トランス/愛の晩餐

2018年02月07日 19:26

トランス03

【原題名】DER FAN
【製作】バーバラ・モールセ、マルティン・モスコヴィッツ
【監督】エックハルト・シュミット
【脚本】エックハルト・シュミット
【撮影】ベルント・ハインル
【音楽】ラインゴールド
【出演】デレジー・ノスブッシュ、ボド・スタイガー
1982年/西ドイツ映画/90分


【STORY】
ロックシンガー“R”の熱狂的なファンのシモーヌは、彼宛のファンレターを送る毎日。返事は来ないが、その想いが募って、家出し会いに行くことに。大勢のファンに囲まれているRを見つけたシモーヌは偶然にも声をかけられ、興奮のあまり失神してしまう。気が付くとそこはRの別荘で、シモーヌは彼と夢のような一夜を過ごすが、翌朝Rは別人のように冷たくなっていた。感情を抑えきれないシモーヌは衝動的にRを撲殺し、死体を電動ノコギリで切り刻んでゆく。


【REVIEW】
ドイツ製青春カニバリズムムービー。可愛さ余って憎さ百倍というのはよくあるが、自分のものにならないのならいっそ殺してしまおうか・・・。極端な発想のような気がするが、主人公がおそらくまだ10代で、夢中で周りが全く見えていない状況ならあり得そうな話だ。物語前半は、シモーヌが憧れのロックスターに思いを募らせる風景をゆったり描いていて、どちらかといえば退屈な運びだが、その想い人を殺してからは急転直下、電動ノコギリでバラバラに切断→冷凍庫に保存→調理して食べる→残った骨は粉砕して散骨、と怒涛の展開に。特に、殺した直後からの解体シーンは、全裸でセリフも一切なし、淡々と作業をこなすシモーヌの姿が切なくも美しく感じられる。この解体シーンの直接的な描写が少ないためゴア度は低い。もっとも、迷いなく彼の肉体を取り込んでいく様子は愛する者と一体化しようとする倒錯した愛情表現であり、ホラーというより異形の恋愛ドラマなのかもしれない。

主演のノスブッシュがその後、アイドル化して人気が出たため、本作の上映差し止め訴訟を起こしたのは有名なエピソード。でも、体当たりでこの役を演じきったからこそ、今もこうして作品が残っているのでは。ブルーレイ化もされましたしね。


トランス01
シモーヌがいつも身に着けている、ソニーのウォークマンが時代を感じさせます。


トランス02


デモンズ2

2017年12月16日 22:04

デモンズ203

【原題名】DEMONI 2
【製作】ダリオ・アルジェント
【監督】ランベルト・バーヴァ
【脚本】ダリオ・アルジェント、ランベルト・バーヴァ、フランコ・フェリーニ、ダルダーノ・サケッティ
【撮影】ロレンツォ・バッタリア
【音楽】サイモン・ボスウェル
【出演】デヴィッド・ナイト、ヴァージニア・ブライアント、ボビー・ローデス、ナンシー・ブリッリ、アーシア・アルジェント
1986年/イタリア映画/90分


【STORY】
高層マンションの一室、サリーの誕生会が開かれ、彼女の友達がお祝いに駆けつけ騒いでいた。気に入った服が見つからないサリーは苛立ち、別室のテレビから流れる奇妙な番組に気を引かれる。それは、4人の若者が廃墟で悪魔を復活させるというものだった。自分の誕生会のことも忘れてテレビを見続けるサリー。そのとき、テレビの画面から復活した悪魔“デモンズ”が飛び出してサリーに襲い掛かる。デモンズと化したサリーは、友人たちに襲い掛かり、犠牲者たちもデモンズの仲間となってしまう。

デモンズの集団が住人たちを襲い続け、住人達はパニック状態に陥る。マンションの住人のジョージとハンナ夫婦は追ってくるデモンズたちをかわして屋上から脱出する。マンションの隣の建物に逃げ込んだ2人は、中が無人のテレビ局であることに気付く。そのとき、テレビ画面の奥から走ってくるデモンズを発見、ジョージは全てのテレビを破壊し、その復活を阻止するのだった。


【REVIEW】
ダリオ・アルジェント製作、ランベルト・バーヴァ監督と同じ布陣で贈る『デモンズ』続編。このあとの『デモンズ3』や『デモンズ4』、『デモンズ‘95』などは日本の会社が勝手に命名しましたタイトルなので、正式なシリーズはこの2作目まで。1作目では映画館のスクリーンから飛び出してきたデモンズが、本作ではテレビ画面から復活し、高層マンション内に閉じ込められた人々を地獄へ突き落す。

デモンズについては特に目新しい変化はなく、1作目の焼き直しのような印象があるが、子どもデモンズや犬デモンズとの格闘、地下室で立て籠もる住人達とデモンズ軍団との激突シーンなど、マニア心をくすぐる場面を用意してくれていて、個人的には嫌いになれない(むしろ好きな部類ともいえる)作品になっています。走って飛び掛かってくるデモンズのアクロバティックな攻撃パターンも、いろいろ種類があって面白いし、さっぱり活躍しないアキロンの大王がしぶとく出てくるのもご愛嬌。トレーニングジムから逃げ出したマッチョ&レオタードの集団が後半まで頑張って抵抗するが、デモンズの猛攻にあえなく全滅してしまうところも見せ場の一つです。本作がデビュー作となった、アーシア・アルジェントの可愛さも特筆もの。彼女を守ろうとする父親も容赦なく殺してしまうあたりはけっこう非情な感じが出ていました。

ただ、途中何度も挿入される屋外のシーンはテンポが中断されてしまい残念。1作目でもヤンキーが車で長々とドライブするシーンがありましたが、この続編でも同じことをさらに長くやっていて、やはりダレてしまっている。誰か編集時に注意してやらなかったのか?!何回見ても突っ込みたくなるところ。無駄で残念。


デモンズ202
このサリーデモンズの独特の構えと走り方、結構好きです。


デモンズ201
グロいメイクは健在。




テケテケ

2017年04月01日 00:24

テケテケ03

【製作】松下順一
【監督】白石晃士
【脚本】秋本健樹
【撮影】百瀬修司
【音楽】清水真理
【出演】大島優子、山崎真実、西田麻衣、一慶、つじしんめい、阿部進之介、小島可奈子
2009年/日本映画/70分


【STORY】
女子高生の可奈は、親友の綾花が深夜の歩道橋で下半身のない死体で発見されたのを聞きショックを受ける。それから数日後、問題の歩道橋を訪れた可奈は、下半身のない不気味な女と遭遇、ものすごい勢いで追いかけられるが間一髪で逃れる。襲ってきたものが都市伝説と化している“テケテケ”ではないかと考えた可奈は、同じくテケテケを調べている従姉妹の理絵と一緒に事件の真相に迫ろうとする。

【REVIEW】
貞子VS伽椰子』の監督白石晃士つながりで2009年の『テケテケ』を鑑賞。ちなみに、この映画、上映時間は70分と短いが、1・2の2本同時に作られたようで、こっちはその1本目。都市伝説では、鉄道事故で体を真っ二つにされて苦しみながら死んだ女性が怪物となって、自分の下半身を求めて女性を襲ってくる、というようなものであったが、本作では強姦被害にあった若い女性が悲観して投身自殺、そして怪物と化して人を襲うとうものにチェンジされている。さらに、「テケテケという音を聞いて振り向くと襲ってくる」「一度逃げ延びても、72時間以内に必ず死ぬ」「赤いものを忌み嫌い標的にしている」など、都市伝説ならではの設定も加味。本当か嘘かは曖昧で(襲われて生き延びたものはいないはずなのに、そういった情報がまことしやかに語られて居る時点で噂でしかない―)、それらが真実かどうかを探っていく面白さもあります。

本来なら過去の事件の真相をもっと掘り下げて、怪物とならざるを得なかった被害者の悲しみなんかも描けばもう少し物語に深みが出たんじゃないかとも思いましたが、その辺はばっさりそぎ落とされていて、今現在の恐怖に絞った物語となっています。これはこれで悪くはないが、どちらかといえばTVのスペシャル版のような感じで薄っぺらい感じは否めない、ちょっと惜しい感じ。しかし、胴体真っ二つのゴアシーンは爽快感すら感じさせるパワフルな描写。テケテケの動きが速すぎて、じわじわ襲ってくる怖さではなく、あっという間に殺されてしまっているので、被害者が悲鳴を上げる暇もないのがある意味斬新かもしれません。

主演の大島優子、グラビアアイドル出身の山崎真実や西田麻衣という綺麗どころを揃えたキャスティングも悪くなく、特に大島優子の演技力は前田敦子の比じゃなく、一日の長があると言えるでしょう。セーラー服も似合っててグッドでしたわ。

テケテケ01

テケテケ02





ディレンジド 人肉工房

2016年05月22日 16:57

ディレンジド01

【原題名】DERANGED
【製作】トム・カー、ボブ・クラーク
【監督】アラン・オームズビー、ジェフ・ギレン
【脚本】アラン・オームズビー
【撮影】ジャック・マッゴーワン
【音楽】カール・ジットラー
【特殊メイク】トム・サヴィーニ
【出演】ロバーツ・ブロッサム、マリアン・ウォルドマン、コゼット・リー、ミッキー・ムーア
1974年/アメリカ映画/84分


【STORY】
父の死後、長い間母親の介護を続けていたエズラは強いマザー・コンプレックスを抱えていた。やがて、母親は病死するが、その事実を受け入れられないエズラは苦しみ続け、埋葬されていた母親の遺体を掘り出し、自宅へ持ち帰ってしまう。再び母親と一緒に暮らせることに喜びを覚えるエズラだったが、死後1年以上たっている遺体はミイラ化し、朽ち果てかけていた。悩んだ彼は、死後間もない女性の遺体を掘り出し、そのパーツを移植して母親の体を蘇らせようと試みる。エスカレートしていくエズラは、遺体だけでなく、生きている女性を標的にしていき・・・。

【REVIEW】
伝説の猟奇殺人犯エド・ゲインをモチーフにした映画は数多く製作され、『サイコ』や『羊たちの沈黙』、『悪魔のいけにえ』などが有名だが、その犯行のリアルな再現度では群を抜く出来栄えなのが本作品。『ゾンビ』などを手掛ける前のトム・サヴィーニも参加した特殊メイクはチープながらも、逆に不気味な印象を感じさせ、死体を分解し、母親の体にパーツを移植していくシーンなどはかなりグロ度が高めだ。特に、恩師の女性教師の頭を割って、脳みそをスプーンで掻き出す場面がかなり気持ち悪い・・・。←それを、淡々と長~く撮っているのが、なおグッド!

遺体解体シーン以外にも、誘拐してきた女性を椅子に座らせて死体を囲んだ食事場面や(『悪魔のいけにえ』のそれとそっくり!)、全裸女性を逆さづりにして腹を掻っ捌いたりと、当時としてはショッキングな場面が続出。フィルムが行方不明になり長らく幻となっていたこともあり、カルト映画と呼ばれるのに内容も相応しいものになっている。ただ、全体的なテンポはゆるめで、『悪魔のいけにえ』ほど極限の緊張感のようなものは感じられない。そこは、『死体と遊ぶな子供たち』のボブ・クラークやアラン・オームズビーが参加している影響が大きいと思われる(なんとなく、全体の雰囲気は似ている)。やっていることは凄惨極まりないのだが、演出はゆったりめ、このなんとも言えないアンバランスさが逆に不気味なわけで、主演のロバーツ・ブロッサムも演技というよりは、地のままのようにも見えてくる怪演ぶり。怪作である。




映像特典はほとんどないのだけれども、封入されている縮小版チラシが嬉しい。
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テナント/恐怖を借りた男

2016年04月06日 02:09

テナント01

【原題名】THE TENANT
【製作】アンドリュー・ブラウンズバーグ
【監督】ロマン・ポランスキー
【脚本】ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラッシュ
【撮影】スヴェン・ニクヴィスト
【音楽】フィリップ・サルド
【出演】ロマン・ポランスキー、イザベル・アジャーニ、メルヴィン・ダグラス、シェリー・ウィンタース
1976年/アメリカ・フランス映画/126分


【STORY】
古いアパートの一室を借りて住むことになったトレルコフスキー。彼の部屋の前の住人は、窓から飛び降り自殺を図っていた。自分の空間を手に入れた記念に、早速友人たちを招いてパーティーを開くが、物音がうるさいと他の住人から苦情が入り、中止になる。階下の家主はことあるごとにトレルコフスキーに注文を付け、管理人の中年女性は無愛想だ。近所の喫茶店では、前の住人の話になり、そのメニューを勧めてくる。そして、アパートの窓から見える共同トイレで微動だにしない男性の姿。このアパートは、何かがおかしい―。そして、トレルコフスキーの精神も徐々に崩れ始めていく。

【REVIEW】
監督・脚本・そして主演も兼ねたロマン・ポランスキー自作自演の異常心理サスペンス。直接的な暴力などは受けなくても、周りの環境や人間関係によって、追い詰められ崩壊していく様が描かれていて、派手さはないが、淡々とした狂気が映画全体を支配している。馴染めなかったり、他の住人と揉めたりしたら、アパートなんだから引越せばいいのでは!?と思ってしまうが、支払ったお金と手間のことを考えれば、そう簡単には決断できず、苦悩せざるを得なくなっていく状況は、同じような経験をしたことがある人なら共感できるはず。かくいう自分も、仕事で実家を出て初めて住んだアパートの階下の住人が(自分は2階)、驚くほど神経質で、少し物音を立てると天井を棒か何かで突いてきて、びくびくしながら過ごした記憶があります。当時は、会社の借り上げ住宅で転居もできず、我慢するしかなかったのですが、音を立てずに生活するのがこんなに窮屈でストレスなのか苦労したものでした(結局、転勤でまた引っ越しできたわけなんですが)。

話がそれましたが、主人公のトレルコフスキーもどちらかと言えば繊細な感じで、内向的なタイプ。友人の男性は、アパート住みでも大音量で音楽を鳴らして、隣から注意されても意に介さず、逆に文句を言い返すくらいだが、トレルコフスキーにはそれができない。しだいに、周りの人間が自分を追い詰め、自殺した前の住人の女性と同じ状況にしようとしているのではないかと考えていく。実際、アパートの住人も、喫茶店の店員も、職場の同僚も、どこかみなよそよそしくて冷たくて、なにかがおかしく感じられる。それはトレルコフスキーの被害妄想がそう感じさせるのかもしれないが、本人がそう感じてしまっているのだから、それはたぶん真実なんだろう。人間って、ちょっとしたことで、正気にも狂気にもなれてしまう。怖いお話だ。

出てくる人間、みなどこか暗い影があって不気味なんですが、自殺女性の友人ステラ役で若き日のイザベル・アジャーニが出ていて、そこは拾い物。しかし、なんといっても、この映画はポランスキーの独壇場なわけで、女装して、2度も飛び降り自殺してしまう狂気の演技の前では、皆霞んでしまいそうな・・・そんな映画です。

テナント02





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