恐怖の子守歌 衝撃の夜・女子大生の異常な体験

2017年05月04日 20:34

恐怖の子守歌01

【原題名】FRIGHT
【製作】ハリー・ファイン、マイケル・スタイル
【監督】ピーター・コリンソン
【脚本】チューダー・ゲイツ
【撮影】イアン・ウィルソン
【音楽】ハリー・ロビンソン
【出演】スーザン・ジョージ、イアン・パネン、オナー・ブラックマン
1971年/イギリス映画/84分


【STORY】
人里離れた屋敷にベビーシッターとしてやってきた女子大生のアマンダ。ロイド夫妻が出かける間、幼子のタラの面倒を見ることになる。夫妻が出かけた後、彼氏のクリスがやってくるが、喧嘩して追い出してしまい、外から様子を伺っていたクリスは何者かに襲われる。ほどなくして隣人を名乗るブライアンという男が訪問してくる。彼は、以前異常な行動に及んだため精神病院に隔離されていたタラの父親だった。病院を抜け出して戻ってきたブライアンは、次第にその異常性をアマンダに向け始める。


【REVIEW】
ベビーシッターの女子学生が精神異常者にいたぶられるサイコサスペンス。舞台が、屋敷と夫妻が出かけるバーくらい、さらに登場人物も少なめでこじんまりとした作品だが、アマンダとブライアンの2人の俳優の演技で最後まで魅せる英国製の佳作。精神病院に閉じ込めた恨みから復讐に戻ってくるものの、いまだ捨てきれない妻と子供への愛情から、グラグラと揺れ続ける感情の波がよく描かれていて、単なる狂人ではない、一人の人間の変わり果てた姿をうまく表現できています。それに対して、恐怖の一夜を体験する女子学生役にスーザン・ジョージ。ソフトパッケージなんかの解説からは、彼女のエロティックな側面を強調してますが(まあ、体のラインを強調した衣装や、それっぽいシーンもあるんだけれども)、異常な男に追い詰められていく情緒不安定なヒロインを熱演していて、ここがこの映画の一番の見どころ。ホラー映画のヒロインは殺人鬼に追い詰められて、逆に返り討ちにしちゃう強いケースもありますが、70年代はそうもいかず、やられるのをじっと耐え忍ぶのが時代かなーという気もします。ただ、最後にやってしまうのは、ちょっと驚きの展開で、「いきなり撃っちゃう!?」という感じで、なんともいえない後味の悪さが・・・。地味だけど、印象に残る映画です。

恐怖の子守歌02

恐怖の子守歌03


恐怖ノ白魔人

2017年05月03日 00:26

恐怖ノ白魔人01

【原題名】AUX YEUX DES VIVANTS
【製作】ファブリス・ランボ、ジャン=ピエール・プッテル、キャロリーヌ・ピラ
【監督】ジュリアン・モーリー、アレクサンドル・バスティロ
【脚本】ジュリアン・モーリー、アレクサンドル・バスティロ
【撮影】アントワーヌ・サニエ
【音楽】ラファエル・ゲスカ
【出演】アンヌ、・マリヴァン、テオ・フェルナンデーズ、フランシス・ルノー、ザカリー・シャセリオ、ダミアン・フェルデル
2014年/フランス映画/88分


【STORY】
夏休み前に補習を受けるように言われ学校を抜け出した3人組は、今は廃墟となっている映画の撮影スタジオへ向かう。そこで、偶然女性が拉致されているのを目撃した3人は、助けようと試みるが犯人に見つかり逃げ出す。逃げる途中出会った警官にそのことを報告し、廃墟を捜索してもらうが犯人は見つからず、子供たちの嘘と決め付けられ自宅に送り届けられる。事件のことを忘れかかっていたその夜、彼らの家に何者かが侵入していた。


【REVIEW】
『邦題』に偽りはないものの、観る前と観た後では若干印象が違った感じのフランス産ホラー。女性拉致監禁の現場を見られたため、目撃者を消そうと襲撃してくるのがタイトルの“白魔人”なのだが、このキャラクターが謎。冒頭の悲惨な夫婦(父親はアル中!?、母親は腹と喉を切り裂いて自殺)の子供であることは分かるのだが、なぜこんな怪物みたいになったのかはあまり説明されないまま(一応、父親に原因があるみたいだが、説明不足気味・・・)。不死身のようでそうでもないし、残虐キャラかと思えばイマイチ迫力不足な感じ。一つ言えることは、あの図体で6才児というのはちょっと無理な気が・・・。初めて見たときは素っ裸だったんで、『ディセント』に出てくる地底人かと思いましたわ。

で、この映画の特徴は、襲われるティーンエイジャー3人組の行動が前半で長く描かれているのが印象的なこと。学校の口うるさい教師に嫌気がさして(多分、複雑な家庭環境で、家にいるのも嫌で)、ぶらぶら~と彷徨うのをロードムービーっぽく撮影していてなんとも牧歌的。ただ、この3人のやんちゃぶりがちょっと目に余りまして、目障りな農夫の納屋を放火したり、それを発見されて咎められたのを逆に襲い掛かって殺そうとしたりと結構ひどい奴ら。と思ったら、拉致された女性を救おうといきなり正義感に燃えて行くも、失敗した後はすっかり忘れて日常生活に戻っていたりと、感情移入しにくいキャラクターでした。

ストーリー展開が今一つだったり、ゴア度も高くなく、目立ったアピールポイントがないのはマイナスですが、アメリカ映画にはない独特のビジュアル感はどこかしら感じられ、ここは評価ポイント。買ってまではどうかと思うが、レンタルなら観てもいいと思える作品。



恐怖ノ白魔人02

恐怖ノ白魔人03



キョンシー

2017年02月24日 00:39

キョンシー03

【原題名】RIGOR MORTIS、殭屍
【製作】清水崇
【監督】ジュノ・マック
【脚本】ジュノ・マック、ジル・レオン、フィリップ・ユン
【出演】チン・シュウホウ、クララ・ウェイ、パウ・ヘイチン、アンソニー・チェン
2013年/香港映画/101分


【STORY】
かつては映画俳優として有名人だったチン。しかし、離婚し愛する息子とも離れ離れになり、仕事も落ち目になった彼は古びた団地に死に場所を求めて引っ越してきた。越してきた当日、首を吊って死にかけるが、住人の道士の男に助けられる。死に損なったチンは団地で生活を始め、少しずつ住人とも親しくなってゆく。その頃、夫を転落事故で亡くした老婆は、もう一人の道士に生き返らせてほしいと懇願し、秘術を用いて復活を試みるが、手違いがあり、キョンシーとなってしまう。折しも団地に巣食っていた女子双子の幽霊も現れキョンシーに憑りつき怪物と化してしまう。チンは道士とともにキョンシーを倒そうと決意する。


【REVIEW】
80年代にヒットを飛ばした『霊幻道士』のリブート版ムービーだが、オリジナルにあったコミカルな要素はほぼ取り除かれ、リアリズムに徹した非常にダークな雰囲気のホラー映画に生まれ変わったのが特徴の本作。どことなくJホラーに相通じる雰囲気を感じさせるのは、プロデューサーに『呪怨』の清水崇が名を連ねているせいかも。キョンシーに立ち向かう主人公2人に『霊幻道士』の俳優が再登板(懐かしい)、もち米やお札などの懐かしいアイテム、息を止めたら見つからない、など当時の設定を思い起こさせるのもちょっと嬉しい。出てくるキョンシーは1体ながらも、同時に登場する双子の幽霊が強力で、道士とのバトルシーンは迫力満点。“現代版霊幻道士が見たかった・・・!”という欲求に答えてくれる出来栄えだと言えます。

また、登場人物の内面もそれぞれ個別に描かれていて、自殺願望に至ったチン以外にも、双子幽霊の悲しい過去、そのときの事件から人生が狂ってしまった母子、余命僅かと知って禁術に手を染めるもう一人の道士、そして夫を生き返らせるため鬼畜と化す老婆―。なんだか、人間の暗い部分を引きずった人物ばかりが登場してきて(しかも、幸せになっていく人がどこにもいない)、本当にやるせなさを感じてしまうが、これが人間の社会というものなのか、生きていくというのは苦しいものなのか、などなどホラー映画なのにいろいろと考えさせてくれる内容です。

ホラー的なテイストがあり、アクションシーンも良し、ゴアシーンも抜かりはない、正直よくできた作品で観て損のない出来栄えなんですが、一つ言わせてもらうと、「なぜ、エンディングをこれにした!?」という疑問がどうしても残ってしまうということ。このオチにしてしまったら、今までの人間ドラマは一体なんだったのか?なんだか、見てきたものが一瞬で崩れ去ってしまう(最後に倒されたキョンシーが灰になっていくように―)ようで、ここだけはイタダケナイ。これがなかったら、オリジナルの『霊幻道士』にも劣らない傑作だったのに・・・という気がします。残念。

キョンシー01

キョンシー02



グリーン・インフェルノ

2016年08月26日 21:03

グリーン・インフェルノ01

【原題名】THE GREEN INFERNO
【製作】イーライ・ロス、ジェイソン・ブラム、ニコラス・ロペス
【監督】イーライ・ロス
【脚本】イーライ・ロス、ギジェルモ・アモエド、ニコラス・ロペス
【撮影】アントニオ・クエルチャ
【音楽】マヌエル・リベイロ
【出演】ロレンツァ・イッツォ、アリエル・レビ、ダリル・サバラ、カービー・ブリス・ブラントン、マグダ・アパノヴィッチ
2013年/アメリカ映画/101分


【STORY】
女子大生のジャスティンは、大学で環境活動を行っているグループの集いに参加、南米で企業の違法な森林伐採によって住処を追われている先住民を保護するため、抗議活動を一緒に行うことになる。ジャングル奥地の伐採現場にやってきた学生たちは、その現場を撮影し、ネットにアップすることで世界中にアピールすることに成功するが、強制送還されることに。ネットでの反響の大きさに喜ぶ学生たちだったが、彼らの乗ったセスナ機はエンジントラブルでジャングルのど真ん中に墜落してしまう。生き残った学生たちの前に現れたのは全身を真っ赤に塗りたくった先住民部族で、彼らこそ、抗議活動で保護したかったヤハ族だった。部族民は、学生たちを自分たちの村へ連れて帰り檻に閉じ込め、その内の一人を生きたまま解体し、調理し始める。ヤハ族は食人の風習を持つ部族だったのだ!捕まえられた学生たちは、一人ずつ殺され彼らの食糧となっていく。


【REVIEW】
70~80年代に次々と製作され人気を誇ったカニバリズムムービー、まさかの復活、食人映画が劇場で公開される日が来るなんて・・・!ちょっと前までは予想すらできませんでしたが、なんにせよ、こういう内容の映画もちゃんと生き残って一ジャンルとして認知されていくのなら映画界もまだまだ捨てたもんじゃないと思います(健全で、感動お涙頂戴な作品ばかりじゃあ窮屈で息苦しいでしょ)。

内容は、環境保護を訴える意識高い系の若者たちが飛行機事故でジャングルに不時着、自分たちが守ろうとしていた原住民が実は食人の風習持ちで、自分たちがそのえじきになっていくという、なんとも悲惨でブラックなものですが、全編通してみると、それほど際立ったゴアシーンがないのに強烈なインパクトはあり、なおかつエンタテイメント作品になっているということ(イーライ・ロスはやっぱりただ者じゃあないですな)。実際の人間解体シーンは初回の1回のみで、そのあとは、すでに解体された後で料理されちゃってたり、よってたかってバラバラにするのもあるんですが、群衆に囲まれてダイレクトに見えないので、意外とあっさり終わります。それ以外だと、グロいところは、飛行機の墜落現場で、墜落の衝撃で死んだり、プロペラでサクッと切れて死んじゃったりとあるものの、それほど気持ち悪くなく、逆にお約束過ぎて笑ってさえしまうくらい(笑える箇所はほかにもいろいろありますが)。なので、人体破壊の怖さよりも、人が人を食べるというアンモラルな行為そのものが強烈な印象を与えていて、そこからくる「見てはいけないものを見ている」後ろめたさや、気持ち悪さがインパクトを生み出しているわけです。

タイトルの『GREEN INFERNO』は勿論、デオダートの『食人族』からでしょうが、2つを比べてみると、イーライ・ロスの方は意外にもだいぶまともな映画になっているということ。個人的には、もっと無茶苦茶(いい意味で)なことしてくれているのかと思っていたら、「食人行為」以外はそれほどでもない感じがしましたし、逆に、デオダートの『食人族』は演出がドキュメンタリータッチということもあって淡々としていて、生きた亀を解体したり、原住民をレイプしたり焼き殺したりとやりたい放題(勿論、その反動で取材スタッフは皆殺しにされちゃうわけですが―)。陰湿さでは、『食人族』の方に軍配が上がり、『グリーン・インフェルノ』は見ている間は重たいものが漂っているものの、見終わった後は何だかすっきりしていて、さっぱりした感じ。この辺が大きな違いかな、と思います。ともあれ、現代に甦った“食人映画”、やっぱり必見、一度は見ておきましょうね(絶対地上波TVじゃあ見れないでしょうが)。

グリーン・インフェルノ02



禁断の惑星エグザビア

2016年06月18日 00:28

エグザビア01

【原題名】FORBIDDEN WORLD
【製作】ロジャー・コーマン
【監督】アラン・ホルツマン
【脚本】ティム・カーネン 、R・J・ロバートソン、ジム・ウィノースキー
【撮影】ティム・サーステッド
【音楽】スーザン・ジャスティン
【出演】ジェシー・ヴィント、ジューン・チャドウィック、ドーン・ダンラップ、フォックス・ハリス
1982年/アメリカ映画/77分


【STORY】
惑星エグザビアへ向かうように指示を受けたマイクと相棒のロボット“サム”は、追っ手の敵を撃退しつつ、惑星へ向かう。そこでは、人類の食糧問題を解決するため、遺伝子操作の研究が行われていた。しかし、その過程で新種の怪物が生まれ、アメーバ状のその物体は研究員に襲いかかり成長していく。マイクは所員らとともに生物を撃退しようと試みる。


【REVIEW】
ギャラクシー・オブ・テラー/恐怖の惑星』に続く、ロジャー・コーマン製作のSFホラー。冒頭の宇宙船による交戦シーンがあまりにもチープでこの先どうなるのか?心配したが、怪物が成長して所員が殺されてドロドロ・グチョグチョになっていく後半は、それなりに見せ場もあって悪くはなかった気がします。目指したのは、どう見ても『エイリアン』なんでしょうが、それにははるか及ばず(怪物の造形も、サスペンスの積み重ねも、登場人物の魅力も・・・)、50点くらいの出来栄えなんだけれども、気楽に深夜放送の映画枠くらいで見れば結構楽しめるレベルと思います。

成長後の怪物は無数の歯が生えた黒光りする巨大なヘビかウナギのような造形になり、なかなかいい感じなのに、あんまし動き回らないのが残念(予算の関係上、動き回れなかったのかもしれないが)。おおかたこの手の映画に期待しているのは、エイリアンそのものなはずなので、もうちょっとここにお金と情熱をかけてほしかった気がします。そのかわりと言ってはなんだけれども、エロティックな方はサービス満点で、出てくる所員のお姉ちゃんがやたらと脱ぎまくりでびっくり。エロ・グロ指数は高めだが、恐怖指数は低めのやっぱりB級映画な本作は、「さすがコーマン」と納得の1本でしょう。

エグザビア02

エグザビア03





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