも頷ける内容です。

人間の口と肛門を結合させて、人間を繋げていくという発想自体インモラルで不謹慎な発想ですが、この続編はそれにプラスして主人公のマーティンの存在自体がアンモラル!母親と二人で暮らしているマーティンは、おそらく発達障害かなにかで極端に背が低く太っている体型。動きも緩慢で、額には常に汗がにじんでいる。しかも無口で何を考えているかもよく分からない。というか、劇中では全くセリフが無い!不機嫌になったり、笑ったりするので、感情はあるのだが、全く喋らないのである。ある意味、現実社会とは切り離された、社会に適合できない存在で、他の人間と意思疎通が不可能な人間として描かれているのである。彼が心を許しているのは、飼っているムカデと映画『ムカデ人間』だけなのだ。こんな、孤独なキャラクターは過去にも存在したが、人間を10人連結させようとした奴はマーティンだけだ。その行為をひたすら見せつける本作は見る人を強烈に選ぶ作品に仕上がっているので、ホラーに慣れている人でも見るのはしんどいかもしれません。

前作では、主人公は医者で、多少外科的な手術を行って繋げていましたが、今回のマーティンは全くの素人。誘拐してくる場面でも、麻酔なんか使わずに銃で足を撃ち抜いたり、バーベルで殴り倒して車に押し込んだりとかなり乱暴。しかも、肝心の繋げるところは、巨大なステープラーで口と臀部をくっつけているというお粗末なもの!この幼稚な作業で誕生した10連結ムカデ人間を前に狂喜乱舞するマーティンの姿が、哀れで滑稽で不気味だ。

内容的には過激さもグロさも前作を上回っているが、全編モノクロなのがせめてもの救い。これがオールカラーだと、多分しばらく食事をとるのは躊躇うかもしれない(それでも、一部悪意のあるカラー場面があるのだけれども・・・)。こんなシリーズだが、完結篇にあたる3作目も準備されているらしい。これよりも過激になっているとしたら、一体どうなるのか!?興味はあるが、さすがに見るかどうかを考えてしまいそうです。それにしても、こんなマーティン役の俳優、よく見つけてきたなあと思います。とにかく、この映画はこの俳優の存在感に尽きる・・・!と思います。

ムカデ人間2 01



マッキラー

2015年01月17日 16:05

マッキラー

【原題名】NON SI SEVIZIA UN PAPERINO、DON'T TORTURE A DUCKLING
【製作】レナート・ジャボニ
【監督】ルチオ・フルチ
【脚本】ジャンフランコ・クレリチ、ロベルト・ジャンヴィッティ
【撮影】セルジオ・ドフィッツィ
【音楽】リズ・オルトラーニ
【出演】フロリンダ・ボルカン、イレーネ・パパス、バーバラ・ブーシェ、トーマス・ミリアン、マルク・ポレル
1972年/イタリア映画/90分


【STORY】
南イタリアの小さな村で、3人の少年が相次いで惨殺された。地元警察の捜査線上に魔術を使うジプシー女が浮かぶ。彼女は昔死別した子どもの墓を荒らされた恨みを晴らすため、少年たちに呪いをかけたようだったが、アリバイがあったため釈放される。しかし、収まりのつかない保護者たちは、彼女をリンチにかけ殺してしまう。事件は終わったかのように見えたが、やがて第4の殺人が起こる。犯人は一体誰なのか!?

【REVIEW】
サンゲリア』以降、ゴア・ムービーを連発し、一躍その名を世界に轟かせたルチオ・フルチだが、本作はその前の70年代にいわゆる“ジャーロ”系の映画を撮っていたころの1本。時系列的には、『幻想殺人』と『ザ・サイキック』の間にあたる頃になる。日本ではビデオソフトでリリースされて以降、DVD化はされておらず、視聴しにくい現在ではある意味幻の1本だが、この『マッキラー』を見れば、フルチが残酷描写だけを撮ってきた監督ではない、様様なジャンルの映画の撮れるきわめて優秀なディレクターであることが感じられると思います。(晩年の酷い出来の数々は、フルチの体調の悪化と、資金繰りがうまくいかず、撮りたい作品が作れる環境に無かったのが大きな要因だと思いたい)

謎解きよりも、殺人の情景そのものに焦点を当てていることは、ジャーロ路線の王道だが、殺される被害者が若い女性ではなく、幼い少年たちであることが、他のジャーロ映画とは大きく違う点。彼らが何故殺されなければならなかったのかは、犯人の大きな動機であり、また田舎町の閉鎖的な社会や古くからの宗教的な観念、思い込みと無知が引き起こす悲劇の連鎖は物語に厚みを与えていて、非常に見応えがあります。殺人事件が起こった後、真っ先に疑われるのは知恵おくれの青年、しかし彼の疑いが晴れると、次は村で異端児扱いされているジプシー女を犯人扱いしていく。村全員が顔見知りであるような小さなコミュニティーで犯罪が起こると、多分こんな感じで犯人探しが始まるんだろなー・・・という嫌~な空気が立ち込めていて、その息苦しさはなかなかのもの。

そんでもって、釈放されたジプシー女(演じるのは『幻想殺人』でも主演を務めたフロリンダ・ボルカン)が少年たちを呪い殺したと思い込み、白昼堂々リンチにかける村の男たち。この場面が圧巻!鉄の鎖でボコボコでたたかれて、肉は削げ血が噴き出していき、無抵抗な彼女をこれでもか!とばかりに痛めつけていく男たち(この場面は。のちの『ビヨンド』のオープニングの画家リンチの場面に引き継がれている)。この暴力描写は、この映画の最大の見せ場だが、彼女が息も絶え絶えで丘の上の墓場まで這って行き、何も知らない人々が悠々と車で走る道端で息絶えていく場面は何とも言えない悲しみが漂う名場面です。

フルチの作品は続々とDVD化あるいはBlu-ray化されているものの、本作は未だにその気配も見えない。理由は、今ではタブー視されている少年を次々に残忍に殺している内容だからとか、原題にもある「アヒルちゃんをいじめないで!」の元ネタが某ディズニーのキャラクターだったのが問題だとか、いろいろあるみたいですが、なんとかクリアしてぜひ再発してほしいと願うばかり。大映ビデオで発売されたときには「ルチオ・フルチのルーツを見た!」とのキャッチ・コピーが躍っていたが、今思うとまさにそのとおりであり、フルチの作品群を評価するうえでも重要な1本であることには間違いないはず。また、クライマックスの犯人が崖から落ちていきながら犯行動機となる回想シーンと、顔面が岩で削られ火花を放つ場面を織り交ぜつつ美しい旋律が流れるところも屈指の名場面。ホントに、このまま埋もれさせてしまうのは、余りにも惜しい作品だ。


ムカデ人間

2014年12月18日 22:09

ムカデ人間 [DVD]ムカデ人間 [DVD]
(2012/02/03)
ディーター・ラーザー、北村昭博 他

商品詳細を見る

【原題名】THE HUMAN CENTIPEDE (FIRST SEQUENCE)
【製作】イローナ・シックス、トム・シックス
【監督】トム・シックス
【脚本】トム・シックス
【撮影】グーフ・デ・コーニング
【音楽】パトリック・サヴェッジ、オレグ・スピース
【出演】ディーター・ラーザー、アシュリー・C・ウィリアムズ、アシュリン・イェニー、北村昭博
2009年/オランダ映画/90分


【STORY】
かつて、シャム双生児の分離手術で名を馳せた外科医のヨーゼフ・ハイター博士は引退後、今度は分離ではなく生物を繋げて一つに融合することを夢見ていた。3匹の犬の実験で成功した博士は次は人間で実行しようと決意。獲物を物色にかかる。
ある雨の晩、アメリカ人旅行者のリンジーとジェニーはドイツで車で移動中、森の中でパンクしてしまう。夜中で人気も無いため、助けを呼ぼうと彷徨って、森の中に一軒家を発見する。車の修理に来てもらおうと、その家のドアをノックして出てきたのは、ハイター博士だった。博士は、2人が旅行者であることを知ると、睡眠薬入りの水を飲ませて地下室に監禁、さらに別の日本人男性も誘拐してきて、3人を結合しようと試みる。



【REVIEW】
ジャンル分けするとホラー映画になるんだろうけど、かなりの異端児で、まさにカルト映画。そして、マッド・サイエンティストが出てくる映画は数多くありますが、この博士のキャラクターもかなり逝っちゃってます。手術を行う前、さらってきた3人を前に画期的な手術内容であると大真面目に説明する割に、なんとも適当なイラスト(人間がワンワンスタイルで繋がっている、とても雑な絵・・・)が拍子抜け、更に肝心の接合手術も口と肛門を外科処理しただけで、これもテキトーすぎ。何が画期的なのかさっぱりです。だが、それだけにこんなことを大真面目にやっている博士の異常さは格別。いかにも堅物の風貌と、人間味ゼロの雰囲気が寒気すら感じさせて、キャラクター的には大成功だと言えます。

ただ、映画的には平たんな作りで、最後に警察にばれちゃって踏み込まれるまでは、ひたすら繋げたムカデ人間と戯れる日々が流れていきます。その静かな時間の経過が、ある意味すごく不気味で気持ち悪い。当然、罪もなく手術されてしまった被害者の姿があまりにも哀れで、後味の悪さも格別。日本人的には、先頭の日本人俳優の関西弁丸出しのセリフが時には笑いを誘いますが、やっぱりブラック。話題作りに見てみるのはありでしょうが、もう一回見たいかと言えば、かなり微妙・・・。でも、こんな映画でもすでに続編が公開されていて、さらに3部作の構想にもなっているとか。ある意味、感心。
それだけ観たい人がいるってことなんでしょうが。

ムカデ人間01

ムカデ人間02





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